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水中写真テクニック講座
中野誠志の 海Photo! 楽Photo! 水中写真テクニック講座
第四回 マクロ撮影のテクニック 2009/07/08
 

みなさんこんにちは!
水中写真テクニック講座担当の中野誠志です。

前回は水中写真の基本となるテクニックである『ダイビングテクニック』についてお話ししましたね。
第四回となる今回は『マクロ撮影のテクニック』についてお話ししていきます。

今回の写真はほとんど全て地元伊豆の海での撮影です。マクロ撮影は、きっとみなさんの貴重な休日のダイビングをより一層楽しいものにしてくれると思いますので、今回も海フォトを楽しみながら練習していきましょう!

Text by 中野誠志
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身近な被写体
身近な被写体たちをきれいに撮れる楽しさ。それがマクロ撮影。 オリンパスE-410 ZUIKO DIGITAL 50mm 被写体ヒメゴンベ レンズ面からの撮影距離 50cm

  マクロ撮影で身近な海をもっと楽しく! このページのトップへ  

 

缶コーヒーのジョージア缶に住む2cmほどの小さなミジンベニハゼも、クローズアップレンズでマクロ撮影すると、一層可愛く撮ることができます。
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写真A

通常写真
オリンパスE-410 ZUIKO DIGITAL 50mm レンズ面からの撮影距離 1m

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写真B

マクロ写真
オリンパスμ750(光学5倍ズーム)クローズアップレンズPCU-02 レンズ面からの撮影距離 8cm
テレ側(T側)で接写

「マクロ撮影」とは接写撮影のことで、被写体をはっきり大きく写すために用いられる撮影方法です。

具体的に言うと、コンデジではクローズアップレンズを用いたり、一眼レフでは60〜100mm程度の中望遠レンズを主に使用します。

沖縄や海外などの、ある程度の透明度がある海の方が楽しいワイド撮影に比べて、四季の透明度の変化にほとんど左右されず、安定してきれいな写真が撮れるマク ロ撮影は、伊豆や本州でよく潜るダイバーたちにとって、安定していつでもどんな海でも楽しめる撮影方法だと思います。

陸フォトにおきかえてみると、広角の風景写真(ワイド撮影)がそれなりに良い場所へ出かけなければ画にならないのに対して、花マクロや虫マクロなどのマクロ撮影は庭や近所の公園などの身近なところでも楽しめますよね。

水中写真でもそれと同じで、マクロフォトは珍しい小さな生き物をきれいに撮るだけではなく、普段見る生き物たちをもっと魅力的に撮ることもできるんです。

それでは今回も「こうすれば良くなる!」的な感じで写真を比較しながら、一緒にマクロ撮影のポイントを見ていきましょう。

 


  マクロ撮影のアプローチ 〜被写体に近寄る〜 このページのトップへ  
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写真C

離れて撮った写真
被写体が逃げないように、離れた位置から撮ったとりあえずの証拠写真です。 シーアンドシー1G , レンズ面からの撮影距離 1.5m

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写真D 寄りの写真
そ〜っと近寄りながら何枚も撮影しているうちに、かなり近くまで接近できた写真です。オリンパス μ790, レンズ面からの撮影距離 40cm

アプローチについては前回の講座でお話ししましたね。

被写体に合わせた適切な寄り方で近寄ります。
逃げたり巣穴に隠れたりしないように気をつけつつ、砂を巻き上げたりして撮影環境を悪化させないよう注意して接近しましょう。

詳しいアプローチ方法は「第三回 水中写真テクニック講座」をご覧下さい。

水中マクロ撮影では、被写体にできるだけ近寄って撮影することが重要です。

ですから、コンデジではズームを多用することは禁物で、生物にストレスをかけないように気をつけながらできる限り近寄ることで、カメラと被写体の間に入る水を少なくします。距離を詰めることで、写真のぼんやり感とストロボの光の減殺の原因を解消することができ、写真がしゃっきりします。

また、被写体を大きく写すことで写真に迫力も宿るし、写真の主題もはっきりします。

これからマクロフォトを始める方は、被写体に近寄れる距離を縮める練習や、被写体との最短撮影距離(ピントが合う限界の距離)で写真を撮る練習をすると水中写真が上達できて良いでしょう。

右の写真は、ひとつのザラカイメンにコガネスズメダイとイソカサゴが同居していたのがおもしろくて撮りました。
写真Cは水が間にたくさん入っているので、フラッシュの光も届いていません。なんだかもやっとした印象ですよね。近づいて撮った写真Dはフラッシュも届いているので被写体の色が出ています。

