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新・女性の撮りかた講座
第3部 間接光の上手な使い方
第25回 曇天下と日陰での撮影 <2> 2005/06/29
 
■小ネタにも触れますぞ
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内蔵・外部ストロボの同時使用

 

 今回は曇天下と日陰での撮影の後編ですが、前回の内容と少々被る部分もあるので、間に撮影の小ネタを挟みながらお届けしようと思います。

 写真0は、基本的に日陰となる場所で撮影したものですが、このロケーションは、モデルの頭の部分にのみ半逆光で日差しが射し込んでいる晴天の木陰という微妙なロケーションです。モデルの頭に当たる日差し以外は、周囲の白い柱や木々の葉からの反射光がありますが、補助光を使わないとモデルの顔や体は完全に沈み込んでしまいます。そのため、解説1のように、使っているカメラ(OLYMPUS E-10)の内蔵ストロボと外部ストロボを同時発光させ、さらに一畳分はある大型の白レフで全身を明るく起こしています

キャッチライトのために

 

 このときのポイントは、モデルの顔と瞳に入れるキャッチライトのために、内蔵ストロボを顔に正面照射させて、外部ストロボはレフ板にバウンス発光させています。このとき、正面発光しかできない内蔵ストロボは、光量を弱く設定し、外部ストロボは光量を強くして白レフにバウンス発光させています。こうしたテクニックは内蔵ストロボのある一眼レフカメラでないとできませんが、「第19回 2つのストロボを使った多灯撮影テクニック」で紹介している方法であれば、内蔵ストロボのない一眼レフカメラでも可能です。

 なぜこのような方法をとっているかというと、写真0のようなロケーションでは、まず瞳にキャッチライトが入らないからです。レフ板だけで明るくしても、レフ板の光は弱い反射光ですから、魅力的なキャッチライトにはまずなりません。写真0をクリックして拡大写真で、キャッチライトの入り方を確認してみてください。

 

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写真0 モデルの頭の部分にのみ半逆光で日差しが射し込んでいる晴天の木陰での撮影です。その他は、周囲の白い柱や木々の葉からの反射光がある微妙なロケーションです。ストロボとレフ板なしでは、顔がかなり暗いなってしまうので、OLYMPUS E-10 の内蔵ストロボと外部ストロボの同時発光させて、大きな白レフ板で光を補いました。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:渋谷 真理子

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解説1 内蔵と外部ストロボの同時発光
 (図をClickで拡大)

天使の輪にも注意

 

 私が女性の写真を撮るときに気をつけているのは、キャッチライトの他に、髪の毛に光の輪を作ることです。以前、シャンプーのコマーシャルか何かで「天使の輪」と言っていたのを覚えてますか? 私は髪の毛の光の輪のことを、このコマーシャルを真似して「天使の輪」と呼んでいます。写真0は、モデルの頭にだけ半逆光の日差しが当たっているため、この「天使の輪」が綺麗に出ています。

 日本人女性の髪は気をつけて撮影しないと、写真では基本的に黒く潰れてしまいます。逆に、髪の毛に光を上手に当ててやれば、綺麗な光の輪が程よいコントラストで現れ、印象的な写真になります。

 

■日陰はマニュアル露出で撮影
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露出は上げ気味で

 

 写真1を観てください。写真左にある建物が作る日陰で撮ったものです。この写真は、絞りもシャッタースピードも全てプログラム AE (全自動)で撮ったものですが、全体的に暗いイメージになっていますね。明らかに失敗例です。その原因は、モデルの背後にある青空です。全体の構図の中ではかなり狭い面積しかない「空」ですが、晴天の「空」というものは圧倒的に明るいので、露出に及ぼす影響はかなり大きくなるものです。そのため、カメラの測光システムが勘違いしてしまうことも多々あるわけです。

 こうした理由から、写真1のような日陰での撮影時には、露出の設定をプログラム AE に頼るのはやめましょう。マニュアルで絞り値やシャッタースピードを設定するのは大変ですが、一歩進んだ写真が撮りたいのなら、日頃からマニュアルに慣れ親しむようにしましょう。

シャッタースピードだけでも大きく変わる

 

 写真2は、絞り値は写真1と同じで、シャッタースピードだけを変えて撮ったものです。写真1が 1/400 秒、写真2が 1/250 秒です。瞳にキャッチライトが入っていますが、これはモデルの顔の前方に空があるからで、レフ板やストロボを使ったわけではありません。

女性の曲線を表現する

 

 私が女性を撮るときにもう一つ注意しているのが、「女性の曲線」です。それは体の輪郭(ライン)であったり、体そのものであったりもします。また、女性特有の仕草もそのひとつです。この「女性の曲線」が表現されるように、構図や光、そしてモデルのポージングを工夫しています。

 写真0まず木の枝をつかんでもらっていることがひとつの演出です。男性がこのポーズをとったら気持ち悪いですが、女性だと柔らかいイメージが演出できます。また、何か物を食べているシーンというのは、可愛らしくもあり、ときにはとってもセクシーになります。写真0の場合は、木の枝とケーキというふたつの演出を入れてしまったので、ちょっとやりすぎた感じになってしまいましたね。

 写真2は、子供用の三輪車にまたがってもらうことで、自然と女性らしいポーズになりました。男性ならこんな風にまたがないですよね。男性がまたぐとM字開脚になると思いますが、まぁそうなったらそれはそれで……。そういう写真は私が個人的に楽しみます。

 

