萩原和幸の旅スナップ ~ Trip-Snap
第7回 分厚い板と石畳の町、佐渡島を行く
TOPIX
写真家、萩原和幸が、Tokina レンズと共に高速バスで旅をしながら、風情のある街をスナップに納めて歩く「 萩原和幸の旅スナップ~ Trip-Snap 」。今回の旅は日本海は佐渡島。いつもの標準ズーム AT-X 24-70 F2.8 PRO FX に加え、異色な2本のレンズを携えての旅スナップでは、どんな景色を魅せてくれるのでしょうか。 by 編集部 |
今回の「 萩原和幸の旅スナップ 」は、新潟県佐渡市。そう、あの佐渡島だ。佐渡には歴史的な背景を含め、以前から行ってみたいと思ってはいた場所なのだが、これまではなかなかその機会が訪れなかった。しかしこうして旅スナップの連載を始めたわけだから、これを機会にと思い切って佐渡に向かってみることにした。
さて、いつも通り高速バスで、23 時新宿発の西武バスにて新潟駅に向かう。バスに持ち込んだのは、いつもの高速バスセット( 枕・腰当て・スリッパ・アイマスク・耳栓 )。これは初めて書くが、萩原は長距離の深夜バスではできるだけ3列独立シートの車を選ぶことにしている。撮影地に向かうために深夜バスに乗るからには、翌日しっかりと撮影に励めるように、できるだけ体を休めておきたいではないか。シートがくっついているバスだと、萩原は隣の人が気になってなかなか寝付けないのである。
新潟到着は翌朝5時前。ほんの少しだけ休憩して、佐渡への連絡船となる佐渡フェリーのターミナルに向かう。フェリー出航は午前6時。バスのシートには拘ることから意外と思われるかもしれがないが、萩原は船には強いので2等で十分だ。さて、2時間半もすれば佐渡へ上陸だ。
今回のお供の機材はキヤノン EOS 5D MarkⅢ に、すっかりお気に入りのフルサイズ対応標準ズーム「 AT-X 24-70 F2.8 PRO FX 」。それに加えて今回は、気分を変えてレンズベビー「 コンポーザー プロエッジ 80 」と、マイクロフォーサーズマウントの「 Reflex 300mm F6.3 MF MACRO 」をお供にすることにした。
「 コンポーザー プロエッジ 80 」は独特のボケが得られる上に、写真にミニチュア効果などを添えてくれる、レンズベビーならではのティルトレンズだ。もうひとつの「 Reflex 300mm F6.3 MF MACRO 」は、マイクロフォーサーズマウントレンズならではのコンパクトなボディでありながら 35mm 判換算で 600mm 相当の超望遠レンズ。さらにマクロ撮影も可能で、目の前の光景をギュッと引き寄せてくれる。今回3本もレンズを用意したのは、ストレートな正攻法撮影に「 AT-X 24-70 F2.8 PRO FX 」を、そしてたまには別の切り口から変化球撮影も楽しもうということで「 コンポーザー プロエッジ 80 」と「 Reflex 300mm F6.3 MF MACRO 」を……、というわけだ。
AT-X 24-70 F2.8 PRO FX | レンズベビー コンポーザー プロエッジ 80 | Reflex 300mm F6.3 MF MACRO |
今回の旅のお供は、標準ズームレンズ「 Tokina AT-X 27-70 F2.8 PRO FX 」、「 レンズベビー コンポーザー プロエッジ 80 」と、マイクロフォーサーズマウントの「 Reflex 300mm F6.3 MF MACRO 」。 |
佐渡島の両津港に到着後、慌ただしくバスに乗車。島内を路線バスで移動するため、「 佐渡 2day フリーパス 」を購入した。2500 円で路線バス乗り放題の上、提携施設で使える 100 円券×5枚付き。路線バスで回るならこれは絶対にお得。だけど、路線バスでの移動は、萩原のような行き当たりばったり+弾丸撮影をする場合には移動時間がかかりすぎて後悔することになる。やはりこういう旅スナップを楽しむのなら、時間を上手に使うことができて島内をくまなく回ることができるレンタカーが断然オススメだ。
全くシャッターを切る間もなくバスに乗り込んで出発。で、ないと待ち時間が多くなってしまうから。乗り換えのバス停で、やっと1枚。ここから小木に向かうことにした。さすがに朝だけあって、乗り継ぎは良い。
小木に到着し、観光案内所で自転車をレンタル。実は先のバス停で一緒になった地元のおばちゃんが、自転車で周れば? とアドバイスしてくれたのだ。頭にはあったものの、道のりがどんなものかと思っていたのだが、おばちゃんの言葉に自転車で行ってみることにしたのだ。それに目的地の宿根木地区までバスだと乗り継ぎが悪くて非効率。自転車なら時間にして20分ほど。少々寒いよという観光協会の方の声とは裏腹に、汗をかくほどだった。
宿根木地区は北前船の寄港地として栄えた小木から近く、船大工や船乗りが住んだ街として独特の街並を形成、その歴史を色濃く残している。人口が増えるにつれ、谷を切り崩し、川を埋めて宅地としたため、集落の形成が巧みに行なわれている。
小木の街並もいい雰囲気。集落としてはにぎやか。でも歴史を感じる建築物があちらこちらに。24-70mm という汎用性の高い焦点距離のズームレンズで、思うがままに切り取っていく。
自転車を観光案内所に戻し、宿泊地である橘地区を目指す。バスにはまだ時間があったので、源泉掛け流しの温泉でひと休み。「 かもめ荘 」という宿に立ち寄る。路線バスのフリーパスに付いてきた500円分のチケットが使えたので、実質無料で入浴できた。
佐和田 SB というターミナルで乗り換え。バスの発車まで一時間半。日没直前と言うこともあり、歩いてすぐの海岸に向かうことにした。
残念ながら綺麗な夕焼けが望めそうにない雲行きだったが、少しだけ雲の切れ間ができ、赤い光が顔をのぞかせた。
その赤い光だけをグッと引きつけたくなり、マイクロフォーサーズマウントで 35mm 判換算すると 600mm 相当になる「 Reflex 300mm F6.3 MF MACRO 」を取り出した。フレームいっぱいが赤く染まり、息をのんだ。
宿の最寄りのバス停に着いた時には、辺りはすっかり真っ暗。本日の撮影はここまでかな。宿は「 七浦荘 」という民宿。バイク乗りには有名な宿だそう。
翌日の行動の相談にものっていただいた。初日は地元に方々の暖かさと情報に楽しませていただいた一日になった。路線バスでは行動範囲が本当に限られてしまう。でもその分、じっくりとカメラを構える理由となった。AT-X 24-70 F2.8 PRO FX で 24-70mm という標準域をしっかりと撮影できた上に、今回チョイスした超望遠 600mm 相当のレフレックスレンズが、なかなかの変化を撮影にもたらしてくれた。
<次回予告>
翌日は、もう一つの目的地・相川地区に向かう。フェリーの時間も迫る中、かつての佐渡の繁栄を彷彿とさせる街並にうっとり。多くのカットをお見せいたします! 乞うご期待!
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■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
萩原 和幸