水中写真ビギナーのうちは生物に充分近寄らずに、太陽の光量が豊富な陸上の感覚でズームで撮ってしまいがちです。そうした水中写真では写真Cのようになっていることが多いんですよね。

コンデジ+ハウジングでマクロ撮影するためには

  1. ほどよくワイド側にズームを設定して、被写体に接近して撮影する
  2. マクロ撮影では内蔵ストロボは強制発光にする【重要】
  3. 小さな被写体をもっと大きく写したければ、クローズアップレンズ(1〜1.5万円ぐらい)をつけて接近する
  4. 被写体にかなり接近すると、カメラの内蔵ストロボの光が回らずに、レンズを挟んで反対側下部に陰を作ってしまうので、外部ストロボを使ったり、補助光として水中ライトで照らしたり、フラッシュの拡散板を自作して大きくする。もし水質がクリアで問題なければ、被写体から距離を少し離してズームすると光が回ります。

一眼レフでマクロ撮影するには

  1. 中望遠レンズを使う(一般的には60mm〜100mm)
  2. 被写体に接近していくことで、ストロボの向きを変える必要がある時がある。
    地形が光を遮る場合があるので、ちゃんと光が当たっているかプレビュー画像を見てその場で確認する。
  3. コンデジに比べてカメラが大きくて被写体に警戒されてしまうので、逃がしてしまわないようにコンデジよりも慎重に接近する
  4. 小さな生き物を大きく写すマクロ撮影では、タイムラグがある液晶画面でのライブビューで撮影するのではなく、光学ファインダーでピント合わせをする。

コンデジ・一眼レフいずれにしても、時間をかけて被写体とのやり取りをじっくり楽しむことがマクロ撮影の楽しみ方でしょうね。


  ピントを合わせるテクニック このページのトップへ  


1.どこにピントを合わせるか?

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写真E エビ・カニの目の写真
オリンパス μ750+PCU 02, レンズ面からの撮影距離 12cm
水中マクロモード
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写真F ウミウシの写真
オリンパスE-410 ZUIKO DIGITAL 50mm f・8 1/100秒 ISO-100, レンズ面からの撮影距離 5cm
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写真G

ピンぼけ写真
クローズアップレンズあり。ワイド側で接写。オリンパス μTOUGH-8000,
レンズ面からの撮影距離 10cm

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写真H ピンOK写真
クローズアップレンズなし。ワイド側で接写。富士フイルム FinePix F31,レンズ面からの撮影距離 15cm

小さな生き物を大きく写すマクロ撮影では、ピントは基本的にその生き物の目に合わせます。

エビ・カニなどの甲殻類は、写真Eのように目の中の黒点がくっきり見えるようにピントを合わせましょう。

明確な目というものがないウミウシは、写真Fのように代わりに触覚にピントを合わせます。

レンズに近い方の目や触覚に合わせるのがセオリーです。

小さな生物はピント合わせが難しいので、慎重に撮影しながらも多めに撮っておくと安心です。撮った画像をその場で確認できるデジカメなら、ピントの失敗にもすぐ気づくことができます。

目にピントが来ていれば、写真に迫力や臨場感も出ますし、写真に物語も生まれます。

「目は口ほどに物を言う」って言いますよね?
被写体の目が何か語りかけてきますよ。

反対に、目にピントが来ていない写真は精彩を欠く写真になってしまいます。

よっぽどの特別な作画意図がない限り、目にピントが来ていない写真は失敗写真です(写真G)。

気をつけましょう!

 

中級者向けワンポイントアドバイス

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写真I ピントに対して体が斜めの魚の写真
オリンパスE-410 ZUIKO DIGITAL 50mm f値4 1/100 ISO-100, レンズ面からの撮影距離 10cm

 

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写真J 複数の被写体と面
オリンパスE-410 ZUIKO DIGITAL 50mm f値11 1/125 ISO-100, レンズ面からの撮影距離 15cm
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写真K 解放絞りでも面で捉える
オリンパスE-410 ZUIKO DIGITAL 50mm f値4.5 1/100秒 ISO-100, レンズ面からの撮影距離 30cm

被写体の片側の面を横から撮影している場合、 ヒレなどの体の細部にまでピントが来るようにある程度絞り込んで撮影するか、絞りは開放気味でも【ピントの面】を意識して撮ると美しい写真となります。

