萩原和幸の旅スナップ ~ Trip-Snap
第16回 神戸を行く<後編>
TOPIX
坂の街を旅しながらのスナップをお届けしている「 萩原和幸の旅スナップ~ Trip-Snap 」。第 16 回目は前回から引き続きの「 神戸 」からお届けします。神戸の旅に萩原氏がお供に選んだレンズは、フルサイズ対応標準ズーム「 AT-X 24-70 F2.8 PRO FX 」と「 Lensbaby Twist 60 」の2本。そして今回は久しぶりのスナップポートレートです。それではお楽しみください。 by 編集部 |
今回の「 萩原和幸の旅スナップ 」は、前回に引き続き神戸。旅のお供の機材は、前回と同じでフルサイズ対応標準ズーム「 AT-X 24-70 F2.8 PRO FX 」にフルサイズ機の Canon EOS 5D MarkIII。それとフルサイズでグルグルボケをフルに堪能できる Lensbaby Twist 60。坂の街で、しかも天候は予報通りの雨。雨の中のレンズ交換は、何時なんどきでも気を使うものだし、機材は本当に最小限にしたいのだ。
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三宮駅で待ち合わせした「 なみ 」さん、とっても聡明で綺麗な方だ。今回はそもそも神戸の夜景とあわせての撮影なんだけど、彼女メインでの純粋なポートレート撮影したいなあと、撮影前からそんな気持ちに。
ハーバーランドに向かって歩く。雨は強くなる一方。足元はすでにびしょびしょの彼女。「 今日はそうなる覚悟で来ています 」との心強いお言葉をいただき、雨の様子を見ながら、少ないシャッターを押す。
一番ポップな彩りが望めるはずのハーバランドも、雨に霞んでしまっている。雲が低いと夜景では厄介。ましてやストロボを使わず高感度で撮影するとなると、低い雲が不必要に明るくなってしまうのだ。それでも構わない! と躊躇なく ISO 感度を上げる。欲しいのはその時の雰囲気や空気で、観光写真のようなキレイな写真を求めているのではないから。
「 すみません、雨の中だけど、一瞬傘を下ろして立ってくれる? 」
なんてムチャを言う人だろうねえ、私って(笑)。
「 そういえば、路面の反射を考えながらの撮影をあまりしたことがないから新鮮です! 」と、屈託のない笑顔で傘を置いてくれる。ポートレートを撮影する者として、雨降る状況で無茶をお願いするのは如何なものかと思ったりもしたが、こころよく応じてくれるモデルさんのためには、一瞬で切り取ることも期待に応える一面だろう。
……レンズ交換はできるだけしたくない。これだけの雨だ。そうなるとズームレンズが生きてくる。しかも夜。Tokina AT-X 24-70 F2.8 PRO FX のような大口径の F2.8 はありがたい。
こちらからはあれこれ注文をつけないようにした。まごまごしていると髪がびしょ濡れになってしまうからだ。僕がお願いしたことはただ一つ「 佇む 」だ。
彼女には雨の湿気が実にマッチしていた。それなら雨の中、無理な動きを求めるよりも、しっとりさを前面に出した方がいい。
ハーバーウォークにて。
反対側から見れば、背景にもう少し神戸らしい灯りが写ったけど、僕は、路面の水たまりの反射を優先してこちら側からを選択した。タングステンらしい色調だけにして、単一の世界観を出す。水たまりには、雨の波紋。でも雨が多すぎて、綺麗に波紋に残らない。ちょっと残念。一つの夜景にこのように立ってくれるだけで、シーンとして時間が動き出す。とってもありがたいことだ。
光はあくまでそこにある地明かり。
ストロボを使えばここまで気を使わずに、思うように彼女を明るく照らすことができる。でもしなかった。あくまでも目的は、神戸のそのままの夜景。旅で訪れたのだから、ない場所に明かりを作ることに、ちょっと引っかかったのだ。
でもここまで頑張ってくれた彼女のために、ピシッとポートレートを撮りたかったなあ。もっともこの雨風の中じゃ、ストロボはポールさら倒れていたと思うけど(笑)
雨はさらに強くなってきた。僕はこの後、北野の異人館街に行ってみたいと思っていたのだが、さすがにこの雨の中を歩いてもらうにはちょっと大変。もう終わりにしようか、と口にする僕に、行きたいところはないですか? せっかくだから行きましょう! 行かないと後悔するかもしれませんよと彼女。積極的で協力的な彼女の後押しに感謝しながら、異人館街に。
意外にも、異人館街には明かりが少ない。通りも含め、もっとライトアップされているかと思っていた。もちろん、そこで生活されている方々もいらっしゃるわけで、早々明るくはしていられないかもしれないけど、今日は土曜日だし、少しくらいはねえ。益々強くなる雨脚に、そんな小さな期待外れを感じながら、坂道を二人で登っていく。
なみさん、また是非お願いしますね!
初日の撮影はここで終了! 何度も言うが、土砂降り! 土砂降り! 正直、よくこれだけ出て撮影していたものよ、と、自分自身で感心した。
翌朝も雨。都合上、午前中のうちに帰京便に乗らねばならず、早朝のうちからぶらぶら。
まずの目的は生田神社。何せ「 神戸 」の由来となった神社だし、繁栄・縁結びの神様だから、ここは行ってみたかった。
ホテルから歩くこと 10 分、生田神社に到着。
でもまだ開いておらず、外観だけを眺め、時間つぶしに辺りをぶらつくことに。
開門時間に合わせ、再び生田神社へ。もう何人もの地元の方が参拝に来られている。それがあまりに自然。古くからあることで、生活の一部になっていることに感心する。
境内北側には、鎮守の森として「 生田の森 」が広がっている。このような中心街で……と思ってしまうほど厳か。
生田神社を後にし、参道を海側へと歩く。朝の顔と昼間の顔と、夜の顔。知らない街は、同じ場所を歩くにも時間によっての違う顔を発見できるだけで面白い。
残念ながら、この辺りで引き返さないといけない。かなりの消化不良でしかも雨。絶対にもう一度来よう! ウェザーコンディションの良い時に。なみさんのポートレートも約束したし。かなり後ろ髪を引かれながら、神戸を後にした。
さて、次回はどこに行こうか。次は本格的な冬支度の頃かな。
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■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
萩原 和幸
■ モデル ■
なみ