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光画倶楽部
第3回 オリンパス OM-D E-M5 とそのレンズたち 2012/12/12
 
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今回は撮って撮って撮りまくる!

オリンパス OM-D EM-5 の笠井アキラ流 「 独断レビュー 」 も、今回で最終回。もちろん、「 光画倶楽部 」 が終わるわけではないのでご安心を。さて、その第3回目は、OM-D E-M5 で使えるレンズのレビューですが、笠井先生が撮って掲載しているサンプル写真の枚数、なんと 66 枚!! レビューする笠井先生も大変なら編集者も地獄の、怒濤のレビューをお楽しみください!
<著者メッセージ>


▼目次  

まずは定点撮影でチェック!

レンズの総合評価
作品撮影を通して
おまけレビュー(1)
おまけレビュー(2)
次回予告
▼写真0 OM-D E-M5 での作例
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京都にある知恩院の大階段の頂上から表門を見下ろす。午後の光が半逆光気味にゲート内に差し込んできてフォトジェニックだ。
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■ まずは定点撮影でレンズをチェック!
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● 今回は撮って撮って撮りまくる!
 
▼写真1 OM-D のレンズを試す!
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 前回までの OM-D E-M5 の特性試験によるカメラボディの性質さえ把握すれば、あとは実際に撮影することで、カメラのフィーリングを肌で感じ取ってゆくのがベストだろう。と言っても OM-D E-M5 はレンズ交換式カメラだから、ズームを含むいくつものレンズがあるし、レンズの常で絞りによって性能は変化する。さらにレンズの多くはズーム機能があって、焦点距離ごと性質に若干の違いがある。加えて、JPEG 撮影ではカメラ内においてレンズの諸収差を補正してから画像ファイルを書き出すので、その補正の度合いによっても違いが出るかも知れない。逆の言い方をすればレンズのヤバイところはその補正によって隠されてしまうわけである。

 ざっと、レビューすべき項目を書き出してみてあらためて驚いてしまった。ズームレンズ1本で、「 開放絞り・中庸絞り・最小絞り 」 × 「 広角側・中間位置・望遠側 」 × 「 レンズ特性補正あり・なし 」 × 「 順光・逆光 」 などやりだしたらえらいことになる。

 たしかにこれらは気になるところだが、IT 時代の今日、レンズ性能については僕が書かずとも、ちょっと捜せばいろいろ情報はゲットできそうだ。ということで、やっぱり、笠井流の 「 独断レビュー 」 に徹することに決めたのである。

● 少しだけテスト撮影
   独断レビューといっても性能把握のためのテスト撮影をまったくしないわけにいかない。しかし、あれこれとテスト項目を増やして行くと個人で行うカメラレビューではカバーしきれない。そこで、画面中心と周辺の写りが比較し易い・細かな模様のある被写体として、JR 京都駅ビルの通称 「 大階段 」 をチャート代わりとした。レンズ性能を視覚的・相対的にレビューできるように手持ちの単焦点レンズ ( E-M5 に装着可能な ) でも撮影を行った。ただし、トキナー 300mm については、絞りは固定だし、相対比較レンズもないため絶対評価となる。

 
▼表1 サムネール写真をクリックすると、ポップアップウインドウで 800 ピクセル表示されます。さらに、「 使用カメラの実サイズで開く → 実画像で開く 」 をクリックすると、撮り下ろし状態の画像を表示できます。
 

