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ストロボ達人への道!
第10回 Di866mkII 使い倒し 〜 未対応のカメラで使う 2012/11/01
 
▼目次  
未対応のカメラへの接続方法
シンクロケーブルでの接続
外部オート調光の使い方
シンクロケーブルを使って撮影してみた
次回予告
▼写真0 Di866 MARK II を
Olympus E-3 で使う
Clickで拡大
ニコン用のニッシンストロボ Di866 MARK II を オリンパス E-3 にシンクロケーブルで接続して撮影してみました。すべてマニュアル設定ですが、十分に使えます。 ( 写真を Click で拡大 )
Camera Olympus E-3
Lens 14.0-35.0 mm f/2.0
F. Dist. 50mm EV ±0.0EV
Aperture F10.0 S. Speed ---
ISO 400 WB 1/40
M.Mode Manu Strobe Di866 mkII
S. Light White Ref
Filter Non
▼トピック  
■ Di866 MARK II 使い倒し企画 その2 ■
本来はニコン、キヤノン用に開発された Di866 MARK II を、未対応のデジタル一眼レフカメラで使う方法をご紹介します。もちろんメーカー保証外なので、自機で使う場合は自己責任でお願いします。
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■ 未対応のカメラへの接続方法
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● ホットシュー接続

   本講座で紹介してきた Di866 MARK II などの TTL 機能を搭載したストロボは、一般的に対応するカメラ専用に設計されていますが、実は未対応のカメラでも使える場合があります。もちろん、TTL や Auto といった、カメラ本体と通信しなければならない機能は使えなくなりますが、ストロボをマニュアル設定で使うのであれば、その性能を十二分に発揮させられるはずです。

 Di866 MARK II を未対応のカメラに接続する方法は、大きく2つあります。ひとつめは 「 カメラのホットシュー ( アクセサリーシュー ) 」 を使う方法です。 ( 写真2 ) デジタル一眼レフカメラのホットシューには、いくつかの電子接点が配置されていますが、ほとんどのメーカーのほとんどのカメラで共通するのが、ホットシュー中央にある大きな接点です。この接点を 「 シンクロ接点 」 と呼びます。シャッターに合せてストロボをマニュアルで発光するだけなら、このシンクロ接点があれば問題ありません。その他の小さな電子接点は TTL などの情報をストロボとカメラでやりとりするためのもので、メーカーごとに位置が異なります。このため、ニコン用の Di866 MARK II を他メーカーのホットシューに接続しても TTL 発光できないわけです。

● ホットシュー接続のメリット・デメリット

   ホットシューを使った接続のメリットは、カメラの取り回しが楽な点の他に、「 外部オート調光 」 機能が使える点です。外部オート調光の詳細は後述しますが、ここでは簡単に 「 TTL ほどではないが半自動でストロボの発光量を調節できる機能 」 とだけ書いておきます。ただ、Di866 MARK II が未対応のカメラのホットシューに接続するときは、念のために注意しておくべきことがあります。それは、Di866 MARK II とカメラの組み合わせによってはカメラかストロボのどちらか、または両方に不具合がでる可能性があるということです。筆者の経験上、最近のデジタル一眼レフカメラであれば、こうした問題はないと思われるのですが、古いデジタルカメラ、またはアナログ一眼レフカメラではなんとも言えません。万が一の不具合を防止するためには、Di866 MARK II かカメラのホットシューの、シンクロ接点以外の電子接点をマスキングしておくとよいでしょう。

<補足>
 ホットシュー接続の場合、カメラのシンクロ接点にかかるトリガー電圧によっては、ストロボが反応しない、または不安定になることが極まれにあるようです。

▼写真1 ホットシューに装着できる
Clickで拡大
ニコン用の Di866 MARK II をオリンパス E-3 に装着してみた。装着はカメラのホットシュー ( アクセサリーシュー ) を使う。もちろん、接点部分はニコンとオリンパスで異なるので、ストロボを Auto や TTL で使えないが、マニュアル発光と外部オートであれば十分に使える。
( 写真を Click で拡大 )

