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 2013年 11月 02日 土曜日 カメラのアングルを変えて別人になるワザ!
 
  ▼ 動画01 解説依頼の動画  
テレビ局から解説依頼のあった動画。女性がスマホのムービーカメラで自撮りしているもの。ローアングルからハイアングルにカメラを移動すると……まったく別人の顔に!
動画:EntertainmentEpicFail!!!

月、某テレビ局から、動画01のような Youtube にアップされた動画を検証してくれと依頼がありました。どうやら韓国の女性がアップした動画のようで、手に持ったスマホ(?)のカメラで自撮りしているシーンが映っています。動画は極端なローアングルから始まり、しばらく女性は変顔をしていますが、カメラをハイアングルに移動すると、あら不思議! はじめはとても美人とは言えなかった女性が、モデル顔に大変身!………するっていうものです。今年の夏の終わり頃でしょうか、この動画は、ネットでちょっとした注目を浴びました。

証依頼の内容というのは、「 こうした顔の変化は誰でもそうなるのか。なにかコツがあるのか 」というものでした。ポートレートを撮り慣れている人であれば、理屈は抜きにして「 当然の変化 」だと思うことでしょう。ただ、「 検証 」となれば、ちゃんとした「 (屁)理屈 」をつけなければと思いまして、テレビ局向けにレポートを書きました。しかし、テレビ局側が言うには、髭のレポートを番組で取り上げるかどうかは不確定だというので、じゃぁスタグラのネタにしよっと、というわけで、ここ「 髭達磨・薮田織也のプチ日記 」で取り上げることにしました。

れでまぁ、動画02のような検証動画を作ってみました。この動画は、ちょっとエラの張った女性の 3D モデルを使ったものです。3D 空間内で 3D カメラをローアングルからハイアングルに移動させ、女性の顔がどう変化するかを見ます。このときのカメラやライトの状態は以下のとおりです。

  • ライトは女性の右前方斜め上と、左後方に固定
  • カメラは焦点距離 28mm に固定

3D ライトの位置はポートレートの定番中の定番設定ですね。3D カメラ( 動画左側 )では、35mm フルサイズ一眼レフカメラの 28mm をシミュレートしています。動画右側のカメラは 50mm ( 標準レンズ )をシミュレートしています。3D モデルの女性は、目でカメラを追っていますが、その他は表情すら変えていません。では実際に動画を観てください。

  ▼ 動画02 カメラアングルによって変化する顔の輪郭  
3Dモデルの人物が、ローアングルからハイアングルに移動するカメラを目だけで追っている動画で検証。3Dモデルの人物は目の動き以外は表情を変えていないが、顔の輪郭( 特に顎のライン )の見え方が変化していくのがわかる。本動画ではメインライトの位置を固定。もっともカメラが高い位置にきたときのライトの顔への辺り具合が、ポートレート撮影においてベストなライティングポジションになる。また、レンズの焦点距離( 3Dカメラでシミュレート )はスマホや携帯カメラに近い28mmに固定。広角レンズのため、画像の周囲にいくほど歪曲収差が大きくなるため、顔の輪郭の変化が大きくなる。( 使用ソフト: Poser Pro )

うでしたでしょうか。えっ? 「 3D モデルの胸がデカす……… 」そこじゃありません。注目するのは顔の輪郭と見え方です! すごい変わりますよね? この 3D カメラの歪曲収差もちょっとやりすぎって感じもしますが、28mm 近辺の広角レンズってこういう効果があるんですよね。だから胸もデカく………ゴホゴホ。

証動画では、3D モデルは目を除き一切動いていませんが、テレビ局が依頼してきた動画内では、女性は表情を大きく変えて、アングルによる変化を強調しています。特にローアングルのときは、変顔にし、わざと顎を引き気味にして二重顎に見せています。また、知ってか知らずか、光を上手く使っています。動画の女性はバスのような車内で動画を撮っていますが、このシーンのメインライトは、女性の右斜め上方から当たっている太陽光。この状況でカメラをローアングルにして撮ると、顔のパーツの影がもろに映り込み、可愛い人でもブサイクちゃんに見えてしまいます。また、鼻の穴も強調されちゃいますしね。逆にハイアングルにすると、顔全体に光が当たってハイキー気味の画像になり、顔パーツの影はパーツそのものに隠されて目立たなくなります。

  ▼ 写真03 アングルによる顔の輪郭の変化  
Clickで拡大
モデルの姿勢は固定。カメラのアングルを変えるだけで、人物の顔の輪郭は大きく変化する。焦点距離の短い広角レンズの場合、その変化が顕著になる。

ートレート撮影においてモデルを可愛く、または美人( 顔 )にみせるポイントには以下の4つがあります。

  1. 目を大きくパッチリとみせる
  2. 頬のラインをすっきりとみせる
  3. 口角を上げてみせる
  4. 鼻の穴を写さない

れら4つの要素を満たす撮影方法としては、カメラをハイアングルに、さらに顎を上げず、顔を 45°近くまで振って撮るのが基本です。ハイアングルのカメラを見ると、上目遣いになって上瞼が大きく開かれることで目が大きく見えます。また、アイラインがはっきりとし、二重瞼の場合はそれが強調されます。エラが張っている人でも、ハイアングルから見ると耳から顎先にかけてのラインが一直線に近くなり、エラが目立たなくなります。口角が下がり気味の人でも、ハイアングルだと上がって見えます。当然、鼻の穴は見えなくなります。逆に、被写体をアオって撮影( ローアングル撮影 )すると、この4つの要素がすべて逆になります。( アオる角度にもよる )

の Youtube 動画の場合、こうしたポートレート撮影のポイントを逆手にとり、ローアングル時に思いっきり変顔にすることで、見た目のギャップを大きくしているわけです。他にも類似するいくつかの動画( すべて韓国人によるもの )を観てみましたが、すべて基本は上記したやりかたで撮っています。以前から、「 すっぴん顔からメイクで変身 」というネタが世界中のネットにいくつも上がっていましたが、それの即席版といった感じの動画ですね。


 
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