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フォトショップ・エレメンツ de ゴーゴー!
第3回 色鮮やかなはずの写真が
色あせて印刷されるのはなぜ? 2005/09/28
 
1.色鮮やかなはずの写真が色あせて見える?
2.色が変わって見える色空間と作業スペースの違い
3.エレメンツでのカラーマネジメント

もう少し鮮やかな写真のはずなんだけど、プリントした写真はなんだかくすんで見える・・・なんでだろ?
右の写真は、プリンタ印刷した2枚の写真をスキャナで取り込んだものです。
下の写真の方が上より、少し鮮やかにプリントされています。でも、同じ画像ファイルを印刷したものなんです。

 

 
1.色鮮やかなはずの写真が色あせて見える?
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画像1 .
Internet Explorer6.0で表示。
画像2.
ACDSee32 Ver2.3で表示。
画像3.
Photoshop Elements 3.0で表示。

 

 「撮ったとき、デジカメの液晶画面で色鮮やかに見えていた写真なのに、印刷すると、なんだかくすんで見える・・」色に敏感に人なら誰でも、そんな経験をすると思います。

「こんなはずじゃないのに・・」
そう感じたことでしょう。
いったいどこに原因があるのでしょうか。

原因はいろいろあるのですが、今回は色空間(カラースペース)に絞ってお話ししたいと思います。

右の写真を見て下さい。ひとつの写真ファイル(JPEG)を別のアプリケーションソフトで開いたところです。もちろん同じパソコンです。上から、WWWブラウザのInternet Explorer6.0、画像閲覧ソフトのACDSee32、そしてPhotoshop Elements3.0です。画面に表示したときの色合いが、Photoshop Elementsだけずいぶんと違って見えますね。同じ写真ファイルなのに。

どうしてこんなに色が違うのでしょうか?

同じファイルを開いたのにどうしてこんなに色が違うの?
きっとそう感じますよね。その理由と、色がくすんで印刷される、という理由はひょっとしたら同じかもしれません。

中級向けでは、スタグラの「フォトショップ早わかり Photoshop Tips & Manual」(薮田織也執筆)の「Adobe RGB の画像をキレイに JPEG 化するには」 で、解説しています。こちらは、きれいに撮影した写真や、Photoshopできれいに色補正したはずの写真なのに、どうしてWEBページに掲載するとくすんでしまうんだろう・・という視点で、カラクリと対策が書いてあります。
しかし、これを読んでも「ちょっと専門用語が・・ポリポリ」という人もいらっしゃるでしょうから、こちらの講座でもやさしく解説しましょう。また、「Photoshop Elements的にいうとどういうこと?」という方がいらっしゃると思います。先の記事では「プロファイル変換」というPhotoshopならではの機能を使っていますので、その辺が省略されているPhotoshop ElementsではWEB用の画像を一発できれいにすることはうまくできません。ただし、プリント印刷においてはちょっとした理解と工夫で改善ができるかもしれませんので、その点を解説していきます。

なお、実はこの課題・・・プロファイル設定やカラーマネジメントという分野のお話です。カラーマネジメントについてを詳しく正確に説明するのはとても複雑で難しいので、理論的なことだけを、ある程度端折ってわかりやすさ優先の表現を使って説明しますので、その点はご了承下さい。

 

2.色が変わって見える色空間と作業スペースの違い
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画像4.
一般に使われているのは「sRGB」。「Adobe RGB」は枠が広い分だけたくさんの色を表現できますが、sRGBしか対応していないアプリやプリンタでは、枠が広い分の情報はなかったことになってしまいます。
画像5.
同じ色コードでも、sRGBとAdobe RGBではこんなに色が違います(イメージ)。
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画像6 .
色空間、作業用スペースの設定は「編集」-「カラー設定」。
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画像7.
完全なカラーマネジメントを選択したところ。

 

デジカメで撮影した画像はデジタルデータですから、元は数字の羅列でしかないわけです。その数字の羅列からどんな色なのかを、各アプリケーションや印刷(プリンタ)が忠実に再現してこそ、撮ったときの色が画面上やプリントした紙に再現できるわけですが、その色の基準はいったい誰が決めるのでしょうか。デジカメの開発者とパソコンの開発者とアプリの開発者とディスプレイの開発者とプリンタの開発者が同じで几帳面な人であれば、きっと再現性はとても良いものになると思います。しかし、メーカーも人種もまったく違う人であったならば(ふつうはまったく違う人のはずなんですよ・・そういうお話ですからね)、基準なくして同じ色になるわけないですよね。デジカメやスキャナがデジタル数字に変えた・・その真実の色とは・・、プリンタが紙に表現するべき、真実の色とは・・いったい誰が決めた何色ですか? ということになるわけです。

もともと、WindowsやMacintoshなどでは、どんな色を使うかをばかでっかいカラーパレットで決めてあります。WEBで使うべきカラーパレットも決まっています。そして、どの範囲の色を使ってどんな数値で表現するかを統一的に決めるのが「色空間」です(画像4)。
そのひとつが「sRGB」、代表的にして標準となっているものです。デジカメからパソコン(アプリ)、プリンタまで「sRGB」で統一してやろうよ、と決めとけば基準となる色合いが統一されて、再現性が良くなります。

更に最近、デジタルカメラで対応する機種が増えてきた色空間が「Adobe RGB」です。デジカメからパソコン(アプリ)、プリンタまで「Adobe RGB」で統一してやろうよ、と決めとけば基準となる色合いが統一される・・はずなんですが、実際には「sRGB」にしか対応していないアプリや周辺機器がありますし、ちょっと困ったことになります。色を表わすデジタルの数値が「Adobe RGB」と「sRGB」では違うので、何も考えずにのほほんとしていると、色が違って当たり前の状態にもなってしまいます。

