髭達磨のフォト日記
2014 年 9 月 22 日
曼珠沙華をストロボ撮影する 2
■ 巾着田の曼珠沙華その2でございます
9 月 11 日の巾着田ロケハンから約1週間後、そろそろ赤い絨毯が観られるかと思い、2度目のロケハンに行ってきました。今年は例年に比べて冷夏だったために、巾着田の曼珠沙華の開花が早いと聞いていたものですから、もしかして満開かもとちょいとワクワクしながら、でも今月 27 日に開催予定の「 光景写真講座 」のときには散っちゃうんじゃないかと不安になりながらの訪問でした。で、どうだったのかと言いますと、写真1の感じでした。
こんな感じですが、5~6分咲き。20 日以降は間違いなく満開のはずです。となると光景写真講座の時はピークを過ぎちゃうんじゃないの? と思うかもしれませんが、これは早咲き田のお話し。巾着田には「 遅咲き田 」というのもありまして、早咲き田よりも1週間ほどピークがずれる場所があるんです。残る心配は台風 16 号だけ。少しくらいなら雨天決行だそうですが、台風となるとねぇ。なんとか進路がそれることを祈るばかりです。
■ 自然光を活かしたストロボ撮影術
前回の撮影では、ストロボをメイン光にして曼珠沙華を浮き立たせる撮影方法を紹介しましたけど、今回は自然光を活かしながらの「 光景写真 」を紹介しましょう。
写真2は、巾着田に差し込む朝7時半の朝日を半逆光で受けた曼珠沙華の写真です。右斜め後ろから強めの朝日が当たっています。こうした環境での撮影では、花のフェイスが暗くなりがちなので、それをストロボで補っています。
このときのストロボは、Nissin の i40 で、図1のように発光部を上に向け、キャッチライトパネルを引き出して発光させています。こうすることで光を拡散させているわけです。
もうひとつ工夫していることがあります。それは、写真2の中央部、曼珠沙華の茎の部分を明るく持ち上げるための工夫です。それが写真3の黒い板です。わかる人は「 ハーフ ND を使えよ 」と仰るかもしれませんが、これの方がいろいろ応用がききます(笑)。
何をしているのかといいますと、写真2の上部が、そのままではかなり明るくなってしまうため、露光中( シャッターが開いている間 )に黒い板でレンズ上部を遮り、そこだけ露光を少なくしているのです。こうすることで、曼珠沙華の茎の背後からあたる逆光を際立たせることができるというわけです。
図1
写真3
■ 背後に玉ボケを入れた曼珠沙華
よく写真4のような「 玉ボケ 」が入った写真はどうやって撮るのかと質問されますが、撮りかたはそんなに難しくありません。まずは被写体の背後に明るく光る光源を配置します。大きな光ではなく、イルミネーションや川面に反射する太陽光のように、小さくて明るい光であることが重要です。そしてなるべく長い焦点距離のレンズで撮ります。もちろん短い焦点距離のレンズでも玉ボケは撮れますが、望遠レンズの方が撮りやすく、玉が大きく写り込みやすいからです。最後に、絞りは開放寄りに設定して撮りましょう。絞りが開放に近いほど、ボケは丸くなります。逆に絞り込んで撮ると、ボケが7角形など、絞り羽根で作られる穴の形状になります。これはこれで髭は好きですが、ボケが小さくなりがちなので、開放寄りで試してみましょう。
■ 曼珠沙華のマクロ撮影
花マクロ写真は? という声が聞こえてきそうなので、一応マクロレンズも持っていって撮ってきました。ただ髭が思うに、曼珠沙華の写真は周囲の風景も入れた方が絵になるような気がします。なので寄りの写真は写真6のみ。後は写真5のように、茎もしっかり入れた写真にしてみました。写真6は前回紹介した半透明の傘ではなく、ルーセント( 半透明 )タイプのレフ板( 図2 )をかざして、そこにストロボをバウンス発光させて撮っています。ワンコイン傘とは違って光のムラがないために、前回の写真よりも非現実的な写真になっています。髭がいくら非現実的な写真が好きだと言っても、少しくらいはリアリティが欲しいと思うわけで、そういう意味でも光の反射にムラがある半透明ワンコイン傘は最強(笑)のツールです。
■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
薮田織也事務所