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ステップバイステップでより良い製品を実現していく |
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Q: HD DVD-RAMの話が出たので、記録型について詳しく聞きたいと思います。DVDのときは、DVD-RAMはパソコンの外部記憶装置として最適、DVD-RWはDVD-ROM互換の書き込みに適したメディアとして規格化されたと思います。HD DVDにもRAMとRWがありますが、どのような違いがありますか?
東芝 佐藤氏
「RWはグルーブ方式、RAMはランドグループ方式を採用しています。グルーブ方式は例えば、蚊取り線香のようにデータを書いていきますが、ランドグループ方式は蚊取り線香をふたつずらして合わせたように2列でデータを書き込むことができ、グルーブ方式と比べて、1.5〜2倍程度も記録密度が高くとれるのが特長です」
Q: なぜ、書き込み方式が違う2つの方式が必要なのですか?
東芝 佐藤氏
「RWは一層15GBに対してランドグルーブ方式のRAMは20GBです。しかし、ランドグルーブ方式は二層化が実現しにくい…一番の理想は高密度なランドグルーブ方式の二層がすぐに用意できれば…つまり二層で40GBのディスクを提供することができるのですが、そうもいきません。そこで、最初はグルーブ方式の一層15GBを製品化し(RW)、次がグルーブ方式の二層で30GB(RW)、近い将来、二層のランドグループで40GB(RAM)とステップアップしていく可能性が高いのではないでしょうか。技術の進歩を待って商品化するわけにもいかないので、その時々の最新技術を順を追って採用していくべきだと思っています。また、光ディスクの技術の進化を考えると、記録密度を上げるランドグルーブ方式の技術は今後も使っていった方がいいと個人的には思っています」
Q: 東芝の新製品「RD-A300」「RD-A600」には、HD DVD-RWの書き込み機能が実装されませんでした。その理由はなんですか?
東芝 佐藤氏
「規格が決まってからその規格を反映した製品が市場に出るまでには、通常1年くらいかかると思います。RWの規格化の反映が新製品には間に合いませんでした。ステップ・バイ・ステップで製品に反映していこうと思っています」
Q: パソコン用記録型HD DVDドライブ製品がなかなか出ないのも同じ理由ですか。
東芝 佐藤氏
「そうです。RWを反映した製品が少しでも早く出せるように…頑張っていますのでもう少しお待ちください」
Q: 最後に、HD DVDがハイビジョンの記録メディアとして最適な理由や読者へのメッセージをお願いします。
東芝 佐藤氏
「HD DVDは再生ディスクの中でビットコスト(容量当たりのコスト)が一番安いメディアだと思っています。雑誌などの印刷物を含めても30GBのHD DVD-ROMが一番安いメディアでしょう。安価なメディアにHD(ハイビジョン)の高品質映像を入れて、みなさんに観ていただきたい、と思っています」
ありがとうございました。
HD DVDに対する期待と不安を取材で質問させていただきましたが、HD DVDの状況を理解し、情報を整理することができました。
■筆者から、まとめ
さて、読者の皆さん、取材中は少し専門用語も飛び交ってしまい、技術にそれほど関心のない方には難しかったかもしれません。取材を終えた後の所感も、第一部でまとめたように「大容量のブルーレイ」「ローコストのHD DVD(これから劇的に安くなるはず)」というポイントは変わりませんでした。また、多数の家電メーカーが商品化しているブルーレイ陣営に対して、東芝が孤軍奮闘のHD DVD、という印象もまた身近に感じました。
次世代DVDメディアを決める戦いははじまったばかり。もちろん決めるのは消費者ひとりひとりの声です。
ハイビジョン時代にふさわしい光ディスクに求めて!!
全3回 了
「ブルーレイ か HD DVD か」を今こそ考えてみる
第>> 第一部 比較してみよう、ブルーレイとHD DVD
第>> 第二部 ソニーに聞く 「ブルーレイの技術とその魅力」
第>> 第三部 東芝に聞く 「HD DVDの技術とその魅力」
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■体系的に学ぶ 次世代DVDのしくみ
「ブルーレイ&HD DVD ハイデフ入門道」を連載中の神崎洋治と、大好評シリーズ「デジタルカメラ ○×のしくみ」の著者、西井美鷹が贈るハイビジョン映像やブルーレイ、HD DVDの世界。CD、DVDの歴史を経て進化する次世代DVDへの変遷、DVD&次世代DVDの特長や規格、しくみをやさしく解説。日経BPソフトプレス刊 1,890円(税込)。
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