OM-D E-M5レンズ試験

単焦点レンズとの相対比較

二本のズームレンズのそれぞれの広角側・真ん中・望遠側の焦点距離に見合う手持ちの単焦点レンズを持ち出し、開放絞り、F8、F16の絞り値での相対比較撮影を試みた。

絞り・開放 絞り・F8 絞り・F16
フォクトレンダー
ULTRA WIDE-HELIAR
12mm F5.6
ASPHERICAL
M.ZUIKO DIGITAL
12-50mm
F3.5-6.3 EZ
撮影焦点距離= 12mm
ライツ
ELMAR-M
24mm F3.8
M.ZUIKO DIGITAL
12-50mm
F3.5-6.3EZ
撮影焦点距離= 24mm
ライカ ルミックス
DG MACRO-ELMARIT
45mm F2.8
M.ZUIKO DIGITAL
12-50mm
F3.5-6.3 EZ
撮影焦点距離= 45mm
M.ZUIKO DIGITAL ED
40-150mm
F4.0-5.6 R
撮影焦点距離= 45mm
ライカ
SUMMARIT-M
75mm F2.5
M.ZUIKO DIGITAL ED
40-150mm
F4.0-5.6 R
撮影焦点距離=75mm
ライカ
APO-TELYTE-M
135mm F3.4
M.ZUIKO DIGITAL ED
40-150mm
F4.0-5.6 R
撮影焦点距離=135mm
トキナー
Reflex 300mm F6.3
Macro
   
  絞り・開放 絞り・F8 絞り・F16
   
■ レンズの総合評価
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● 撮影とその後処理
 
▼写真2 Adobe Camera Raw
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表1に示した写真は、全カットしっかりとした三脚に固定して撮影し、マニュアルフォーカス調整をした。ズームレンズと単焦点レンズの同じ焦点距離時の比較撮影では、画面中心部の遠方の同じ場所にピントを合わせた。

全カット Raw モードでの撮影で、Adobe Lightroom4 に組み込まれた Adobe Camera Raw にて Raw 現像した。カメラに付属している 「 OLYMPUS Viewer 2 」 では、純正レンズは収差補正されるが、他社製の単焦点レンズは補正されないので相対比較しにくいからだ。一方、Adobe Camera Raw では、どんなレンズでも色収差については自動的に収差量を見出して補正してくれるのでその機能を活用している。また、僕はマッキントッシュユーザーだが、OLYMPUS Viewer 2 は、Mac 上では動作が遅く突然終了などのエラーも時折発生する。

収差補正を施して Raw 現像するということは、レンズそのものの純然たる性能が反映されているわけではなく、レンズ欠陥の一部をデジタル的に補正した総合性能ということであり、今後のカメラレンズはすべてこうした形で実用性能を評価して差し支えないと思う。

シャープネス効果は付加しているがその量は一般的な効果量の約3分の1程度で、かつ、シャープ感の効果を視ながら微調整をするなどの各画像個別の最適化は行なっていない。

また、レンズの細部再現性を見極めやすいようにノイズ抑制は通常より控えめに設定した。このため、一般撮影画像に比べるとノイズや細線部分にジャギー、コントラストが強い輪郭に偽色が発生する結果となった。作品、あるいは良質な画像という位置づけではなくレンズ性能評価用の画像であることをお断りしておきたい。

● 優秀な 12-50mm ズーム
   個別のテスト撮影画像について細部にわたって性能を評価するつもりはないので、簡単にコメントしたい。

オリンパスの M.ZUIKO DIGITAL 12-50mm ズームについては、非常に優秀なレンズだと思う。レンズ筐体のデザインや堅牢感もすぐれている。どことなくエレガントなかんじで僕の好みだ! ( フードを装着すると見てくれは台無しだが〜 )

さすがに単焦点レンズと比較すれば、構成レンズ枚数が多いせいか、フレアーや微細線の解像力などで劣る点もあるが、全体として、コントラストは高くしっかりした描写となる。広角 12mm 側では周辺に像の流れがあるのではと思っていたが、単焦点レンズの方が流れていて、このズームレンズは流れと認めるほどでもない。常用レンズとして安心して使ってよい。

● 高輝度部のゴーストに注意 40-150mm ズーム
   オリンパスの M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm も、一般的な撮影で問題となるような点はない。しかし、今回のシーンのような状況、すなわち、全体に暗いトーンの中にとても明るい輝くような部位 ( 遠方に見える階段やエスカレーターの輝いている手すりなど ) がある場合、この白い高輝度部分の像がブルー ( 紫 ) 色のゴースト像としてその被写体の近傍の暗い部位に出現する。レンズの内面反射によるものと思われるこのゴースト像の出現は、特に絞りが開放のときに著しく、広角側、望遠側のいずれでも出現する ( 被写体との出現位置関係が逆になる ) が、中間焦点距離ではほとんど出現しない。