▼写真2 ホットシューに装着できる
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デジタル一眼レフカメラのホットシューには複数の接点があり、中央の大きな接点が 「 シンクロ接点 」。それ以外の電子接点は、カメラメーカーごとに異なる。 ( 写真を Click で拡大 )

▼写真3 Nikon FM のホットシュー
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1977 年発売のニコン FM のホットシュー。シンクロ接点の他に電子接点がひとつ。高校生の頃の愛機ですが、まったく手入れをしていないのがバレバレで、ちょっと恥ずかしいですね。
( 写真を Click で拡大 )

 

 


■ シンクロケーブルでの接続
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● シンクロケーブル接続

   ストロボをカメラに接続する方法のふたつめは、「 シンクロケーブル 」( 写真4 ) を使った接続です。多くの一眼レフカメラには、ホットシュー以外に 「 外部シンクロ端子 ( X 接点 ) 」 ( 写真5 ) というストロボを接続するための端子が搭載されています。Di866 MARK II にも同じ外部シンクロ端子が搭載されているので、写真4のシンクロケーブルを使って、カメラと Di866 MARK II を接続 ( 写真5 ) します。( コンシューマー用のデジタルカメラには、この外部シンクロ端子のない機種が増えてきているので、あらかじめ確認が必要です )

 シンクロケーブルによる接続は、スタジオなどで使う大型ストロボのジェネレータとカメラの接続でも使いますが、ケーブルの片方のコネクタの形状が違います。シンクロケーブル購入の際は、写真4のように両端が同じコネクタのものを探しましょう。

● シンクロケーブル接続のメリット・デメリット

   シンクロケーブルを使った接続のメリットは、ケーブルの長さだけカメラ本体とストロボを離すことができる点です。また、前述したホットシュー接続で発生する可能性のある不具合を心配する必要もありません。さらに、ホットシュー ( シンクロ接点 ) のない古いカメラでも、外部シンクロ端子だけあれば接続できます。欠点は TTL はおろか外部オート調光も使えないので、完全にマニュアル操作になることです。

▼写真4 シンクロケーブル
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Di866 MARK II とカメラ本体をつなぐためのシンクロケーブル。さまざまな長さのものが販売されている。長いものでも 1,000 円程度で購入できる。 ( 写真を Click で拡大 )

▼写真5 シンクロケーブルを使った
カメラとストロボの接続
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写真4のシンクロケーブルを使って、カメラ本体にある外部シンクロ端子と Di866 MARK II の外部シンクロ端子をつなぐ。カメラによっては外部シンクロ端子が無いものがあるので注意。
( 写真を Click で拡大 )
   
■ 外部オート調光の使い方
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● TTL の欠点を補う半自動の調光モード

   Di866 MARK II を未対応カメラのホットシューに接続したときは、完全なマニュアル操作モードか、「 外部オート調光 」 が使えます。この外部オート調光をもう少し詳しく説明しましょう。

 「 外部オート調光 」 とは、カメラに設定した絞り値と ISO 感度と同じ値をストロボに設定しておくことで、後は撮影距離や環境光に合わせてストロボが発光量を自動調節するモードです。TTL オート調光がカメラ本体と通信することで全自動での調光をするのに対して、都度、絞りと ISO を設定する必要がある 「 外部オート調光 」 は半自動だと言えます。こう書くと不便なモードに感じるかもしれませんが、TTL オート調光の欠点を補うモードだとも言えるのです。というのも、カメラ本体の TTL は万能ではなく、被写体よりも背景が明るい場合の撮影など、TTL 調光システムが適正だと勘違いするようなシーンでは、露出不足や過多に悩まされることがあります。そんなとき、「 外部オート調光 」 は、半マニュアル操作なので、手動調光で対応できます。また、撮影距離が変われば自動で発光量が調節されるの、マニュアル操作モードよりも気軽だと言えます。