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写真1 失敗例
日陰ですが、かなり日差しの強い日でした。絞り優先 AE での撮影ですが、ESP 測光モードが背後にある空の明るさに影響されてか、シャッタースピードが 1/400 秒になっているために、少々暗い写真になっています。さらに、こうした場所で彩度を肌色強調の CM4 にしていると、妙なコントラストがついてしまいます。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:藍 海夏
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写真2 写真1と同じ状況で、撮影モードをマニュアルにして、シャッタースピードを 1/250 秒に落としてみました。その他の設定はすべて写真1と同じですが、全体に明るくなって妙なコントラストもなくなりました。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:藍 海夏
■白レフと銀レフの違い
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光の違いを楽しもう

 

 ここ数回の講座には、頻繁にレフ板が登場していますので、ここでは、レフ板の色による違いを紹介しておきましょう。

 解説2のような一般的に売られているレフ板には、白色の面と銀色の面があります。当然ですが、白い面を使った場合と、銀の面を使ったときでは、出来上がる写真に大きな違いが生まれます。

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解説2 一般的なレフ板
 (写真をClickで拡大)
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写真3 写真1と同じように、日陰での撮影です。今度は大き目の白レフでモデルの体全体を明るく起こしています。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:藍 海夏

 

 レフ板の色によって、写真がどう異なるのかは、レフ板に反射させる光源の色にもよりますが、白レフを使うとより自然に、銀レフを使うと、少しコントラストの強い写真になります。

 写真3は白レフを使ったもので、写真4写真3と同じ状況で銀レフを使ったものです。写真4の方が、コントラストが強く、少し赤みを帯びていますね。銀レフは白レフよりも、より多くの光を反射させるので、こうした結果になるわけです。 どちらのレフ板を使うとよいのかは、好みですので、いろいろ使い分けて楽しんでください。


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写真4 写真3と同じ状況で、今度は大き目の銀レフでモデルの体全体を明るく起こしています。モデルの肌が赤みを帯び、さらにコントラストが強くなっているのがわかります。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:藍 海夏
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写真5 かなり日差しの強い晴天の「日陰」での撮影です。モデルの斜め上から銀レフで光を集めています。ホワイトバランスは晴天の日陰用の 7500k、彩度は肌色強調、さらにポートレートエンハンサーフィルタをかけています。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:藍 海夏

胸の下に影を作る

 

 女性の曲線を表現する方法のひとつとして、胸のラインを強調することがあげられます。私は、女性を一番表現するのが「胸」だと思っているわけで、その丸みを殺してしまうような構図や光はなるべく避けています。写真3写真5は、モデルよりもやや上方向からレフ板による光を当てて、胸の下に影が出るように心がけています。影をしっかりと出すことで、胸の大きさがわかるようになります。もちろんこの方法は、ある程度は胸がないと意味がありませんが……。

 

■より暗い日陰での撮影
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ストロボによってできる影に注意

 

 これまでに紹介した写真は、日陰とはいえ、周囲からの間接光があるので、ある程度は明るい場所での撮影したものばかりです。しかし、間接光に乏しく、かなり暗い日陰での撮影では、どうしてもストロボに頼らざるを得なくなりますよね。

 こうした場所でストロボを炊くときには、室内でのストロボ撮影と同じ注意が必要です。それは、ストロボによってできる人物の影を作らないようにすることです。

背景に影を作らない

 

 まず、モデルの背後に壁となるようなものがあるときは、モデルになるべくそこから離れてもらいましょう。モデルと壁の距離が近いと、どうしても壁にモデルの影ができてしまいますが、壁から離れるだけで、影はできにくくなります。単純ですよね〜。でも、撮影テクニックなんて、ほとんどがこんなものです。

 写真6のような森の中の場合では、背景から離れることによって、影のほか、木や葉などにストロボの光が強く反射することを防ぐことができます。

レフ板で影を消す

 

 写真7は、モデルが壁にほとんどくっついた状態での撮影ですが、背後に影ができていませんね。これは、ストロボの光量を調整していることはもちろんですが、複数のレフ板を使って、より多くの光をかき集めていることも、影をなくすことに一役かっています。そうやって使うレフ板は、人物ではなく、背後の壁に当てるようにしているわけです。

おまけ・ポージングの勉強

 

 女性を綺麗に魅せるポイントは、光の使い方はもちろんですが、ポージングも大きく関係しています。モデル自身にポージングを勉強してもらうことも必要ですが、カメラマンも当然勉強しなくてはなりません。私の場合は、グラビア雑誌をはじめに、女性誌や映画の中に登場する女性のポーズをじっくり観察するようにしています。そうして、撮影の現場では、自分自身がポーズをとって、モデルに指示するようにしています。恥ずかしいかもしれませんが、別の効果もあるんですよ。私のような熊男が「しな」を作るわけですから、当然、モデルは笑いを堪えられなくなってしまいます。そうすることで、モデルの緊張をほぐしてあげられるわけです。

 

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写真6 光の届かない森の中で、外部ストロボと銀レフを使っての撮影です。こうした状況で注意するのは、背景の緑とモデルの距離を少し多めにとって、背景の緑にストロボの光が強く反射したり、モデルの影が映らないようにすることです。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:藍 海夏

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写真7 晴天の下ですが、石垣に囲まれた日陰です。ストロボと大き目の白レフで光を集めています。この撮影でも、写真6と同じように、壁に影ができないように気をつけています。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:寺崎 佑紀

<< 続きは次回、いよいよ間接光の室内編。お楽しみに >>
 
初出:2005/06/29 このページのトップへ
 

     
 
 

     
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