● 背景
[ 属性 ] パネルの 「 環境 」 にある 「 背景 」 は、その名の通り、3D オブジェクトの背景です。使い方はとても簡単で、以下の図-K2 のように操作します。ただ、これだけでは解説が終わってしまいますので、今回は Tips 風に、少し高度な 「 背景 」 の設定を紹介しましょう。
それは、「 IBL 」 を 「 背景 」 に利用する方法です。( IBL については 「 属性パネル - 環境 - IBL ( Image Based Lights )」 を参照します ) なぜ 「 背景 」 画像に IBL で指定した画像を使うのかというと、簡単に言えば 「 よりリアルにするため 」 です。
現実の世界では、その場に存在する物体は、周囲の環境光に影響を受けています。周囲に光をより反射するものや、あまり反射しないものが混在していたり、さまざまな色のモノがあれば、それらの輝度や色彩がその場にある物体に反映されるわけです。そのリアルさを表現するのが IBL という 3D ライティングの考え方ですから、3D オブジェクトの背景にしたい 2D 画像を、IBL 用の画像と同じものにするのは当然といえば当然でしょう。( 表現方法次第ではこの限りではありません )
● フリーの 3D 素材をダウンロード
ここで紹介する IBL と 背景の設定をよりよく理解してもらうために、様々なクリエイターが制作したフリーの 3D オブジェクトを使うことにします。こうした無料素材を提供しているサイトが今ではたくさん存在しますが、ここでは老舗サイトのひとつ、Crazy3DFree.com を紹介します。英語サイトですが、図1を参考にしてもらえば、誰でも簡単に素材を手に入れられると思います。ただし、リンク先のサイトや当該の素材が無くなっていることもありますので、あらかじめ承知しておいてください。
海外のフリー素材を提供しているサイトの多くが、RAR という圧縮方式を使っています。この圧縮ファイルを展開するには、以下のツールを使います。それぞれの使い方は、ここでは省略させてもらいます。
● 新規 3D ファイルを作って準備する
ここから IBL を背景画像に使って、リアルな 3D 画像を作る手順の解説に入りますが、先に IBL に設定するサンプル画像を、トップのリンクからダウンロードしておいてください。
Photoshop CS6 で 3D 画像を作るには、[ 3D ] パネルを使います。( 「 3D パネル 」 を参照します )図2のように 3D パネルの [ ソース ] にある 「 ファイル 」 を使うと、外部 3D オブジェクトファイルを読み込むことができます。ここで、冒頭でダウンロードしたフリーの 3D オブジェクトを読み込みます。
3D オブジェクトを読み込むと、図3の@のように、[ 画像領域 ] に 3D オブジェクトが表示されます。ここですることは、[ 移動ツール ] の [ オプションバー ] にある [ 3D モード ] のツールを使って、「 現在のビュー 」 を図3-Cのようにします。[ 3D モード ] で [ 移動ツール ] を使うときに注意するのは、[ 3D ] パネルで移動させたいオブジェクトが選択されているかどうかです。もし、[ 3D ] パネルで [ 3D ライト ] などの、他のオブジェクトが選択されていると、思った結果になりません。また、[ 3D ] パネルで正しいオブジェクトが選択されていても、[ 移動ツール ] を使って [ 画像領域 ] 上で目的外のオブジェクトをクリックすると、クリックしたオブジェクトが選択されるので注意が必要です。
[ 移動ツール ] の [ 3D モード ] にあるツールの使い方は、「 3D 編集で使うツール 」 を参照します。
● IBL 画像の設定と編集
操作2の図4の手順で、2つ目にダウンロードした IBL 用の画像を、3D レイヤーに設定します。
IBL の基本的な操作は、「 属性パネル - 環境 - IBL ( Image Based Lights )」 で詳細を解説しています。
IBL に画像を設定した直後は、操作2の図5の@のように、まるで背景画像が設定されたように表示されています。これは、この時点ではまだ IBL 画像の編集途中だからであって、実際の画像はこのようになりません。試しに[ 3D ] パネルで 「 環境 」 以外のオブジェクトを選択してみください。背景に表示されていた画像は非表示になるはずです。もう一度、IBL 画像の編集画面に戻るときは、[ 3D ] パネルで 「 環境 」 を選択します。
設定直後の IBL 画像は一部しか表示されていません。このままでも良いかもしれませんが、せっかくなのでカットとして効果的だと思われる箇所を探しましょう。それには、[ 移動ツール ] の [ 3D モード ] を使って、IBL に指定した画像を回転させてみます。方法は操作2の図5。操作1の図3と同じですが、必ず [ 3D ] パネルで 「 環境 」 が選択されていることを確認しておきます。もし間違えて IBL 画像以外のオブジェクトが回転されてしまった場合は、[ ヒストリー ] パネルで誤操作前に戻しましょう。
● IBL に設定した画像を背景に利用する
さて、ここからが本題です。前述したように、IBL に設定した画像は、あくまでも環境光用に使われるだけなので、IBL の編集が終了すると、背景には何も表示されなくなります。あらかじめ背景画像が用意されている場合を除き、IBL 用に指定した画像を背景用画像として使うと、違和感のない 3D 画像を作成できるはずなので、ここで実際に試してみましょう。
IBL 画像を背景画像に転用する方法は、操作2の図6のとおりです。[ 属性 ] パネルの最下部に、「 背景 」 セクションがあり、そこに [ IBL を背景として設定 ] ボタンがあるので、これをクリックします。直後は [ 画像領域 ] に IBL 画像の全体が表示されますが、続いて [ パノラマ ] にチェックを入れると、操作2の図5で回転させた位置で背景が表示されます。
[ IBL 画像を背景として設定 ] を使うと、背景画像として自動的に IBL 用画像が背景テクスチャとして読み込まれます。また、[ パノラマ ] にチェックを入れた後で、IBL 用画像を [ 移動ツール ] の [ 3D モード ] を使って移動・回転させると、背景用の画像も移動・回転されます。
背景画像を別の画像に入れ替えたいときは、以下の図-K4 の方法でテクスチャを削除するか、テクスチャの置き換えを実行します。
|