礒村浩一のフィルター画作り講座 ~ 第1回 雨の日の花の撮りかた
TOPIX
「 撥水加工されたフィルターで梅雨時の瑞々しい草花を撮る 」
例年のこととはいえ、この梅雨時のジメジメとした天気はとても気分が憂鬱となる。撮影に出たくとも降り続く雨とどんよりとした空で、なかなか出かけようという気分にもならない。しかしここは視点を変えて、雨が降っているからこそ撮れる「 絵 」があるはずだと考えてみよう。そう、雨に濡れた花や葉の瑞々しさも、魅力的な被写体なのだ。
■ カメラ機材にとって雨は大敵!?
とはいえ、雨の中での撮影では通常とは違い、カメラ機材に十分な注意が必要だ。電子機器であるデジカメは水濡れ厳禁なので、カメラ用のレインコートや防水加工されたカバーなどで機材を濡らさないようにしなければいけない。もちろんデジタルカメラの中には防塵防滴に対応したモデルもある。筆者は以前より防塵防滴のデジタル一眼も愛用しているが、雨の中でも全く問題なく撮影が可能でこの安心感は何物にも代え難いが、多くのカメラはレインコートも無しに雨に濡らす訳にはいかないのだ。
■ レンズに付いた水滴はどう拭う?
さらに注意したいのがレンズに付く雨滴の処理だ。防塵防滴のカメラやレインコートで雨除けをしたカメラでも、レンズの表面に雨滴が付いてしまうと写真の画質が大きく下がってしまう。したがって表面に付いた雨滴はこまめに拭い取る必要がある。だがレンズに付いた雨滴をキレイに拭い取ることはなかなか難しい。一般的なレンズクリーニングペーパーでは水分を十分に吸い取ることができず、かえってレンズの表面に水分を拡げてしまう結果となりやすい。雨滴には水分を十分に吸い取れる厚手のレンズクリーニングクロスがお勧めだ。
ただ、少量の雨滴であればレンズクリーニングクロスで問題なく水分を拭うこともできるが、雨が常に降り掛かるほどの量となると、雨滴を拭き取ってもレンズ表面に白い汚れが広がって残ってしまうことがある。実はこの白い汚れはレンズ表面に付着した油分等を水分で拡げてしまったものなのである。この汚れはいったん拡がってしまうとレンズクリーニング液を使用して除去しなければ拭き取ることはとても難しい。そのままの状態で撮影すると、当然だが画像が白っぽくなってしまう。かといって、撮影現場で数コマ撮影するごとにクリーニング液で拭き上げるというのは現実的とはいえない。
■ 撥水加工されたフィルターを使ってみよう
そこでオススメしたいのが、撥水加工が施されたフィルターの利用だ。撥水加工フィルターは、ガラス部の表面に水を弾く加工が施されていて、雨滴が付いても弾いて水玉状にしてしまう。それをレンズクリーニングクロスで拭き上げることで、フィルターの表面に水を拡げてしまうことなくきれいに拭い取れるのだ。また油分も弾いてくれるので、拭った後に白っぽく汚れが残ることも無い。これならば、撮影中に付着した雨滴もすぐに拭き取ることができるので、うっかりと画質を低下させることもない。雨中の撮影には欠かせないアイテムだ。
■ もっとクッキリ、被写体本来の色を写したいときは
「 不要な光の反射を除去できるサーキュラー PL フィルター 」
雨に濡れた草花はとても瑞々しくて魅力的な被写体だが、その表面が濡れているだけに空の明るさを反射しやすく、そのため写真にすると浅い色になりやすい。そのようなときは光の乱反射を除去する効果がある PL フィルターを使用すると、草花の本来の色味を写し取ることができる。
先にも述べたが、筆者は防塵防滴仕様のカメラも愛用している。だがレンズ表面に付いた水滴の処理には撥水加工されたフィルターが欠かせない。今回紹介したマルミ光機「 EXUS レンズプロテクターフィルター 」および「 サーキュラー PL フィルター 」はガラス表面の反射率も 0.6% 以下と画質への影響は極めて低い。それよりも汚れのないクリアな画像を得る効果の高さが非常にありがたい。アウトドアシーンでの撮影には最適なフィルターだ。この EXUS フィルターを使って、ぜひともこのシーズンならではの撮影にチャレンジしていただきたい。
■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
礒村 浩一