柴田誠のフォトレポ
CP+2015 体感レポート#1
TOPIX
好天に恵まれ、来場者数も昨年から大きく伸びた「CP+2015」(http://www.cpplus.jp/)。新製品などの情報は、ネットニュースをはじめ、すでに多くの媒体で紹介されています。そこで、ここでは連日会場を歩き回って見て感じた、個人的な感想を中心にレポートをお届けしましょう。 |
■人気の体験コーナーは長蛇の列
2月12日(木)〜15日(日)に、パシフィコ横浜で開催された総合カメラ映像ショー「CP+2015」。6回目の開催となるだけに、基本的なイベントの構成は昨年と大きく変わらない。御苗場やアウトレット、会場周辺で開催される写真展などの関連イベントなど、どこも大勢の来場者で賑わっていた。新製品や開発発表に関しては、カメラの新製品発表が少なかった半面、レンズやカメラバッグ、三脚などのアクセサリーのニューモデルを非常に多く目にすることができた。
各社のブースの基本の構成は、商品展示、タッチ&トライコーナー、ステージ、作品を展示するギャラリーと、これまでとほぼ同じ。今年はとくに体験コーナーやタッチ&トライコーナーを各社とも充実させていて、そういったスペースを広く取っていたのが特徴的だった。来場者にとっても単に商品を見るだけでなく、実際に気になる商品を手にできるチャンスなわけだからうれしい変化だが、スペースはもちろん、スタッフや展示機材の数などにも制限があるため、誰でも好きなだけ自由に触れられるというわけにはいかない。1台に1人ずつ説明員が付いて、詳しく解説をしてはくれるものの、体験できる時間に制限を設けているところも少なくなかった。それでも順番待ちに長蛇の列ができていて、人気の機種に1時間待ち、2時間待ちというのを見かけることもめずらしくなかった。しかし、せっかく来たのだから、あっちもこっちも見たらいいのにと思うのは余計なお世話というものだろう。1時間待ってでも実機を手にしたい! というのがファンの心情。せっかく来たからこそ並ぶのだ。順番待ちの列が、閉館を知らせる蛍の光が流れる時間まで途切れることがないのを見ると、日本のカメラ市場は、こうした大勢のファンたちによって支えられているんだなぁと、再認識させられる。
■セミナー、ステージイベントはどこのブースも大盛況
タッチ&トライコーナーと同様に、ステージイベントにも各社力を入れていた。主要カメラメーカーの講師陣の顔ぶれは、どこも充実しており、タイムテーブルを見ると、カメラ雑誌でよく見かける名前が連日ズラリと並んでいる。しかし、同じ講師があっちのブースでもこっちのブースでもという印象は、今年も否めなかった。人気の写真家に講師依頼が集中するのは当然と言えば当然だが、もう少し何とかならないものかと思ってしまう。
とは言え、こうした理由もあってステージ前はどこを見回しても超満員。通路にまで観客がはみ出しているところが多いのだ。しかし、昨年よりもブースの間隔が広く設定されているせいなのか、通路を通り抜けられないような状態に出くわすことはなかった。単なる商品説明や作品解説に終わらないセミナー形式の解説は、ステージがない小さなブースでも行われていた。そうしたところにも、熱心に聞き入る人が集まって人垣ができているのを目にするのも多かった。
また、実際に撮影体験ができたり、ステージと客席が一体になるようなところもあったりと、セミナーの質、内容ともに充実してきたのを感じることができた。来年のステージイベントは、さらにアップグレードしたものになるに違いない。
■機能として進化し始めた自分撮り
「セルフィ」という言葉が定着したせいなのか、「自分撮り」を前面に押し出した製品の紹介を会場のあちこちで見かけることができた。自分撮りは、FacebookやTwitterのようなSNSとの関連が深い。つまり、自分がどこにいて何をしているのかを的確に伝えるためには、自分が写っている画像が都合がいい。写してもらうのではなく、自らが画面に写ってしまう。それが自分撮りだ。
自分撮りは、一部で社会問題になっているものの、自分撮り機能を充実させたカメラやアクセサリーが登場したり、実際に自分撮りを体験できるコーナーがあったりするのを見ると、これは単なるブームでは終わらないのではと思えてくる。
ちなみに、コンパクトカメラの衰退には、スマートフォンのカメラ機能で撮った方がSNSに画像をアプロードしやすいといった、SNSとスマートフォンの親和性の高さがあったからと言われている。しかし、今回の各社のブースを見てみると、スマートフォンをシャッターボタン代わりに使ったりするアプリ機能を充実させることで、カメラの機能にスマートフォンの機能をうまく取り入れていることが多い。スマートフォンとの棲み分けを考えるのではなく、カメラ機能の一部として融合させていく。これによって、カメラは新たな進化を遂げていくように思う。さまざまな家電製品とカメラが結びついてく、まさに今、そういった時代の節目にあるのではないだろうか。
今年のCP+を3つのキーワードで斬ってみました。次回は思わず会場で「コレ欲しい!!」と思った、気になる製品をピックアップして紹介します。