コンテンツのトップページへ StudioGraphics Special Issue
スタグラ・特集記事
「ブルーレイ か HD DVD か」を今こそ考えてみる
第一部 比較してみよう、ブルーレイとHD DVD 2007/08/29
 

あれは昨年の春頃だったか、ヤフーの記事執筆を頼まれ、「DVD&HDDレコーダー選びのポイント」を書きました。

それから一年、ハイビジョン液晶TVは順調に売れて、デジタル放送は一般家庭に普及しはじめ、録画機の話題もDVDレコーダから次世代DVDへとすっかりシフトしています。

今回は少しデジタルカメラのネタを離れて、次世代DVDの話題でもいかがですか?
ブルーレイとHD DVD、どっちがハイビジョン時代にふさわしいか、少しだけ一緒に研究してみましょう。

Reported by 神崎洋治
HD DVD VARDIA RD-A600
満を持して登場した量産型 HD DVDレコーダの本格派『HD DVD VARDIA RD-A600』(東芝)。HDDは600GB内蔵。気になる価格をまずはアマゾンでチェックしてみると・・・。

WEB連載
「ブルーレイ & HD DVD ハイデフ入門道」も好評連載中!!
   >> TOP Page
 >>【緊急寄稿】 「東芝 HD DVD撤退へ」は消費者にとって、吉か 凶か? (2008/02/18)
 >>東芝 HD DVD「終息」発表!! 東芝のブルーレイレコーダー発売はいつ? (2008/02/19)


  ハイビジョン時代の光メディア このページのトップへ  

Clickで拡大
写真1 従来の標準映像サイズ(上)とハイビジョン映像のサイズ(下)の違い。デジタルカメラ画像の解像度と同様、映像の解像度も高画素化に進化しています。
Panasonic Blu-rayドライブ
写真2 ブルーレイ製品化に積極的に取り組んでいるPanasonicの Blu-rayドライブ 内蔵型 「LFD-MB121JD」。追記型「BD-R」と書換型「BD-RE」に対応。
パソコン用の記録型次世代DVDドライブでは、ブルーレイ陣営がHD DVD陣営より先んじた。
お値段はアマゾンで確認

ちょうど一年ちょっと前に書いた記事では、僕はこんなポイントを上げていました。

DVD&HDDレコーダー選びのポイントは5つ。

  1. いま話題の地デジ/ハイビジョン対応
  2. ハードディスク(HDD)の容量
  3. 電子番組表(EPG)とキーワードによるおまかせ録画
  4. スポーツ延長や番組追跡機能
  5. 複数の番組を同時録画する機能

更に、ケータイからメールで録画予約ができたり、パソコンと連携、VHS(ビデオテープ)やSDメモリカード対応など、各メーカーがさまざまな機能を盛り込んでいるので、使い方に合わせて機種を選択しよう。

DVDレコーダも普及し、これらの機能を堪能している読者も多いことでしょう。次に、写真1を見てください。現在のアナログ放送と地デジなどのハイビジョン放送の画素数を比較したイメージです。
上がアナログの標準画質サイズ(約35万画素)、下がハイビジョン放送のサイズ(約207万画素)。約6倍の画素数です。

"高画質デジタルならDVD" と言ったのはもう昔話。

地上派デジタル放送(地デジ)やBSハイビジョンなど、現在のデジタル放送は高画質ハイビジョンが主流ですが、DVDはハイビジョン放送が一般化される以前の"標準画質"の時代に規格化された光学メディアです。そのためにDVDは、ハイビジョン画質で保存したり、再生する"標準的な仕組み"を持っていない、容量も足りない…すなわち、DVD-Videoではハイビジョンには対応できないのです。

そんなわけで、ハイビジョン時代にはどうしたってもっと大容量で高画質な別のメディアが必要というわけです。「地デジを入れた」「ハイビジョン液晶テレビを入れた」…そうなると、次はハイビジョンのレコーダが必要なんです、順番からすれば。

さて、ハイビジョン録画に最適な仕組みを追求して開発されたのが「ブルーレイディスク(BD)」です。それに対して、DVDの規格策定の世界標準団体DVDフォーラムが、ハイビジョン用のメディアとして規格策定を推し進め、開発されたのが「HD DVD」ということになります。

