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大型センサーを搭載したコンパクトデジタルカメラ |
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シグマのコンパクトデジタルカメラ
コンパクトカメラ『DP1』。1400万画素のFOVEON X3 ダイレクトイメージセンサーを搭載。TIPA Best Prestige Camera受賞やカメラグランプリ2008 カメラ記者クラブ賞など、注目度の高さが伺える。
サンプル撮影画像もあるスペシャルサイトはコチラ。
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DP1の開発は大変だったが
画質には自信がある
当初の目標ではレンズF値2.8だったが製品はF4に変更になった。しかし、一眼レフ機よりも高画質を目指した。 |
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コンパクトでも一眼レフ画質
16.6mm F4レンズを搭載。大型イメージセンサーを採用しているため、被写界深度が浅く、近距離や解放絞りでの撮影では、一眼レフカメラのような自然なボケ味を実現。フラッシュ内蔵。 |
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いつも一眼レフを持ち歩けなくても
手軽に持ち歩ける小型ボディは、幅113.3mm×高さ59.5mm×奥行50.3mm、重さ250g。画像ファイルはRAWとJPEGに対応。 |
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Q:
デジタル一眼レフのフラッグシップ『SD14』と同じフォビオンの三層CMOSセンサーを搭載していながら、小型のコンパクトデジカメ『DP1』を発売していますね。私たちもとても気になっている製品ですし、いろいろな方面で注目されていますね。
次は『DP1』とその開発などについて詳しく聞かせてください。
SD14の開発の目途が立ってきたときに、次にどういったカメラを作ろうかと話し合いました。
もともとコンパクトデジカメをつくりたい考えがあったので、次はSD14と同じセンサーを搭載したコンパクトデジカメを開発しようと話していたのが具体化しました。私たちはそれまでコンパクトデジカメを作ったことがなかったので、このサイズの高性能機を開発するのがどれだけ大変かを知らなかったんですね(笑)。だからやり始められたようなもので…。
何十機種ものコンパクトデジカメを開発している他社メーカーの開発者だったら最初から「こんな大変なものは作りたくない」と言っていたでしょうね(笑)。
解説
『DP1』はコンパクトデジタルカメラに分類されます。しかし、同社の一眼レフのフラッグシップ『SD14』と同じ、Foveon X3 ダイレクトイメージセンサーを搭載しています。一般的なコンパクトデジタルカメラに搭載されている 1/1.8型 〜 1/2.5型 センサーと比べると約7倍〜12倍の面積があります。でかい。
コンパクトカメラなので、レンズ交換はできません。光学ズーム機能やカンタン撮影モードなどがありませんので、ファミリー向けにパチパチ撮ろうという製品ではないようです。
このなんとも懐かしい魅力が漂う『DP1』…気になっている人も少なくないはずです。
Q:
クルマで例えるなら、小型のボディに大出力エンジンと言えばライトウエイトスポーツの憧れですが、『DP1』にも似たようなコンセプトを感じます。開発のきっかけはなんでしょうか。
「フイルムカメラの頃は一眼レフもコンパクトカメラも同じサイズのフィルムが入っていたのに、どうしてデジタルになるとコンパクトカメラのセンサーは小さいんだろう、でっかくできるんじゃないの」という、いわば安易な発想で始めましたが、開発をしてみたら凄く難しかったんですね(笑)。リリースが遅れて、お客様にはご心配やご迷惑をおかけしました。
Q:
コンパクトなので持ち歩きには楽でしょうね。コンパクトカメラとは思えない大きなセンサーも魅力です。ただ、実際の使い勝手としてはズーム機能もないし…。
はじめは、使い勝手の良いカメラを目指して開発を行いましたが、弊社が目指していた画質を実現することが難しいことがわかり、一から開発し直しました。画質優先で開発を行ったら、1枚撮ったら次の写真を撮るまでに 7 秒間かかるカメラになりました。
Q:
次の写真を撮るまでに7秒も待つんですか?
それってアリなんですか(笑)?
ありですね(笑)。
コンパクトカメラの使い方っていろいろですよね。メモ代わりにパチパチ撮るという方には(書き込み時間が) 7 秒は長いと思いますが、作品をじっくり撮る方には、その 7 秒で落ち着いて次の写真の構図や被写体のことをあれこれ考えるのが楽しい時間だと思います(笑)。
イライラして 7 秒待つのではなくて、次の撮影のための時間を提供してくれるというか。もちろん、処理時間が速いほうが良いと思っていますので、今後の開発で努力していきます。
Q:
写真を撮ることが楽しい、たっぷりと時間をかけて撮る人には「7秒」は長い待ち時間ではないわけですね。
たしかに、いつも『SD14』のようなデジタル一眼レフを持って歩ければいいですけれど、そうも行かないですし、家族で旅行している先で「この景色は撮っておきたいなぁ」と思ってコンパクトデジカメでパチリとやっても、感動するような写真にはやっぱりなりません。
そのような方には、この「DP1」はお勧めですね。画質については『SD14』に負けないものを、むしろSD14より後発の分、SD14を超える画質を目指しましたので。
Q:
ズームがないのが気になりますが、ズームレンズ付きのモデルは考えられないんですか?
開発初期段階ではF2.8のレンズや、ズームレンズの検討をしました。ただ、この「DP1」の大きさを実現するにはズームやF2.8は、ちょっと無理だとの結論になり、現在の16.6mmF4.0レンズを搭載することになりました。ただ、ズーム付きコンパクトの要望はありますので、今は具体的な予定はありませんが、大きささえクリアできれば今後は考えられるかもしれません。
ズーム機では、ありませんが、先日24.2mmF2.8レンズを搭載した『DP2』の開発発表を行いました。この「DP2」の画角は、41mm相当の標準域になりますので、使いやすいと思います。大型センサーの長所を活かして、積極的にボケを活用した作品作りをしていただきたいですね。
Q:
マイクロフォーサーズも更に小型の一眼を計画していそうですし、小さいボディでもセンサーが大きくて高画質な写真が撮れるデジタルカメラ製品が今後も一層、注目されるといいですね。
最後に、スタジオグラフィックスの読者にはシグマさんのレンズを愛好しているユーザも多いのですが、同じような性能のレンズ製品でも、ニコンやキヤノンなどの大手メーカーと比べると価格設定が安いですよね。それも魅力の一つだと思いますが、安さの秘密みたいなものを教えてください。
弊社は、できる限りお求め易い価格で提供していきたいとの思いがあります。そうすることで多くのお客様が交換レンズの楽しさを体験していただけるからです。交換レンズは、一度に数を生産することで単価を下げることができます。大量にレンズ生産できることがレンズメーカーの強みです。ただ、それにも限界がありますので、部品の共通化等を行ったり、設計の工夫をしたりして、コストを抑えるこの努力をしています。
Q:
各社の特性に合わせて作るのは大変でしょうね。
1社のボディに合わせてレンズ開発をするのと異なり、各社のボディの条件に合うようにレンズ設計を行うわなければならないので、大変なところはそこですね。ただ、そういった制約の中で、高性能レンズを設計するところにやりがいがありますね。
今回はどうもありがとうございました。
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