望遠側では F8 に絞ってもこのゴーストは残っていて F16 ではなくなっている。高輝度物体がある望遠側撮影では F11 以上に絞って使うべきであろう。

なお、微細線の解像力は良好で、40〜50mm の焦点距離位置では、前述の 12-50 ズームよりすぐれているように思える。

● 柔らかな写りだが細部までシャープ トキナー 300mm
 
▼写真3 トキナー 300mm
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レフレックスレンズは理論上色収差が発生しないとされていて、このレンズでは、いくつかのガラスレンズを使っているものの色収差はほとんどない。Raw 現像時の色収差補正処理の必要すらないように思える。

描写は柔らかく画面全体に淡いモヤがかかったような見え方となる。シャープな物体を撮影しても鮮鋭感はないが、かと言って輪郭がぼやけているわけではなく、濃淡差が ( コントラスト ) 少ないというだけのようで、微細線は解像していて合焦した細線にはしっかりとした芯が見て取れる。

よって、撮影時にカメラ内設定で、もしくは Raw 現像時に、コントラストを調整し、特にシャドウ部の漆黒感を増やすような処理を加えれば優秀レンズとなる。そして、何にも増して、コンパクトさ、軽便さが優先的に評価されるべきレンズだ。

ただし、E-M5 との相性という意味では、ピント合わせが大変でありベストマッチとは言えない。E-M5 には部分拡大 ( 5・7・10・14 倍 ) によるフォーカシングアシスト機能があるが、ファインダーの一部を5倍に拡大してピント合わせしようものなら、この超望遠レンズでは、たとえ三脚固定していてもヘリコイド操作によって画面が大きく動いてしまい、シーンの同じ部分を見続けことができないためピント合わせが困難なのだ。

レンズのせいと言うよりもカメラボディ側の問題である。2倍、3倍程度の低倍率拡大、ならびに他社カメラに装備されているようなピーキング表示機能が必須である。また、フォーカシング補助のための拡大表示中は、自動的に5軸モーションセンサーによる手ぶれ抑制効果が出るようなカメラ側の仕様でなければならないと思う。
   
■ 作品撮影を通して
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● 結局、OM-D EM-5 を購入してしまった〜
 
▼写真4 サイクリング用フロントバッグ
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愛車ルイガノに装着した RIXEN KAUL 社のサイクリング用フロントバッグ ( KT815 / 内寸:約 250×190×120mm ) には、EOS 5D 標準ズーム付きが1台、工夫してやっとこギリギリ収まる。そんな容積のバッグに、E-M5 ボディ、12-50mm ズーム、40-150mm ズーム、300mm レフレックスレンズ、サブカメラ ( フジ X-100 )、サイフ、スマホ、予備バッテリー、ブロアー、他小物が収納できる。この小型さは APS-C センサーのミラーレスでも無理かも知れない。革命的だ!( 写真を Click で拡大 )
 過去2回に渡り、辛口で評した部分もある E-M5 だが、僕は結局、自前で購入してしまった。最大の理由は、ライカ M ユーザーである僕は、12mm〜200mm までライカレンズを揃えていて、マウントアダプターを経由してそのすべてを E-M5 で使えるのがありがたい。特に、レンズ内のブレ抑制機構ではそのレンズ以外ではブレ抑制の恩恵がないが、ボディ側ブレ抑制機構はありがたい。そんなわけでライカ M9 には広角レンズを、E-M5 には長焦点レンズまたは望遠レンズを装着して、身軽なかっこうで撮影行動ができる。

 と言っても、今回のレビューではライカ M 用レンズによる創作は行わず、前出の3本のレンズでいろいろな撮影に挑んだ。下の表2にその全てを示そう。サムネールをクリックすれば長辺 800 ピクセルの拡大像をみることができ、僕のコメントも付記した。さらに、「 使用カメラの実サイズで開く → 実画像で開く 」 をクリックすると、撮り下ろし状態の画像を表示できる。

  なお、今回の撮影行動では、自転車移動を多用した。そういうときでも、今までは自転車のリアバッグに収納していた数本のレンズ群やカメラボディは、小ぶりなフロントバッグにそのすべてが収まってしまう( 写真4 )。マイクロフォーサーズカメラのコンパクトさ故である。

