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〜 自然な色味と演出する色味 〜 |
2003/12/17 |
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■被写界深度について |
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1ヶ月半ぶりですね。皆さんお元気ですか?私はヘロヘロです。しかし、夏のロケに関する連載が終わったと思ったら、あっという間に冬ですね。秋に撮影してなかったわけじゃないんですけど、ネタ的に間に合わないので、今回は冬の撮影についてお届けしたいと思います。
そんなわけで今回のモデルは坂梨亜里砂ちゃん。まだ中学2年生です。すごく大人びて見えるかもしれませんが、中身は元気な14歳です。私は彼女を見て、某カメラマンと結婚して引退した南沙織さんを思い出してしまいました。
私 |
「亜里砂ちゃん、南紗織さんって知ってる?」 |
亜里砂 |
「知りません」(宮崎のイントネーションで) |
私 |
「だぁ〜れもいない海〜……って歌、知らない?」 |
亜里砂 |
「今のは歌ですか?(笑)」 |
私 |
「まぁいいや(汗)、要はね、亜里砂ちゃんが南紗織さんに雰囲気が似てるってことを言いたかったんだよ」 |
亜里砂 |
「初めて言われましたぁ」 |
●禁句
と、まぁ、私は本来、モデルに「だれそれに似ているよ」という言葉は禁句にしているのですが、歌とわからない歌を唄ってしまったことの照れ隠しに、つい禁句を言ってしまいました。でも、後で南紗織さんがどんな方を知って、亜里砂ちゃんもまんざらではなかったようなので、まぁ良しとします。
なんで「だれそれに似ているよ」を禁句にしているのかというと、タレントは誰もが自分の個性にプライドを持っていますから、「似ている」はダメなんです。自分は自分で、他の誰でもない。そう思うことで、個性ってのは培われていくものなんだと思いますよ。
●まずは被写界深度を理解
今回のテーマは「冬の光」なんですけど、その前に被写界深度のことをきちんと理解しておきましょう。以前、「写真レタッチ講座」で被写界深度については少し触れましたけど、「女性の撮りかた講座」でもちゃんとやらなけりゃと思いましてね。
「あっ、ネタが尽きたな!」と思った方、廊下に立ってなさい。
さて、被写界深度とはピントの合う(と見なされる)距離の範囲のことです。被写体にピントを合わせて撮影すると、被写体の前後にもピントの合う(と思われる)範囲がありますが、これを被写界深度と呼びます。ピントの合う範囲が広いほど被写界深度が深い、また逆を被写界深度が浅いと言います。被写界深度は、使用するレンズの「絞り値」と「焦点距離
」、「カメラから被写体までの距離」によって変化します。
●被写界深度を決定する3つの要素
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被写界深度 |
深い |
浅い |
絞り値 |
絞る(大きく) |
開放(小さく) |
撮影距離 |
被写体が遠い |
被写体が近い |
焦点距離 |
広角寄り |
望遠寄り |
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「この表はもう見飽きたぞ」というあなた! 廊下に……。いや、そうですか飽きましたか。そりゃそうですよねぇ、2回も同じ表を使ってますからねぇ。いくら表のスタイルと順番を変えたところで、スタジオグラフィックスの常連さんには同じ表を使っているのはバレバレですよねぇ……。
●被写界深度のイメージ
それじゃぁですねぇ、私がほぼ半日をかけて作った大作をご覧いただきましょうかねぇ。これを見てもらえば、上の表の意味がよくわかるんじゃないでしょうかねぇ〜。ふん。
要はですね、絞り値を大きくする(絞り込む)ほど、被写界深度は深くなり、絞り値を小さくする(開放する)ほど浅くなります。また、同じ絞り値を使ってもレンズが広角になるほど深く、望遠側になるほど浅くなります。
さらに、同じレンズで同じ絞り値でも、被写体が遠距離にあると深く、近距離にあるほど浅くなります。
もうひとつ書いておくと、被写界深度は、ピントが合っている位置を中心にして、カメラ側へ1、奥側へ2の比率になっています。
いやぁ、しかし、図1はよくできてますねぇ。右端の樹木のボケ方も微妙に変えてあるのがわかりますかぁ?レンズの「絞り羽根」もちゃんと描けてますねぇ。これ見れば誰もが被写界深度のオーソリティーですねぇ。
えっ?イラストの丸顔の女は誰なんだですって?誰でもいいじゃないですかぁ、適当なイラストが思いつかなかったんで、ハードディスクをごそごそ探してたら、出てきたんですよ。まぁご愛嬌ということで。
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■光と影の強いコントラスト |
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●テーマはどっちなんだぁ!