外観上、ディスクの大きさや厚さで両者の違いはありません。見た目はDVDと同じ。多くのユーザは言うでしょう、「どっちでもいいからどっちかひとつにして」。
残念ながらそうはいきませんでした。規格上、仕様と特長は微妙に異なり、微妙に異なった部分は重なり合うことなく、2つの規格のプレイヤー、レコーダー、そして映像作品タイトルがリリースされてしまいました。

「どっちでもいいからどっちかひとつにして」。
多くのユーザの願いは叶いませんでした。今でもほとんどのユーザの本音は「どっちでもいい」のです。ハイビジョン映像を高品質で録画したり、買ってきて観たいだけなのだから、メディアの名前がなんであろうが、メーカーがどこであろうが、好き嫌いは別としてたいした問題ではないのです。でも、これから大枚をはたいてプレイヤーなりレコーダーなりを購入しようと思っているユーザにはどっちのメディアの製品を買うか…それは大問題です。

ブルーレイ(BD)か、HD DVDか?
いったい、どっちを買えばいいのでしょう?
しばらくは結論づけることはできませんが、状況はなんだかうっすらと見えてきました。
どうする?
どうするハイビジョンメディア!!

 

  ブルーレイ 対 HD DVD このページのトップへ  

パイレーツ・オブ・カリビアン
写真3 ご存じ「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」(ブルーレイディスク版) 。パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズは高画質/高音質でユーザが高く評価している。プレイステーション3でももちろん再生できる。
TDK BDメディア
写真4

TDKは硬くて汚れに強いBDディスクを開発。BDの優位性に貢献した。写真はTDK録画用BDディスク 25GB 1回録画用(追記型) 5枚パック「BDV-R25X5S」。1枚当たりは約1,000円。これは安いか高いか?。

Panasonic DIGA DMR-BR100-S
写真5 2006年11月に登場したBlu-rayハイビジョンレコーダー『Panasonic DIGA DMR-BR100-S』。HDDは200GBだけど実売価格が魅力的。
トップガン
写真6 パラマウントがHD DVD陣営につき、全Blu-rayタイトルを出荷停止し、日本でもHD DVDのみの供給に絞ると発表したのには驚いた。写真はご存じ「トップガン」(HD DVD版)。BD版の発売はお蔵入りとなる。マイケルダグラス/高倉健/松田優作の「ブラックレイン」は僕もBD版を持っているタイトルだけに・・中止はちょっと複雑(高騰している様子(汗;))。

ブルーレイとHD DVDをユーザーが自力で比較するとき、何が重要なポイントになるでしょうか。基本的なところだけ比べてみましょう。

・大容量
気になる点はまず容量。「大は小を兼ねる」で、よほどデメリットがない限り、ユーザはより大きな容量のディスクを求めるに決まっています。

・価格
なんてったって低価格。機器の価格は初期投資に、ディスクの価格はランニングコストに影響します。映画作品などタイトルを購入する際に違いが出るのも困ります。高いタイトルをわざわざ買いたくないですから。価格はとても重要な要素ですね。

・互換性
互換性にはいろいろな意味合いがあります。記録型ディスクであれば、録画した映像が将来にわたって末永く鑑賞できる環境が維持されることはとても重要なことです(これは将来にわたる互換性)。次にディスクができればすべてのプレイヤーで再生できて欲しいという気持ち、これも互換性。無理な例えだけど、ハイビジョン番組を録画したHD DVDが今まで作られたすべてのDVDプレイヤーでそれなりに再生できたら素晴らしいし安心だと感じるに違いない・・これも互換性のひとつだ・・でもそれは、とーぜんずっときっと無理な話。

・使い勝手の良さ
機器固有の使い勝手の良さは置いておいて、ここでいう使い勝手は規格としての使いやすさや魅力のこと。××するのが不便、××しないと再生できない、などといった制約がない規格をユーザは望んでいます。

とまぁ、あげればキリがないのですが、こういった観点で、ブルーレイとHD DVDをちょっとばかり比較してみたいと思います。

大容量はどっち?
     BD    HD DVD
一層  25GB  15GB
二層  50GB  30GB

※いずれもROM(映画のタイトルなど)の容量

容量の大きさではBDに軍配が上がる。しかし、HD DVDは将来の規格として3層の51GBなどを臭わせて対抗している。

録画時間はどうなの?
     BD   HD DVD
一層  180分  115分
二層  360分  234分

地デジ放送の番組を録画した場合の録画可能時間の目安。BDは2時間以上の収録が可能だが、HD DVDは115分で少しばかり2時間をショート…これはいけない。

気になるメディアの価格、安いのはどっち?

