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第2回 ライティングボックス

Posted On 15 3月 2014
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TOPIX

写真家・礒村浩一の新連載、「 探せ!デジカメ・ギア 」。デジタルカメラを使いこなすための、あったら便利、使うと楽しい、そんなアイテム「 デジカメ・ギア 」を紹介していく本講座。第2回は、ブツ撮りに欠かせない「 ライティングボックス 」です。

 

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「 探せ!デジカメ・ギア 」第2回目に取り上げるのは、デジタルカメラで簡単にブツ撮りができるライティングボックスだ。一般にブツ撮りと聞くと、専用のスタジオでプロ用のライトなどの機材を使って撮るという難しいイメージがある。もちろんその製品の魅力を最大限に引き出すための広告や製品カタログ向けの写真では、プロのノウハウを活かしたクオリティーの高い撮影をする必要がある。しかし、お店で作成するチラシや Web での商品カタログ程度の撮影ならば、ある程度の知識さえ持てば自身で撮影できるのだ

 

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■ 簡易スタジオになるライティングボックス

そこで活用したいのがライティングボックスである。ライティングボックスとは、撮影したいブツをそのボックス内に置くことで簡易的なライティング撮影ができるアイテムだ。今回紹介するライティングボックスはドーム型のものと箱型の2種類となる。なにはともあれ実際にライティングボックスを使って撮影した写真(?写真02?)を見ていただきたい。
写真01Kenko デジカメスタジオ DS-600 Kenko デジカメスタジオ DS-600。ドーム型のライティングボックスを使って木彫りの人形を撮影。照明には LED ライトを1灯使用。

写真01 Kenko デジカメスタジオ DS-600
Kenko デジカメスタジオ DS-600。ドーム型のライティングボックスを使って木彫りの人形を撮影。照明には LED ライトを1灯使用。

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ライティングボックスの基本構造はブツを置く背景となるグレーの布を、光を拡散する薄地の白布で囲む造りとなっている。この白布が外部からの光を和らげると同時にボックス内で光を反射拡散させることで、ブツの影となる箇所へ光をまわし明るくしてくれるのだ。

写真02左:ライティングボックス無し 右:ライティングボックス使用 左:ライティングボックスを使わずに直接 LED ライトを当てて撮影。上からの光で人形の頬や顎下などに濃い影だ出ている。足下の影も硬い。 右:左と同じライト位置のまま、ライティングボックスを使って撮影。頬や顎下の影も弱くなり全体に柔らかな光となった。背景もグレー1色となる。

写真02 左:ライティングボックス無し
   右:ライティングボックス使用
左:ライティングボックスを使わずに直接 LED ライトを当てて撮影。上からの光で人形の頬や顎下などに濃い影だ出ている。足下の影も硬い。
右:左と同じライト位置のまま、ライティングボックスを使って撮影。頬や顎下の影も弱くなり全体に柔らかな光となった。背景もグレー1色となる。

 

 

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■ 艶のある被写体の場合

次は同じ条件で表面に艶のあるクルマのミニチュアを撮影した。影の硬さを見ると同時にボディへの写り込みも見てほしい。

ここで注目していただきたいのがボディへの写り込みの違いだ。ライティングボックスを使わず、天井の蛍光灯のみで撮影した画像(?写真05?)及び LED 照明を直接当てた画像(?写真03?)は、部屋の周囲のものがボディに写り込んでいる。一方、ライティングボックスを使用したもの(?写真04?)は、ボックス内のグレー背景がボディに写り込むことで均一なボディ面となっていることが判るだろう。つまり、艶があるブツは周囲の物が写り込んでしまうことを防ぐ( グレー布や白布をわざと写し込む )ことで均一な表面とすることができるのだ。

ちなみにこのクルマのミニチュアは、実際に販売されている自動車の色見本用に作られたものだ。したがって塗装面は実写とほぼ同じ塗料で仕上げられている。実際の自動車の撮影現場においても、実車を大きく囲むようなドーム型のスタジオで撮影することがある。これも白く塗ったドーム内壁を自動車のボディに写し込むことでライティングするのだ。光を外から透過させてライティングするライティングボックスとは違い、実車の場合はドーム壁面を中から照明により明るくライティングすること以外は、基本的に同じ効果による撮影となる。

写真03照明を直接当てる ライティングボックスを使わず、LED 照明1灯を使いクルマの真上から直接照らした。光が硬くボディの塗装がギラギラしている。サイドミラーの影もキツい。また床へ車体の影が濃く出ておりそれがボディ下部に写り込んでいる。クルマ上面に画面外にある窓のブラインドが写り込んでいるのも判る。

写真03 照明を直接当てる
ライティングボックスを使わず、LED 照明1灯を使いクルマの真上から直接照らした。光が硬くボディの塗装がギラギラしている。サイドミラーの影もキツい。また床へ車体の影が濃く出ておりそれがボディ下部に写り込んでいる。クルマ上面に画面外にある窓のブラインドが写り込んでいるのも判る。

写真04ライティングボックス使用 ドーム型のライティングボックスを使用して撮影。光が拡散され柔らかくなったおかげで塗装面の色の出方も自然。サイドミラーやボディの影も柔らかくなった。クルマ上面に写り込んでいたブラインドもグレーの背景によって遮られた。

