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第23回 RAW現像と編集テクニック
 基本編 RAWのメリット・デメリット
RAWで写真を撮ろう 2007/05/16
 
1.RAW撮影のメリットとデメリット
2.Photoshop Elements の Camera RAWを起動
3.RAW現像の基本操作 〜DNGってなに?〜

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上の画像はホワイトバランスの設定を変更した例。色味に大きな影響を与えます。RAWで撮影すると、この変更が後で現像する際に行う作業のひとつになります。

 
1.RAW撮影のメリットとデメリット
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画像A
RAWは、JPEGと同じ画像ファイルの一種。Photoshop CSやElementsがインストールされているWindowsで見るとアイコンはこんな感じ。

以前より、読者の方からご希望が多かったRAW現像について、Photoshop Elements講座でも取り上げることになりました。

こちらの講座では"比較的デジタルカメラの構造や機能に詳しくない"という方を対象としていますので、RAW撮影に関するノウハウからPhotoshop ElementsのCamera RAW機能の操作まで、トータルで解説していきたいと思います。

 

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画像B
Photoshop ElementsでRAWファイルを開くと、Camera RAWという別ウィンドウが開き、そこに画像が表示される。ここで表示されている画像はカメラの設定どおりに現像した場合を想定した色味や明るさが初期値として設定されている。

画像C
ホワイトバランスはデジカメ特有のカラー設定で、大きく色味が変わってくる要素。アマチュアは「自動」(カメラ任せ設定)に設定して撮影している人が多いが、プロはシビアに手動で調整しながら撮影する。
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画像D
ホワイトバランス(色温度)の設定を変更するだけで、これだけ色味が変わってくる。撮影時の設定では一発勝負で、ミスったらそれまでだけど、RAWで撮影しておくと、Photoshop Elementsなどで後で現像する際にこのように選択できる。これが「失敗が少ない」と言われるゆえん。

 

RAWとはなにか?

このページに興味を持った読者のみなさんの多くは、デジカメで撮った写真を「JPEG」という画像形式で保存していると思いますが、一眼レフや一部のコンパクトデジカメでは、JPEGのほかに「RAW」という形式で保存する機能があります。

デジカメで撮影するとき、カメラの内部ではレンズを通ってきた光によって「生」の画像情報が得られ、それをカメラ内部で現像して、扱いやすいJPEG画像でメモリカードに保存しています。

「生」の画像情報のことを「RAW(ロー)」やRAWデータ、RAWファイルと呼び(いわば、RAWは現像前のフイルムのようなものです)、それをそのままメモリカードに保存する機能をデジタル一眼レフなどは機能として持っているわけです。

詳しくはイラスト解説付きで「できるオヤジになる! デジカメPopeye 第12回 RAWデータを理解しよう 基本編」をご覧になって頂くか、"しっかり勉強したい方"は私たちが書いた書籍「体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ」(日経BPソフトプレス刊)を読んでくださいね。

RAWは、カメラ内部で捉えたもともと画像情報なので、高画質です。しかし、その分、大容量です。カメラで撮影する際にもメモリカードに書き込む時間がずいぶんとかかりますし、メモリカード1枚に保存できる枚数も少なくなります。また、メーカー独自のファイル形式ですので、一般のブラウザや画像閲覧ソフトで気軽に画面表示するためには現像が必要です。

これがRAWの特徴のすべてです。

メリットがある代わりにデメリットも多いので「なにはともあれRAWで撮れ」といった雑誌の見出しやキャッチフレーズには同意できません。

「この写真は特にきれいに撮りたい」「この1枚は失敗したくない」といったときに、RAWモードに切り替えて撮影する、のが最適な方法だと思います。わたしの周囲のプロカメラマンも、そうして使い分けている人が多く、撮影のリズム感を重んじる人はJPEG主体で撮っています。

かと言って「RAWはプロ級の人達だけにお勧め」というわけでもありません。失敗の多い初心者にお勧めしたい理由として「失敗を後からリカバリーしやすい」という利点があります。

では、もう少し詳しく、RAWについて堀り下げて見ましょう。

現像を後でやるので失敗が少ない
 〜初心者にむしろお勧めの理由〜

ちょっと乱暴なたとえですが、前述の通りデジカメの場合、RAWデータがネガやポジなどのフィルムだと仮定すると、JPEGがプリントした写真です。
プリントした写真しか手元に残っていなければ、もう少し明るく現像したり、赤みをとりたいと思っても困難です。プリント写真から再プリントもできますが画質の低下が気になります。まぁ、そんな例えと同じです。RAWが残っていると、後から明るさや色味などを変えて、いくらでもJPEGに現像することができるというわけです。
露出や絞りなどのカメラ設定のほかに、デジカメの場合、ホワイトバランスなどの設定間違いによって、おかしな写真になってしまうこともありますが、RAWで撮っておくと現像は後でパソコン等で行うことになりますので、その際に調整すればよいのです(もちろん調整にも限界はありますが・・)。
だから失敗は少なく済む、撮影時にアレコレと気にする必要がなくなる、というわけです。もし、RAWがもっと小容量でコンパクト、レタッチソフトウェアで標準的に扱えるものだったなら、撮影の失敗が多い初心者にむしろお勧めしたもの、なのです。

