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水中写真テクニック講座
中野誠志の 海Photo! 楽Photo! 水中写真テクニック講座
第一回 水中写真の魅力 2009/05/27
 

みなさんこんにちは!
水中写真テクニック講座担当の中野誠志です。
前回の水中写真テクニック講座、『序章 水中からのメッセージ』はいかがでしたか?写真による水中からのメッセージを何か受け取っていただけたでしょうか?
今回は水中写真の魅力と言うことで、内容を掘り下げてみたいと思います。作品には撮影状況とデータも掲載してますので、ぜひ楽しい海フォトライフの参考にしてください。
それでは今回も海フォトを楽しみましょう。

Text by 中野誠志
水中写真の魅力 (写真)
 

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写真A モリアオガエル
撮影地:西伊豆町大沢里大城 洞の田の池 夜間撮影 ストロボ使用

GWも終わり、これから季節も初夏になっていきますね。
初夏と言えば陸上ではモリアオガエルやホタルの恋の季節です。

伊豆でも天城などで彼らのドラマを垣間見せてもらうことができます。

写真の「モリアオガエル」は5月30日に西伊豆町大沢里大城 洞の田の池で、「天城のホタル」は6月24日、伊豆市湯ヶ島 出会橋で撮影したものです。

【参考ホームページ】
伊豆市観光協会天城支部

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写真B 天城のホタル
撮影地:伊豆市湯ヶ島 出会橋
オリンパスE-3 Zuikodigital 50mm 三脚使用 ISO100 f値2 15秒
レタッチ合成仕上げ
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写真C 天城のホタル
撮影地:伊豆市湯ヶ島 出会橋
オリンパスE-3 Zuikodigital 50mm 三脚使用 ISO200 f2 60秒 ノイズリダクション:オン

海中では夏に産卵などの繁殖活動をする生き物たちが、次第に縄張り争いや求愛などの繁殖にまつわる行動を見せ始める時期となります。

また、初夏の海中の風物詩としてダイバーに有名なのは、アオリイカの産卵です。
産卵用に投入された木の枝の中や、水底から水面に向かって伸びる海藻の中にオス・メスのペアで産卵するんです。

『みずいか』という別名のとおり、透き通るような透明感溢れる体色になることもあり、とてもきれいなイカなんですよ。オスは体長80cmほどになる個体もいるし、10〜20匹の集団で産卵することもあるので迫力満点です!
ぜひこの夏撮影にチャレンジしていただきたい被写体ですね。

このように、これからは伊豆の海中が俄然盛り上がってくる季節です。
海フォトファンにはとっても楽しみですよね!

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  アオリイカ
アオリイカの透明感をなるべく出したかったので、逆光でハイライトが飛びすぎない程度に太陽を取り込みつつ、背景の暗い海藻とアオリイカのコントラストが利くように撮影位置を調節しました。
OLYMPUS E-410 ZuikoDigital 8mm fisheye ストロボ INON Z-240×2 灯使用 
被写体との距離 10cm
マニュアルモード F/11 1/60秒 ISO100 撮影地:伊豆 大瀬崎
 

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写真E 河津桜
撮影地:河津町 2月6日 河津川沿い
オリンパスE-3 Zuikodigital 14-42mm 三脚使用 ISO100 f11 1/30秒
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写真F 身延山久遠寺のしだれ桜 1
2月6日 オリンパスE-3 Zuikodigital 14-42mm PLフィルター・三脚使用
ISO100 f6.3 1/100秒
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写真G 身延山久遠寺のしだれ桜 2
撮影地:山梨県身延町身延山 2月6日
オリンパスE-3 Zuikodigital 14-42mm
PLフィルター使用 ISO100 f5.6
1/250秒

さて、今回のお題である「水中写真の魅力」についてお話しする前に、対になる "陸上写真" の魅力について、まずは自分なりに表現したいと思います。

"陸フォト"のおもしろさって何だろう?
って考えてみると、まず写真を撮りに出かける過程である旅行や、その旅行の計画を立てることから、すでに陸フォトのおもしろさがはじまっているのではないでしょうか?

自分も遠出をするときは、まず雑誌やネットで各地のおいしい食べ物や、温泉などもいろいろリサーチしてから向かうようにしています!(笑)

自分は、春は毎年桜を撮りに山梨や長野へと遠征するのですが、過去の開花時期や今年の開花状況を参考にして行き先をいくつか事前に決めます。

ほとんどの有名な桜は、それぞれの観光協会や自治体がブログなどで開花状況を紹介してくれているので、
時期に合わせて桜に会いに行けば、まず外れることがないので嬉しいですね。

あとは天気と仕事の休みの問題ですかね(笑)

逆に、旅先でのふとした瞬間との思いがけない出会いのために、綿密な計画を立てずにぶらっと出かけてみるのも楽しいですよね。

自分の場合もたまに伊豆の近場へとぶらっと出かけるのですが、思いがけないステキな光景との出会いがあったりすると、ちょっと幸せな気持ちになりますね。

そこで、

写真ってどうしてこんなに楽しいんだろう?

