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礒村浩一の探せ!デジカメ・ギア 第11回
 トキナー Reflex 300mm F6.3 MF MACRO
 デジタル時代に登場した超個性派レンズ

Posted On 2014 12月 26
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Model : 鈴木薫( オスカー )


TOPIX

デジタルカメラを使いこなすための、あったら便利、使うと楽しい、そんなアイテム「 デジカメ・ギア 」を紹介していく礒村浩一の探せ!デジカメ・ギア。今回はケンコー・トキナーのミラーレンズ「 Reflex 300mm F6.3 MF MACRO 」をご紹介。普通のレンズとはその構造から違う「 鏡の反射 」を使ったミラーレンズの特徴をじっくりと味わってください。 by 編集部

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デジタル一眼カメラの最大の楽しさは、やはりレンズを自在に交換できることだ。自分の好きなレンズを選び交換することで様々な被写体に適した撮影をおこなうことができる。またカメラとセットで購入した標準ズームレンズに加え、あらたにレンズを「 手に入れる 」という行為自体もとてもワクワクするものだ。そのなかでも望遠レンズは今も昔も手に入れたいレンズの代表的なものだ。特に焦点距離が 500mm を超える超望遠となると日常とはかけ離れた世界を捉えることができる。

■ 手のひらにのる超望遠レンズ

望遠レンズは遠く離れた被写体を大きく撮影することができる便利なレンズだ。特に 500mm を超える超望遠レンズは、おそらく多くの一眼カメラユーザーにとって憧れのレンズでもある。ただ一般的に望遠になればなるほどレンズは大きく重くなり、取り扱いには腕力も慣れも必要だ。同時に価格も高価となるのでそう易々とは手を出しにくいのも現実だ。ところが今回取り上げるマイクロフォーサーズ用交換レンズ「 トキナー Reflex 300mm F6.3 MF MACRO 」は、軽量コンパクトでありながら 35mm 判換算で 600mm 相当、価格も3万円台と比較的手にしやすい。

写真1

写真2

トキナー Reflex 300mm F6.3 MF MACRO は全長 66mm、重さは 285g と超望遠レンズとしては格別に小さくて軽い。実はその理由は独特なレンズ構造にある。いわゆるミラーレンズと呼ばれるものだ。ミラーレンズとは、一般的なレンズとは異なり、鏡筒のなかに凹面鏡を配置することで、その反射を利用しレンズに入ってくる光を収束させてカメラの撮像素子上に結像する仕組みのレンズのことだ。これによりレンズの鏡筒を短くすることができると同時に、ガラスレンズの枚数を極端に減らす、もしくは使わない設計となり、レンズを軽く作ることができる。さらに今回取り上げる「 トキナー Reflex 300mm F6.3 MF MACRO 」はマイクロフォーサーズ用のレンズなので、実焦点距離の2倍の 600mm 相当の超望遠レンズとして使用することができるのだ。

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トキナー Reflex 300mm F6.3 MF MACRO はマニュアルフォーカス専用レンズのため、ピント合わせは手動でおこなわなければならない。ただし 600mm 相当ともなるとピント合わせもより慎重におこなう必要がある。その場合はピントを合わせたい箇所を EVF もしくは背面モニターで拡大したうえでピントを合わせるようにするとより確実だ。このレンズのピントリングは幅も広くトルクも比較的重めで、慎重におこなわなければならない超望遠レンズのピント合わせには程よい造りとなっている。

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Reflex 300mm F6.3 MF MACRO

トキナー Reflex 300mm F6.3 MF MACRO は一般的なミラーレンズとはすこし構造が異なる。一般的には主と副の二枚の鏡のみで構成されるものが多いが、このトキナー Reflex 300mm F6.3 MF MACRO には3枚のガラスレンズも組み合わせられている。レンズ構成は3群7枚となり、このガラスレンズの採用によりコンパクトかつ画質の向上を実現したという。また、ミラーレンズとしては特筆するほど最短撮影距離が短い。一般的にはミラーレンズの最短撮影距離が1m ~ 2m 程であるのに比べ、このレンズは最短撮影距離が 80cm ととても短かく、最大接写倍率1:2のテレマクロ撮影も可能だ。

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■ Reflex 300mm F6.3 MF MACRO + OM-D E-M1 での作例