特にマクロ撮影において、ピントの面を意識した画作りをすることは、『生物をきれいに撮ることができるレベル』から、『水中写真を作品とするレベル』に上がるために絶対に必要なステップです。

写真I はピント面に対してわずかに被写体が傾いているので、腹部側がわずかにぼやけてしまっています。
図鑑写真・生態写真用の場合、絞り込んで撮った方が良いでしょう。

写真Jは、繁殖期のきれいな色をしたアカイソハゼとイバラカンザシが同じ面(被写界深度の幅)に来るように、こちらの撮影位置とカメラの位置を微調整して撮影しました。

この場合は被写界深度の幅が1cmの小冊子程度の面なので、その面を2つの被写体に平行に合わせるイメージです。

開放側の絞りでも、ピントの面を被写体の面に合わせてやることで、被写体の細部まで美しい印象的な写真にすることもできます(写真K)。

こうすることで、陸フォトの花マクロなどでは一般的なテクニックである、前ボケ・後(あと)ボケのテクニックも有効に使う事ができます。

ぜひ取り組んでみてください。

ダイバーの流儀
絶対にやってはいけないのは、自分の欲望に負けて、ハナタツなどの生物を自分の思い通りに動かしてしまうことです。

陸上写真の世界で言うと、画になる風景の前に雑草や雑木が生えている場合に、引っこ抜いたりへし折ったりする人がいるようなものです。彼らは簡単に思い通りの方向に動かされてしまうでしょう。

でも仮に、そうしたせいで見事な写真が撮れたとしても、それを心の底から誇れるでしょうか?

誰かに褒められたとしても、きっと心から素直には喜べないのでは?
そうです。
あなたもネイチャーカメラマンの一人なのです。

自分が尊敬するとある水中写真家は、「ターゲットライトをつけると、カエルアンコウがまぶしそうに目を細めるんです。ターゲットライトなしで撮っている写真に比べて可愛らしさが半減するんですよ」と自分のHPへ訪れる人に、親しみやすい口調で教えてくれていました。

ハナタツやピグミーがライトの光を嫌がるのに、無理矢理動かしてもダメなんです。
少し距離を離してやって、彼らが落ち着く距離で撮ると良いと思います。

そうすることが、彼らの世界である海へ訪問するダイバーとしての礼儀なのではないでしょうか。
そしてそうした自然の命に敬意を払った付き合い方が、我々ダイバーの流儀だとするとカッコイイですよね。

 

2.コンデジの場合「半押し」を活用する

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写真L

マクロモード・切替ボタン
このカメラではマクロモードは「チューリップ」のマーク

半押しとはその名の通り、シャッターボタンを半分押し込むことをいいます。

こうするとピントが合ったサインの合焦マークが出ますし、半押ししてからシャッターを切る(全押し)までの距離が短くなるし、一気に押し込むのに比べて力まなくて済むので、手ブレを防ぎやすくなります。

また、クマノミやキンギョハナダイなどの動き回る魚をマクロ撮影する際に、一気にシャッターを切る場合に比べて、半押しでピントをまず合わせて固定してからシャッターを切る方法の方が、魚の動きに合わせてフォーカスロックしたまま腕の動きでで追える分だけ、ピントの合った写真が撮れる確率が高いです。

メーカーによって合焦マークの違いはありますが、合焦マークが点滅している状態はピントが合っていません。

水中写真の場合、恐らく原因のほとんどは「被写体をもっと大きく撮りたい」という気持ちのための近寄りすぎか、体がふよふよと浮いたまま撮影しているためにピントがずれてしまうピンぼけなので、その場合はマクロモードに切り替え(マクロボタンがあればそれを押して)、体を水底に着底させて安定させてから被写体に近寄ります。

3.コンデジのピント合わせ

お持ちのコンデジが初期設定の状態では、恐らく画面内の広い範囲でピントを合わせるオートフォーカスになっていると思います。
コンデジでの水中マクロ撮影では、中心でピントを合わせるスポットフォーカスが便利です。ピントが合わなくていらいらしなくて済むように、こちらに設定を変更しておきましょう(笑)

それからシャッターボタンやシャッターレバーの形状については、前回の水中写真テクニック講座でお話ししてきましたよね。 (水中写真テクニック講座 第二回 水中写真用機材の選び方」を参照)