??冬の光を使った撮影方法といいながら、被写界深度の解説をだらだらと書き綴って、いったいどっちが本当のテーマなんだ?と、今思ったでしょ。どっちもですよ。いやだなぁ。
冬の夕方の光を使いながら、被写界深度を意識した写真を撮ろうと、まぁそういうわけです。あんまり深く考えないでください。深く考えて私の弱い部分を突っつこうと思っているあなた。廊下でバケツを持って立ってなさい。
●真横から当たる太陽
写真2は初冬の夕方、4時ちょっと前の太陽光だけで撮影したものです。ほぼ真横から光が当たっているのがわかりますね。冬の夕方の陽射しとはいえ、こうしてサイド光として被写体に当てると、かなり強烈なコントラストが得られます。
こうしたコントラストの強い写真も、顔にできる影をうまく演出できれば、悪い写真になることはありません。意志の強さや精悍さを表現できるはずです。
もし、こうした風景で陽射しが弱いか曇っていたとしたら、背景の樹木の緑に髪の毛が溶け込んでしまい、いくら被写界深度を浅くしても被写体が浮かび上がることはありません。
●またまた被写界深度
また被写界深度についてです。写真2のデータを良く見てください。 シャッタースピードは1/250sec、絞りはf3.6です。絞りを開放に近づけると背景がボケやすくなるのはもう理解できてますよね。でも、f3.6はそんなに開放しているわけじゃありません。なのに背景のボケ足が強いのはどうしてでしょう。そう、焦点距離が望遠レンズのそれだからです。写真2のデータでは焦点距離が32mmとなっています。「32mmって広角レンズに近いじゃないか」と思った人もいることでしょう。ところが、それは銀塩カメラの常識なんですね。デジタルカメラの場合は、データとして記録された焦点距離をそのまま鵜呑みにはできません。また、デジタルカメラの機種によっても焦点距離の表記がさまざまなので、メーカーが出しているカタログを読んで「35mmフィルム換算」をしてやらなければならないのです。ここで使ったカメラはオリンパスのE-20で、カタログ値をもとに「35mmフィルム換算」するとE-20の焦点距離32mmは銀塩カメラレンズの約125mmに相当します。つまり、望遠レンズを使って撮った、というわけです。そのために被写界深度が浅くなったわけですね。冒頭の写真のデータと比べてみてください。冒頭の写真は絞りで、写真2は焦点距離で被写界深度を浅くしています。
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■ピンポイントで当たる光を探そう |
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●公園の中で光探し
今回のロケ地は東京は世田谷にある某公園です。よく撮影に使う広大な公園で、ロケーション探しには持ってこいの場所なんですけど、お目当ての光を探すのにはそれなりの努力が必要です。今回は、真横からピンポイントで光の当たる場所がお目当てで、あーだこーだ撮影しながらそんな場所を探していたら、ありました。木立や木の葉の間から洩れた光が、ちょうど木の幹に対して真横に当たっている場所が。
そんなちょっといい感じのロケーションで撮影したのが写真4です。太陽もかなり西に傾いてきていて、弱い光になっていましたが、かえってそれがいい雰囲気を出してくれるものです。真横からの光なので、瞳にもキャッチライトが入って可愛く撮れたと思います。
●公園は光の宝庫
良いロケーションを探すためには、景色ばかりに見とれていないで、光がどんな風に差し込んでいるかということに注意してみましょう。光に注目しながらだと、いつもの公園でもいろんなロケーションがあることに気づくはずです。光の違いをうまく使うことができれば、同じモデルでもまた違った表情で撮れるものです。
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