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 女性の撮りかた講座
第3回 目を四角にして歩け! 2006/03/22
 
長らくお待たせしました
一歩手前で
自分の目線は他人の目線
目を四角にして歩け

林 英吉

講師 林英吉 フォトグラファー
 あくまでも「シューティング感覚」を大切にするフォトグラファー、林英吉氏。商品撮影や建築撮影もこなすが、最近は専らタレントや女優などの人物撮影で活躍中。

聞き手 薮田織也
 人物写真(特に女性)にしか興味のないチャランポランなカメラマン。林氏のテクニックを聞いて少しは勉強しる!

薮田 織也

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写真0
拡大写真
モデル:水沢 彩
 
■長らくお待たせしました
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ごめんなさい

 読者の皆さん、長らくお待たせしました。いろいろありまして、本当に申し訳けない!


 本当だよ。連載開始2回目にして、人気がないから打ち切りになったのかと思った。


 いやいや、この連載は結構人気があるんですよ。写真もいいし、林さんのすっとぼけ具合もいいし。


 別にすっとぼけてなんかいないと思うんだけどなぁ。それに僕はこれが素なんです。


 さぁさぁ、それじゃ本題に入りましょうかぁ!


 気合入ってるねぇ。


 ぷぷっ。だって、今回はHな写真の解説でしょ? ? えっ?違うの?

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写真1
モデルが着ている衣装とのギャップを楽しむポーズ。あまりいやらしくならないように注意。(拡大写真
モデル:石川 久美子

■一歩手前で
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見る人の想像力を掻き立てる写真?

 薮ちゃんが言うと、僕がなんだかとっても「いやらしい」写真を撮ってるようじゃないか。僕は別に「いやらしい」写真を撮りたいわけじゃないんだよね。僕自身はスケベの部類に入るとは思うけど、「いやらしい」写真は好きじゃないんだよ。


 あれれれ、それじゃまるで僕の方が「いやらしい」みたいじゃないですか。そりゃあ、Hな想像力は逞しいとは思いますけどね、ヘタなヘアヌードより、衣装を着ている写真の方が想像力がみなぎるし……。


 それだよそれ。僕は想像力を掻き立てる写真が好きなんだよね。今そこに写っている次の瞬間が想像できる写真が好きなんだ。わかるかなぁ。


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写真2
写真を見る人の目線を意識したカットです。あなたの目線は最初にどこにいきましたか?(拡大写真
モデル:石川 久美子

 わかりますよ〜。とっても。次の瞬間、下から風が吹いて、ぱぁ〜っとね。こう、めくれちゃうのを想像するわけですよ、ねっ、ねっ?


 ……。やっぱりこの連載やめようか。あんた下品だよ。でもまぁ、当たらずとも遠からずっていうか、いずれにしても、撮り手にしてみれば自分の撮った写真1枚から、見る人がいろんな想像をしてくれるのは嬉しいよね。そういう写真でなければ料理の写真にしたって、風景だって面白くない。


 そういう写真を撮れるようになるにはどうしたらいいんでしょうね?


 簡単に言うと、動作が完結する一歩手前のシーンを撮ればいいのさ。たとえばね、野球のピッチャーが投球している写真を撮りたいとして、薮ちゃんなら、どのタイミングでレリーズを押す?


 う〜ん…。ピッチャーの手からボールが離れる瞬間ですかねぇ…。


 離れる瞬間もいい写真だと思うけど、そのほんの一歩手前の、ボールを強く握っているシーンを思い浮かべてごらんよ。多分、その方が力強い写真になると思うよ。


 なるほどね! まっ、実際に僕なんかは連写じゃないとそんなシーンは撮れないけど…。そういえば WBC 日本代表チーム世界一になりましたね! ばんざ〜い!


 話をそらしなさんな。でも嬉しいね。まっ、そんなわけで、女の子の表情や仕草の写真にも同じことが言えるんだよね。


 えっ? 女の子の表情と野球になんの関係が?


 シャッターチャンスの話をしてるんだよ! 女の子の表情や仕草が完結する一歩手前の瞬間が、最も想像力を掻き立てる写真になるはずだってこと!


■自分の目線は他人の目線
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●あなたの目線は?

 今回、掲載している写真も、一歩手前の写真ってことですね。う〜ん! 次の瞬間が想像できていいっすねぇ。ぐへへへへへ。


 やっぱり今回で最終回ね。終わり、終わり。


 あああああ、「ぐへへへへへ」は嘘ですよ、間違い! ほんとは「うふふ」です。


 どっちも気持ち悪いよ、まったく…。まぁ、今回の写真は一歩手前の写真というより、写真を見る人の視線を意識した写真だね。


 つまり、これらの写真において、僕の視線が一番集まる場所を、林さんも意識して撮ってるってことですな。


 ……。そういわれるとなんだか嫌だな。でもまぁ、実際のところはそいうことなんだよね。よっぽど変わり者でもない限り、だいたい同じところに視線は行くと思うけど…。


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写真3
写真を見る人の目線を意識したカットです。あなたの目線は最初にどこにいきましたか?(拡大写真
モデル:石川 久美子

 で、これらの写真の場合は、ずばり言っちゃうと、「パニエ」と「脚」の境界に目がいっちゃうわけですけど…。やっぱりこれも一歩手前のカットですな。次のカットではその一歩先に…。


 いい加減、その話題はやめようか。話題を変えてちょうだいよ。

 

■目を四角にして歩け
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●お洒落には敏感に

 前回の衣装の話とも関連があるんですけど、林さんって、お洒落ですよね。


 僕がお洒落かどうかは他人の評価だけど、僕自身、お洒落でいたいとは思ってるよ。


 カメラマンもお洒落じゃないと、やっぱりお洒落な写真って難しいですよね。


 センスのいい写真を撮るために、カメラマン自身がお洒落である必要はないと思うけど、お洒落に敏感である必要はあるよね。


 お洒落と一緒で、写真の構図にも流行ってありますよね。


 確かにね。写真の構図についても、衣装のお洒落と一緒で、いつも気にはしているよ。

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写真3
被写体がどんな場所にいるのかわかる構図を考えること。(拡大写真
モデル:水沢 彩

●いつでも目を四角にして歩け

 構図とか衣装って、やっぱり雑誌とかで研究しているんですか?


 いや、雑誌は自分の仕事のフィールドなんで、あえて雑誌は見ないようにしているよ。雑誌だと、やっぱり他人の写真を意識しちゃうからね。その代わり、映画やテレビドラマなんかは注意して観ているね。それから、よく街に出てお洒落な女の子を眺めてるね。


 街のお洒落な女の子を、映画に出てくる構図でフレーミングするとか…。


 そうそう。カメラを持っていないときでも、目はいつもファインダーを覗いている感覚だね。


 それって大切ですよね。つまり、いつでも目を四角にしていろってことかな。


 目を四角にするなんて、なんだか怒っているみたいだね。でもまぁ、そうした普段の訓練が本番でものを言うんだよね。


 それじゃぁ、今回はこの辺で、また次回もよろしくお願いしますね。次回は「光」の使い方について解説してもらおうかなと思ってます。


 
協力: モデル Excel Human Agency
 
初出:2006/03/22 このページのトップへ
 

     
 
 

     
 
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