コンテンツのトップページへ 髭達磨・薮田織也のプチ日記
 2014年 04月 15日 火曜日 オープンフラッシュでの夜桜撮影術 〜 光景写真
 
  ▼ 写真01 オープンフラッシュを使って撮った「 しだれ桜の金屏風 」  
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夜の9時ちょっと前、ほぼ真っ暗闇のお寺の駐車場で撮影した「 しだれ桜 」。タイトルは「 しだれ桜の金屏風 」。今回はこの写真の撮影方法を紹介します。

【 撮影 Data
カメラ:Nikon D800 レンズ:Kenko-Tokina 16-28mm f/2.8
ストロボ:Nissin MG8000 焦点距離:16mm 絞り値:f/14
シャッタースピード:15.0 秒 ISO 感度:800

 

ですね。髭の住む八王子も春まっただ中です。同じ東京とはいえ、都心に比べると約半月ほど遅れてきた春ですが、もうさすがにソメイヨシノも葉桜になってしまい、そろそろ季節に疎そうな大島桜の芽がふぶきそうな季節です。そんな時期に冒頭のような「 しだれ桜の写真 」をアップするとは、髭オヤジも大島桜なみに寝ぼけているのかと言われそうですが、いやいや、さすがの髭もそこまで寝ぼけてはおりません。今回は、スタグラのトップから「 おまえが撮ったあの夜桜の写真の撮影方法を髭日記でいいから書け!」と厳命が下ったので、重い腰をヒイヒイ言いながら上げて、こうやって久しぶりのプチ日記を更新している次第です。( えー、このページは髭日記ではないっすよ。プチ日記です。どうでもいいことですけど )

  ▼ 写真02 撮影に使った機材  
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A.カメラ Nikon D800 B.広角レンズ Kenko-Tokina 16-28mm f/2.8 C.ストロボ Nissin MG8000 D.ハンドグリップタイプのミニ三脚 E.三脚 ベルボン PHD-61Q F.ワイヤレスリモートコントローラ Nikon WR-10
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マシンガンストロボ MG8000
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Kenko-Tokina 16-28mm f/2.8

  ▼ 写真03 無線でシャッターを切ろう  
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A.Nikon ワイヤレスリモートコントローラセット WR-10 のリモコン部。B.カメラ本体に装着する受信部。これらを使うと、離れている場所からカメラのシャッターを切れる。
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Nikon WR-10
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ワイヤレスシャッターレリーズ RFN-4

ういうわけで、さっそく撮影方法をご紹介しましょう。まず、この夜桜の写真の撮影に使った機材は写真02です。これといって特別なものはありません。強いてあげれば、ニコン純正のワイヤレスリモートコントローラセット WR-10 ( 写真03 )と、ハンドグリップタイプのミニ三脚くらいでしょう。

ず、カメラは一眼ならなんでも構いません。ひとつ目に大事なのはレンズ。この夜桜のような写真を撮るなら、やっぱり超広角レンズがいいですね。今回はケンコー・トキナーのコダワリの広角レンズ Kenko-Tokina 16-28mm f/2.8 を使ってみました。もちろん使った焦点距離はワイド端の 16mm です。ふたつ目に大事なのはストロボ。撮影場所は夜の9時近くで、外灯もない、ほとんど真っ暗闇での撮影です。なにかしら照明機材が必要というわけで、今回は連続発光に強いニッシン・ジャパン製マシンガンストロボ MG8000 を使いました。マシンガンストロボに拘ったのは、今回「 オープンフラッシュ( 後述 ) 」という撮影方法を試そうと思ったからなのです。最後に大事なのは三脚。暗闇での長時間露光で撮るつもりでしたから、髭もいつもはあまり持ち歩かないけど愛用している三脚、ベルボン PHD-61Q を車に積んできました。

脚にカメラを固定したら、次のように露出設定します。

  • シャッタースピード:15 秒
  • 絞り値:f/14
  • ISO 感度:800
  ▼ 写真04 三脚でカメラを固定  
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長時間露光で撮影するので、カメラを三脚にしっかりと固定。

暗闇での撮影ですからシャッタースピードが遅いのはわかるとして、なんで絞り値を f/14 まで絞るのかといいますと、できる限り桜全体にピントを合わせ、パンフォーカス( 全体的にピントが合っている状態 )にすることで、わざと平面的な絵にしたかったのです。最終的な絵のイメージは日本画、そう、金屏風に描かれたようなしだれ桜のイメージを狙ったので平面的な絵が欲しかった、というわけです。

っ暗闇とはいっても、背景の右手方向に高速道路があり、その道路灯が曇った夜空に反射しているのでしょう、空はほんのわずかにオレンジ色を帯びていました。そのオレンジ色も、テスト撮影で長時間露光をしてみると明るい黄色に写ります。最終イメージを金屏風にしようと思いついたのもこの黄色を見たときでした。面白いモノで、頭に描いた最終的なイメージが決まり、それが表現できると確信すると、俄然モチベーションは上がります。

