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画像A
RAWは、JPEGと同じ画像ファイルの一種。Photoshop CSやElementsがインストールされているWindowsで見るとアイコンはこんな感じ。
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以前より、読者の方からご希望が多かったRAW現像について、Photoshop
Elements講座でも取り上げることになりました。
こちらの講座では"比較的デジタルカメラの構造や機能に詳しくない"という方を対象としていますので、RAW撮影に関するノウハウからPhotoshop
ElementsのCamera RAW機能の操作まで、トータルで解説していきたいと思います。
画像B
Photoshop ElementsでRAWファイルを開くと、Camera
RAWという別ウィンドウが開き、そこに画像が表示される。ここで表示されている画像はカメラの設定どおりに現像した場合を想定した色味や明るさが初期値として設定されている。
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画像C
ホワイトバランスはデジカメ特有のカラー設定で、大きく色味が変わってくる要素。アマチュアは「自動」(カメラ任せ設定)に設定して撮影している人が多いが、プロはシビアに手動で調整しながら撮影する。 |
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画像D
ホワイトバランス(色温度)の設定を変更するだけで、これだけ色味が変わってくる。撮影時の設定では一発勝負で、ミスったらそれまでだけど、RAWで撮影しておくと、Photoshop
Elementsなどで後で現像する際にこのように選択できる。これが「失敗が少ない」と言われるゆえん。
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●RAWとはなにか?
このページに興味を持った読者のみなさんの多くは、デジカメで撮った写真を「JPEG」という画像形式で保存していると思いますが、一眼レフや一部のコンパクトデジカメでは、JPEGのほかに「RAW」という形式で保存する機能があります。
デジカメで撮影するとき、カメラの内部ではレンズを通ってきた光によって「生」の画像情報が得られ、それをカメラ内部で現像して、扱いやすいJPEG画像でメモリカードに保存しています。
「生」の画像情報のことを「RAW(ロー)」やRAWデータ、RAWファイルと呼び(いわば、RAWは現像前のフイルムのようなものです)、それをそのままメモリカードに保存する機能をデジタル一眼レフなどは機能として持っているわけです。
詳しくはイラスト解説付きで「できるオヤジになる! デジカメPopeye 第12回
RAWデータを理解しよう 基本編」をご覧になって頂くか、"しっかり勉強したい方"は私たちが書いた書籍「体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ」(日経BPソフトプレス刊)を読んでくださいね。
RAWは、カメラ内部で捉えたもともと画像情報なので、高画質です。しかし、その分、大容量です。カメラで撮影する際にもメモリカードに書き込む時間がずいぶんとかかりますし、メモリカード1枚に保存できる枚数も少なくなります。また、メーカー独自のファイル形式ですので、一般のブラウザや画像閲覧ソフトで気軽に画面表示するためには現像が必要です。
これがRAWの特徴のすべてです。
メリットがある代わりにデメリットも多いので「なにはともあれRAWで撮れ」といった雑誌の見出しやキャッチフレーズには同意できません。
「この写真は特にきれいに撮りたい」「この1枚は失敗したくない」といったときに、RAWモードに切り替えて撮影する、のが最適な方法だと思います。わたしの周囲のプロカメラマンも、そうして使い分けている人が多く、撮影のリズム感を重んじる人はJPEG主体で撮っています。
かと言って「RAWはプロ級の人達だけにお勧め」というわけでもありません。失敗の多い初心者にお勧めしたい理由として「失敗を後からリカバリーしやすい」という利点があります。
では、もう少し詳しく、RAWについて堀り下げて見ましょう。
●現像を後でやるので失敗が少ない
〜初心者にむしろお勧めの理由〜
ちょっと乱暴なたとえですが、前述の通りデジカメの場合、RAWデータがネガやポジなどのフィルムだと仮定すると、JPEGがプリントした写真です。
プリントした写真しか手元に残っていなければ、もう少し明るく現像したり、赤みをとりたいと思っても困難です。プリント写真から再プリントもできますが画質の低下が気になります。まぁ、そんな例えと同じです。RAWが残っていると、後から明るさや色味などを変えて、いくらでもJPEGに現像することができるというわけです。
露出や絞りなどのカメラ設定のほかに、デジカメの場合、ホワイトバランスなどの設定間違いによって、おかしな写真になってしまうこともありますが、RAWで撮っておくと現像は後でパソコン等で行うことになりますので、その際に調整すればよいのです(もちろん調整にも限界はありますが・・)。
だから失敗は少なく済む、撮影時にアレコレと気にする必要がなくなる、というわけです。もし、RAWがもっと小容量でコンパクト、レタッチソフトウェアで標準的に扱えるものだったなら、撮影の失敗が多い初心者にむしろお勧めしたもの、なのです。
●RAWの画質がきれいな理由
カメラの内部で光が画像信号に変えられた段階では、すなわちRAWの段階では4,096段階(12ビット)や65,536段階(16ビット)といった膨大な色情報を持っています。つまり色が豊かでグラデーションなども細かいわけです。しかし、JPEGの仕様にそって現像すると、色情報は256段階(8ビット)まで減らされ、小さく圧縮されて保存されます。JPEGのファイルサイズはRAWの半分から1/10も小さくなります。その代償として、ブロックノイズがのって、画質は必ず劣化してしまうのです。
ただ、このJPEG圧縮の劣化は「高画質」で保存した場合、一般的には気にならないレベルの場合が多く、プロカメラマンの仕事でも支障にならないケースも多くあります。そのため、一発で思った写真が撮れるプロカメラマンは扱うのに面倒なRAWではなく、扱いやすいJPEGを選択する場合も多いのです。特に最終的にJPEG画像として納品したり、仕上げ対するのであれば、色情報が膨大なRAWで撮影したとしても、現像してJPEGで保存する祭に、最終的には色情報は減って圧縮による画質低下が発生することには変わりないわけです。
すなわち、RAWで撮ってJPEGに現像すれば、とにかく画質がよい、ということではありません。
※本文では一般的なJPEGについて述べています。JPEG2000など、比較的新しい規格の特徴はやや異なります。
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