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第23回 木漏れ日で魅力的な写真を撮ろう |
2005/05/25 |
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●特殊な光?
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第20回から続けて紹介してきた光の種類による撮影テクニックが紹介が一通り終わったので、今回は、特殊な光(太陽光)の使い方をご紹介します。
公園や林、森など、樹木を背景にしたポートレート写真をよく見かけると思いますが、自然の緑を背景にしたポートレートは、特別なことをしなくても、それなりに魅力的な写真になるものです。しかし、本講座はより魅力的な写真を撮るテクニックを紹介するのが使命ですから、少しだけ特別なことにチャレンジしてみましょう。
それは 「木漏れ日」 を使った撮影です。
木漏れ日は、モデルの顔や胸元に不定形の優しい光の輪を描き、女性の魅力をさらに引き出してくれます。でも、ただ単に木漏れ日の下で撮ればいいというものではありません。木漏れ日は、木々の枝や葉の隙間から漏れてくる光ですから、風などの影響で常に移動し、形が変わり、それによって光量までもが一定ではありません。
そんな「木漏れ日」と上手な付き合うにはどうしたらいいのでしょうか。
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写真0 |
木々の間から漏れてくる日差しを使って撮影しました。 帽子によってできる影はレフ板で補います。通常の太陽光下よりも光が少ないので、銀レフであおってみました。
撮影データ (写真をClickで拡大)
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モデル:藍
海夏 |
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●木漏れ日はスポットライト
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木漏れ日というと、不定形な水玉模様の光を思い浮かべるかもしれませんが、最初は、比較的大きな木漏れ日を使ったサンプルをいくつかご紹介しましょう。
写真1は木々の多い自然公園の歩道で撮った写真です。この公園は、あまりにも樹木が多いために、ほとんどの歩道は日中でも薄暗いのですが、ときどき、木々の切れ目から射し込む光でできた丸い陽だまりに出会うことがあります。そこはまるでスポットライトを浴びたステージのようにも見えます。この光を木漏れ日と呼ぶにはちょっと無理があるかもしれませんが、ここで掲載した理由は、こういった光は、スポットライトのように、モデルだけを真上から照らしてくれるので、周囲は暗く、モデルだけを浮かび上がらせることができることを説明したかったのです。
写真0、写真2、写真3も、写真1のように、ほぼ真上から当たる光ですが、こちらはたくさんの木の枝や葉によって、光が拡散されているのがわかると思います。それでも、写真1のように、スポットライト効果が出ているのがわかるでしょうか。周辺光が暗くなると、背景の緑が深みを増して、さらに良い雰囲気になりますよね。
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●木漏れ日は天然のディフューザー
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木漏れ日のもうひとつの良いところは、真上からの光であっても、木の枝や葉が天然のディフューザーとなって、光を柔らかくしてくれることです。写真0、写真2、写真3は、7月の中旬、午前11時という時刻に撮ったものですが、もし木漏れ日ではなく、まともに日差しを受けていたら、写真1のように、モデルの肌にもっと強い光が当たり、顔や首に強い影が出るといった、コントラストの強い写真になっていたはずです。
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写真1 |
真夏の真上から射す日差しで撮影。モデルを取り囲む大きなスポットライトのような光です。
撮影データ (写真をClickで拡大)
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モデル:藍
海夏 |
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解説1 |
レフ板で光を補う
(図をClickで拡大)
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●レフ板でコントラストを調節
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木漏れ日がディフューザーとなって、光を弱めてくれるとはいっても、やはり真上からの光では顔や首下が影になりがちです。せっかくのスポットライト効果を上手に使うには、この影をできる限り消してあげることです。そのためには、前回紹介したレフ板を上手に使いましょう。真上からの木漏れ日で使うレフ板は、解説1のようにするとよいでしょう。
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写真2 |
公園の木立のそばで、木漏れ日を使っての撮影です。木漏れ日とはいっても真夏のお昼近くの日差しですので、かなりコントラストの高い光になります。首にできる影を打ち消すために、白レフで胸元をおこし、プログラム
AE でそれにあわせた露出を決めています。
撮影データ (写真をClickで拡大)
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モデル:藍
海夏 |
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写真3 |
写真2と同じ場所で、木漏れ日を使っての撮影です。写真2よりも明るく見えますが、写真2と違うのは、折り重なった木々の葉によって光がディフューズされている場所を選びました。それでも首筋の影が濃くなってしまうので、銀レフで補っています。
撮影データ (写真をClickで拡大)
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モデル:藍
海夏 |
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●真横から当たる木漏れ日
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次は、上記したスポットライトタイプの木漏れ日よりも、ちょっと幻想的にも見える、写真4のような不定形な水玉模様の木漏れ日にチャレンジしてみましょう。
写真4は、街路樹のある歩道で撮影したものです。季節は秋。時刻は夕方近く、傾いた日差しが街路樹の枝や葉に遮られて、優しい光の水玉模様を描いています。こうしたロケーションに女性を佇ませてみると、特別な演出をしなくても雰囲気のとても良い絵になりますよね。
写真5は、木漏れ日が当たる錆付いた看板を背にしての写真です。写真4よりも大きな光の玉になっていますが、写真4は同様、雰囲気が出ていると思いませんか?
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●顔にできる影に注意
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こうした水玉模様の木漏れ日は、スポットライトタイプの木漏れ日よりも慎重に撮影する必要があります。まず、水玉模様の光と、枝や葉の影の位置に注意します。注意するポイントはひとつ。モデルの顔にどんな光と影ができるかです。写真4と写真5をよく見ると、モデルの顔にわずかですが影ができているのがわかります。この程度なら許容できますが、顔の大半を隠してしまうような陰や、まるでパンダのように両目に影ができてしまうよう影はいただけません。モデルに動いてもらって、なるべく影ができない位置を探しましょう。
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●顔と胸にハイライト
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魅力的な写真にしたいなら、木漏れ日によるハイライト部分が、モデルの顔と胸にできるように心がけましょう。この点さえ押さえていれば、後はどんな影ができようと、大体うまくいくものです。
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●スポット測光で周辺光を落とす
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モデルの顔にハイライト部分を作ったら、カメラをスポット測光モード(第21回参照)にして、そのハイライト部分で露光します。そして、一段程度、露出を落とします。こうすることで、周辺光を暗くして雰囲気をさらに良くすることができるはずです。試してみてください。
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写真4 |
この木漏れ日は、10 月中旬の夕方近くの傾いた光です。基本的には側光になるわけですが、木漏れ日は周囲に乱反射するので、きちんと露光すると補助光を使わなくても光は十分に回り込んでくれます。ただ、もっと雰囲気を出したかったので、スポット測光でモデルの顔(最も光が当たっている部分)で露出を決め、周囲を暗くするように心がけました。
撮影データ (写真をClickで拡大)
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モデル:寺崎
佑紀 |
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写真5 |
写真4と同じ時刻、同じような木漏れ日がある場所での撮影です。同じように、スポット測光でモデルの顔(最も光が当たっている部分)で露出を決め、周囲を暗くしています。ちなみにこの場所は、世田谷の某町の歩道です。
撮影データ (写真をClickで拡大)
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モデル:寺崎
佑紀 |
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写真6 |
写真4と写真5と似たシチュエーションですが、季節は5月中旬。5時過ぎの夕方の傾いた日差しです。撮り方は同じ、スポット測光でモデルの顔(最も光が当たっている部分)で露出を決め、周囲を暗くしています。
撮影データ (写真をClickで拡大)
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モデル:寺崎
佑紀 |
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<< 次回は、日陰と曇天下での撮影です。お楽しみに >>
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