礒村浩一の探せ!デジカメ・ギア 第5回 ~ SMDV ワイヤレスシャッターレリーズ RFN-4 / RFN-4S
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写真家・礒村浩一の「 探せ!デジカメ・ギア 」。デジタルカメラを使いこなすための、あったら便利、使うと楽しい、そんなアイテム「 デジカメ・ギア 」を紹介していく本講座。今回は、カメラから離れていてもシャッターが切れる! 便利な「 ワイヤレスシャッターレリーズ 」を探してきました! by 編集部 |
■ 赤外線式より電波式!
今回のデジカメ・ギア は、離れたところからデジタル一眼カメラのシャッターをワイヤレスで切れる、ワイヤレスシャッターレリーズの紹介だ。実はワイヤレスシャッターレリーズというものは結構前から存在はしているのだが、その多くは赤外線を利用した光学式の通信方式を採用していた。今回取り上げる「 SMDV ワイヤレスシャッターレリーズ RFN-4 / RFN-4S( 写真1 ) 」は、それら赤外線通信方式とは異なり、電波式の通信方式を採用したワイヤレスシャッターレリーズとなる。
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■ ワイヤレスシャッターレリーズの使い道
そもそもワイヤレスシャッターレリーズはどのようなときに使うのか? と疑問に思われる方も少なくないだろう。いちばん身近で判りやすい例として挙げるならば、撮影者本人も一緒に写真に写る記念撮影をすぐに思い浮かべる。カメラを三脚などに据え付けて構図やピント、露出などを決めた後に自らフレーム内に入って撮影する。このようなときはカメラのセルフタイマーで撮影するのが一般的ではあるが、ワイヤレスリモコンを使うことでセルフタイマー利用時の微妙なタイミングずれを気にすることなくなるし、連続してシャッターを切ることもできる。実際に使ってみるとなかなか便利なアイテムなのだ。
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ワイヤレスシャッターレリーズの便利さを活かせるシーンはというと、カメラのシャッターボタンを指で押さない( 押せない )場合が挙げられる。例えばカメラは三脚に固定して両手を使って被写体となる物を支えたり、ポートレートモデルをレフ板で明るく照らすために両手を使わなければいけないときなど、ワイヤレスリモコンをうまく手に握りボタンを押すことさえできれば、カメラに手をかけることなく撮影できる。また、シャッターボタンを押したときの振動ですら撮影に影響する夜景撮影やマクロ撮影などに、ワイヤレスリモコンを使うことでカメラに触れることなく撮影できる。
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■ 赤外線通信方式が持つ問題点
ただしここで注意したいのが、従来からある赤外線通信を利用したワイヤレスリモコンは、カメラに赤外線が直接届くようにしなければいけないということだ。ワイヤレスリモコンの送信部と、カメラの受光部が向かい合うような角度内でなければ使えない。また、ワイヤレスリモコンの赤外線が届く距離も5m 程と限られている。さらに、多くのカメラに搭載された赤外線受光部がカメラ本体の前面に設けられているため、カメラの背面側からのリモコン操作では撮影できないという問題もある。もちろん、カメラとリモコンの間に障害物があると赤外線が遮断されてしまうので、カメラをワイヤレスで操作することができなくなる。以上が従来からある赤外線通信を利用したワイヤレスリモコンが抱える問題点だ。
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■ 電波通信式 RFN-4 のメリット
一方、電波式のワイヤレスリモコンは、電波の届く範囲であれば送信部と受信部の角度を気にする必要はない。また多少の障害物がワイヤレスリモコンとカメラとの間にあっても、赤外線通信のように通信が遮断されることもない。通信できる距離も光学式とは比較にならないほど長く、比較的離れた場所からでもシャッターを切ることができるのが特徴だ。こうした電波式ワイヤレスリモコンの長所によって、カメラとリモコンの位置関係は飛躍的に自由度が上がり、さまざまなシーンでの撮影が可能となるのだ。
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■ 電波の届く距離
ワイヤレスシャッターレリーズ RFN-4 ( キヤノン用 ) の電波到達距離は、最大で 80m( ニコン用 RFN-4S は 100m )となっている。この距離は撮影場所の状況などで変わるが、ほとんどの撮影において 80m もあれば十分な距離といえるだろう。試しに屋外の開けた場所でカメラからどの程度まで離れて撮影できるのかを実際にテストしてみた。その結果、正確な距離は計れてはいないが写真11のように十分に離れた距離からでもワイヤレス撮影することができた。
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このようにかなり離れた位置からでも撮影できるワイヤレスシャッターレリーズ RFN-4 は、実際の撮影においてもいろいろなシーンでの活用法が考えられる。単に離れた位置からシャッターを切って撮影するというだけでなく、同じ被写体を異なる角度から同時に撮影するといった使い方も面白いだろう。手持ちのカメラは望遠レンズで被写体を狙い、三脚に据え付けたカメラは引きの画角で撮影するといった具合だ。
■ ワイヤレスシャッターレリーズの応用
実際のライブステージ撮影において二台のカメラで同時にシャッターを切って撮影してみた。一台のカメラは手持ちで、舞台下手側にて望遠レンズで撮影。もう一台のカメラは舞台正面の客席後方に設置した。手持ちカメラのシャッターボタンを押す時に、レンズを支える左手に握ったワイヤレスシャッターレリーズのシャッターボタンを押しての同時撮影だ。こうした方法を使えば、撮影者がひとりであっても、異なる位置に配置した複数のカメラで、同じ被写体をほぼ同じ瞬間に撮影できる。RFN-4 の受信機だけを複数台用意すれば、完全に同じ瞬間を別の角度から撮影できることになる。( RFN-4 は受信機単体で購入できる )( 受信機の数を多くしすぎると電波の干渉が起きる可能性もある )
写真13
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Singer 野村佳乃子
最近では Wi-Fi 接続機能を内蔵したカメラも登場しており、それを利用してワイヤレス撮影ができるカメラもある。それらはスマートフォンでライブビュー画面を見ながら撮影できるのが魅力だが、反面、扱うデータの量が多いために、スマートフォン画面上でシャッターボタンを押しても実際にカメラのシャッターが切れるまでタイムラグが発生する場合がある。リアルタイムに、そして確実にワイヤレスでシャッターを切りたいときは、RFN-4 のようなワイヤレスシャッターレリーズが有用だろう。ワイヤレス撮影を活かす鍵は、撮影内容や状況に合わせてワイヤレス機器を選択することが大切だ。
■ 日本電波法技術適合製品の RFN-4
電波式電子製品で気になるのが、電波法への対応だ。いわゆる「 技適マーク 」を取っている製品かどうかである。もちろん、ワイヤレスシャッターレリーズ RFN-4 は日本の電波法に適合した製品なので、安心して使ってもらいたい。
( 日本電波法技術適合認証番号 007-AB0020 )
ちなみに、電波を発する電子機器は電波法により厳格に規制されており、その取り扱いには十分な注意が必要だ。しかし、よく勘違いされるのだが、電波法技術適合を取得していない製品でも、日本国内での製造や販売に限っては違法ではない。そのため、現在流通しているワイヤレスレリーズの中には、電波法技術適合を取得していない製品も多く出回っている。注意しなければならないのは、電波法技術適合を取得していない製品をユーザーが「 使った時点で法に触れ、罰せられる 」という点だ。いずれにしても、製品によっては他の無線機器の妨げになってしまったり、誤作動の原因となってしまう場合もある。適正に無線機器を使用するためにも電波法適合製品を使用することをお薦めする。
■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
礒村 浩一
■ 協力 ■
Singer 野村佳乃子