▼ 表2 オリンパスOM-D E-M5 〜 撮影と作品作りレポート
   


   以上で僕の独断カメラレビューはおしまいなのだが、次のセクションに、2つほどオマケのレポートを追加しようと思う。
   
■ オマケレビュー(1)
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● デジタルカメラのノイズ
 
▼図1 ノイズ量調査用グレーステップ
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ノイズ試験用グレーステップチャート。光沢のない,表面がスムースなマット紙にプリントしてチャートとして活用する。
( 写真を Click で拡大 )
ノイズ量調査用グレーステップ
プレゼント!
ご覧になっているスタジオグラフィックスのメールマガジン ( 無料 ) に登録すると、図1の 「 ノイズ量調査用グレーステップ 」 がダウンロードできます。既にメルマガにご登録いただいている方は、これまでに届いたメールの末尾に記載されている ID とパスワードを使って、以下の 「 ダウンロードページ 」 にお進みください。

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▼写真5 ノイズ量調査用グレーステップを使った撮影方法
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明るい室内、または屋外日陰などでこのようにしてテスト撮影する。
( 写真を Click で拡大 )
▼図2 Photoshop での編集
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Photoshop で撮影結果をオープン。Photoshop のスクリプトを活用して、レイヤーにまとめてオープンすると、レイヤーパネルのレイヤー名がファイル名となってくれるのがありがたい。
( 写真を Click で拡大 )
▼図3 ノイズの数値をグラフ化
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ノイズを数量として多い・少ないと捉えるというより、どの感度までなら大きく変化しない/するなどを把握するのがポイントだ。
( 写真を Click で拡大 )
デジタルカメラのノイズ量を調べる方法はいくつもあるが、誰もが簡単にできる方法をひとつ紹介しよう。

この方法を使えば、特定のカメラのノイズの量が、たとえば ISO 感度ごと、ノイズ抑制設定ごとにどのように変移するかが相対的に数値化できる。ただし、この数値は絶対値ではないので他のカメラとの比較には向いていない。あくまでも、1機種内でのノイズの変化の度合いを見極めるものである。

準備するのは図1のような3段階に濃度が変化するグレーステップだけである。このグレーステップ画像は、スタグラのメールマガジン ( 無料 ) 登録者なら誰でもダウンロードできるので、活用して欲しい。

このチャートをインクジェットプリンターで、光沢のない表面がスームースなマット紙に A4 サイズでプリントする。美しいグレーに仕上げるにこしたことはないが、およそグレーにプリントされていれば OK である。あとはこれを、「 ややピントをはずして 」 ISO 感度を変えながら ( あるいはノイズ抑制設定を変えながら ) 撮影する。ピントをはずす訳は、チャート表面の紙のテクスチャーやインク粒によっては、それをノイズと捉えてしまう可能性を回避するためである。

その後、Photoshop のヒストグラムパネルに付属している 「 ある機能 」 を使って数値化する。

撮影は、多少荒っぽくても構わない。画面の周辺はレンズにもよるが周辺減光があるかもしれないのでチャートは中心部3分の2ほどを占めるように構図を決める。写真5はその様子である。カメラ設定は、絞り優先としておく。絞りは開放から1段絞った程度でよいだろう。シャッター速はあまり低速にすると低速度撮影によるノイズも混入してしまうので遅い速度でも8分の1秒程度までとする。そういう明るさの場所 ( 明るい室内か日陰の屋外 ) がよい。

ISO を替えても適正露光になるようにシャッター速を変えながら撮影することになる。

撮影が終わったらファイル名を変えてどのコマがどんな撮影条件か分かるようにしておき、全画像を一つのレイヤーとして読み込む。このとき Photoshop の 「 ファイル ⇒ スクリプト ⇒ファイルをレイヤーとして読み込み 」 コマンドを使えば、撮影した複数の画像をレイヤーに重ね合わせてオープンしてくれる。

