大村祐里子の1万円で行く スナップ写真旅行
第6回 奥多摩( 後編 )
TOPIX
「 大村祐里子の1万円で行く スナップ写真旅行 」のシリーズ6回目は奥多摩まで旅していただきました。本企画は、撮影地の選択もすべて大村祐里子さんに委ねています。条件は東京から、「 交通費・お昼・おやつ代込みで1万円以内で行ける撮影地 」です。今回も KIPON レンズを使い前編に引き続き奥多摩を切り撮ります。さわやかな秋晴れの奥多摩スナップをお楽しみください。機材のみならず、スナップ撮影地選びの参考としていただければ幸いです。 by 編集部 |
「 予算1万円でスナップ撮影の旅に出る 」という、旅好きの私にとっては願ってもいないこの企画。
後半に入る前に再度、今回の旅の機材を再度ご紹介したいと思います。「 IBERIT 」レンズは、Eマウントの MF レンズです。開放 F2.4 の単焦点で、焦点距離は24 mm、35 mm、50 mm、75 mm、90 mm の5本がラインナップされています。ドイツで開発とテストを行い、ドイツの品質基準に沿って製造されています。鏡胴はブラックとシルバーの2色。マウントは、ソニーE、富士フイルムX、ライカM、ライカSL の4種類です。重厚感のあるクラシカルな造りが魅力的です。
Index
1.釜めし なかい で贅沢なひとときを過ごす
ちょうどお昼ご飯の時間になったので、鳩ノ巣渓谷から車で約 10 分行ったところにある「釜めし なかい」へ。
こちらは、奥多摩で大人気の釜めし屋さんです。いつか行ってみたいお店のひとつでした。今日は思い切って来訪!
入店を待つあいだ、お店になっている昔懐かしい日本家屋や、お庭にある池を眺めて過ごしました。時間がゆっくりゆっくり流れていくようでした。
畳敷きで、囲炉裏や調度品に囲まれた席からはお庭が見えます。
一番人気の「きのこ釜めし」を注文してみました。熱々の釜めしはきのこに味がしっかり染みていて大変美味しかったです。お米の食感はモチモチで好みでした。水炊きや刺身こんにゃく、漬け物、甘味までついていて、ボリューム満点!
お料理の撮影は75mmが役立ちます。最短撮影距離は0.6mと、お料理を撮るにはちょうど良いです。
渓流に来たので、川魚であるイワナを食べたくなり、塩焼きも注文してみました。飾り塩がいい感じ。こんがりと焼けたイワナは、苦みが全くなく、とてもサッパリとした味わいでした。
少しだけ滲むハイライトが、お魚がジュワっと焼けた感じをうまく表現してくれたように思います。
2.麦山の浮橋を渡ってみる
” 釜めしなかい ” を後にし、車を約30分走らせ、今度は「麦山の浮橋」を目指します。ビビッドな赤い色が印象的な峰谷橋近くの駐車場に車を停めて、浮橋まで歩いていきます。
麦山の浮橋は、奥多摩湖の湖上にある浮橋です。かつてはドラム缶の上に板を並べただけの橋だったので「ドラム缶橋」とも呼ばれています。
傾いてきた陽に照らされた湖面は、キラキラと輝いていて眩しかったです。ハイライトが発光しているように写るIBERITは、こういったキラキラした被写体が大得意です。
麦山の浮橋は、歩いて渡り、対岸まで行くことができます。実際に降り立ってみると、360 度の大パノラマ!エメラルドグリーン色をした湖面スレスレのところを歩いていくのはややスリリングでした。まるでアスレチックに来た気分。
壮大さを出すためにレンズを 24mm につけかえました。やんわりと写りこんだフレアが、日差しの強さを物語っています。
帰り際、近くの森の中を散歩してみました。倒木の上にかわいいきのこがたくさん生えているのを発見しました。
75mmで絞りを開放にして、きのこに最短撮影距離まで近づいてみました。周辺の流れ方と、じわっと滲むようなボケが、ファンタジー感のあるかわいらしい一枚に仕上げてくれました。
日没も近づいてきたのでそろそろ帰路に。麦山浮橋から奥多摩周遊道路に入り、約 15 分走ると月夜見第一駐車場があります。立ち寄る予定はありませんでしたが、通りかかったときに、美しい景色が見えたので思わず車を停めました。
高台にある駐車場から眺めた、奥多摩湖方面はまさに絶景!やや霞んだ山々と、秋を感じさせる空のハーモニーが心の底まで染みてくるようでした。突然こういった景色に出会えるのも、旅の醍醐味ですね。
ダイナミックさを出したかったので 24mmを 使いました。F8 まで絞り、スッキリと目の前の光景を描き出してみました。
3.旅の総括
奥多摩は過去に何度か訪れているのですが、どういうわけか天気に恵まれないことが多かったです。今回は、すがすがしいくらいの秋晴れで、奥多摩来訪史上最も、晴れ晴れとした気持ちで景色を堪能することができました。
東京都とは思えぬほど空気が澄んでいて、肺から浄化されていくような感覚がありました。大きく開けた大自然のなかで、身も心もリフレッシュできました。
奥多摩は観光ポイント間の距離がかなりあるので、車で訪れたほうが効率よく回れるのではないかと思います。
連載の中であまり使ってこなかった 24mm の出番がたくさんあったのも嬉しかったです。やはり広角レンズは広い場所で使うと楽しいですね。実は一番好きな焦点距離は見たまま撮れる 28mm なので、今回の写真を見直すと「私の視界のものだな」と思えます。
< 旅の収支 >
・高速代 5220円(往復)
。日原鍾乳洞 入場料 800円
・きのこ釜めし 1,650円
・イワナ塩焼 800円
・ガソリン代 1,000円
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合計 9,470 円
■ 制作・著作 ■
新東京物産株式会社
大村祐里子
スタジオグラフィックス