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フォトグラファーに聞け!

第5回 若子jet / wakako-jet

    〜 明るく元気な作品を届けたい……

2013/06/27
 
● 若子jet インタビュー
フォトグラファー  岐阜県生まれ。
公式サイト http://wakakojet.com/
公式ブログ http://wakakojet.exblog.jp/
▼ Topix  
今回の 「 写真のコダワリ~フォトグラファーに聞け! 」 は、甘くて可愛い女の子を、独自の世界観で描く 「 若子jet 」 氏。明るく元気な作品が取り柄という氏の写真へのコダワリを、氏が講師として勤めているデジタルハリウッド大学内の一室で聞いてみた。


▼ 若子jet 展示情報  
若子jetの作品展示 2013年 美術館にて開催 予定。詳細が決まり次第、本サイトでも告知 します。お楽しみに。
 
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若子jet● 若子jet ●
名古屋造形大学卒業後、出版社を経て、松本明彦氏に師事、独立。2007 年度コニカミノル タ フォトプレミオ受賞。現在、雑誌、広告を中心に撮影する一方、オリンパスフォトギャラリー、キヤノンギャラリーなど個展多数。「 やさしく、かわいく、 綺麗な世界観 」 を得意とする。

編集部 いきなりですが、「 若子jet 」 ( わかこジェット ) というジョブネームの由来を教えてもらえますか?
若子jet 以前はけっこう突撃ドキュン(笑)な感じで、つっぱってたんですけど、今は落ち着いちゃって(笑) 若いときの感覚を忘れないようにっていう意味合いです。勢いのあるネーミングなので、名前負けしないようにっ!っていう強い気持ちもあります。
編集部 若子jetさんに実際にお目にかかってみれば、ご自身も作品も、突撃……というイメージではないですよね。作品の方は 「 やさしく、かわいく、綺麗な世界観 」 を表現されていますし、ご本人は……なんといいますか、失礼を承知で言わせていただければ、「 つかみ所がない 」 と言いますか……。
若子jet 若子jetよく言われます(笑) 作品を作り込むためには、いろいろ事前に準備しておかないといけないことがあったり、交渉事があったりするんです。その作業がとても細かくて大変なことが多かったりするんですが、作品のためなら何度も「 突撃 」 するんです!(笑)
編集部 その作品を作り込んでいくプロセスを、少し掘り下げて伺いたいのですが、その前に……。若子jetさんの作品は、第一印象で 「 絵画的 」 だと感じます。これは意識されていることなのですか?
若子jet 若子jet意識しています。作った世界が大好きなのです。はじめは美大で、アクリル画や油彩、水彩画 を学んでいたんです。まず絵画の世界では、描きたいイメージを真っ白な画面に模写をしていくんですけど、特に油絵などは塗っても塗ってもきりがない世界で………。もっと簡単にイメージ を切り取れないかなと思って居るときに、写真なら簡単じゃないか………と思ったのです。 当時は、1枚を作る写真の大変さを知らなかったのでそんな考えをしてしまった訳ですが、こうして写真の道へどっぷり進む事になりました。
編集部 なるほど、ファインダーをカンバスに見立てているわけですね。でも実際の絵画と違って、若子jetさんの作品の場合は、お一人で作り込むのは難しいですよね?
若子jet 私の好きな世界観を作り込む時には、モデルさんはもちろんの事、メイクさんやスタイリストさんは欠かせません。スタッフみんなで同じ方向を見て、全員が納得出来るベストを目指します!
編集部 作品を拝見すると、ロケーションや衣装へのコダワリが伝わってきます。そのコダワリを少しだけでもお聞かせください。
若子jet 若子jet私は衣装スタイリストさんにご協力していただく事が多いんですけど、そのときに、既にある衣装を組み合わせるだけじゃなく、ちょっとミスマッチな世界観になるような 「 差し色 」 をスタイリストさんに手作りしていただいて、私が描きたい風景の中にモデルさんに登場してもらいます。 ロケーション選びについては、実は作品作りをはじめた頃は、スタジオでの作品作りが多かったんですけど、自分の世界観や、シチュエーションを大事にしたいと、時を重ねる事に考えるようになって、最近は野外で撮影をするのがすごく楽しいですね。日頃から気になったり、面白いとか可笑しいとか思った場所を覚えておいて、作品作りに使うようにしています。それらは残しておきたいと思うものばかりで、だからこそ宝物箱にカワイイを沢山残しておきたいんです。
 
