萩原和幸の旅スナップ ~ Trip-Snap
第10回 長崎ランタンフェスティバルを撮る
TOPIX
写真家、萩原和幸が、Tokina レンズと共に高速バスで旅をしながら、風情のある街をスナップに納めて歩く「 萩原和幸の旅スナップ~ Trip-Snap 」、長崎からのスナップ第2回目は、標準ズーム AT-X 24-70 F2.8 PRO FX と異色のレンズ2本を携えて長崎ランタンフェスティバルをお送りします。 by 編集部 |
今回の「 萩原和幸の旅スナップ 」は、前回に引き続き長崎県長崎市。 旧グラバー邸ではその場にいらしたドレス姿のお嬢さんにお立ちいただいて撮影。その後、また一人で長崎をブラブラするところからスタート。現在も異国情緒に溢れている長崎。偶然開催中を知った「 長崎ランタンフェスティバル 」と、それに伴う市内の姿にワクワクしながら、坂をゆっくり歩くことにした。
今回のお供の機材のおさらい。今回は、キヤノン EOS 5D MarkⅢ にフルサイズ対応標準ズーム「 AT-X 24-70 F2.8 PRO FX 」、それにレンズベビー「 ベルベット 56mm F1.6 」と、フィッシュズームの「 AT-X 107 DX Fisheye 」+キヤノン EOS 7D MarkⅡ。
AT-X 24-70 F2.8 PRO FX | レンズベビー ベルベット 56mm F1.6 | AT-X 107 DX Fisheye |
今回の旅のお供は、標準ズームレンズ「 Tokina AT-X 27-70 F2.8 PRO FX 」、「 レンズベビー ベルベット 56mm F1.6 」と、フィッシュズームの「 AT-X 107 DX Fisheye 」。 |
「 AT-X 24-70 F2.8 PRO FX 」の、少し湿気を含んだような描写が長崎にはとても似合うと直感。それに何より使い勝手が良い。「 ベルベット 56mm F1.6 」は、「 クラシックポートレートレンズ 」と銘が刻まれた、独特のソフト効果が得られる描写が特徴。詳しくはレンズレビューにて私がレビューをさせていただいているので、どうぞご覧いただきたい。「 AT-X 107 DX Fisheye 」を今回のお供にしたのは、街並全てを魚眼で贅沢に取り込んでみたいという考えからだ。
旧グラバー邸のそばから、コーヒー──いや、珈琲の方が似合うか──その珈琲の良い香りに誘われる。出所は、隣に立つ「 旧自由亭 」跡。「 旧自由亭 」は日本で初めての西洋料理レストラン。いやあ、ちょうど一服したかったところ、と店内に入る。
何とも落ち着いた雰囲気で、異国情緒に浸るにはピッタリだ。こんな感じで港を見下ろしながら、船や人びとの往来を眺めていたのかな……なんて思ったりしてね。
「 旧自由亭 」は日本で初めての西洋料理レストラン。
一息つきながら、お店の方にこの後の市内の巡り方についてうかがう。地元の方のご意見はとても役に立つ。それぞれの場所で必ず聞くことにしている。
「 旧自由亭 」を出て、改めて市内を見下ろす。少しだけど優しい風が吹く。
路面電車は一日乗車券を購入。オランダ坂への最寄り駅である市民病院前まで乗ってみようとも思ったが、好奇心で徒歩を選択。せっかくの長崎、そりゃ坂道ってことも分かっているけど、先人達が歩いたであろう道を巡る方が楽しそうだ。
でもそうも言っていられない理由がある。この連載は高速バスや路線バスで行くことも目的の一つ。早い話、翌日はほとんど市内を巡ることができないスケジュールなのだ。それでも歩きたくなる。
オランダ坂に向かう途中。「 長崎ランタンフェスティバル 」の一環か。トキナーの青と、門や飾りの赤がいい感じに調和
生活道としての坂もたくさんあるのだろう。ちょっと横に入ると、こんな感じの路地に。
唐人屋敷跡と呼ばれる地域に到着。鎖国後に唐人( 中国人 )達を収容する屋敷が建っていたそう。長崎に唐人達がもたらした文化の影響が、今も色濃く残り、伝えられているのが分かる。芸能はもちろん、精霊流しや龍踊りなどもそうだものねえ。
先にホテルにチェックインすることにした。路面電車で向かう。
電車の運転席を見るのが大好き。前方でも後方でもいい。
陽も暮れて、楽しみにしていた夜の長崎へ。メインは「 長崎ランタンフェスティバル 」。地元の方々に教えていただいた会場を回ることにした。まずは築町に向かうことに。
昼間とは全く違う顔とにぎわいを見せていた築町駅周辺。新地中華街があるので、まずここは外せないしね。
新地中華街でチャンポンをいただき、ブラブラを再開。街にはランタンがびっしりと吊るされていて、どことなく熱気をはらんでいる。
メイン会場の一つ、中央公園。見渡す限り極彩色に染まり、それに人びとが酔いしれている。無数のランタンと、様々なオブジェが幻想的に輝き、迎え入れてくれた。
地元の方に、眼鏡橋に行ってごらんとアドバイスを受ける。眼鏡橋はぜひ行ってみたいと思っていたので、ランタンに彩られた眼鏡橋を見に路面電車で移動する。ホームで待っている間の市内の雰囲気、輝きながらもちょっと静かで寂しげで、それがとても心地良い。車や電車が通るたびに路面電車の線路が光り、それがなんとも幻想的なのだ。
眼鏡橋の最寄り駅となる賑橋で下車。川沿いを歩くと、眼鏡橋が黄色いランタンに照らされて浮かび上がっていた。眼鏡橋は1634年に架設された日本初のアーチ式石橋。川面に映る影が眼鏡のようにみえるので「 眼鏡橋 」。でもランタンの光が川面に写り、眼鏡ってわけにはいかなかったが、それでも歴史を感じさせる建築物として、また川面に映る黄色が美しかった。
「 長崎ランタンフェスティバル 」は満足。他にもイベントがあったと思うが、彩られた街並を見ることができ、シャッターを切ることができたので十分。旅にちょっと未練を残すもの好き。次にまた来る理由になるから。
翌朝、長崎市内は曇り。すぐにでも出立しないといけないのだが、平和公園と浦上天主堂だけはチラ見したいと、ダッシュで向かう。
今回の旅はとてもバタバタなスケジュール。そういう時は絶対的なメインレンズで撮影し回るのがいい。テンポよく撮影できるし、何より迷いなく進められる。その点では、今回の旅は Tokina AT-X 24-70 F2.8 PRO FX 様様って感じだったなあ。使い勝手は良いし、明るいし。何よりしっとりした描写が長崎の街にハマっていたな。でも次来るときは、もっとゆっくり見てみたい。大いに未練を残して次必ず来る! と誓う旅になった。
さて、次回はちょっとテイストを変えてみようかな。春~初夏の、まさに旅シーズンだものね。次回も乞うご期待!
AT-X 24-70 F2.8 PRO FX | レンズベビー ベルベット 56mm F1.6 | AT-X 107 DX Fisheye |
今回の旅のお供は、標準ズームレンズ「 Tokina AT-X 27-70 F2.8 PRO FX 」、「 レンズベビー ベルベット 56mm F1.6 」と、フィッシュズームの「 AT-X 107 DX Fisheye 」。 |
■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
萩原 和幸