写真04 ライティングボックス使用
ドーム型のライティングボックスを使用して撮影。光が拡散され柔らかくなったおかげで塗装面の色の出方も自然。サイドミラーやボディの影も柔らかくなった。クルマ上面に写り込んでいたブラインドもグレーの背景によって遮られた。

写真05ライティングボックス無し 同じアングルのまま LED 照明もライティングボックスを使わず、部屋の天井に据え付けられた蛍光灯のみで撮影。LED 照明を直射したほどではないが、やはり影は硬めに出ている。ボディ上面のブラインドの写り込みやノーズ部の蛍光灯の写り込みも目立つ。

写真05 ライティングボックス無し
同じアングルのまま LED 照明もライティングボックスを使わず、部屋の天井に据え付けられた蛍光灯のみで撮影。LED 照明を直射したほどではないが、やはり影は硬めに出ている。ボディ上面のブラインドの写り込みやノーズ部の蛍光灯の写り込みも目立つ。

 

 

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■ ボトルのライティング

もうひとつ周囲が写り込むブツの例としてワインボトルのライティングボックスでの撮影方法を挙げよう。ここでは箱型のライティングボックス(?写真06)を使う。

このボトル撮影において箱型のライティングボックスを使ったのは、ボトル側面に写り込みを左右均一に入れるためだ。ドーム型ライティングボックスでも白布を写り込みとして利用したが、今回は正面から見て手前から奥へと曲面となっているボトルの表面にライティングボックス左右の白布壁を写し込んでいる。また左右の壁から均等な距離( ライティングボックスの中央 )にボトルを置く事で、白い写り込みの幅を均等にすることができた。なお、写り込みはドーム型でも発生するが作例のような直線的な写り込みにはならない。

このようにブツ撮りにおける光の硬軟の調整とブツへの写り込みを比較的簡単にコントロールできるライティングボックスはとても便利なアイテムだ。背景もシンプルな単色になっているのでブツがちゃんと浮き立って写る。またブツに写り込んでも色変わりが起き難いグレーとなっているのもありがたい。これらはブツのみを Photoshop などで切り抜く際にも便利だ。大量の商品を撮影しなければいけない場合でも効率よくライティングできるので、ショップの通販商品の撮影などにもオススメだ。もちろん個人的な撮影にも活用できる。

写真06箱形のライティングボックス 箱型に組み立てたライティングボックス。背景はやはりグレーの布を奥から手前にしき込んだもの。布は接地面の折れがでないように手前に引っ張って敷き込む。Kenko Harbor ソフトライティングスタジオ

写真06 箱形のライティングボックス
箱型に組み立てたライティングボックス。背景はやはりグレーの布を奥から手前にしき込んだもの。布は接地面の折れがでないように手前に引っ張って敷き込む。Kenko Harbor ソフトライティングスタジオ

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写真07室内灯のみで撮影 こちらはライティングボックスも LED 照明も使わずに天井の蛍光灯のみで撮影したもの。部屋の周囲の物やカメラ、天井の蛍光灯がボトル表面に写り込んでいる。

写真07 室内灯のみで撮影
こちらはライティングボックスも LED 照明も使わずに天井の蛍光灯のみで撮影したもの。部屋の周囲の物やカメラ、天井の蛍光灯がボトル表面に写り込んでいる。

 

写真08 LED 照明のみ

写真08 LED 照明のみ

写真09 ライティングボックス使用

写真09 ライティングボックス使用

左:ライティングボックスを使わず LED 照明のみで撮影。部屋の周囲にライトの光が届いていないことで、写り込みは軽減しているがボトルが真っ黒になることで立体感のない写真となった。
右:ライティングボックスを使って LED 照明で撮影。余分な写り込みがなくなると同時にボトルの左右に均等な写り込みを入れることができた。この白い写り込みはライティングボックスの左右の白布の壁が写り込んだもの。またボトルの天面も均等なライティングとなっている。これにより自然な立体感のあるボトルとして表現することができた。

 

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■ 次回予告

 

今回はライティングボックスを使った基本的なライティングについてお話させていただいたが、これに照明を2灯、3灯と足していけばより高度なライティングもできる。もちろん LED でなくワイヤレス機能を活かしたクリップオンストロボでの撮影もできる。逆に部屋の蛍光灯のみでの撮影でも、ただデスクの上でブツを撮影するよりはキレイに撮影できるはずだ。ブツ撮りに興味のある方はご自身でいろいろと試していただきたい。

礒村 浩一
著者について
■ 礒村 浩一 写真家 ■(いそむらこういち)   1967 年福岡県生まれ。東京写真専門学校( 現 東京ビジュアルアーツ )卒。女性ポートレートから風景、建築、舞台、商品など幅広く撮影。全国で作品展を開催するとともに撮影に関するセミナーおよび撮影ツアーの講師を担当。デジタルカメラに関する書籍や Web 誌にも数多く寄稿している。近著「 オリンパス OM-D の撮り方教室 OM-D で写真表現と仲良くなる 」( 朝日新聞出版社 )、「 マイクロフォーサーズレンズ完全ガイド 」( 玄光社 )など。 2015 年 9 月よりデジタルハリウッド「 カメラの学校 」講師。Web サイトは http://isopy.jp/ Twitter ID : k_isopy
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