| 3.コンデジのピント合わせ お持ちのコンデジが初期設定の状態では、恐らく画面内の広い範囲でピントを合わせるオートフォーカスになっていると思います。コンデジでの水中マクロ撮影では、中心でピントを合わせるスポットフォーカスが便利です。ピントが合わなくていらいらしなくて済むように、こちらに設定を変更しておきましょう(笑)
 
 それからシャッターボタンやシャッターレバーの形状については、前回の水中写真テクニック講座でお話ししてきましたよね。
                                (水中写真テクニック講座 第二回 水中写真用機材の選び方」を参照) 
                                
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                                          | 写真M | グローブ左は厚さ2mmのごく一般的なグローブ。右は冬用の5mmのグローブ。
                                              季節に合わせて使いやすいものを選ぶのが一番。
 |  |  |  水中では手が冷えないように、それから海水でふやけて柔らかく・傷つきやすくなった手をケガから保護するために、布やゴム素材のグローブを使用します。そうするとグローブ越しでの撮影となるため、素手よりも若干半押しの感覚が伝わりにくくなると思います。
 そのため、写真用に最初から指先が切ってあるデザインのグローブも売ってますし、自分で市販のグローブの指先を切って使っているダイバーもいます。 また、小さなボタン類を操作しやすいので、軍手や素手が好きなダイバーもいますよ。 シャッターボタンやシャッターレバーの形状が異なっても、慣れ次第で半押しの精度は上がりますので、好みのやり方でがんばって練習してください。(自分は市販の夏用・冬用グローブをそのまま使っています)
   4.一眼レフのピント合わせ 一眼レフでの水中マクロ撮影において、ライブビューで撮影している人はほとんどいないと思いますが、一応ここでも光学ファインダーを覗いての撮影をお勧めします。 一眼レフの光学ファインダー撮影では、シャッターレバーを切ってからシャッターが切れるまでのタイムラグが、だいたい平均0.06秒程度のレリーズタイムラグと言われています。ライブビューでの撮影の場合、それよりも遅いので、その間に生物が動いてしまって意図した構図が崩れてしまうことがあったり、ピントがずれたりしやすいのです。 コンデジからデジイチにランクアップした方が最初に感動するのは、デジイチのそのタイムラグのなさなのですが、せっかく思う通りの瞬間に撮影できるのに、わざわざそれができないライブビューにする必要はありません。(差がほとんどない機種も最近出てきているそうですけど) さらに、光学ファインダーでの撮影が片側の目で覗きこんで撮影するのに対して、ライブビューでの撮影では液晶から顔を離す必要があります。このため、ライブビューでの撮影は昔から言われている手ブレを防ぐために重要な『脇を締める』という動作と反対の、脇を広げることになってしまいます。
 これではピント合わせがシビアなマクロ撮影には向いていません。ライブビューは、どちらかというと割とアバウトな面がある広角撮影向きの機能です。
 それに、よく見える光学ファインダーを覗いて撮ることが、コンデジにはないデジイチの醍醐味ですから、ピントの溝がわかりにくいライブビューで撮るよりも光学ファイダーを使いましょう。 もし、ノーマルの光学ファインダーでピントが見づらければ、一部を拡大してピントを見やすくするピックアップファインダー、全体を縮小して全視野を確保するマグニファイヤー、ストレートファインダー、アングルファインダーなどがオプションで発売されていますので、それをハウジングに組み込むのも良いかと思います。 フォーカス方式は陸上ではオートフォーカスが便利ですが、水中マクロ撮影ではそれほど便利とは言えません。一眼レフでの通常のマクロ撮影の場合は、マニュアルフォーカス撮影をお勧めします。 最近では大変優れたオートフォーカスが搭載された一眼レフもあります。数十ものフォーカスポイントがある機種まで登場しています。
 ところが、水中写真のマクロ撮影では、上述のように目にピントを合わせるのが前提になります。
 オートフォーカスで魚を横から撮影しようとしているのに、目ではなくて体の中央にピントが来ていたり、正面から魚の顔を撮ると、鼻先にピントが来たりします。
 岩場やサンゴなどにいる魚を撮ろうとすると、岩やサンゴにピントが合ってしまったりと、水中マクロにはオートフォーカスは向いていないように思います。
 また、水中では浮遊物が水中に浮いている環境が多いのですが、カメラの高性能ゆえに被写体とカメラの間にあるこうしたごく小さな浮遊物にピントが来てしまい、大事なシャッターチャンスを逃がすこともあります。 
                                
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                                          | 写真N | あまり泳ぎまわらない魚動くけれど、ほとんど同じ所にだいたいとどまっている習性の魚たちは、マニュアルフォーカスで充分追う事ができます。
 ニコン F4 MicroNikor 105mm
 f・5.6 1/60 SB105
 レンズ面から被写体までの距離 1m
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                                            | 写真O | 縄張りを自由自在に泳ぎ回る魚 広範囲に縄張りを持ち、自由自在に泳ぎ回るベラなどの魚は、マニュアルフォーカスで捉えるのは至難。
 止まる瞬間を狙うか、フォーカス性能の良い機種ならオートフォーカスで。
 ニコン F4 MicroNikor 105mm
 f・8 1/100 SB105
 レンズ面から被写体までの距離 1m
 |  |  |  こうした理由から一般的な水中マクロ撮影では、マニュアルフォーカスをお勧めします。それに、マニュアルだと練習すればするほど精度は向上しますからね(笑)
 それから、マニュアルフォーカスでも、常にフォーカスダイヤルを回してピントを合わせるより、ある程度置きピンにして体やカメラを微妙に前後させるという、いわゆる「腕力フォーカス」の方が向いている撮影状況もあります。これはコンデジでも使えるテクニックなんですけどね。
 ぜひいろいろ工夫してみてください。
 オートフォーカスが有効なのは、あまりにも激しく泳ぎまわるベラの仲間やハナダイの仲間(特に繁殖期)を撮影する時です。中層を泳ぐ魚なので、基本的には他にフォーカスターゲットとなるものがないのと、全身を撮影するには少し距離を離す必要があるので被写界深度もそれなりに稼ぐ事ができますし、
 性能が良いデジイチのオートフォーカスは、半押しした瞬間に一瞬でターゲットを捉えることができます。
 これをマニュアルフォーカスでやろうと思ったら、ピントリングをいったい何回転させなきゃいけないことか・・・(笑)こういった泳ぎまわる被写体の場合にはオートフォーカスはとっても有効です。
 ただ、オートフォーカスは深場や曇天・雨天、岩陰などの暗所や、浮遊物がある状況ではピントを迷いやすいので、マニュアルフォーカスとのケースバイケースでの対応が必要になります。 水中でもオートとマニュアルの切り替えができる機種がほとんどですから、状況に合わせて使い分けましょう。 動き回る被写体の場合、マニュアルでもオートフォーカスでも撮れないならしょうがないので、撮れてたらラッキーという気持ちで撮ると良いと思います。                               
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