 「 外部オート調光 」 の仕組みは、被写体から反射してきたストロボ光を、ストロボに搭載されている 「 外部調光センサー 」 ( 写真8 ) が受け取って調光します。もう少し詳しく解説すると、外部調光センサーは、ストロボに設定した絞り値と ISO 感度を基準にして、被写体に当たって反射してきたストロボ光が強ければストロボの発光を短めに終了させ、弱ければ最後まで発光させるという仕事をします。よって、環境光や撮影距離が変わっても、また、バウンス発光であっても、カメラの絞りや ISO 感度を変えない以上、撮影者は撮影に専念できるわけです。

 気をつける点は、外部オート調光ではストロボの照射角を手動で変更する必要があるということです。

▼写真6 Di866 MARK II の設定 1
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Di866 MARK II を外部調光モードにする。
( 写真を Click で拡大 )
▼写真7 Di866 MARK II の設定 2
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絞り値 ( F.Stop ) と ISO 感度、ストロボ光の照射角を設定する。 ( 写真を Click で拡大 )

▼写真8 外部調光センサー
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Di866 MARK II の搭載されている 「 外部調光センサー 」。 ( 写真を Click で拡大 )
   
■ シンクロケーブルを使って撮影してみた
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● 問題なく物撮りできた

   そんなわけで、Di866 MARK II を本来なら未対応のオリンパス E-3 にシンクロケーブルで接続して、物撮りをやってみました。そうして撮った結果が写真0です。

 私が随分と若いときに使っていたニコン FM とキヤノン EX EE ( 1969 年発売 ) です。両機ともまったく手入れをしていないので、クリーニングに出さないと使い物になりませんが、被写体選びに悩んだ結果、モデルとして日の目を見させることにしました。随分前に紛失してしまったオリンパス・ペンを登場させられなかったのは残念です。

 実は、私が常用するオリンパスと、Di866 MARK II ( ニコン用 ) の組み合わせは、この講座のネタにするずっと前から使っています。最近はニッシンデジタルの MG8000 という連続発光に対応したマシンガンストロボの方をオリンパスで愛用していますが、これも本来はニコン用です。

 なぜオリンパス純正を使わないのかといいますと、単純にコストパフォーマンスです。多灯撮影用に複数台用意するとなると、純正はやはり高価すぎます。また、Di866 MARK II 単体でのパフォーマンスも純正に見劣りすることはありませんし、TTL 調光モードを使わない私としては、純正オリジナル機能はあまり意味がないのです。 で、なぜこんな企画で今回は執筆したのか、筆者の本音を吐露させてもらうと、少しでもオリンパスユーザーがサードパーティ製のストロボに目覚めていただき、ニッシンジャパンにオリンパス対応の上位機種ストロボを発売してもらいたいと思ったからなのでありました。おしまいっ!


▼写真9 外部調光センサー
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Di866 MARK II をオリンパス E-3 にシクロケーブルでつないで撮影。Di866 MARK II はマニュアル操作モードにして、1/2 で天井バウンス発光。キャッチライトパネルを立て、右に配置したレフ板に反射させる。 ( 写真を Click で拡大 )

▼写真0 撮影結果
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Camera Olympus E-3
Lens 14.0-35.0 mm f/2.0
F. Dist. 50mm EV ±0.0EV
Aperture F10.0 S. Speed ---
ISO 400 WB 1/40
M.Mode Manu Strobe Di866 mkII
S. Light White Ref
Filter Non
 



■ 次回予告
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● 次回はワイヤレスモード

   次回も Di866 MARK II 一台だけでの使い倒し企画です。Di866 MARK II をカメラから離して使う場合、本講座ではスレーブモード ( 第5回 ストロボの多灯撮影 ボトル編 参照 ) を使いましたが、カメラ本体でストロボをコントロールできる 「 ワイヤレス TTL モード 」 をご紹介する予定です。お楽しみに。



■ 協力企業 ■
ニッシンデジタル
ケンコー・トキナー


■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
薮田織也事務所
 

 

 
 
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初出:2012/11/01 このページのトップへ
 
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