若子jetのスナップフォトコラム☆ VOL.5 谷中編
本コラムでは、いろいろな街に繰り出し、若子jetなりの視点で撮影した写真を通して、街歩きの楽しさをお伝えできたらと思っています。
今回撮りおろしをした場所は、江戸情緒いっぱいの台東区・谷中。多くの写真家が訪れる街のひとつでもある。江戸時代より、寺町として愛される街並みは、坂も多く、関東大震災や第二次世界大戦時の空襲の被害を免れた町並みが残っていたりと、昔ながらの江戸風情がある。その街のたたずまいは、懐かしくもあり、心落ち着く。これぞ「ザ、お江戸」なのではないかと思うほどだ。
上の作品は、その谷中の街中のコインランドリーの壁に写り込んだ、赤々と写る木々の姿。 夕陽に強く写り込む姿がとても印象的だった。谷中といえば、街のところどころに東京芸術大学の学生が作ったと思われる猫のオブジェなど、よく目にする。こうしたオブジェの表情や仕草はどれも個性的で、愛もかわいらしく思えた。
谷中散策といえば、その代表的なスポットとも言える谷中商店街。昔ながらの日本人としての暮らしや生活(衣食住)を想像させる、庶民的な人情味溢れる場所だ。この商店街には懐かしいモチーフがたくさんあって、ついつい撮影したくなるものばかり。こうしたモチーフを、正面から撮影するだけでなく、少し目線を変えて撮ってみると、非日常的な印象に変えることができる。
また、商店街の入口にある、日暮里駅方面へと登る階段「夕焼けだんだん」は、夕陽の絶景のスポットとしても有名だ。階段ごしに夕日に染まる谷中銀座のレトロな町並みを眺めていると、まるで昭和の時代へとタイムスリップしたかのよう。
ただ、注意しておきたいのは、最近では日本人だけでなく、多くの観光客や外国人にも愛される街となった一方で、撮影禁止エリアも増えてきていること。撮影マナーの悪さが主な原因だそうだ。ここ谷中に限らず、街スナップに出かけるときは、写真を撮るときに配慮すべき最低限の気遣い、撮られる側の気持ちへの配慮など、ひとりひとりが意識しておくべき問題かと思う。
さて、谷中といえば、大きなヒマラヤ杉も有名だ。 100年近くの歴史をもっているのだと言う。最初は植木鉢に植えられていた杉が、今では天を仰ぎ見るほどの大きな姿を見せ、その生命力を感じさせてくれる。12mmローアングルで、その景色を覗いてみた。広角レンズも見切れるほどの大きさに圧倒されそうだ。
今回、交通新聞社刊 『散歩の達人』10月号の「デジカメさんぽの達人_キッチュとは何か?の巻」でも私の撮影した、多くの作品が掲載されている。ぜひ本コラムとあわせてご覧下さい。