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第2回 お下がりふたつ

今日のスイッチ

2月のゆみちゃん先生は、ある方からお下がりでいただいたお花に 「 写真スイッチ 」 を押されたようです。その方とは………。
路傍の石のように思われがちな花たちを見て、どうしたら写真スイッチが入るのかを、京都ならではの暖かな風習に触れながらお楽しみください。また、今回のフォト Tips は、「 窓際写真家 」 を目指す方は必読ですよ。

 

お下がりモデルオールスターズ

お下がりモデルオールスターズ

 

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 ●お花当番

京都には、いったいいくつくらいの 「 お地蔵さん 」 があるのだろう。
何千??? いや何万かなぁ~???

市内を車で移動中はなかなか目につかないけれど、歩いていると小さな通りには必ず、大きな通りにもビルの一角などに、さりげなくお地蔵さんのお家 ( ? ) があります。だいたいひとつの町内にひとつのお地蔵さんという感じで、とても大事にされています。

マンション住まいのときは、地元の町内会とのおつきあいもなかったので、お地蔵さんとは無縁の生活をしていました。ところが、今の住居に引っ越してきてから、ご近所付き合いが楽しく、そのせいかお地蔵さんがとても身近になりました。そう! お地蔵さんとのお付き合いは、町内会と密接な関係があるのです。

 

町内会のお当番のひとつに 「 お花当番 」 というのがあり、ひと月に2回、お地蔵さんのお世話をします。お地蔵さんのお世話とは、お掃除とお花の入れ替えをすること。4月になると、1年間 ( 4月~翌3月 ) のお花当番の順番が決まります。前の月のお当番さんが当番札を次に受け渡します。今年度、私のお花当番は2月。1月 20 日頃になると、ポストにお花当番の当番札がポストに入っていました。玄関の目立つところに当番札を置いて、 「 2月1日がお当番だから……忘れないように! 」 。

お地蔵さんのお花当番は京都市内どこもだいたい1日と 15 日みたいです。1日と 15 日に近所のお花屋さんに行くと、お花屋さんの周りにあるお地蔵さんの数 ( たぶん…… ) だけ、お花が準備されています。私は、2月1日にどうしても用事があってお当番をすることができず、2日の朝にお花屋さんに……。

「 あぁ~やっと、××町のお当番さん、きはったわぁ~ 」 なんて、お花屋さんの奥さんの声が聞こえてきそう………。1日遅れでしたが、ちゃんと、うちのお地蔵さんの一対分だけお花が残っていました。 ( あちゃ~…… ) 2月のお当番は水が冷たくて……。

お供えのお花 お花屋さんに行くと、こんな花束が一対になって売られています。仏さんやお地蔵さん用にかわいくアレンジしてあるんです。

お供えのお花
お花屋さんに行くと、こんな花束が一対になって売られています。仏さんやお地蔵さん用にかわいくアレンジしてあるんです。

イケメンお地蔵さん うちの町内のお地蔵さんはなかなかのイケメン! 手前はお賽銭箱。ちょっと目立つけれど、大きな鍵がついています。

イケメンお地蔵さん
うちの町内のお地蔵さんはなかなかのイケメン! 手前はお賽銭箱。ちょっと目立つけれど、大きな鍵がついています。

 

お地蔵さんの格子戸を外して、ホコリを落とし、拭き掃除をして、お水を換えて、お賽銭箱がいたずらされていないかチェック! 古いお花から新しいお花へ生け替えます。それにしてもうちのお地蔵さんは、なかなかイケメンですよね(笑) 取り替えたお花は、寒い時期なのでまだまだフレッシュです。そんなお花を眺めていたら…… 「 写真スイッチ! オン!! 」。 「 お供え 」 から 「 お下がり 」 としてお花をいただき、ちょっと写真を撮ってみましよう。もちろん、撮影場所はいつもの窓際です。

 

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●黒塗りのお膳

ある日、友人が我が家に来たとき、大きめのバッグからおもむろに取り出したのが、「 黒塗りのお膳 」。

 

友人 昔は、結婚式やら法事やら、自宅でお御馳走を作って、一人一人お膳に並べて出してたのよねぇ~。

 なになにぃ??

友人 実家の片付けをしてたら、お膳がいっぱいでてきて…ひとつもらってくれる?

 わぁ~!ありがとう!

友人 ひとつやから、何の役にもたたへんけど……ええぇ?

 十分役に立ちます!いろいろ乗せたいものあるし…。

 

ということで……我が家にやってきた 「 黒塗りのお膳 」 は、こうやってお下がりのお花の台に有効利用! お地蔵さんのお花の内容はクラシックだけど、黒塗りのお膳にアレンジしてみるとちょっとモダンに大変身! 小ぶりにまとめてあるお花は、こうやって広げてみると、お花の種類も豊富で本数も多いのにびっくり。子供頃、遊びで作った花束を思い出します。

 

 

黒塗りのお膳に広げたお花はそのままには出来ないので、今度はラッパの花瓶に生け替えてみました。雰囲気ががらりと変わってちょっとヨーロッパのフラワーアレンジメントって感じです。窓からの光で緑の葉っぱきれい。

黒塗りのお膳 お地蔵さんのお花のお下がりを、黒塗りのお膳に広げてアレンジしてみました。色とりどりの菊の花がかわいい!