読み込んだらチャートの各濃度のグレー部分より2回りほど内側、図2の場合なら選択範囲の破線長方形部分のように、700×1000 ピクセル程度の選択範囲を作り、その選択範囲内のヒストグラムパネル下部に表示される 「 標準偏差 」 の数値 ( 図中赤楕円部分 ) を読み取ってメモする。図中ブルー長方形のように、残り2つの濃度のグレー像部分へと選択範囲を移動して標準偏差を読み取ってメモする。いつも同じ場所を繰り返し読み取れるように図中水色線のような Photoshop のガイド線を設定しておくと便利だ。

「 標準偏差 」 とは、たくさんの数値群のバラツキの度合いを示す統計値を言う。今回のテストチャートのように、フラットな部分のピントをぼかして撮影するとその部位のピクセルの階調値はほぼ一定となる。照明にムラがなく、ノイズがなければ理論上は階調値が全部同じになるわけだ。ところがノイズ混入によって階調値がばらついてくる。ノイズが大きいほどバラツキが大きい。標準偏差の数値が大きいということはノイズが多いということになるわけである。なお、明るい部分や暗い部分よりも中間調部分の方が明暗側に触れる余裕幅が大きいので、中間グレー部分の標準偏差が大になるのは自然なことなので気にする必要はない。

表計算ソフトを使ってもいいし、手書きでもよいので、この数値の変化を折れ線グラフにしてみる。図3がその例である。グラフにすることでノイズの増加の遷移がビジュアル的に把握できるようになる。実線がノイズ抑制処理オン ( 「 高感度ノイズ低減:標準 」 ) 、破線は同オフのときの変化だ。

この図で見ると分かるように、E-M5 でノイズ抑制オンの場合、おおむね ISO 1600 まではほとんどノイズ量は変化しないことが分かる。よって、常用 ISO は 1600 までなら状況に応じてどれを設定してもよいだろう。

そして、 ISO 3200〜6400 もノイズ増加量はさほど急峻ではなく実用域だ。 ISO 12800 以上では急激にノイズ量が増えてくる。

ただしノイズの現れ方は、シャープネス設定によっても大きく変化する。JPEG 撮影なら、シャープネスをどの程度に設定して撮影するか?また、Raw 撮影なら Raw 現像時にどの程度のシャープネス効果を付加するか?などを決めておき、その条件下でテストする方がよい。

このようなテストを、 「 高感度ノイズ低減:標準 」 以外の設定について、あるいは、よく使う長時間露光秒数と ISO 感度と 「 長秒時ノイズ低減 」 の設定項目などについて行っておけば、自分なりの最適な運用方法を決める資料にすることができる。

   
■ オマケレビュー(2)
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● マイクロフォーサーズカメラ専用ニッシンストロボを使ってみた
   E-M5 のレビュー作業中にマイクロフォーサーズカメラ専用ニッシンストロボ 「 Di466 フォーサーズ用 」 を試用することができたので、この場を借りて報告しておきたい。

Di466 フォーサーズ用は、ガイドナンバー 53 ( テレ端・ ISO 100時 ) の中型ストロボで、カメラボディにクリップオン式に取り付けするか、カメラとは離れた場所に設置して、スレーブストロボとして活用できる。詳細は、ニッシンの Web ページをご参照願いたい。

▼写真6 Di466 スレーブ発光実験
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E-M5 に純正小型ストロボを取り付け発光撮影。カメラ正面に Di466 スレーブストロボを配置し、シンクロさせる。 Di466 の回転角度=正面 ( 0度 ) 〜 45 度まではスレーブシンクロして発光するが、60 度では反応しない。45 度の光量が少ないように写っているのは発光方向がそうとうずれたからである。( 写真を Click で拡大 )
▼写真7 Di466 をスレーブで使う場合
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Di446 のヘッドを 90 度上に回転させた Di446 を横倒しにする。スレーブセンサーをカメラ方向に向けつつ、Di446 の発光面は希望の方向に向いている状態となるように工夫した。( 写真を Click で拡大 )
▼写真8 レフ代わりの白いタオルに
バウンス発光
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僕の専属モデル、同じ町内のエマちゃんにストロボを持ってもらった。図-9aと同じように発光ヘッドを真上方向に回転させ、スレーブセンサーをカメラに向けた。一般家庭内にあるものだけで上手にライティングするために、ハンガーに白いバスタオルをかけ、ハンガースタンドにぶらさげた。これを白レフ板とするわけである。そこに Di466 のストロボ光を反射させた。
( 写真を Click で拡大 )
クリップオンストロボとして使う場合は、それなりの光量を有しているし、直射・バウンズともに良質な撮影ができる。ただし、ストロボヘッドはカメラを横構図に普通に構えた状態でのみ上方向に 90 度回転できる。 「 バウンズ撮影=影を和らげたい=ポートレート撮影で多用=縦構図のバストアップ撮影の頻度が高い 」 はずであって、カメラを縦構図に構えたときに天井へのバウンズ撮影はできないのは不便だ。

