萩原和幸の旅スナップ ~ Trip-Snap
第12回 静岡でスナップ・ポートレート<後編>
TOPIX
「 萩原和幸の旅スナップ~ Trip-Snap 」、前回に引き続き萩原氏の故郷、駿河の国は静岡から、スナップ・ポートレートの後編をお届けします。モデルは前回と同じ「 いのうえのぞみ 」さん。萩原氏が旅のお供に選んだ広角、標準、望遠の3本のズームレンズ、「 AT-X 24-70 F2.8 PRO FX 」、「 AT-X 70-200mm F4 PRO FX VCM-S 」、そして「 AT-X 14-20 F2 PRO DX 」が描き出すスナップ・ポートレートをお楽しみください。 by 編集部 |
今回の「 萩原和幸の旅スナップ 」も、2人でブラブラ旅スナップ撮影を静岡市からお届け。ポートレート撮影なのかスナップ撮影なのか……。そんな疑問は今回も無視! 思い切ってほとんどポートレート作品を並べることにしちゃいました! だって、皆さんもご覧になりたいでしょ? モデルさんのポートレートを! そんなご期待にお応えすべく、今回もポートレートをずらっといっちゃいます!
ということで、モデルは引き続きの「 いのうえのぞみ 」さん。なにやら萩原は楽しそうにポートレートを撮ってるねえ……と、そんな優しい目でご覧いただきたい。目的はまさにそこにあるのですから(笑)。つまりですね、恋人や奥様など、大切な人と旅行に出かけたら、風景とか建物の写真ばかり撮ってないで、ぜひその大切な人を撮ってもらいたい、という思いがあるのです。せっかく大切な人と一緒に出かけるのだから、旅先でポートレートばかりだっていいと萩原は思うのですよ。その時の楽しさやその土地の空気や匂いが感じられれば……ね。その土地に出かけて撮影したポートレートは2人の旅のしおりとして、そして写真を観る側としては作品として成り立つのです。
今回の静岡へのお供の機材も前回に引き続き、ニコン D610 にお気に入りのフルサイズ対応標準ズーム「 AT-X 24-70 F2.8 PRO FX 」、それと手ブレ補正機構搭載の望遠ズーム「 AT-X 70-200mm F4 PRO FX VCM-S 」、それにキヤノン EOS 7D mark IIに「 AT-X 14-20 F2 PRO DX 」。
前回でも申し上げているが、もう一度。2人でブラブラするスナップ撮影では、機材はできるだけ最小限にとどめたほうがいい。重量が負担になると、撮影意欲を減退させちゃうから。相手にも気を遣わせるし、何より行動範囲を小さくしてしまう可能性がある。よくよく吟味して、記念写真程度ならコンデジとか併用して、動きやすくするのって大事。
さて、前回は久能山東照宮に伺い、1159 段の石段を往復したところで終了。詳しくはこちらをご覧いただきたい。ここから旧東海道に戻り、清水方面を目指す。静岡市は旧清水市、由比町、蒲原町が合併し、現静岡市となった。現在は清水区となった旧東海道沿いは、往事の面影を色濃く残す。
久能山東照宮から旧東海道に戻り、向かったのは清水区興津にある「 坐漁荘 」。坐漁荘は、元老・西園寺公望公が、1920 年に旧東海道沿いの興津清見寺町に建てた京風の純和風建築の別荘だ。現在の建物は 2004 年に復元したものだ。今回は完全に趣向を変え、建物等の紹介カットは割愛。それよりも大事な人を撮る気持ちで、ポートレートを並べてみることにした。
1階ではボランティアの方々が、他のお客様に対して建物の説明をされている。2階は庭に面しての廊下と広間があり、落ち着いた雰囲気がいい。
坐漁荘があるのは清見寺町。旧東海道を挟んで向かいが、その清見寺だ。清見寺は約 1300 年前を始めとする古刹だ。
昼食時に。清水といえばマグロ! 何と言っても清水港はマグロ水揚げ日本一。ということで、ちょっと清水港まで。魚市場内に河岸の市があり、そこで新鮮な魚介類をいただける。
我々はそのうちのお店「 小川 」に立ち寄る。
昼食後、再び旧東海道に戻り、下り( 東京方面 )へ。興津より先、蒲原の街道筋へ。蒲原地区は、旧跡の見所が多いが、ポートレートを……と考えて、「 旧五十嵐歯科医院 」に立ち寄ることにした。
旧五十嵐邸は、大正3年に、歯科医院を開業するにあたり、町屋を洋風に改築し始め、現在の様子は昭和 15 年頃までに完成されたもの。
外装は洋風だが、内部は純和風。豪華な襖絵や凝った欄間が、しっかりとした時代を刻み、大正から昭和にかけての時間を肌で感じることができた。
この日当たりのいい明るい部屋が診察室。先の壁には当時の診察台が置かれている。ちなみにこの部屋と、待合室だった和室とがつながっている。当時の最先端医療だったことを思わせる空間だ。
北側には中庭があり、蔵が立っている。まるで老舗の旅館のように、木枠の波ガラスが一面にはめられている。ちなみに僕は小学校が木造校舎だったので、それを思い出してしまった(笑)。
ちょっと一服。ななやさんで、抹茶ジェラートをいただく。この日は暑かったしねえ。ここの抹茶ジェラート、ありえないほど濃い!
いよいよ、最後の目的地、三保へ。旧東海道からは外れるが、世界遺産でもある三保は外せない。日没前の夕暮れを狙った。
歌川広重「 六十余州名所図会 」にも描かれている、古くからの景勝地だ。
ここで、今回の旅は終わりだ。初めてこの連載で、2人ぶらぶら旅を敢行したが、やっぱりモデルがいらっしゃるといいね! どうしても無機質や地味になりがちな画が、彼女が入るだけで、まるっきり違う華やかさやしなやかさが生まれる。前半は、旅のレポートっぽく、後半はポートレート推しでの展開にしてみたが、それは読者ご自身が旅をされるときに、それぞれいいとこ取りして撮影を楽しんでいただければいいと思う。
それと、ぜひ彼・彼女やパートナーがいらっしゃる方は、積極的に相方を取り入れたカットを撮ってもらいたいと思ったね。それは単なる記録写真や記念写真を超えて、2人の時間が凝縮した、「 生きたカット 」を撮影できるチャンス! 2人の関係はお2人にしか撮れない貴重なもの。他の方は絶対に真似できないのだから、ある意味嫉妬です。
またぜひやりたいなあ。行く先々で、「 スナップ+ポートレート 」を紹介したいです! たくさんご紹介できます、皆様! ぜひ「 いいね 」をお願いしますね!