第 3 回 三脚・雲台の使い方
持ち運び、三脚を立て、カメラを装着し、構図を決めて、撮る…実際に三脚を使った基本例を流れにそって解説します。知っておくと便利なノウハウも盛り込んでいます。
本文 Photo & Text by 荻窪圭
実際に三脚を使ってみましょう
今回は、やっと三脚の使い方です。
三脚なんてまあどうやって使ってもいいんだけれども、一応、三脚の力を一番引き出す使い方というのはあるわけで、基礎をちゃんとやっておけば、あとはケースバイケースで応用するだけというわけです。
サンプルとして使うのは、ベルボンさんから借りたカーボンの四段三脚「E-545M」。雲台はセットになっている「PHD-55Q」を。中型三脚で、全高はセンターポールを伸ばした状態で「168cm」。雲台をコンパクトなものに変えればもう少し低くなります。この高さがあれば普通は問題ないでしょう。縮めた時は「55.5cm」です。
1. 持ち運ぶ
三脚ケースに入れてもOkですし、バッグに三脚用のスペースがあればそれを使いましょう。どんなバッグにどう三脚をつけると持ち運びやすいかですが、それはバッグ選びの話になってしまうので割愛。ケースに入れようが入れまいが、公共交通機関を使うときは他の人にぶつけないよう気をつけるというのが基本。当たり前ですが。
2. 三脚を立てる場所を決める
公園などでは三脚禁止の場所があるので注意しましょう。また植物園などでは立ち入り禁止の場所があります。撮影者は立ち入り禁止区域にはいってなくても、三脚の足がそこにぐさっとはみ出てるシーンもたまにみかけます。そこは注意して。
3. 三脚を設置する
まず、三脚の足先をチェックしましょう。
本格的な三脚ですと、三脚の足の先がこうなってます。
普段はゴム足で、土の上などに突き刺して安定させたいときは突起(スパイク)を剥き出しにして置くわけです。これに気をつけてないと、床に傷をつけてしまうことがあります。気をつけましょう。
ゴム脚とスパイクを取り替えて使う三脚もあります。低価格な三脚ではゴム脚だけなのがポピュラー。
続いて足を開きます。ある程度開くとストッパーで止まります。そこまで開きます。中途半端では安定しません。
足を開いたら、伸ばします。
三脚は太い方から使うのが基本。太い方が安定するからです。足を全部伸ばさなくてもいいときは太い方(根本の方)から使いましょう。
悪い例
細い方から使うのは避けましょう。
良い例
基本は太い方からです。
置くときはできるだけ水平になるように。
斜面だったり岩があって置き場所がフラットじゃないときは、足の長さを調整してできるだけ水平にします。
三脚に水準器がついていたら参考にしましょう。
最終的な水平は雲台で調整すればいいや、という考え方もありますが、それでは三脚が不安定になりますし(風やちょっと何かがぶつかっただけで倒れやすくなる)、三脚自体が水平を保てていると構図を決めやすくなります。
パノラマ撮影をしたりビデオ撮影をするとき以外はあまり厳密にならなくても構いませんが、できるだけ水平になるように。
センターポールは最後の微調整用です。できるだけセンターポールは長く出さない方が安定します。
三脚を置くときは、1本をレンズの方向に(つまり、自分側に2本、向こう側に1本)という形で置くのが基本。そして2本の間に自分の脚を起きます。そうすると誤って三脚を蹴飛ばしてしまうことも減りますし、重いレンズを使うときのバランスもよくなります。基本は基本なのでケースバイケースですがいちおう念頭に。
三脚をおいたら、カメラをつけるまえに、上から押さえつけたり叩いたりしてみましょう。伸ばした脚がしっかり締められているかどうか、足元は安定しているかどうかの確認ですね。
脚の締め付けが甘いと1本だけ沈んじゃったりします。
地面が安定してないときも1本だけ沈んじゃったりします。
そうなるとかなり哀しい気持ちになります。
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4. カメラを装着する
今回はクイックシュー方式なので、クイックシューをまずカメラに装着します。
大事なのはクイックシューをギュッと締めること。これは大事。
締め付けが甘いと、縦位置にしたときレンズの重みで回転しちゃったりします。三脚ごとカメラを移動するとき、カメラがぐわんと回転して頭にごつんと当たったりします。それもまたかなり哀しい気持ちになります。
クイックシューの準備が済んだら、雲台に取り付けます。これはまあ、斜めに押し込めば、カシャッと音がしてレバーが締まるので、あとはレバーをちょいと増し締めしてやればOk。ここで強くぐいっとレバーを締めると、あとでクイックシューを外すとき難儀するので無理せず。
3WAY雲台の場合、上下に傾けるレバーが手前に、左右に傾けるレバーが右側に来るのが基本ですが、中には左右のレバーは左右どちらでも好きな方につけられるものもあります。
5. 構図を決める
あとは構図を決めるだけ。
センタポールで微妙な高さ調整を、さらに各所のネジを緩めて動かして角度を決めたら締める。
左右に回転させるためのネジはきつく締めなくてもおおごとには(たいてい)なりませんが、前後の傾きを調整するハンドルはきちんと締めないと、レンズの重みでカメラがお辞儀して、ガクンとなっちゃうことがあります。ハンドルから手を離すときは、きちんと締めてからという習慣をつけましょう。
わたしはときどき油断して、カメラががくんとお辞儀して指をはさんだりします。あれは痛いものです。
風景や夜景撮影のようにきちんと水平を出したいときは水準器を使うといいでしょう。カメラや雲台に水準器がついていると便利です。
6. 撮る
まあ普通に風景や野鳥やそんなシャッタースピードが遅くないときは手でシャッターを押せばOkですが、スローシャッター時はシャッターに気をつけましょう。
シャッターを押したときの指の力で手ブレしてしまうこともあります。三脚が細いときはちょっとした力でぶれちゃうことも。
そんなときは基本、リモートレリーズを使います。
撮影タイミングがシビアで無いときは、2秒のセルフタイマーを使うのが便利です。
より厳密にクオリティを追求するなら、レンズやカメラの手ブレ補正機構はオフにしておき、ミラーアップさせてから(一眼レフの場合)、撮りましょう。