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写真M

グローブ
左は厚さ2mmのごく一般的なグローブ。右は冬用の5mmのグローブ。 季節に合わせて使いやすいものを選ぶのが一番。

水中では手が冷えないように、それから海水でふやけて柔らかく・傷つきやすくなった手をケガから保護するために、布やゴム素材のグローブを使用します。
そうするとグローブ越しでの撮影となるため、素手よりも若干半押しの感覚が伝わりにくくなると思います。

そのため、写真用に最初から指先が切ってあるデザインのグローブも売ってますし、自分で市販のグローブの指先を切って使っているダイバーもいます。

また、小さなボタン類を操作しやすいので、軍手や素手が好きなダイバーもいますよ。

シャッターボタンやシャッターレバーの形状が異なっても、慣れ次第で半押しの精度は上がりますので、好みのやり方でがんばって練習してください。
(自分は市販の夏用・冬用グローブをそのまま使っています)

 

4.一眼レフのピント合わせ

一眼レフでの水中マクロ撮影において、ライブビューで撮影している人はほとんどいないと思いますが、一応ここでも光学ファインダーを覗いての撮影をお勧めします。

一眼レフの光学ファインダー撮影では、シャッターレバーを切ってからシャッターが切れるまでのタイムラグが、だいたい平均0.06秒程度のレリーズタイムラグと言われています。ライブビューでの撮影の場合、それよりも遅いので、その間に生物が動いてしまって意図した構図が崩れてしまうことがあったり、ピントがずれたりしやすいのです。

コンデジからデジイチにランクアップした方が最初に感動するのは、デジイチのそのタイムラグのなさなのですが、せっかく思う通りの瞬間に撮影できるのに、わざわざそれができないライブビューにする必要はありません。(差がほとんどない機種も最近出てきているそうですけど)

さらに、光学ファインダーでの撮影が片側の目で覗きこんで撮影するのに対して、ライブビューでの撮影では液晶から顔を離す必要があります。
このため、ライブビューでの撮影は昔から言われている手ブレを防ぐために重要な『脇を締める』という動作と反対の、脇を広げることになってしまいます。

これではピント合わせがシビアなマクロ撮影には向いていません。
ライブビューは、どちらかというと割とアバウトな面がある広角撮影向きの機能です。

それに、よく見える光学ファインダーを覗いて撮ることが、コンデジにはないデジイチの醍醐味ですから、ピントの溝がわかりにくいライブビューで撮るよりも光学ファイダーを使いましょう。

もし、ノーマルの光学ファインダーでピントが見づらければ、一部を拡大してピントを見やすくするピックアップファインダー、全体を縮小して全視野を確保するマグニファイヤー、ストレートファインダー、アングルファインダーなどがオプションで発売されていますので、それをハウジングに組み込むのも良いかと思います。

フォーカス方式は陸上ではオートフォーカスが便利ですが、水中マクロ撮影ではそれほど便利とは言えません。一眼レフでの通常のマクロ撮影の場合は、マニュアルフォーカス撮影をお勧めします。

最近では大変優れたオートフォーカスが搭載された一眼レフもあります。
数十ものフォーカスポイントがある機種まで登場しています。
ところが、水中写真のマクロ撮影では、上述のように目にピントを合わせるのが前提になります。
オートフォーカスで魚を横から撮影しようとしているのに、目ではなくて体の中央にピントが来ていたり、正面から魚の顔を撮ると、鼻先にピントが来たりします。
岩場やサンゴなどにいる魚を撮ろうとすると、岩やサンゴにピントが合ってしまったりと、水中マクロにはオートフォーカスは向いていないように思います。

また、水中では浮遊物が水中に浮いている環境が多いのですが、カメラの高性能ゆえに被写体とカメラの間にあるこうしたごく小さな浮遊物にピントが来てしまい、大事なシャッターチャンスを逃がすこともあります。

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写真N

あまり泳ぎまわらない魚
動くけれど、ほとんど同じ所にだいたいとどまっている習性の魚たちは、マニュアルフォーカスで充分追う事ができます。
ニコン F4 MicroNikor 105mm
f・5.6 1/60 SB105
レンズ面から被写体までの距離 1m

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写真O 縄張りを自由自在に泳ぎ回る魚
広範囲に縄張りを持ち、自由自在に泳ぎ回るベラなどの魚は、マニュアルフォーカスで捉えるのは至難。
止まる瞬間を狙うか、フォーカス性能の良い機種ならオートフォーカスで。
ニコン F4 MicroNikor 105mm
f・8 1/100 SB105
レンズ面から被写体までの距離 1m