  ▼ 写真05 オープンフラッシュ  
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カメラの長時間露光中に、手動でストロボを数回発光させて露光をかせぐことをオープンフラッシュと呼ぶ。

終イメージは決まりました。それではメインの被写体、「 しだれ桜 」をどうライトアップするかが肝心です。金屏風のイメージが固まる前から考えていたのは、オープンフラッシュで撮るということでした。オープンフラッシュとは、カメラの長時間露光中に、ストロボを手動で被写体の任意の場所に向けて何回も発光させることです。この手法はフラッシュバルブ時代以前からある古い手法で、もともとは発光時間やタイミングが不安定な昔のフラッシュで撮影する際に、シャッターをバルブ(開けっ放しにすること)にして、フラッシュをゆっくりと焚くというものでした。最近のフラッシュ(ストロボ)は不安定ではないのでオープンフラッシュを使う必要はありませんが、敢えてこの方法を工夫して使うと、普通のストロボ撮影では作れない写真が撮れるというわけです。

  ▼ 写真06 ストロボにミニ三脚  
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ストロボを手動で発光させやすくするために、ハンドグリップにもなるミニ三脚を装着する。
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ハンドグリップ & ミニ三脚

  ▼ 写真07 バッテリーパック PS-8  
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ニッシンのストロボ用外部電源ユニット PS-8。ニッケル水素電池パック使用。GN36 クラスのストロボで使用する場合、1回のフル充電で約 550 回以上(測定条件による)のフル発光が可能。USB の充電端子( 2A )も備えているので、スマートフォンへの充電用バッテリーとしても使える。
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パワーパック PS-8

だれ桜の写真で使ったオープンフラッシュのイメージが写真05です。カメラをセッティングして桜の木の下にスタンバイしたら、ワイヤレスリモートコントローラでシャッターを切ります。すぐさまストロボを桜に向けて第一発目を発光させ、桜の木の下を走りながら二発三発と、ストロボの向きを変えながら発光させていきます。

際には、15 秒の露光時間中に焚いたストロボの回数は 10 発ほどだったと思います。ほとんどのストロボは、背面にあるパイロットランプを押すとことで、マニュアル発光ができます。ストロボの照射角はワイド側に寄せて、フル発光させました。ストロボをそのまま手に持ってパイロットランプを押すのは少々やりづらいので、ハンドグリップにもなるミニ三脚( 写真06 )を使うと良いでしょう。

うひとつ、オープンフラッシュのように、比較的大光量で連続してストロボを焚く必要があるときに大変便利なのが写真07 ような外部電源ユニット、ニッシンの パワーパック PS-8 です。ここで紹介しているマシンガンストロボ MG8000 は、PS-8 と合わせて使うことで高速で安定したフル発光をストレスなく連続して行なえます。この桜の撮影当日も、PS-8 が大活躍!.....と書きたいところでしたが、実は、お馬鹿な私は PS-8 を持って行くのをうっかり忘れてしまったのです。この日、MG8000 をフル発光で何十発も連続して焚いたため、フル充電したエネループといえども途中で容量低下状態になってしまい、撮影に支障をきたしてしまいました。もう少し連続発光できていたら、また違った写真が撮れたかもしれないと思うと残念でしかたありません。

  ▼ 写真08 陣馬山の宇宙  
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真っ暗闇の陣馬山、和田峠。OM-D E-M1 に 7-14mm の超広角レンズを付けて焦点距離は 7mm( 14mm 相当 )。ピントは無限遠に。ストロボ( Nissin MG8000 )の調光はマニュアルにして 1/128 から少しずつ上げて試し撮りしていきます。OM-D E-M1 の画像処理エンジンで、コントラストを上げ、ビビッドに.....。そしてストロボの照射角をテレ側に調整して、画像中央にのみ光が当たるようにして撮ると........こんな写真が撮れました。題して「 陣馬山の宇宙 」....なんちて。

んな風に格闘しながら写真01のような写真が撮れたわけですが、一発でイメージ通りに撮れることはまずありません。このときも試行錯誤しながら 65 ショット撮りました。時間にして約3時間です。一昨年くらいから、ストロボを使った風景写真( 私は最近、この手の写真を光景写真と勝手に呼んでいます )を撮り始めているのですが、頭に思い描いたイメージを具現化するためには、どうしても1カットに2〜3時間はかかってしまいます。それでも、こうした方法でイメージを追い込んでいく撮影は、私自身の作品創りに良い影響を与えてくれたように思えます。それ以前は、風景を前にしてただ漫然とシャッターを押しているだけで、それは「 風景を撮る 」のではなく、「 風景に撮らされていた 」ようなものでした。今は少しずつですが光景写真の作品を増やしています。これまでずっと人物を専門にしてきましたが、光景写真を始めたことで、新しい自分の写真に出会えたような気がしています。

 
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