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中野誠志の 海Photo! 楽Photo!
水中写真テクニック講座 |
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中野誠志の 海Photo! 楽Photo! 水中写真テクニック講座 |
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番外編 興津川の鮎の産卵を撮影 (後編) |
2011/03/23 |
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みなさんこんにちは!
水中写真テクニック講座担当の中野誠志です。
番外編となる今回のテクニック講座は『鮎の産卵』についての体験記、後編をお送りいたします。
劇的な鮎の産卵から、およそ二週間、鮎の卵は孵化をはじめます。卵からかえった小さな命はどこへ行くのか、どのように暮らすのか、小さくて大きな命のドラマを追いました。
> 前編はこちら
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鮎の産卵・・・そして |
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三日間続けて撮影した鮎の産卵の興奮が、胸の奥にまだ燠火のようにくすぶっている頃、
鮎の産卵案内人の鉄さんのブログで、「砂利に産み付けられた鮎の卵に目ができている」
という情報を目にしました。
鮎の産卵は壮大なドラマでした。
しかし、産まれた卵の行く先は?というストーリーはまだ完結していませんでした。
そのことがどうしても心の中で引っかかっており、胸の奥底で「卵の様子まで見たい!」
という思いが日に日に強くなっていきました。
そうして鉄さんのブログを見た直後、産卵を撮影した日の2週間後に、
鮎の卵を撮影に再び興津川(おきつがわ)へと車を走らせたのでした。
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鮎の卵と孵化 |
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産卵を撮影した時から2週間。
ひょっとするとまだ産卵している鮎がいるかも?
と思い、初めはワイド系のレンズを装着して川に顔を浸けてみました。
ところが、あれほどいた鮎たちはさっぱりと姿を消しており、あちこちを探してもその姿を
目にすることはできませんでした。
産卵を終えた鮎たちは、その生涯を終えたのです。
そこで、狙いを当初の卵の孵化を撮影することに変えて、川底に顔を近づけて小石混じり
の砂利を丹念に見てみました。
「確か、このあたりだったはず・・・」
すると、大きさ2〜3ミリ程度の極小の卵が、無数に産み付けられているのが見つかりました。
「お〜!あるある!!」
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鮎の卵
Canon EOS 5D Mark II ストロボ:INON Z-240 ×2灯
F/8 1/125秒 ISO200 撮影地:静岡県 興津川 |
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中には、卵の中に目ができているものもありました。
そうした卵の中で、発育が進んでいそうな卵たちに目を付け、しばらく観察してみました。
かなり長い時間、丹念に観察してみましたが、卵たちにはさっぱり孵化する気配がありませんでしたが、
1時間程経った頃、なんとかそのうちの1つだけですが、孵化する瞬間を無事に見ることができました。
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鮎の孵化
Canon EOS 5D Mark II ストロボ:INON Z-240 ×2灯
F/11 1/125秒 ISO200 撮影地:静岡県 興津川 |
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鮎も他の魚と似たような生態だとすると、たぶん、本来の卵の孵化は夕方〜日没前後となるのだと思います。
こうした時間帯は、昼に活動する魚はねぐらで休み始め、夜間に活動する夜行性の魚はまだ活動しておらず、
補食される危険性を下げることができるのだそうです。
この時はちょっと気が早い個体が孵化してくれたのではないかと思います。
おかげでなんとか孵化の様子を撮影することができました。
■鮎の産卵を観察・撮影する際の注意点
鮎の産卵や孵化を撮影する際、下記の点に注意しましょう。
1:鮎が産卵した卵は、ある程度時間が経てば固くなるが、
産卵直後はまだ柔らかいので、産卵した場所を歩き回らないようにした方が良いこと
2:産卵後、約2週間経つと稚魚の孵化が始まるが、
孵化直前の卵も中から稚魚が出てくるために柔らかくなり始めるので、
卵がある場所は歩き回らないようにすること
3:これら2点の鮎の卵に与えるダメージをなるべく避けるために、
観察する際にはできるだけ鮎ガイドの進む後をついていくようにすること |
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鮎 〜その後〜 |
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孵化した鮎たちはまず海へと流され、
鮭のように海で暮らします。
(アユはサケ科の魚なのです)
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シラス鮎の群れ
Canon EOS 5D Mark II ストロボ:INON Z-240 ×2灯
F/8 1/250秒 ISO200 撮影地:静岡県 大瀬崎 |
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このシラス鮎の状態の時に、イワシなどの稚魚を獲るシラス漁に混じってけっこう漁獲されているそうで、
保護の観点からは問題になっているそうです。
この写真は西伊豆大瀬崎のナイトダイビングで 2010年4月4日に撮影しました。
雨水による汽水と海水が混じり合う、水深 50cm 〜 1m 程度のところに無数に群れていました。
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海で暮らす若鮎
Canon EOS 5D Mark II ストロボ:INON Z-240 ×2灯
F/8 1/200秒 ISO400 撮影地:静岡県 千本浜 |
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シラス鮎の時期を過ぎると、透明だった体が銀色になってきて大人の鮎の面影が出てきます。
この頃に鱗が作られるそうです。
写真は沼津市の海中で撮影した大きさ 6cm ほどの若鮎です。
体長が 5〜10cm ぐらいになると、河川への遡上を始めるのだそうです。
河川への遡上は「前編」で見た、激しく熱い、産卵のための旅路です。
春〜初夏ごろから遡上を始め、初秋ごろまで川の中流〜上流で暮らし、秋頃になると産卵のために下流へと降りてきます。
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まとめ |
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一連の鮎の撮影を終えた今、著者としての所感を最後に添えたいと思います。
鮎は基本的には川と海を回遊する一年魚で、生まれてから海で暮らし、川へ戻り、
産卵を終えると、その短い生涯を終えます。
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鮎の死
Canon EOS 5D Mark II ストロボ:INON Z-240 ×2灯
F/11 1/15秒 ISO400 撮影地:静岡県 興津川 |
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鮎の産卵がこれほど激しく、感動的なのは、その短い生涯をこの一瞬に凝縮しているからなのだろう
と感じました。
産卵が行われた興津川という環境は、すぐ脇に鉄道と国道が走り、民家やスーパーなどもあります。
これらは一般的なきれいな河川のイメージとは異なり、むしろ生活感あふれる田舎の川、といった感じです。
そうしたところに、これほどたくさんの命を支えている環境が残されているということも、
今回の取材で大きな感動を受けたところでした。
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激しい鮎の産卵
Canon EOS 5D Mark II ストロボ:INON Z-240 ×2灯
F/10 1/10秒 ISO400 撮影地:静岡県 興津川 |
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「興津川にはこんなに鮎がいて、素晴らしいところだよ」
「だから大事にしていこう」
というメッセージを、写真やガイドを通じてこれからも発信していければと思います。
今回、鮎の産卵をガイドをしてくれた『ダイバーズプロショップアイアン』の鉄さん、
素晴らしいガイドをありがとうございました!
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>> この水中写真テクニック講座の目次を見る
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