こうした理由から一般的な水中マクロ撮影では、マニュアルフォーカスをお勧めします。
それに、マニュアルだと練習すればするほど精度は向上しますからね(笑)

それから、マニュアルフォーカスでも、常にフォーカスダイヤルを回してピントを合わせるより、ある程度置きピンにして体やカメラを微妙に前後させるという、いわゆる「腕力フォーカス」の方が向いている撮影状況もあります。
これはコンデジでも使えるテクニックなんですけどね。
ぜひいろいろ工夫してみてください。

オートフォーカスが有効なのは、あまりにも激しく泳ぎまわるベラの仲間やハナダイの仲間(特に繁殖期)を撮影する時です。
中層を泳ぐ魚なので、基本的には他にフォーカスターゲットとなるものがないのと、全身を撮影するには少し距離を離す必要があるので被写界深度もそれなりに稼ぐ事ができますし、
性能が良いデジイチのオートフォーカスは、半押しした瞬間に一瞬でターゲットを捉えることができます。

これをマニュアルフォーカスでやろうと思ったら、ピントリングをいったい何回転させなきゃいけないことか・・・(笑)
こういった泳ぎまわる被写体の場合にはオートフォーカスはとっても有効です。

ただ、オートフォーカスは深場や曇天・雨天、岩陰などの暗所や、浮遊物がある状況ではピントを迷いやすいので、マニュアルフォーカスとのケースバイケースでの対応が必要になります。

水中でもオートとマニュアルの切り替えができる機種がほとんどですから、状況に合わせて使い分けましょう。

動き回る被写体の場合、マニュアルでもオートフォーカスでも撮れないならしょうがないので、撮れてたらラッキーという気持ちで撮ると良いと思います。


  体の固定とカメラを固定するテクニック このページのトップへ  

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写真P 体の固定
下半身に注目。BCのエアを抜いて着底し、膝とフィンで下半身を固定させる
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写真Q 腕の固定
肘を水底や岩などにつけて、しっかりと上半身を安定させる

小さな生き物を大きく写すマクロ撮影では、広い景色を写し込むワイド撮影に比べて手ブレや被写体ブレが目立ちやすくなります。

また、ピント合わせでもピントが合う幅である被写界深度が、数十cmから数mある広角撮影に比べて、マクロ撮影では数mmから数cmまで狭くなって難しくなります。
そのため、お目当ての被写体をシャープに写すためには、カメラと体がふらふらしないようにすることが重要になります。

半押しができているのに撮った写真のピントがずれてしまうのは、カメラと体の固定がうまくできていないからです。

慣れないうちは魚の上を泳ぎながらシャッターを切ったり、下半身は水底についていても上半身がふらふら・よたよたしてしまいます。

まさか写真を撮るときに、両手を突きだしてコンデジを持ったりしていませんか?
それでは体が前後左右に動いてしまい、なかなかピントは来ませんよ。

右の写真PとQは、身体と腕を固定し、安定した撮影ポーズの例です。

砂地での基本の撮影姿勢なのですが、
岩場などでも応用ができます。

コツとしては、

  1. 生物を傷つけないように足下に気をつけて水底に着底する。
    【注意】サンゴや海藻やカイメンなども生物ですよ!!
  2. BCやドライスーツの中のエアーを排気して、体が揺れないようにする。
  3. 生物を傷つけないように肘や手をつく場所を確認し、必要なら左手で岩などをつかんで体が揺れないように固定する。
  4. 呼吸を整え、静かにシャッターを切る

というような流れになります。
カメラの固定の仕方としては、岩に直接押して支えたり、カメラの下部に左手を添えてから岩に押しつけて支える方法もあります。

また、波やうねりで体が揺れる環境の場合は、両膝の間に岩を挟んだり、フィン先を岩の隙間にねじ込んで固定したりするのも有効です。

文章では、いまいちイメージが湧かない方は、ご一緒したメンバーの撮影方法を見て学ぶのもとても勉強になると思います。

がんばってください!