スレーブストロボとして使う場合、スレーブセンサーがストロボ本体正面についていて、若干プラボディに埋め込まれているような状態となっている。そのせいなのか、あるいは設計上の仕様なのか、スレーブセンサーへのメインストロボ光の入射角は約 45 度までだ。60 度の入射角ではスレーブセンサーがメインストロボの光を感知してくれずうまくシンクロ発光しない。15 度ずつ Di466 を回転させて発光するかどうかをテストしたので写真6に示す。45 度までは発光しているが 60 度では発光しないことが分かる。

実際のスレーブ発光の運用では、60 度どころか 90 度方向や 180 度方向からメインストロボの光を受けなければならないことがある。

たとえば、もっとも単純な運用方法では、オーソドックスな人物ポートレート撮影を想像してみたい。カメラに組み込まれているストロボがメインストロボとなる。スレーブストロボは、カメラの右となり数メートルの位置に配置して、モデルの向かって右半身に光を当てることにする。この場合、スレーブストロボには、真横からの光に対してセンサー受光力が必要なのだ。

もしストロボヘッドが水平に 360 度回転できるならどうであろうか? スレーブセンサーはカメラのメインストロボに向けたまま、ストロボヘッドは任意の方向に回転できる。つまり、縦構図のカメラ構えで天井バウンズ発光ができない問題も、スレーブストロボとしての運用上の問題も、ヘッドの水平回転ができないからなのである。

残念ではあるがこれができないために、回避策は写真7のようにするしかない。つまり、ストロボを横倒しにし、上下方向に動くストロボヘッドを水平方向の回転に代用させるわけである。

現状では、いろいろ難題が多いストロボなのだが、小型軽量であるし安価であるからカメラバッグに忍ばせておけばそれなりに活躍してくれることもあろう。

▼写真9 Di466 を使った作例1
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写真8の撮影結果がこれ。このショットは、ストロボに内蔵されている小さなベロ状の白レフ板を引き出し、かつ、ワイドパネルも引き出している。光を拡散させ、わざとカメラレンズに直接照射されるようにした。ストロボ光はプラス1.5EVに光量調整。こうして強烈な逆光撮影をしたので、画面下部=ストロボをかかえている膝元からフレアーが生じた。加えて、下方からの照明光によってモデルの妖艶さを演出できた。フレアーや下方光照明は、人物写真の表現技法の一つだ。( 写真を Click で拡大 )
 
▼写真10 Di466 を使った作例2
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こちらはストロボをカメラの左手方向からコンクリートの壁に照射した。ごく普通のバウンズライティングだ。ただし、カメラ本体のストロボ光は、マイナス 1EV に落としている。なお、カメラ側ストロボ光量を落とすとスレーブセンサーが反応しないことがあった。( 写真を Click で拡大 )
   
■ 次回予告
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 3回にわたり独断カメラレビューにお付き合いいただきありがとうございました。ひさしぶりの機材レビュー、細かくやってみるとチェック項目が多く、10 年ほど前に盛んに執筆していた時期のシンプルな機能のデジタル機材との大きな違い=デジタル写真の急速な発展を感じています。そんなわけで、レビュー記事書くと命が縮みそうです ( 汗 ) 。
 今後も、スタジオグラフィックスには、 「 笠井アキラの光画倶楽部 」 としていろいろな切り口で 「 写真=光画 」 について、健康を維持できる範囲でおしゃべりを展開してゆく予定です。よろしくお願いします。


■ 協力企業 ■
ケンコートキナー
オリンパスイメージング

■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
笠井アキラ
   
 
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初出:2012/12/12 このページのトップへ
 
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