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新・女性の撮りかた講座
第2部 太陽光との上手な付き合い方
第22回 逆光に挑戦!日中シンクロとレフ板の使い方 2005/04/27
 
■逆光に挑戦
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●どうしたんだ!

 

  三週も続けて更新です。「どうしたんだ、薮田に何があったんだ?」とお思いの方も多いでしょうね。やればできるんです。私も。……いや、実は、更新が滞ってると怒られたんですよ。神崎洋治に……。

 そういうわけで、毎週毎週、女性の撮りかた講座を真面目に更新しているわたくしですが、最近、物撮りの仕事の依頼がよくきます。私は物撮り得意じゃないんですよ。とくにケーキとかお菓子とか。あれは難しいですよ。物撮りカメラマンって本当に技術がないとできませんよ。私なんかじゃとてもとても…。で、結局断っているわけですが、今度は今度で、ある有名人の撮影の依頼がきました。でも、それも断っちゃいました。なんでって、だってその人、男性なんですもの…。

逆光・半逆光のおさらい

 

 そういうわけで最近、写真の仕事をほとんどしていない薮田ですが、スタグラは真面目に更新していきますのでよろしくです。で、今週は「逆光」に挑戦してみましょう。まずは、逆光半逆光について、以下を読んでもらっておさらいしておきましょう。画像をクリックしてみてください。

 

 

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写真0 半逆光での撮影。レフ板はもちろん、ストロボも使っていませんが、顔が暗くなることなく撮れました。なぜだと思いますか?
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:渋谷 真理子
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解説1 逆光とは
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解説2 半逆光とは
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■逆光で暗くなった顔は日中シンクロで補う
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●失敗例

 

 写真1は、逆光で撮った場合のよくある失敗例です。当然ですが、太陽がモデルの背後から当たっているために、体の前面が影になってしまっています。逆光と半逆光のメリットは、被写体の輪郭がはっきりとして、被写体を浮き上がらせた写真が撮れることですが、顔が表情もわからないほど暗くなってしまっては、まったく意味がありません。

ストロボの日中シンクロ

 

 写真1のような失敗を回避するには、解説3のようなストロボによるライティングをします。最近のカメラとストロボは、被写体と周囲の明るさを測光して、最適なストロボの光量と絞りおよびシャッタースピードを自動で設定してくれます。これは夜間や室内はもちろん、日中の屋外でも同じです。こうした日中の屋外の明るさに同調(シンクロ)させて、補助光としてストロボを使うことを「日中シンクロと呼びます。


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解説3 ストロボで光を補う
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 日中シンクロで撮った写真が写真2です。日中シンクロといっても、難しいことはありません。ほとんどがカメラ任せでいいんです。ただし、カメラの露出をマニュアルで調整したいときは、シャッタースピードにだけ注意しましょう。以前にも書きましたが、使っているカメラには、ストロボにシンクロ(同調)できる限界のシャッタースピードがあります。使っているカメラのカタログやマニュアルを参照して、ストロボにシンクロする最大のシャッタースピードを調べておき、その限界値よりも低いシャッタースピードに設定する必要があります。

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写真1 失敗例
普通に逆光や半逆光で撮ると、モデルの顔が暗くなりがちです。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:寺崎 佑紀
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写真2 ストロボで日中シンクロ
内蔵ストロボを使って日中シンクロで撮影しました。露光はすべてカメラ任せでも、この程度に逆光で暗くなった顔を明るく撮影できます。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:寺崎 佑紀
 

 また、ストロボの光量をマニュアルで設定するときは、GN = 絞り値 × 距離(m) の式(「第17回 ストロボは反射させて使う」のガイドナンバーの項目を参照)が、ストロボの光量と最適露出を導き出すものだということを参考にして、光量や露出値を微調整しましょう。

 

※ストロボとシャッターの関係

 一般的にレンズ交換型の一眼レフカメラは、フォーカルプレーンシャッターと呼ばれるシャッターを使っています。フォーカルプレーンシャッターは、先幕と後幕と呼ばれる二つの幕で構成され、これらの幕が CCD などの受光素子の前を時間差をもって移動することでできる「隙間」によって露出を調整しています。実は、このフォーカルプレーンシャッターの構造上の欠点が、ストロボの発光と同調できるシャッタースピードに限界をもたらしています。一般的に、フォーカルプレーンシャッター式のカメラがストロボに同調できるシャッタースピードは、1/60 〜 1/250 秒とされ、それ以上に高速なシャッタースピードでストロボを使うと、画像上にシャッターの影ができる「ケラレ」という現象がおきます。こうした「ケラレ」現象が起きる理由には、シャッタースピードが高速になればなるほど、先幕が開ききる前に後幕が閉じ始めてしまう、つまり、シャッターの隙間が極めて細くなるという理由がひとつと、一般的なストロボは、シャッターが開いてから発光を開始するという理由のふたつがあります。
 高速なシャッタースピードでストロボを使う場合は、シャッター幕が開く直前から発光を開始し、長時間光りつづけられるストロボを使う必要があります。このような発光を FP 発光と呼び、FP 発光に対応したストロボであれば、1/4000 秒などの高速シャッターでストロボを使うことができます。

   
■レフ板で光を補う
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●自然な写真にするには

 

 写真2のように、ストロボで光を補うと、モデルの顔が白っぽくなり、いかにもストロボを使いましたという感じになる場合があります。もちろん、ストロボの光量を調整したり、絞りやシャッタースピードを調整することで、こうした「いかにも」を、いくらかは回避することはできますが、もっと自然な感じの写真にしたいというときは、「レフ板」を使ってみましょう。

レフ板とは?