黒塗りのお膳
お地蔵さんのお花のお下がりを、黒塗りのお膳に広げてアレンジしてみました。色とりどりの菊の花がかわいい!

カーネーション ガラスのコップにカーネーションを挿して、お盆に乗せ、窓辺に置いてみました。 お地蔵さんのお下がりとは思えないくらいモダンな感じでしょ?

カーネーション
ガラスのコップにカーネーションを挿して、お盆に乗せ、窓辺に置いてみました。 お地蔵さんのお下がりとは思えないくらいモダンな感じでしょ?

フラワーアレンジメント? 同じ素材でもアレンジを変えたり、光の方向を変えると雰囲気ががらりと変わります。

フラワーアレンジメント?
同じ素材でもアレンジを変えたり、光の方向を変えると雰囲気ががらりと変わります。

 

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●お花モデルさん

もうひとつの 「 お下がり 」 は、お地蔵さんからではなくて、フォトレッスンで使ったお花。私が2~3ヶ月に1度開いている女子フォト会で、モデルを務めてくれたお花達のことです。

ふわふわのレースフラワーや、パステルカラーのガーベラは本当にかわいい。そして、一番豪華な、子供の頃にちり紙で作ったお花の様に、薄い紙を何枚も重ねた様な……あれ? あのお花はなんという名前だっけ?? あぁ~思い出せない……つらいなぁ~こんなとき。え~っと、ラナ……なんとか……やったかなぁ~? う~ん、深く考えんとこ……眠れなくなる。

あっそうそう、昨年 Facebook のお友達が教えてくれていたの思い出しました……そう! 「 ラナンキュラス 」です。あぁ~難しい名前! 花言葉は 「 魅力的 」。ああ、すっきり!

 

そして、最初の写真 「 お下がりオールスターズ 」?に写っている、和っぽい 「 せんりょう 」 と 「 ゆり 」 は、なんと昨年末からのご長寿さん。かれこれ2ヶ月以上も楽しませてくれています。さすがに 「 ゆり 」 はつぼみが怪しい雰囲気になってきましたが、それはそれで、いい感じのフォルムだと思いませんか? 枯れたお花やしぼんだ果実でも、ちょっとだけ見方を変えることで 「 写真スイッチ 」 が入っちゃいます。

人気モデルさん達 私のフォトレッスンでも、お花は人気の撮影アイテムです。いつも素晴らしい写真が撮れるので充実感たっぷり。

人気モデルさん達
私のフォトレッスンでも、お花は人気の撮影アイテムです。いつも素晴らしい写真が撮れるので充実感たっぷり。

ご長寿さん 年末からいっぱい花を咲かせてくれていた 「 ゆり 」 です。さすがに2ヶ月目となるとつぼみも寂しくだんだん先っぽだけになります。だけど、よく観察するとそのフォルムが美しいことに気づきます。

ご長寿さん
年末からいっぱい花を咲かせてくれていた 「 ゆり 」 です。さすがに2ヶ月目となるとつぼみも寂しくだんだん先っぽだけになります。だけど、よく観察するとそのフォルムが美しいことに気づきます。

 

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● ゆみちゃん先生のフォト Tips

「お地蔵さん」からいただいた、お下がりのお花。最初は 「 黒塗りのお盆 」 だけで…って考えていたけれど、やっぱり 「 窓辺の光 」 がいいな、と、気が変わってしまいました。そうなんです、「 写真スイッチ 」 が入ると、あれこれといろいろ撮ってみたくなるものです。

窓から差し込む光だけを使って写真を撮るときは、実はちょっとしたテクニックが必要なんです。なぜなら、撮りたいモノの後ろから光が差し込んでいる、いわゆる?「 逆光 」 撮影ですので、カメラの設定を何も変えずにオートで撮ると、撮りたいモノが暗くなってしまうのです。

さてここで、窓際写真家 (?前回を参照?) の私から、そのちょっとしたテクニックをご紹介しましょう。こうした逆光での撮影では、カメラ本体にある 「?露出補正ボタン?」( カメラによって違いますが、+- 表記があるボタンか、それと同じ機能がメニューにあるはずです ) を使って、+1.0~1.5 ほど明るめに設定して撮影します。こうすることで、緑の葉っぱの透明感が出てとてもきれいに撮れるはずです。


明るい花を真ん中に… カメラ本体で明るく露出補正して撮ってみましょう。さわやかで軽快な感じの写真に撮れますよ。

明るい花を真ん中に…

カメラ本体で明るく露出補正して撮ってみましょう。さわやかで軽快な感じの写真に撮れますよ。


また、お花をアレンジするときもひと工夫してみましょう。それは、写真の中心にしたい部分に、赤や紫などのお花を配置せず、白などの明るい花をもってくることです。窓際写真の場合、アレンジメントの中心は光があまり当たらないので、赤や紫などの色の濃いお花は黒っぽくつぶれた色になってしまいます。この写真では、白い菊が真ん中にくるように配置してみました。

 

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