ブルーレイ-R 2倍速
 (三菱化学メディアDBR25N1) 1,200円
HD DVD-R 1倍速
 (三菱化学メディアVR75T1)  1,000円

店頭価格はバラ付きがあるので難しいが、あえて価格.comで調べて、両方のメディアを供給している三菱化学メディア製のだいたいの価格で比較してみた(参考程度で参照してください)。いずれも片面一層。BDは25GB、HD DVDは15GB。2倍速と等速。
ちなみに三菱化学メディアはHD DVDはシンガポール(新規格製品の生産開発拠点)の、BDは岡山県水島(光ディスク用スタンパーの製造)の、自社工場で生産している。

ユーザが気になっているのはどっち?

ブランド総合研究所が8月28日に発表した次世代DVDに関する市場調査では、

次世代DVD搭載レコーダーの所有状況では
  既に持っている    5.0%
  すぐにでも購入したい 0.7%
  購入を検討したい   8.3%
  いつかは購入したい  39.1%

購入したいのはどこのメーカー
  ソニー(BD)  53.1%
  松下電器(BD) 52.9%
  シャープ(BD)  27.9%
  東芝(HD DVD)  24.8%

上位3位をBD陣営が占め、HD DVDの東芝は4位という結果で、市場調査の発表タイトルには「購入したい次世代DVDメーカー ブルーレイ陣営、HD DVD陣営に大差つける」という見出しが付いています。


  どちらの陣営にも本命製品がいよいよ登場 しかし、どちらも課題を残した? このページのトップへ  

スパイダーマンBOX
写真7 いよいよ10月に登場する「スパイダーマン(TM) トリロジーBOX(4枚組)」(Blu-ray Disc版)。期間限定出荷製品。スパイダーマン3はリニア5.1chで音声を収録。ユーザが驚くほどの高画質/高音質を実現できるか?

今回は、ブルーレイ陣営ではソニー、HD DVDは東芝に取材のお願いをして話を聞きました(次週より掲載)。この両社、どちらもレコーダの自信作を投入し、この製品が実質上の第1号機と位置づけています。いよいよ本気モード。

どちらの機種も最安値が店頭で15万円程度と、頑張れば手が届くところまでの価格になったのも注目のひとつ。ソニーの「BDZ-V7」「BDZ-VV9」はBD-REの二層に非対応、東芝の「HD DVD VARDIA RD-A300」「HD DVD VARDIA RD-A600」はHD DVD-RWに非対応ということで、どちらも最新技術に惜しくも少しだけ対応できず課題を残しました・・そんなところが似ている?といえば似ているようで…。

ソニー
『BDZ-V7』¥139,800 〜 ¥222,000
『BDZ-V9』¥171,899 〜 ¥265,000

東芝
『VARDIA RD-A300』¥112,560 〜 ¥178,000
『VARDIA RD-A600』¥145,989 〜 ¥228,000

※価格は価格.com、2007年8月中旬時点。参考程度で参照してください。

さて、ブルーレイとHD DVD、どっちがどう魅力的なのか、どっちがどうイカして技術を使っているのか、ソニーと東芝の開発関係者にいろいろ聞いてみました。

次回、ソニーに聞く「ブルーレイの技術とその魅力」 つづく。

お楽しみに!!

「ブルーレイ か HD DVD か」を今こそ考えてみる
>> 第一部 比較してみよう、ブルーレイとHD DVD
>> 第二部 ソニーに聞く 「ブルーレイの技術とその魅力」
>> 第三部 東芝に聞く 「HD DVDの技術とその魅力」

 

体系的に学ぶ次世代DVDのしくみ

■ブルーレイ&HD DVD、DVDを基本から理解したいなら・・
  体系的に学ぶ 次世代DVDのしくみ

「ブルーレイ&HD DVD ハイデフ入門道」を連載中の神崎洋治と、大好評シリーズ「デジタルカメラ ○×のしくみ」の著者、西井美鷹が贈るハイビジョン映像やブルーレイ、HD DVDの世界。CD、DVDの歴史を経て進化する次世代DVDへの変遷、DVD&次世代DVDの特長や規格、しくみをやさしく解説。日経BPソフトプレス刊 1,890円(税込)。

詳しく・・

 
初出:2007/08/29
  このページのトップへ
 

 


     
 
 

     
 
Presented by
飛鳥のWEBサイトへ
Created by
サンタ・クローチェ
トライセック
リンクについて
著作権について
プライバシーポリシー