また、「sRGB」は再現できる色空間が狭い、といわれています、標準となっているにもかかわらず・・。「色空間が狭い」というのを解りやすく言い換えれば「表現できる色が少ない」「鮮やかな色、際立った色が出せない」ということになります。「色空間が広い」Adobe RGBで撮った写真を、「色空間が狭い」sRGBで見ると「存在しているはずの色部分が見えない」ということになります。
ちなみに色空間は英語でカラースペースや作業用スペースと呼んでいます。そして、これら色の統一をきちんと管理することを「カラーマネジメント」と呼びます。

Photoshop Elementsでは、「カラー設定」でカラーマネジメントの設定ができ、作業用スペースをsRGBとAdobe RGBから選択できます。

 

 

 
3.エレメンツでのカラーマネジメント
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画像8
限定されたカラーマネジメント(sRGB)でファイルを開いたとき。
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画像9.
Adobe RGBでファイルを開いたとき。オレンジや校庭の遊具が色鮮やか。

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画像10.
プリントする際に、1.「その他のオプションを表示」をチェックすると、2.「カラーマネジメント」が指定できます。
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画像11.
プリントしたものをスキャンしたのでちょっと解りづらいですが、下の画像の方が上の画像より、色が少し鮮やかめに出ています。
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画像12.
上の画像は、カラースペースを変換しないでプリントしたものでした。
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画像13.
下の画像はカラースペースをsRGBに変換してプリントしたものです。お使いのデジカメ、パソコンやプリンタ環境でいろいろと試してみて、好みの設定をみつけてください。

 

 さて、だんだん難しい話になってきたので、この辺で唐突に結論を。

1. 画像をPhotoshop Elementsで開くときに
  カラーマネジメントを行う

デジカメで撮影するときに「Adobe RGB」モードで保存した場合は、Photoshop Elementsでファイルを開くときにも、「作業用スペース」を「Adobe RGB」で開くべきです。
Photoshop Elementsでは、カラーマネジメントを行う場合はメニューバーから「編集」-「カラー設定」を選択します(画面6)。表示された「カラー設定」ダイアログから「完全なカラーマネジメント」を選択します(画像7)。

「限定されたカラーマネジメント」とはいわゆる互換性を重視したモードで、様々なアプリやWEBで使われている色空間「sRGB」の色域の中で編集するということです。色域を抑えたモードととでも表現しましょうか。
一方、「完全なカラーマネジメント」は色域の広い「Adobe RGB」を作業用スペースとして編集できます。またどちらで撮影したか明確ではない写真の場合は、作業用スペースを選択することもできます。

右の画面8と画面9は同じ写真ファイルです。上が「限定されたカラーマネジメント」で開いたところで、色鮮やかには出ていません。下が「完全なカラーマネジメント」(Adobe RGB)で開いたところです。作業用スペースだけでこんなに色合いが違ってきます。

もしかしたら、既にadobe RGBの作業用スペースを使って、色鮮やかな画像レタッチをしている人も多いかもしれません。でも、そんな人の中にも「プリントするとどうも色が渋るんだよなぁ」という声を聞くのです。画面で見ている画像は鮮やかなのに印刷するとくすむ・・
それは、もしかすると・・

2. 画像をプリンタで印刷するときに
  カラーマネジメントを行う

次に、Photoshop Elementsで写真を印刷するときにちょっとした工夫を行います。

「ファイル」-「プリント」(画像9)で印刷を指定しますが、このとき、「プリントプレビュー」画面で「その他のオプション」を表示をチェックすると、カラースペースの変換を指定することができるようになります。

元はAdobe RGBの写真ファイルで、プリンタがsRGBでしかプリントできないとしたら、Photoshop ElementsはAdobe RGBで色表現して鮮やかな色情報を送っているのに、sRGBしか表現できないプリンタは鮮やかな部分は失われて、結果的にくすんだ色になってしまうのかもしれません。 画像10.は「カラースペースを変換しない」で印刷したものです。

そこで、Photoshop Elements上で、プリンタに合わせてAdobe RGBの色情報をsRGBにデータ変換して、プリンタに色情報を送ったらどうでしょうか。画像11.はカラースペースに「sRGB」を指定し、マッチング方法に「相対的な色域を維持」を選択して印刷したものです。

少し解りづらいかもしれませんが、色合いが変わっているのが解ると思います。

冒頭で紹介した画像も同様に、Adobe RGBの画像を、プリンタのカラースペースを変更して印刷したものです。上が変更なし、下がAdobe RGBからsRGBに変換してプリントしたもの。どっちが好みですか?

追伸
最後に付け加えておきたいのですが、カラーマネジメントは、入口(デジカメ)から出口(プリンタ/ディスプレイ)まで、統一して行うべきもので、ハードウェア(ご使用の環境)に影響を受ける、とてもセンシティブなテーマなんです。ハードやドライバとの相性もあります。理論的にこれがいいから、といって、誰の環境でもその通りの結果が出るとは限りません。
例えば、プリント時に「sRGB」に変換した方が色は鮮やかに出るものの、一部の色が破綻してブロック化してしまうようなケースもあるのです(私の場合は決まったデジタルカメラの画像で発生しますので相性かな、と思っています)。
ですので、まずはこの記事の情報を元に、ご自分の環境でぜひ実験をやってみて下さい。実験すれば、だいたいの効果や、どの設定が自分の望むものかがはっきりすると思います。この講座はその足がかりになればいいな、と思い執筆しました。その関係上、本文中に良し/悪しについて曖昧な表現がありますが、それはご了承下さい。


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初出:2005/09/28
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