って改めて考えてみると、
一番は感動の記録であり、感動の共有のためだと思うんです。

「あ、素敵だな」

と思った瞬間にシャッターを切って、感動を記録として残すわけですが、そこには写し込んだ『感動が記録された写真』を見てもらえる対象が、ゴールとして存在するんですよね。

感動の共有があるから写真はおもしろいんだと思います。

【参考ホームページ】
河津桜祭り

 

 

 



  海フォトの魅力? このページのトップへ  


それでは海フォトの魅力って何でしょうか?

前回お話ししましたが、海中では、少しダイビングの経験を積めば、陸上ではちょっと考えられないほどすぐそばにまで野生の生き物である魚たちに近づくことができるんです。

また、海中には人間より大きな魚もいますし、小魚たちでも群れることによってまるで巨大な壁のようになったり、人間を取り囲む渦のようになることもあります。

体験ダイビングやファンダイブで魚を見る時の感動と言ったら!
お客さんの目はま〜ん丸になっていますよ。
ホントもう大興奮ですよね(笑)
楽しいダイビングが終わった後はみなさん満面の笑顔ですもん。

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  イルカ
イルカ撮影ではストロボを使わないので、イルカの動きを止めるためには
シャッタースピードは、 1/250が基本です。
小笠原や御蔵島でのイルカ撮影は素潜りでの撮影となります。
海中でイルカに合わせて下を向いたり上を向いたりと、激しく露出が変化するので、
露出のコントロールは カメラに任せてSS優先モードで撮影しました。
OLYMPUS E-410 ZuikoDigital 8mm fisheye ストロボなし 被写体との距離 1m
SS優先モード F/3.5 1/250秒 ISO100 撮影地:小笠原


それに、人間って子供の頃は自分より大きな生き物の方が多いのですが、大人になってしまうと、なかなか自分より大きな生き物に出会う事ってないと思うんですよね。

だからこそダイバーは、巨大エイのマンタや大きなジンベエザメ、大きなクジラなどに憧れて、はるばる世界各地まで会いに行くのだと思います。
自分より圧倒的に大きな生き物と間近で出会うことができると、理屈抜きで畏怖の念をいだいてしまいますよね。
そこには震えるほどの本当に大きな感動があります。

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ザトウクジラ
もともとクジラ狙いで潜った小笠原の母島のダイビングポイントでした。
海中にエントリーすると、まるで溜め息をつくかのような、雄クジラの重低音の歌声が間近で
聞こえてきます。期待に心臓の鼓動が早まるのがわかりました。

深呼吸しながら海中で露出の状態を確認すると、天候にも恵まれて、クジラの動きを
止めることができるぐらいの早いシャッタースピードが切れそうです。
どこからクジラが現れるかわからないし、仮に現れてくれたとしてもクジラとの遭遇は短い
と思いました。ある程度の被写界深度が欲しかったので、絞り優先モードを選択しました。

OLYMPUS E-410 ZuikoDigital 8mm fisheye 自然光
被写体との距離 5m
絞り優先モード F/5.6 1/200秒 ISO100 撮影地:小笠原


反対に、大人の小指の爪の先よりも小さな、魚の赤ちゃんにも出会うこともできます。
そんなに体が小さいのにちゃんとがんばって生きています。

見渡す限りのどこまでも続くサンゴ礁や、波の跡が刻まれた真っ白な美しい砂地も感動を与えてくれます。

水深600mまで続く断崖絶壁。
そんな底が見えないほどのドロップオフの壁面をふわふわと浮かびながらゆっくりと泳いでいくこと。

洞窟のような地形に降り注ぐ陽光。

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洞窟
シルエットで撮影したかったので、ストロボをオフに。
ハイライトの階調が飛ばないように、そして洞窟の質感が
少しでも出るような露出で、ダイバーをほどよく配置して
撮影しました。
NIKONOSV UWニッコール20mmF2.8 自然光 被写体との距離 2〜8m
F/8 1/60秒 フィルム:Velvia50 撮影地:久米島

戦争で海中に沈んだ戦闘機や軍艦。
そしてそこに眠る人々・・・。
海中の世界は多くの驚きと感動に満ちあふれています。

そして、自分の感動を写し込んでいく水中写真は、きっとみなさんの毎日を
より楽しいものにしてくれると思います。
そんな素敵な海フォトの世界をこれから一緒に楽しみましょう!

 

さて、水中写真講座の第一回目、水中写真の魅力についてはいかがでしたか?

「そうそう!」と思う方もいれば、「いや、もっとこんなところが楽しいんだ!」という方も
いらっしゃるのではないでしょうか。

今回の記事を書くにあたり、実際にいろんなダイバーに意見を聞いてみました。

曰く、

「写真がうまくなるのが楽しい」
「写真を撮ることで魚の名前を覚えることができて楽しい」
「陸上のような光景が撮れるときがあっておもしろい」

と、うんうんと肯いてしまうような意見から、

「水中写真は自由だ」
「水中写真は計算だ」

思わず「ええっ、それはなぜですか!?」 と聞いてしまうような御意見までいただけました。
水中写真って、深いですね〜!(笑)

さて、次回の第二回水中写真講座は、 『水中写真用機材の選び方』を予定しています。

これまでの内容でみなさんに水中写真についての興味を持っていただいたところで、
いよいよ実際に機材の解説に入っていこうと思います。
どうぞお楽しみに!

 

>> NEXT  「第2回 水中写真用機材の選び方」 

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初出:2009/05/27
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