第3回 レフ板( Reflectors )
TOPIX
写真家・礒村浩一の「 探せ!デジカメ・ギア 」。デジタルカメラを使いこなすための、あったら便利、使うと楽しい、そんなアイテム「 デジカメ・ギア 」を紹介していく本講座。今回はポートレートやブツ撮りなどの写真撮影に欠かせない「 レフ板 」をお届けします。
今回取り上げる撮影アイテムは、撮影機材のなかでもとても使用頻度の高い「レフ板?」である。おそらく多くの方が一度は耳にしたことがあることだろう。反射を意味する「 reflex 」からきている名前の通り、光を反射させることで被写体を照らす役割を持つ機材だ。人物ポートレートからブツ撮りまであらゆる撮影においてレフ板は活躍する。ライティングの基本には欠かせないアイテムだ。
■ レフ板とは?
レフ板の役割は光を反射させて被写体を明るく照らすことにある。以下に人物の上半身を撮影した作例を用意した。A は人物の右上方に位置する太陽光のみで撮影したもの。この日は曇り空であったため太陽の光が比較的柔らかく拡散しており、人物の顔全体に光がまわってはいるものの、目元や頬、顎など立体的な箇所には影が落ちている。一方、B では人物の左下前方にレフ板を配置することで太陽光を人物の顔に反射させ撮影した。これにより影の部分にも光が当たるようになり、影が消えて明るい印象の写真とすることができた。また光があたることで人肌の色味を引き出すこともできている。このようにレフ板を使って太陽からの光を反射させ補助光として活用することにより、人物の印象を明るく活き活きと捉えるがことができるのだ。
レフ板には実に様々な形状や材質のものがある。板に白や銀を貼付けたものや、カポックと呼ばれる発泡スチロール製の板は、表面が平滑なので均一に光を反射させやすい。そのかわり大きな板となると持ち運びもなかなか大変だ。一方、布地などで作られたレフ板は折り畳みも簡単で軽量なので持ち運びが楽だ。ただし表面が柔らかいため反射光は拡散しやすい。そのため可能な限り布地はピンと張って使う必要がある。
レフ板は、撮影する被写体の大きさに合わせて大きさを選ぶ必要がある。例えば人物の上半身の撮影であれば 1m 弱四方程度の大きさで十分にまかなえるが、人物の全身撮影ならば長辺 1.5m 程の大きさが必要となる。逆に小物や花の撮影では必要以上に大きいと被写体に近づけることができないので、30cm以下のような小型のレフ板を選ぶようにしたい。このように撮影する被写体の大きさに合わせて最適な大きさのレフ板を選ぶことで、光を適切に反射させることができる。
■ レフ板の色による写真の違い
レフ板の表面の色も、用途に合わせて選ぶことになる。一般的なレフ板は銀色もしくは白色となっているが、黒色や金色のレフ板というものもある。これらは光の反射率や反射光の色の違いなどに影響を与える。
■ レフ板とストロボの組み合わせ
レフ板は自然光のみならずストロボ撮影時にも活用できる。ストロボ光を直接人物に当てて撮影したものと、レフ板にいったん当てて反射光で撮影した二通りの作例を用意した。直接ストロボ光が当たった写真では、人物の顎の影が首にはっきりと出てしまっている。また鼻の影も目立つ。一方、レフ板で反射させた光で撮影した写真はこれらの影が弱まっており自然な光となっていることが判る。
?●まとめ
ブツ撮りにしてもポートレートにしても、ライティングの基礎は太陽からの光( もしくはそれに匹敵するトップ光 )である。その太陽からの光をうまくレフ板ですくい取るように反射させて被写体の影の部分に当ててあげれば、自然な明るさと光の方向性の写真とすることができる。複数の光源を使ってのライティングも魅力的ではあるが、まずはメイン光1つとレフ板のみのシンプルな撮影をマスターすることをオススメしたい。
■ 次回予告
次回は最近話題となっている LED 照明を取り上げる予定。ムービーだけでなく写真撮影でもあると便利な LED 照明。ただ被写体を直接照らすだけでなく、LED 照明ならではの、ちょっと面白い撮影方法なども試してみたいと思う。ぜひともお楽しみに。