スタジオグラフィックスの読者は陸フォトの方が多いので、水中ハウジングについて少し解説します。
水中ハウジングはカメラの防水ケースのことで、スクーバダイビング用としては水深40〜60m前後まで耐えられるものが必要となります。コンパクトデジタルカメラ用の水中ハウジングはメーカー純正のオプション製品も多く売られるようになっていて、2〜3万円から購入できます。しかし、一眼カメラ用(※)のものはメーカー純正で発売されてる例はまだまれで、生産台数も少ないため高価で、サードパーティ製のもので約15〜30万円程度の価格帯です。
■一眼カメラ用 器材の例
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写真D |
EOS 5D Mark II の器材の例
当日、中野さんがマクロ撮影に使用したカメラ器材。 |
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写真E |
レンズとポートの交換手順(1)
マクロ用レンズからワイド用レンズに交換します。ハウジングのポートはレンズに合わせたものが必要です。まずはポートをはずします。 |
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一眼カメラは本体のレンズ交換ができるのがメリットのひとつです。ただし、水中写真の場合は装着したレンズの長さによっては水中ハウジングのレンズケース部分が当たってしまい正常に装着できないこともあります。そこで、一眼の場合は、レンズの長さに合わせて水中ハウジング用のレンズ部分のカバーである「ポート」を交換することで対応します。実際には長さだけでなく、ポートによって集光のしくみや光量が変わってきますのでレンズに合ったポートを装着してセットする必要があります。
すなわち一眼の場合は、海に潜る前にマクロかワイドか標準か、単焦点かズームか、などを予め決めて、本体用のレンズをセットし、それにあったポートをセッティングする必要があります。もちろん、水中ではレンズの変更はできません。
一眼の場合、水中ハウジングの装着によって本体内蔵のストロボが使用できない場合がほとんどです。そのため、外付けのストロボも揃える必要が多くなります。ハウジングだけでなく、ポートや外部ストロボの購入費用も予算に入れておくことをお勧めします。
中野さんが今回使用した器材は、カメラ本体はキヤノンの「EOS 5D Mark II」です。水中ハウジングはアンティス製「Nexus 5DMkll」、ファインダーをのぞくために「Nexusストレートファインダー」を装着しています。ストロボは2灯でイノン製。レンズはズームではなく単焦点を使用しています。中野さんによると「5D Mark II の画質がとても気に入っていて、ワイドでは特にこの機種を使うと他の一眼レフは考えられません」とのこと、大変気に入っている様子です。また、「マクロではEOS 7Dなど、撮像素子がAPS-Cサイズのモデルも使用してみたいです。キヤノンの場合、フルサイズ用の60ミリがなく、100ミリ相当のレンズとなってしまい、シャープな写真を撮る上ではAPS-CのEOS 7Dにも興味を持っています」と、今後の展開にも期待のコメントを頂きました。
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写真F |
レンズとポートの交換手順(2)
ポートを外すとレンズが見えます。 |
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写真G |
レンズとポートの交換手順(3)
本体のレンズを短いレンズに交換。 |
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写真H |
レンズとポートの交換手順(4)
短いレンズを装着。それに合わせてポートを装着します。 |
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写真I |
レンズとポートの交換手順(5)
ドーム型のポートを装着してレンズ交換作業が完了。 |
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■コンパクトデジタルカメラ用 器材の例
一方、コンパクトデジカメはどうでしょうか。コンパクトデジタルカメラは元々レンズの交換ができないので、水中ハウジングにスッポリ装着させればそれだけで基本の準備は完了です。しかし、マクロ撮影をしたいときにはマクロレンズが、サカナの群れや大物を接近して撮りたいとき等はワイドレンズが必要になります。その場合はマクロやワイドのコンバージョンレンズを追加し、水中ハウジングの上からセットします。
ハウジングの外側で脱着しますので、製品によっては水中でコンバージョンレンズ部を交換することもできます。
なお、ワイドコンバージョンレンズ(ワイコン)を装着すると、レンズ自体が内蔵ストロボにかぶってしまい、カメラ本体のストロボが使用できなくなる場合が多くなります(使用してもケラレ等が発生する)。そのため光量が必要な場合は外部ストロボも購入する必要があります。
オヤジの夏休みシリーズの2010「〜神子元島ダイビング〜 ハンマーヘッドシャーク 奇跡の大行進」では、スタジオグラフィックスの神崎がハンマーヘッドシャークの撮影をコンパクトデジタルカメラで行っていますが、その際にはワイドコンバージョンレンズを装着して撮影しました。そのときの器材一式は、デジタルカメラ本体、ソニー純正の水中ハウジング、INON製のワイドレンズ(UWL-100)と装着アダプタ(M67-MB)となります。ワイドレンズを装着した場合、内蔵ストロボは使用できなくなりますので、光量不足の場合は外部ストロボも購入して装着することになります。
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写真K |
ワイドコンバージョンレンズ(1)
コンバージョンレンズと取り付けユニット(イノン製「UWL-100」と「M67-MB」)。 |
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写真L |
ワイドコンバージョンレンズ(2)
水中ハウジングのレンズ部分にコンバージョンレンズとユニットを装着。 |
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次回はワイド撮影について解説します。またスタッフがコンデジで撮った大瀬崎の写真も恥ずかしながら紹介していきたいと思います。お楽しみに。
※最近はミラーレスの機種も多いので、本文ではあえて一眼"レフ"ではなく一眼と表現しました。 |