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第24回 曇天下と日陰での撮影 <1> |
2005/06/15 |
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●間接光とは反射光
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いよいよ「新・女性の撮りかた講座」も、大詰めの「第3部」に突入です。第1部の「人工光」、第2部の「太陽光」ときて、第3部のテーマは
「間接光」
です。間接光とは、壁やその他の物体に反射した光、つまり、「反射光」のことです。これに対して、被写体に直接当たる光を「直接光」と呼びます。間接光は直接光と違い、ディフューザーを通した光のように、柔らかく優しくなります。
第17回で紹介したストロボのバウンス発光や、レフ板に反射させた光も間接光の一種ですが、第3部では、自然光、つまり太陽の光を間接的に使うテクニックを紹介していきます。ストロボよりも強く明るい太陽光を間接的に使うので、ストロボのバウンス発光とは少し違う注意が必要になります。
私は、この間接光が好きで、女性を撮影するときは積極的に使います。その理由は、柔らかくて優しい光が、女性の肌を綺麗に見せてくれるからです。ただし、間接光は気をつけていないとコントラストが低く、また露出不足になりがちで、ややもすると肌の色がくすんでしまいます。
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写真0 |
かなり日差しの強い晴天の「日陰」での撮影です。そのままでは肌の色もくすみ、瞳にキャッチライトも入らない状況ですので、モデルから数メートル離れた場所から銀レフで光を集めて撮影しています。ホワイトバランスは晴天の日陰用の
7500k、彩度は肌色強調、さらにポートレートエンハンサーフィルタをかけています。
撮影データ (写真をClickで拡大)
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モデル:藍
海夏 |
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●天然のバウンス光 - 曇天下の日陰
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まず最初の間接光は、「曇天の光」です。曇天下での撮影を嫌う人もいますが、曇り空から降りてくる太陽光は、雲という天然のディフューザーによって適度に柔らかい光になっていますので、きちんと露光してあげれば、女性の撮影には最適な光だともいえるのです。
写真1と写真2をご覧ください。両方とも半曇の日に、建物の壁に囲まれた日陰での撮影です。直接光の写真ほどコントラストは高くはありませんが、肌のグラデーションが柔らかく綺麗に出ているかと思います。どちらの写真ともストロボやレフ板などの補助光は一切使っていませんが、共通していえるのは、建物の壁などに反射する光を使っていることです。(
解説1
) こうした光は、壁や地面など、さまざまな場所から乱反射してくるので、天然のバウンス光ともいえ、被写体に影ができにくく優しい雰囲気の写真になるという利点があります。
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解説1 |
壁面からの間接光を使う
(図をClickで拡大)
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●ホワイトバランスに注意
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曇天下ではカメラのホワイトバランスに注意しましょう。オートになっているから大丈夫と安心しきっていると、被写体の肌がくすんだり、青っぽくなったりします。通常、曇天下での撮影では、ホワイトバランスを
6000〜6500k 程度に設定しますが、オートホワイトバランスではイメージした通りの色味になることは稀です。使っているカメラのホワイトバランスが、細かなステップで調整できるものなら、撮影後に必ず液晶で画像を確認して、最適と思われるホワイトバランスをマニュアルで選びましょう。写真1は
OLYMPUS E-10 でホワイトバランスを 6500k に設定して撮ったものですが、多少青みがかっています。E-10
のプリセットホワイトバランスは微調整できないので、これ以上はどうしようもありません。これに対して写真2は、OLYMPUS
E-1 で、ホワイトバランスを 6000k に設定して撮ったものです。壁の色の違いはもちろんありますが、同じような天候とロケーション、そして同じ時間帯で撮ったのにも関わらず、肌の色味の違いがわかるでしょうか。
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写真1 |
半曇りの日、建物の壁に囲まれた日陰での撮影です。ストロボもレフ板も使わないで撮影した写真です。空の光が建物の壁に反射して回り込み、モデルの肌を優しく照らしています。こうした環境は、空の光を天然のディフューザーを通してレフ板で反射させた状況を作り出してくれます。
撮影データ (写真をClickで拡大)
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モデル:澤口
留美 |
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写真2 |
真冬の夕方、薄曇りでの撮影です。ストロボもレフ板も使っていません。ホワイトバランスは
6000k。青が強調される彩度設定 ( CM3 ) にしているにも関わらず、全体的に少し赤みがかかっているのは、ホワイトバランスと建物の赤っぽい壁に乱反射した夕方の光のせいでしょうか。
撮影データ (写真をClickで拡大)
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モデル:澤口
留美 |
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ホワイトバランスと色温度の関係
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●木陰での撮影
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次は、木陰での撮影です。まずは失敗例の写真3をご覧ください。雰囲気はいいのに、顔がかなり暗くなっていますね。この写真は周囲が全て樹木、そうです森の中での撮影なんです。こうしたロケーションは、ビルなどの壁からの間接光とは違い、光がかなり弱くなってしまいます。いくら雰囲気が良くても、被写体の顔が潰れてしまっては失敗です。
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●背景を絞りこんで露出はマニュアルに
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写真3はプログラム
AE で撮影しているのに、なぜこんなに顔が暗くなるのでしょうか。それは、測光モードが画面全体から判断するプログラムモードだということと、被写体に比べて背景が明るいからです。本来、被写体の顔が暗くならないように調整してくれるのがプログラムされた測光モードなのですが、コンピュータはあてに。ならないと言うことです
そこでまず、被写体にずっと寄って、背景を樹木だけにしてしまいましょう。次に露出をマニュアルにして、シャッタースピードを数段落として撮影してみます。背景をぼかすために絞りは開放にします。
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写真3 |
失敗例
森の中での撮影です。空には薄曇りの太陽がありますが、周囲の木々が太陽光を遮っています。いわゆる日陰状態です。写真1と似た状況ですが、建物の影とは違って、木々の葉に反射した光なので、さらに柔らかい光となって回り込んでいます。ただ、レフ板もストロボも使っていないので、顔が少し暗くなっています。
撮影データ (写真をClickで拡大)
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モデル:藍
海夏 |
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●携帯レフ板で顔を起こす
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さらに、レフ板を使って被写体の顔を明るく起こしてみましょう。写真3は白レフを使った写真です。写真4は銀レフを使って、さらにシャッタースピードを一段落としています。太陽の直接光でレフ板を使うと、白レフでもかなり強烈なコントラストが出てしまいますが、こうした間接光だけのロケーションの場合は、たとえ銀レフであったとしても、光が柔らかくコントラストも適当な写真になります。
携帯できるレフ板は基本的に小さいので、被写体の全身に光を当てることができません。そういう理由から、被写体に寄ったアップの写真しか撮れないのがデメリットです。
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写真4 |
写真3と同じ場所で、今度は白レフで顔を起こしています。光が弱くなるので、露出設定をマニュアルにして、シャッタースピードを
1/80 秒に落としてみました。
撮影データ (写真をClickで拡大)
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モデル:藍
海夏 |
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写真5 |
今度は銀レフでモデルの顔を起こしています。周囲の環境光が柔らかいので、銀レフでもそんなに強い光にはなりません。さらにシャッタースピードを
1/60 秒に落として少しハイキーな写真にしてみました。瞳の中にあるキャッチライトで、銀レフをどのように当てているかわかりますね。
撮影データ (写真をClickで拡大)
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モデル:藍
海夏 |
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<< 続きは次回、日陰と曇天下 <2> でお届けします。お楽しみに >>
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