撮った水中写真の楽しみ方

みなさんはダイビングで撮った水中写真、どのように使っていますか?
パソコンで眠らせてお蔵入り?
それともメディアに入れっぱなしですか???(笑)

せっかく撮った写真なので、いろんな用途に使ってみましょう。
写真を活用できることは実はこんなにたくさんあります。

1:mixiなどのSNSの日記や、ブログなどを始めて写真を掲載してみる
同じ趣味の楽しい仲間が見つかるかも???
mixi
FC2

2:Zorgなどの写真共有サイトにアップロードする
コメントやアドバイスがもらえて交流が生まれるかも???
ZORG
フォトパス

3:年賀状などに家庭用プリンタで印刷してみる
毎年の干支に合わせてみては???
(例)イヌザメ・ヤマドリ・ネズミフグなどなど

4:ログブックに貼るお魚シールを作ってみる
一緒に潜った人にプレゼントしたら喜ばれるかも???

5:フォトコンテストに応募する
各ダイビングサービス独自の小さなコンテストもあれば、大瀬フォトコン・串本フォトコンなどのローカルフォトコンテストもあります。雑誌マリンダイビング主催の『地球の海フォトコンテスト』がダイバーには有名ですよね。

大きなコンテストでは、ニコンやキヤノン主催のコンテストや、フジフイルム、エプソンフォトグランプリ、ナショナルジオグラフィックフォトコンテストなどもあります。

上手に撮れた写真は独り占めにしておくなんてもったいないです。
ぜひフォトコンチャレンジしてみてください。

6:フォトブックや写真集を作る
試しに『フォトブック』で検索してみてください。
趣味で写真集を出そうとすると、高額の自費出版が普通だった昔に比べて、意外とお手頃価格で自分だけの写真集ができちゃいます。
1冊作っておくとダイビングの休憩時間やログ付けが盛り上がるかも???

こうした楽しみの目標があると、写真を撮りに海へ出かけたくなるし、どんどん上手くなるのではないでしょうか?

他にもいろんな使い方があると思いますので、今後も楽しみながら海フォトを練習していきましょう!

  水中写真テクニック講座『マクロ撮影』まとめ このページのトップへ  


マクロ撮影お勧め被写界深度(絞り)設定

  • 幼魚撮影などのふんわりしたマクロ写真にしたい時はf値を2.0〜4.0に設定
  • エビ・カニ撮影などのキリッとしたマクロ写真にしたい時はf値を8〜11に設定
    (注)
    f11より絞り込むと、デジタル撮影の場合、回折現象が起こりやすくなります。
    回折現象とは、例えばf11より絞り込んでいるのに、f11で撮った写真よりも
    シャープさがなくなったり、ピントが甘くなる現象です。
  • 産卵シーンや闘争などの生態写真の場合は、少し引いて撮ると被写界深度を深
    くとれるので、生態シーン全体にピントが来ます。ぜひお試しあれ。

マクロ撮影お勧めフォーカス設定

  • コンデジはスポットオートフォーカス
  • 一眼レフはマニュアルフォーカスをメインに、動き回る被写体ではオートフォーカスを組み合わせる

マクロ撮影お勧めシャッタースピード

  • 青抜き 1/15〜1/30 (ISO-100の場合)
  • 通常 1/60〜1/100以上
  • 黒抜き 1/180〜1/250 ストロボのX接点 (発光同調の限界速度)

マクロ撮影お勧めISO感度

  • やや古いモデルの機種なら最低の感度。 (50や100)
  • 現行モデルならまさに自由! 
    D700では、ISO感度6400ながら素晴らしい印刷を見ました・・・。

マクロ撮影お勧めストロボ設定

  • コンデジは強制発光で。
    陰ができてしまう場合は、補助光を当てたり、少し離れてズームしたり、拡散板
    を大きくしてみる。
  • 外付けストロボは通常はTTLオート撮影でOK。
    (撮影後の画像確認を1被写体につき最初の数カットは確認した方が良い)
  • 撮影する画面に対する被写体の割合が小さかったり、白一色だったり黒一色だ
    ったりする場合は、ストロボのオート機能が正確に働かない場合があるので、画
    像を確認して必要があればマニュアルにします。


今回の水中写真テクニック講座、マクロ撮影テクニックはいかがでしたか?

コンデジと一眼レフでのマクロ撮影のコツについてお話してきました。
読んでいただきありがとうございました。

実は今回の講座が今までで一番大変でした。
と言うのも、他人が撮影しているところというのは普通はなかなか撮らないですもんね。
モデルを引き受けてくれた店長、ありがとうございました。

さて次回の水中写真テクニック講座は、「水中写真の露出テクニック」です。
お楽しみに!!

 

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初出:2009/07/08
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