大村祐里子の1万円で行く スナップ写真旅行
第3回 原宿・渋谷・三田( 前編 )
TOPIX
「 大村祐里子の1万円で行く スナップ写真旅行 」のシリーズ3回目は原宿・渋谷・三田の風景を取り上げました。新型コロナの影響で外出自粛中でございましたが、ようやく制限も緩和されたためスナップ撮影に出かけた大村さん。ただ、状況を鑑み今回は「 雨の街 」をテーマとし、原宿・渋谷・三田を散策しました。本企画は、撮影地の選択もすべて大村祐里子さんに委ねています。条件は東京から、「 交通費・お昼・おやつ代込みで1万円以内で行ける撮影地 」です。今回も KIPON レンズを使い雨の東京の街を切り撮ります。機材のみならず、スナップ撮影地選びの参考としていただければ幸いです。 by 編集部 |
Index
1.本連載のルール
1万円以内で行かれるところであれば場所はどこでもOK 、かつ、好きなものを撮って良い、という夢のようなこちらの企画。第3回目は、梅雨時ということで「 雨の街 」をテーマに撮影をしました。ただ、状況も状況なので、今回はお店への立ち寄り・飲食はしておりません。ひたすら、街( 屋外 )を散歩する内容となっております。ご容赦下さいませ。
機材は、引き続きソニーα7R IV + KIPON 製レンズの組み合わせを使用しています。こちらの記事は、撮影スポットガイド、そして機材選びの参考としてご覧になっていただけたら嬉しいです。(大村)
2.目的地紹介
的地に選んだのは、東京都にある原宿・渋谷・三田エリアです。原宿・渋谷( 渋谷区 )は事務所がある地域なので、毎日のように訪れています。お店も多く、都内有数のにぎやかな場所ですが、緑もたくさんあって気に入っています。しかし、雨の日にこのあたりでスナップをしたことがないと気づいたので、改めてのんびりと歩いてみることにしました。
三田エリア( 港区 )は、原宿・渋谷とは少し離れていますが、学生時代に通っていたので、思い出の地のひとつです。私は雨の夜の東京タワーが大好きなので、それを撮りたいがために目的地のひとつに選びました。
3.今回の機材紹介
ボディはソニーα7R IV、レンズはKIPONの「 IBERIT 」シリーズを使用しました。
「 IBERIT 」レンズは、Eマウントの MF レンズです。開放 F2.4 の単焦点で、焦点距離は24 mm、35 mm、50 mm、75 mm、90 mm の5本がラインナップされています。ドイツで開発とテストを行い、ドイツの品質基準に沿って製造されています。鏡胴はブラックとシルバーの2色。マウントは、ソニーE、富士フイルムX、ライカM、ライカSL の4種類です。重厚感のあるクラシカルな造りが魅力的です。
過去2回の記事において、すべての焦点距離をひと通り使いました。今回は、雨の日ゆえレンズ交換をしたくないと考え、思い切って1本だけ持っていくことにしました。悩みましたが、あえて、スナップであまり使わない「 75mm 」を使うことにしました。
4.雨の代々木公園
まずは、原宿駅前にある「 代々木公園 」を訪れてみました。代々木公園は、東京23 区内の都立公園の中で5番目に広く、都会の真ん中に存在する緑のオアシスです。
いつもはたくさんの来園者で賑わっているのですが……。この日は寒い&雨が降っていることもあり、信じられないくらい園内に人がいませんでした。たまに犬の散歩をしている方とすれ違うくらい。
ただ、この静まり返った雰囲気が、なんとも心地よいと感じました。
薔薇についた水滴が美しい。IBERITの優しい色表現は、雨の日の控えめな空気感に寄り添ってくれます。
カラスが木陰で雨宿りしていました。雨に濡れた黒い羽は、しっとりしていてきれいでした。カラスはちょこちょこ動き回っていましたが、α のピント拡大機能を使ったので、MF の IBERIT でもきちんと被写体を捉えられました。
池を覗くと、カラスの羽が水面を漂っていました。雨の日がつくるすてきな模様。
傘越しに、頭上に広がる木々を見上げて深呼吸。IBERIT は絞ると、途端にソリッドな描写になります。水滴ひとつひとつがシャープに描かれていて気持ちが良いです。
雨露に濡れた葉はいくらでも眺めていられます。しっとりとした葉の質感を余すところなく捉えられました。湿り気が画面を通して伝わってきそうです。
あじさいと小路。6月っぽい光景。75mm という中望遠レンズは、なんてことのないシーンに適度な奥行きをもたらすのにピッタリだと思いました。
額紫陽花の前後をぼかしてみました。75mm の大きなボケを生かせば、ファンタジックな雰囲気に。
水たまりに広がる波紋を眺めていると、心が鎮まります。
ふと足元を見ると、黄色いキノコが。都会にもキノコが生えるのだなあと驚きました。踏まないように気をつけながら、最短撮影距離 0.6m まで寄って、カサについたしずくをおさめました。
後編に続く・・・
■ 制作・著作 ■
新東京物産株式会社
大村祐里子
スタジオグラフィックス