  差し色( さしいろ )
衣装スタイリストが、モデルの服をコーディネイトするさいに、服全体の基本色に対してアクセントとして追加する色を 「 差し色 」 いう。
編集部 スタジオじゃない場所での撮影は何かと大変じゃありませんか?
若子jet 作品を作る際に、一度の説明ではなかなか理解してもらえないことが多いです。例えば、専用敷地内での公園での作品作りは、撮影をする前に、事前に役所のお偉いさんに理解してもらわないといけないですし、理解していただくまでに時間がかかり、無理な金額を請求されたりしますね。納得がいくまで向き合いたく、何度も通って理解してもらうようにしています。 その作業も作品作りの大事な準備ですね。
編集部 そうした苦労や努力をしてでも、作品を作り上げようとするモチベーション、その原動力は何でしょうか。
若子jet 若子jet物語の世界観の背景になるような場所を見つけると、そこで自分だけのストーリーをまずは考えてしまうんです。そこには食べちゃいたいくらいに甘くて可愛い女の子がいて……こんな衣装を着て……ポーズして、表情は……って、頭の中でどんどん膨らんでいくんです。本来自分がそうありたかっていう願望を、モデルさんにお願いして、スタイリストさんやメイクさんと一緒に作っていくのが、本当に楽しくって大好きです。
編集部 そうした作品は、誰に向けて作っているんでしょう。伺っていると若子jetさんご自身に向けてのように思えますが……。
若子jet 最終的には自分自身なんですけど、その結果、私の好きな世界観に共感してくれる人が1人でもいれば嬉しいですね。
編集部 実際に共感してくださるファンの方が多くいらっしゃる若子jetさんですが、ファンの方は女性が多いのでしょうか。また、ファンの方からの受けた声を教えてください。
若子jet 若子jetありがたい事に私の作品を観に来てくださる方は女性が多いですが、こう……、男女で手を繋いでデートの途中で来る……みたいなカップルも多くいましたね(笑) ファンの方の反応で嬉しかったのは……これは私自身は意識してこなかったことですが……「 胸がキュンってする! 」って 言われたことですね。それと、私が作品作りを続けていく上で大きな自信をくださった声は、震災( 東北地方太 平洋沖地震 )後に、仙台で開いた個展でいただきました。あのときは、震災に関する写真展が多かったんですが、私の写真を観に来てくださった被災者の方が、「 元気で楽しい写真を観て、心が明るくなりました 」 って涙ぐみながら言ってくださいました。そのとき、私の作品で色々な方々の心を明るくする事ができるんだって気づかされました。写真を続けていて、本当に良かったなって、心からそう思いましたよ。




編集部 若子jetさんの作品を拝見していると、ライティングにかなり特徴があるように思えます。光と陰の使い方といいますか……コントラストの強い作品が多いですね。ライティングはどのようにして学んだんですか?
若子jet 若子jet修行時代は、特に出版社の写真部で働いていた頃は、仕事中に自分独自のライティングを考えるなんてことは全くはできなかったので、当時住んでいたマンションの地下駐車場で、ひたすら毎週ライティングの個人練習をしていましたね。夜になると駐車場にロールペーパーを敷いて、当時その頃なかなか使う事の出来ないライト……ジャンボアンブレラやストリップライトやスティックライトなどの特殊なものも、機材屋さんでリースして、数々を試して、独学で覚えましたね。好きな写真集やコマーシャルフォト誌の何冊かのライティング系のムックを全て購読して、じっくり観察して、覚えていきました。そうやって、自分がイメージする絵作りのために必要なライティングを常に模索していきましたね。
編集部 その結果、陰が好きになったと……?
若子jet 若子jetはい、好きですね(笑) 私は肌を飛ばしてしまうような直接的な光があまり好きじゃなくて……どちらかというと光を回り込ませたいんですね。昼の屋外で、しかもピーカンのときに撮影することが多いんですが、モデルの全身に光を当てるために、大型ストロボを使っています。室内での撮影ではクリップオンストロボを使うこともあります。いずれにしても、ストロボを上手に使えば、絵全体がドラマチックになりますからストロボは必須の撮影機材ですね。私の作品作りではメインのストロボはモノブロックを使いますが、モデルの目にキャッチを入れるときや、衣装の質感をちょっとだけ際立たせるときとかには、味付けとしてクリップオンストロボを追加したりします。
編集部 最後に、これからフォトグラファーを目指そうとしている若い読者にアドバイスをいただけますか?
若子jet これから写真を学ぶ学生、若いアシスタント達からよく受ける質問に、「 撮りたいテーマがわからない 」 と言われる事が多いんですが、そんなときにまず答えるのは、「 まずは動いてください 」 ですね! とにかく撮り続けていれば、そのうち写真が教えてくれるはずだって……。 だけどそれって、簡単なようで実はすごく難しいことですよね。私も大事な恩師に言われたことですが、「 まずは十年続けなさい 」 と。「 十年続ければなんらかの結果が必ず出るから 」 と。そして、「 若いんだから、十年経ってもやり直しはできるし、続けるか辞めるかは、そのとき考えればいい 」 と何度も言われたんです。 こうして、その言葉が今につながった訳なんです。続けることができて本当によかった。今では自分自身の若い頃を振り返るたびに、「 私はなんであの頃を焦っていたのだろう…… 」 といつも思う。最近では、ずっと続けていた事が少しでも理想に近くなってきたなってやっと思えるようになったんです。まずは、ずっと支えてくれた両親、家族、恩師など、周りに感謝をしないといけないですね。そしてこれからも、作品で沢山お返しをしていきたいですね……。若い人たちも作品を作ること、まずは自分の好きなことを見つけて頑張ってほしい。私自身ももっともっと模索し続け、表現することを続けていくことが大切ですね。
編集部 本日はありがとうございました。また、本サイトの別の場所でお目にかかれることを期待しています。
若子jet ありがとうございました。


次回の 「 写真のコダワリ〜フォトグラファーに聞け! 」 は、
2013 年 7 月中旬頃を予定しています。お楽しみに!



 
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初出:2013/06/27 このページのトップへ
 
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