600mm 相当となるトキナー Reflex 300mm F6.3 MF MACRO では、遠くの被写体を大きく引き寄せる超望遠撮影が可能だ。それでいて軽量かつコンパクトなので、撮影時の機動力アップにつながる。なによりカメラバッグにポンと気軽に入れて持ち運べる。また見た目にも小さなレンズなので、撮影時に必要以上に目立たない点も良い。

※ 注意
以降の写真で、実画像の文字をクリックするとカメラで撮影した実際の画像が別ウインドウで表示されます。容量が大きいのでモバイル端末での表示には注意してください。

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超望遠レンズでの撮影は、被写体を大きく捉えると同時に背景も圧縮効果によって大きく写る特性がある。これによって迫力のあるダイナミックな表現が可能となる。

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ミラーレンズの特性により、強い逆光を直接レンズに取り込むと画面全体が白く滲んでしまうことがある。だがこれをうまく活かすことで幻想的なシルエット作品とすることもできる。またミラーレンズではその構造より、アウトフォーカス部の明るいボケがリング状となる。このユニークなボケの存在こそミラーレンズの大きな魅力のひとつだ。

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※ 注意
実画像の文字をクリックするとカメラで撮影した実際の画像が別ウインドウで表示されます。容量が大きいのでモバイル端末での表示には注意してください。

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トキナー Reflex 300mm F6.3 MF MACRO が持つ特性を組み合わせてのポートレート撮影。超望遠レンズであることにより背景を大きくぼかすことができ、またハイライトにはリングボケを配置。逆光でわざと少し像を滲ませることで柔らかな描写になるように撮影。RAW 現像時に明るさ、色味、コントラストを微調整してソフトフォーカス風に仕上げた。最短撮影距離が短いので人物に近づいてのバストアップ撮影も可能だ。

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■ 総論

ミラーレンズであるトキナー Reflex 300mm F6.3 MF MACRO は、その構造上通常のレンズと比べると制約もある。ミラーレンズには基本的には絞りが存在しないため絞り値は常に開放絞り値に固定される。またレンズ内には手ぶれ補正機構も用意されていない。ただデジタルカメラでは ISO 感度は自在にコントロールができるので、シャッタースピードを変えたくないシーンであっても露出調整には ISO 感度の上下で対応が可能だ。またボディ内手ぶれ補正機構を搭載したカメラでは、手ぶれ補正を効かせた撮影も可能であるため、ある程度のシャッタースピードを維持できれば 600mm 相当の超望遠でも手持ちでの撮影は十分に可能だ。軽いので必要以上に腕がプルプルしてしまうこともないだろう。

ミラーレンズ自体はフィルム一眼レフの時代にも各カメラメーカーより交換レンズとしてラインナップされていたが、少し特殊なレンズとして決して扱いやすいレンズとは言えなかった。そのため現在ではカメラメーカーはもとより、レンズメーカーでもラインナップされているものはごく僅かだ。しかしデジタル一眼の時代になり、ミラーの精度向上やゴースト、フレアーの対策などデジタルカメラに対応した設計となり、またさまざまなデジタルカメラならではの調整・補正機構と組み合わせることでミラーレンズが持つ魅力を最大に引き出すことが可能となった。

かつてのフイルムカメラ時代のミラーレンズを知っている人はこの新しいミラーレンズの存在を、これまでミラーレンズを体験したことのない人はこの独特な描写と表現を新鮮な表現として楽しむことができる。トキナー Reflex 300mm F6.3 MF MACRO は、デジタルカメラ時代の新しいミラーレンズのあり方を気が付かせてくれる。意欲的な存在のレンズといえるだろう。

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著者について
■ 礒村 浩一 写真家 ■(いそむらこういち)   1967 年福岡県生まれ。東京写真専門学校( 現 東京ビジュアルアーツ )卒。女性ポートレートから風景、建築、舞台、商品など幅広く撮影。全国で作品展を開催するとともに撮影に関するセミナーおよび撮影ツアーの講師を担当。デジタルカメラに関する書籍や Web 誌にも数多く寄稿している。近著「 オリンパス OM-D の撮り方教室 OM-D で写真表現と仲良くなる 」( 朝日新聞出版社 )、「 マイクロフォーサーズレンズ完全ガイド 」( 玄光社 )など。 2015 年 9 月よりデジタルハリウッド「 カメラの学校 」講師。Web サイトは http://isopy.jp/ Twitter ID : k_isopy