RAWの画質がきれいな理由

カメラの内部で光が画像信号に変えられた段階では、すなわちRAWの段階では4,096段階(12ビット)や65,536段階(16ビット)といった膨大な色情報を持っています。つまり色が豊かでグラデーションなども細かいわけです。しかし、JPEGの仕様にそって現像すると、色情報は256段階(8ビット)まで減らされ、小さく圧縮されて保存されます。JPEGのファイルサイズはRAWの半分から1/10も小さくなります。その代償として、ブロックノイズがのって、画質は必ず劣化してしまうのです。

ただ、このJPEG圧縮の劣化は「高画質」で保存した場合、一般的には気にならないレベルの場合が多く、プロカメラマンの仕事でも支障にならないケースも多くあります。そのため、一発で思った写真が撮れるプロカメラマンは扱うのに面倒なRAWではなく、扱いやすいJPEGを選択する場合も多いのです。特に最終的にJPEG画像として納品したり、仕上げ対するのであれば、色情報が膨大なRAWで撮影したとしても、現像してJPEGで保存する祭に、最終的には色情報は減って圧縮による画質低下が発生することには変わりないわけです。

すなわち、RAWで撮ってJPEGに現像すれば、とにかく画質がよい、ということではありません。

※本文では一般的なJPEGについて述べています。JPEG2000など、比較的新しい規格の特徴はやや異なります。

2.Photoshop Elements の Camera RAWを起動
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画像E
RAWのアイコンをドラッグして、Photoshop Elementsのウインドウ上でドロップ。

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画像B(前掲出と同じ)
Photoshop ElementsでRAWファイルを開くと、Camera RAWという別ウィンドウが開き、そこに画像が表示される。ここで表示されている画像はカメラの設定どおりに現像した場合の色味や明るさが初期値として設定されている。

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画像F
Photoshop CS2などに添付されているAdobe Bridge。表示しているのはRAWの一覧。画像の選択に便利だ。
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画像G
Photoshop Elementsの「写真整理モード」で、RAWファイルの一覧表示ができる。これなら簡単にRAW画像の選択ができるというもの。
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画像H
サムネールサイズの調整レバーを動かして、画像の表示サイズを変更できる(1)。1枚を選んでダブルクリックすると1枚表示モードに代わり、フルスクリーン表示も可能。
右クリックして「スタンダード編集へ移動」を選ぶ(2)と、Camera RAW画面が起動する。
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画像I
写真整理モードで編集を選択した画像がRAWファイルだった場合は、自動的にCamera RAWが起動する。
かなり便利な感じ。

 

Camera RAWってなに?

RAWデータはカメラメーカー独自の仕様です。そのため、以前はカメラメーカーが提供する現像ソフトでのみしか現像や編集、加工ができませんでした。そこでもっとRAWを便利にしようと登場した機能がアドビの「Camera RAW」です。

Camera RAWとは、Photoshop CSから装備されている追加機能(プラグイン)で、Photoshopとは別のウィンドウで開きます。主要なカメラ機種のRAWデータをPhotoshopで開き、現像や編集を行い、JPEGなどで保存できる機能です。

日頃、Photoshopシリーズを使っているユーザにとってはRAW現像からレタッチまでがひとつのソフトウェアで操作できるようになったことは歓迎すべきことでしょう。

ただ、カメラメーカーが提供する現像ソフトと比較すると、細部の画質のクオリティで幾分落ちるところもありますので、その点は目をつぶらなければなりません。

Photoshop ElementsでRAWを開く方法

まず、RAWファイルをメモリカードからパソコンのディスクにコピーや転送をします。RAWファイルが冒頭の右画像のようにアイコン化して表示されていれば、ダブルクリックをするとPhotoshop Elementsが起動して、RAW画像が表示されます。アイコン表示されていなかったり、別のアプリケーションが起動してしまう場合は、まず、Photoshop Elementsを写真編集モードで起動し、現像したいRAWファイルをドラッグ&ドロップすると表示されます。

RAWは現像して、一般の画像ファイルで保存しない限り、Photoshop Elementsの編集画面では表示できません。このときは、Camera RAWという現像機能の画面(プラグイン)で開きます。