 

 「レフ板」とは、 Reflector (反射板)の略で、白や銀の反射幕に光を反射させ、被写体を明るくさせる撮影機材です。 解説4は普通のカメラ店で購入できる一般的なレフ板で、折り畳んで小さくできるので携帯に便利です。


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解説4 一般的なレフ板
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レフ板の使い方

 

 レフ板は、解説5のような感じで反射面に光を反射させ、被写体の顔を照らして使います。解説4のような両面が異なるレフ板の場合は、白い面と銀色の面がありますので、環境光の強さによって使い分けます。また、白と銀ではイメージがまったく異なりますので、自分が撮りたいイメージに近くなるように使い分けしたり、反射させる角度を調整しましょう。


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解説5 レフ板で光を補う
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解説6 レフ板を立てかけて使う
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  モデル:藍 海夏

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解説7 アシスタントに持ってもらう
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  モデル:藍 海夏
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写真3 レフ板で光を補った写真1
写真2とは違い、ストロボを焚いていない代わりに、レフ板を当てて顔を明るくしています。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:寺崎 佑紀
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写真4 レフ板で光を補った写真2
ここで紹介している丸いレフ板ではなく、一畳くらいの大きさのある白いレフ板で体全体を明るくしています。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:渋谷 真理子
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写真5 レフ板で光を補った写真3
モデルの右下に置いた銀レフで夕日を反射させて顔に当てています。銀レフがわざとらしいですが面白い絵になっていると思います。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:藍 海夏
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写真6 レフ板で光を補った写真4
写真5と同じ、モデルの右下に置いた銀レフで夕日を反射させて顔に当てています。銀レフがキャッチライトになっているのがわかりますか?
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:藍 海夏
   
■レフ板とストロボを両方使う
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より艶やかに撮るには

 

 最後は、ストロボとレフ板の両方を使っての撮影です。写真7は、半逆光の状況で、白いレフ板で光を反射させ、さらにストロボを正面照射しています。写真2よりもストロボの「いかにも感」がなく、全体的にハイキーで艶やかな写真になっているかと思います。写真7の瞳をよく見てください。ストロボとレフ板の両方がキャッチライトになっています。

より自然な感じに撮るには

 

 写真7だと、ちょっと不自然だと感じる方には解説8のようなライティングをオススメします。そうです。レフ板にストロボの光をバウンス発光させる方法です。ちょっと面倒な感じがするかもしれませんが、この方法であればストロボの光量をマニュアル設定することもなく光量を弱め、さらに光を拡散させることで、より自然な写真が撮れるはずです。また、周囲に直接光が足りなく、レフ板でなかなか反射光を起こせないような環境で、被写体を暗くすることなく撮影できます。こうして撮影したのが写真8です。


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解説8 レフ板で光を補う
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 レフ板にストロボ光をバウンス発光させるときのコツは、レフ板の反射面をモデルに向かってまっすぐにしておくことです。ストロボの角度は撮影するときに、レフ板に向けます。

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写真7 レフ板+ストロボ
白いレフ板と外部ストロボの日中シンクロです。E-20 の絞り優先(F2.2)で撮りましたが、シャッタースピードが 1/640 でリミットなので、少しハイキーになってしまいました。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:寺崎 佑紀
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写真8 レフ板+ストロボバウンス発光
逆光に加えて、左にある樹木の影がモデルに落ちています。ここまで影が多くなると、背景との差が大きくで、ストロボを直射するといかにもという写真になってしまう恐れがあったので、外部ストロボを白いレフ板にバウンス発光させて光を柔らかく補っています。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:寺崎 佑紀
   
■おまけ・青空をキレイに撮るには
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PL フィルタを使う

 

 さて、写真9をご覧ください。この写真は今回のテーマである逆光ではなく、太陽がかなり高い位置にある斜光です。(テーマからちょっと外れていますがご容赦を…) さて、この写真9は全体的にバランスよく露光できていますが、何も考えずに撮るとこのような写真には決してなりません。なぜなら、斜光の上に、モデルが帽子を被っているために顔に大きな影ができてしまいます。また、モデルの背後に青空がありますが、この青空をキレイに出そうと思うと、ある程度は露出を空にあわせなくてはならなくなり、そのせいでさらに被写体が暗くなってしまうからです。

 では、どうやって写真9のようにバランスよく撮るのかというと、まず、解説7のように銀レフを使ってモデルの顔を明るくます。銀レフを使っているのは、青空に負けないくらいの光が欲しかったからです。次に、サーキュラー PL というフィルタを使って、空の青さに深みをつけています。このサーキュラー PL フィルタとは、偏光フィルタのことで、光の表面反射を除去するフィルタです。このフィルタを使うと、水面やガラスなどに反射する光を除去できるだけじゃなく、青空や樹葉、山肌、建物などの色彩を非常に鮮やかにする『色彩コントラスト効果』も得られます。

 空には多くの水蒸気が浮かんでいて、これに太陽の光が乱反射しているために、人の目には青く映って見えても、普通のレンズを通してみると、青さが半減してしまいます。こういうときにサーキュラー PL フィルタを装着すると、水蒸気の乱反射がカットされて、本来の青が戻ってくるというわけです。

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写真9 レフ板と PL フィルタ
逆光ではなく斜光の写真ですが、帽子で顔が暗くなってしまったところを銀レフのみで起こしています。青空は PL フィルタで強調しました。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:藍 海夏
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解説9 サーキュラー PL フィルタ
 (図をClickで拡大)
●次回予告

 次回は、日陰と木漏れ日で魅力的な写真を撮るテクニックを紹介する予定です。お楽しみに。

 
初出:2005/04/27 このページのトップへ
 

     
 
 

     
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