萩原和幸の旅スナップ ~ Trip-Snap
第13回 昭和な街・小諸を行く
TOPIX
前回、前々回の「 萩原和幸の旅スナップ~ Trip-Snap 」は、スナップ・ポートレートで華やかにお送りしましたが、今回からいつも通りの旅スナップに戻って、長野は小諸から旅スナップをお届けします。萩原氏が今回の旅のお供に選んだレンズは、フルサイズ対応標準ズーム「 AT-X 24-70 F2.8 PRO FX 」と広角ズーム「 AT-X 14-20 F2 PRO DX 」。それではお楽しみください。 by 編集部 |
今回の「 萩原和幸の旅スナップ 」は、信州・長野。ただいま放映中の大河ドラマ「 真田丸 」の舞台として盛り上がっている上田・佐久あたりは賑やか。その中でも今回は、小諸と松代を訪れることにした。
小諸は坂のある城下町として知られていて、この連載のテーマでもある「 坂のある街 」に合致する。でも本当の理由はというと、青春時代に愛読していた漫画家の故・小山田いくさんの故郷でもあるから。その頃、「 すくらっぷブック 」、「 星のローカス 」、「 ぶるうピーター 」など、小山田作品が大好きで、それらが小諸を舞台とした漫画だった。小山田氏の実弟で漫画家のたがみよしひささんの「 軽井沢シンドローム 」と並び、僕の漫画の世界の中では、この小諸が身近だった。小山田さんが亡くなられたことで、「 行きたい! 」気持ちが増殖! 行くなら爽やかな夏の風を感じたい……ということで、長くなったけど、小諸に決定したのです(笑)
手段はもちろん、いつも通り高速バスで。午前 7:40、池袋発の西武バスにて上田駅に向かう。そこから、しなの鉄道に乗り換えて小諸を目指す。夜行でないとはいえ高速バスセット( 枕・腰当て・スリッパ・アイマスク・耳栓 )は当然。現地まで3時間半のバス旅ですから、きちっと体力は温存しますよ。
今回の旅スナップのお供のレンズは2本。フルサイズ対応標準ズーム「 AT-X 24-70 F2.8 PRO FX 」と「 AT-X 14-20 F2 PRO DX 」。そしてカメラはキヤノン EOS 7D MarkII。いつもよりシンプルな装備にしたのは、身軽に、動きやすくしたかったから。夏だし坂だし。なによりも僕は汗っかき! 少しでも軽くしたいのだ。このラインナップなら、35mm 版換算で 21mm ~ 105mm までを開放値 F2.8( F2 )でカバーできる。これらを aosta の OEJ メッセンジャーに入れて歩くことに。お気に入りのこのバッグ、機材を取り出しやすいし、ポケットが多くてなにかと便利。何よりリュックタイプとは違い背中が大きく開くので、汗がぺったりならないのが嬉しいのだ。
小諸は城下町で、江戸時代は北国街道沿いを中心に栄えたそうだ。だからいたるところに当時の街並みや建物などを見ることができる。まず目を引いたのが「 いろんな昭和 」。駅前からして昭和チックで、あちらこちらにそそる昭和があって、昭和 40 年代生まれにはたまらない!(笑)
小諸宿らしい散策を。
旧小諸城の大手門そば。このような坂道で構成されているのが小諸という街。ちなみに取材当日は日曜日。観光客の方々もなだらかな坂をゆっくりと楽しまれていた。
箱庭のように小さな街だけど、見所が多いのが小諸。坂はなだらかで、安らぐ街並みだ。まずは駅前の観光案内に立ち寄って、効率のいい回り方を教えてもらった。ぶらっと回れば2時間ほどのコース。でも写真を撮ってまわるから、寄り道・方向転換・別道は当たり前。まあ、一回り4時間ってところかな、最低でね。時間があれば布引観音までは足を伸ばしたいところだけど……。
商家の街並みを色濃く残す本町周辺をぶらぶら。そもそも僕は歴史、特に近世~近代にかけてが好きなので、江戸時代の風情にはどうしても惹かれちゃう。現存する建物を見ながら、同時の様子を頭の中でシュミレートするのが大好き。ポートレートがちょっと得意なので、着物姿の女性がこの場所にちょっと通り過ぎてくれたらいいのになあ……なんて、ほとんどロケハンじゃん! と、自分で突っ込んだりしながら、てくてくと歩くのです。前回・前々回のように、モデルさんがいると、画も華やかになるんだけどなあ。次の旅では、事前に現地の方でモデル協力をしてくださる方、募集しようかな。( かなり本気! )
今回の小諸訪問のもう一つの目的は、故・小山田いくさんの追悼資料展を見ること。駅の横にある小諸宿本陣主屋にはサロンとギャラリーが設けられていて、その一角で小山田いくさん関連の資料が展示されていた。
小諸の最後に懐古園に向かう。懐古園は小諸城址で、城下町より低いところに建てられた穴城。懐古園といえば島崎藤村。「 千曲川旅情の歌 」は「 小諸なる古城のほとり…… 」で始まる。
さすが懐古園は観光客で賑やか。でも景色を観ないでスマホばかり見ている人が多い……そっかあ、例の○ケストップがあるのね。ここ。
懐古園を後にして、駅に向かう地下通路を通る。
しなの鉄道に乗り、上田駅へ。今宵の宿は上田駅前にした。翌日の松代までの移動を考えると便利だし、駅前も賑やかだしね。
夕食は、以前撮影でお世話になった、上田フィルムコミッションのYさんのご紹介のお店に。駅すぐそばのビルの地下1階にある「 炉端焼き 幸村 」。ここでは、地元のいい酒を提供してくれる。
ということで、今回はここまで。小諸、いい街だなあ。落ちついた感じがあるので、白い浴衣の方が似合いそうだなあ。次回夏に訪れる時は……!!
で、次回は上田から松代に向かいます! 松代といえば、真田家のお膝元。修学旅行生がいっぱいの中、撮影を敢行! ぜひともお楽しみに!
■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
萩原 和幸