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ブリリアント山﨑の今すぐ撮レビアン!
第4回 遊園地を撮る


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TOPIX

9月には週末が雨になりがちで、不安定な天気に悩まされました。10月に入り天気も落ち着き秋の行楽シーズンまっただ中のさわやかな季節 となりました。「 ブリリアント山﨑の今すぐ撮レビアン! 」はそんな行楽シーズンにピッタリの ” 遊園地の撮り方 ”を解説いたします。ぜひご参照ください。 by 編集部

暑かった夏も終わり行楽にピッタリの季節となりました。週末はどこに写真を撮りに行くか迷ったらなら童心に返ることができる遊園地はいかがでしょうか?
今回は遊園地ならではのアトラクションやシチュエーションを印象的に撮影する方法をご紹介したいと思います。

■ 観覧車を撮る

普通に撮影した観覧車

普通に撮影した観覧車


遊園地と言えば、外せないのが観覧車。一番最初に思い浮かぶ乗り物かもしれません。

こちらはよこはまコスモワールドにある有名な観覧車「 コスモクロック21 」です。デジタル時計付きの観覧車では現在世界最大だそうですが、せっかくの巨大な観覧車も、このような曇り空だと写真としてはいまひとつパッとしません。

長秒露光をした観覧車

長秒露光をした観覧車


そこで、三脚を立てて長秒露光によって回転する観覧車を印象的に撮影してみたのがこちらの写真です。

そのままでは露出オーバーにより真っ白になってしまうため、NDフィルターが必要です。今回はND400を使用しています。このような極端に濃いNDフィルターを使用する場合、オートフォーカスは合焦しないため、フィルターを付ける前にマニュアルフォーカスでピントを合わせ、その後NDフィルターを取り付けて撮影します。

観覧車によっては回転の速いものや遅いものがあり、空の明るさにもよりますが、まずは60秒程度のシャッタースピードで撮影して調整を加えていきましょう。露光時間が短すぎるとインパクトに欠ける写真となってしまいますし、逆に長すぎると露出オーバーになってしまいます。

観覧車からの風景をミニチュアモード

観覧車からの風景をミニチュアモード

観覧車は外からだけでなく、乗っても撮影することが可能です。もし観覧車に乗った際には高い場所からのミニチュア写真のチャンスです。こちらは晩秋に色付いた木々に焦点を当ててみました。
もしカメラにミニチュアやジオラマのエフェクト機能がない場合、レタッチソフトで画面の上下をぼかし、全体の彩度を上げることでも近い表現になります。

観覧車夜景

観覧車夜景

最近では、日が暮れるとライトアップされる観覧車が人気です。こちらは葛西臨海公園の目玉、「 ダイヤと花の大観覧車 」。とても大きな観覧車ですが、あえて1/3程度を画面に収める構図にすることによってスケール感を表現してみました。
こちらの写真ではホワイトバランスを大胆に青み寄りにしています。撮影後にレタッチで色味やコントラストを調整し、よりドラマティックに演出してみるのがお勧めです。

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■ 花壇を前ボケにして、楽しさと華やかさを演出しよう

アトラクションと花壇

アトラクションと花壇


遊園地には季節により色とりどりの花が咲く花壇があることが多いもの。そんな花壇も遊園地の楽しさを演出するため積極的に取り入れてみましょう。
こちらの作品では赤色のアトラクションを主役に、花壇を前ボケとして取り入れてみました。やや長めの焦点距離を選ぶことにより、圧縮効果で花壇の花がより密集しているように見せています。

こうした花の前ボケは雰囲気満点なので、一緒に遊びに来た家族や友人を撮影する際にもぜひ挑戦してみてください。

カラフルな建物

カラフルな建物

遊園地は建物もカラフルになっているため、同じく花の前ボケと合わせるとメルヘンな雰囲気を出すことが可能です。特定のアトラクションだけでなく、遊園地そのものを風景と捉えて撮影してみるのも良いでしょう。ちょっとしたマスコットキャラクターなどを撮影する際にも、一工夫として使えるテクニックです。

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■ メリーゴーランドをロマンティックに見せよう

メリーゴーランドの馬

メリーゴーランドの馬

メリーゴーランドは日が落ちると光り輝くイルミネーションが点灯され、ロマンティックな美しさがあります。こちらの写真では馬の顔を主役にしていますが、背景にライトアップの玉ボケが入るような構図を試みました。やや周辺光量落ちさせることで主題を引き立たせ、ストーリー性を感じさせています。

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■ 遊園地夜景のポイント

遊園地では昼間だけでなく夜景もオススメです。撮影のコツはアトラクションの性質を見極めること。例えばライトアップされ動く乗り物も多いため、長秒露光ではよりドラマティックな写真となります。よこはまコスモワールドの「 ギャラクシー 」では、夜になるとライトアップされたアトラクションがスイングしながら大胆な軌跡を描きます。乗るにはちょっと勇気がいりますが、今回は見学しながら写真を撮ってみました。

ギャラクシー/通常撮影

ギャラクシー/通常撮影

ライトアップが華やかとはいえ、通常の撮影ではこのように写ります。これだけではやや寂しくインパクトに欠ける印象です。そこで一つ工夫をしてみましょう。

ギャラクシー/長秒露光

ギャラクシー/長秒露光

もう少し暗くなってから、同じアトラクションを動いているタイミングで4秒間の露光を行ったのがこちらの写真です。同じ場所で同じ物を撮ったと思えないほど、作品らしくなったと思いませんか?こうして乗り物の動いているタイミングを狙うことで、軌跡を写し込んだ華やかな写真に仕上げることが可能です。もっと短い露光時間だと軌跡の線が途切れてしまって寂しい印象になるので、このときはISO200で4~6秒がちょうど良く感じました。ただし三脚を設置する場合には、他の利用者に迷惑がかからないよう三脚使用の可否を確認するほか、設置場所には十分に配慮しましょう。

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■ 遊園地でも写真を楽しもう!

秋の行楽にデートや家族サービスで遊園地に行かれる方も多いかと思います。そんなときにも趣味を活かしてこのようなテクニックを使った作品を仕上げれば、家族や恋人から一目置かれるかも?しれません。
くれぐれも「写真を撮ってばっかり!」なんて言われないようお気を付けください。ではまた次回にお会いしましょう。

著者について
■ブリリアント山崎(ぶりりあんとやまさき)■ フリーカメラマン、写真講師。カメラメーカーの講師や作例集制作を経て現在に至る。写真とカメラの事ならネジ一本に至るまで、ありとあらゆることを知りたいと思っている。フォトマスター検定エキスパート(総合)。家電製品アドバイザー(総合)。「ブリリアントの写真教室」主宰。