ElementsでRAWを一覧表示する方法

このとき、「どのRAWファイルを開くか選別したい」、すなわち「縮小画像(サムネイル)で一覧表示したい」と感じた場合はどうしたらよいでしょうか。WindowsではRAWを簡易表示したり一覧表示する機能がありません。

Photoshop CS2なら、添付されているAdobe Bridgeを使えば、RAWであっても一覧表示ができて、RAW画像から目的の一枚を選ぶのにとても便利です。また、一覧表画像の表示サイズをシームレスに変更できるのも嬉しい点です。

しかし、残念ながらPhotoshop ElementsにはAdobe Bridgeは添付されていません。
でも諦めるのは早計、Elementsの場合は、「写真整理モード」を使えばよいのです

RAWファイルであっても、対応している機種のものであれば、Camera Rawと連携して写真整理モードで一覧表示し、Adobe Bridgeと同様にシームレスに表示サイズを指定して一覧できます。これは特筆すべき利点と言えるでしょう。

操作はJPEGなどと同じ。「写真整理モード」で起動して、「ファイル」→「取り込み」→「ファイルやフォルダから」を選択し、RAWが保存してあるフォルダを選んで「取り込み」ボタンを押せばOK。一覧にRAW画像が追加されます。

RAWを選んでCamera RAWを起動

画像を確認するため、一覧の中からひとつの画像を選んで大きく一枚表示にしたり(画像Hの1)、フルスクリーン表示にすることもできます(画面右上)。

また、画像を右クリックして表示されるサブメニューから「スタンダード編集へ移動・・」を選ぶ(画像Hの2)と、自動的にCamera RAWが起動して、RAW現像のモードになります。

 

 

3.RAW現像の基本操作 〜DNGってなに?〜
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画像J
現像してJPEG等で保存するには、Camera RAWで「開く」ボタンをクリックする・・・。

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画像K
RAWが自動的に現像されて、Photoshop Elementsのいつもの画面で画像が開く。「ファイル」→「別名で保存」でJPEGやPSDで保存すれば現像完了。このままレタッチ加工も通常通りにできる。

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画像L
RAWを現像せずに「DNG」(未現像)で保存したい場合は、Camera RAWで「保存」ボタンをクリックする。DNG形式に変換して保存できるほか、複数のRAWを次々と連番で保存していくこともできる。

 

なぜ「現像」と呼ぶ?

RAWの場合、「現像する」という表現に深い意味はありません。フィルムカメラになぞらえて使っているに過ぎないからです。で、通常はRAWからJPEGやTIFFなど、表示や加工しやすい画像ファイルとして保存することを「現像する」と言っています。

Photoshop Elementsで言えば、前述の手順によってCamera RAWで表示し、ホワイトバランス設定などを調整して、ウインドウ右下の「開く」ボタンをクリックすると、調整後の画像がPhotoshop Elementsの操作画面に転送されます。この状態になると、Photoshop Elementsの機能でJPEGなどの画像形式で保存したり、レタッチ加工も自由自在、これがいわゆる現像された状態、と考えればよろしいでしょう。

RAWの標準仕様を狙う「DNG」

ちなみにRAWに関する画像ファイル形式で重要なものに「DNG」があります。


DNGはDigital Negativeの略称で、Photoshop シリーズのアドビ システムズ社がRAWファイル形式の標準仕様として提案している形式です。前述の通り、RAWはカメラメーカーやカメラ機種独自のファイル形式であるため、ユーザは利用するのに不便だし、サポートが打ち切られたらもっと悲惨・・レタッチソフトメーカーなどにとっては、新機種が出るたびにRAWの仕様を解析して対応していかなければないない・・などのデメリットがあります。

それらのデメリットを払拭するため、公開仕様であるDNGを、RAWの標準仕様として採用するようにカメラメーカーに呼びかけるとともに、メーカー独自のRAWから、アドビ標準のDNGに変換するソフトウェア『DNG Converter』(Windows用Macintosh用)をユーザに無償提供するなどして、普及に努めています。

ところで、標準といってもDNGはRAWファイルの一種で現像前のファイルです。色情報が多彩ですし、劣化が少ない状態でホワイトバランスや明るさ、彩度などを変更してJPEGなどで保存することができます。しかし、未現像ファイルなので、画像の活用するにはCamera RAWなどで現像する必要がある点は同じです。

RAWをJPEGで保存する方法、RAWをDNGで保存する方法は右画像の手順を見てください。

次回は、Photoshop ElementsのCamera RAWの編集や各種設定について、操作も含めて解説したいと思いますのでお楽しみに。


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※Photoshop等はアドビシステムズ社の商標です。
 
初出:2007/05/16
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