コンテンツのトップページへ 柴田 誠の
旅と写真のいい関係
#03 行くぜっ! 海外撮影旅行 <現地編> 2013/07/25
 
▼TOPIX
短期集中連載、フォトジャーナリスト柴田誠の「 旅と写真のいい関係 」。今回は海外に到着してからのノウハウをお届けします。まずは空港到着直後の注意点とホテルの選び方や、宿泊ルームで気をつけたいこと。そして一番の目的、撮影のための現地の歩き方をご紹介します。さらには、万が一の盗難にあったときの対処方法まで盛りだくさんでお送りします。<はじめに>
Clickで拡大
▼目次  

到着した空港で気をつけること

価格よりもアクセスのよさが重要な
ホテル選び
ホテルのコンセントは意外に少ない
現地を歩き回るのに必要な注意とは
盗難や破損に遭った時に
すぐにやること
 
Share (facebook)    
 
 
Clickで拡大
空港からの市街地までの交通機関はいろいろある。事前に調べて効率よく移動しよう。
 飛行機が現地の空港に到着。入国審査を終えて、預けた荷物を受け取ったら、いよいよ現地入りだ。空港が郊外にあって、市街地までの移動に時間がかかる所も少なくない。また、交通機関は様々あるので、ホテルまで安く早く到着する方法を事前に調べておくことが必要だ。効率よく移動して、まずはホテルを目指そう。
   
■ 到着した空港で気をつけること
ひとつ前のページに戻るこのページのトップへ
   空港に到着して預けた荷物を受け取ったら、簡単に荷物をチェックしよう。こじ開けられた形跡があったりしたら、バッゲージカウンターに申し出ること。おかしいと気が付いたら、すぐに申し出るのが鉄則。到着ゲートを出てしまってからでは遅いのだ。「 あとでいいや 」は、海外では通用しない。

 初めての国を訪れて、最初に外国を実感するのが到着ゲートだろう。名前を書いたボードを掲げた人が大勢いたり、ホテルやツアーの送迎の人などがいるのを見ると、日本とずいぶん違うと感じるに違いない。現地の空気を感じられるとともに、ちょっと心細く、不安になる場所でもある。

 ゲートを出て最初にやるのは両替だ。ホテルで両替するにしても、現地のお金がなければバスにも乗れないし、水も買えない。両替所か ATM を探して、まずは現地通貨を手に入れよう。迎えに来る人がいるのでなければ、空港でウロウロしていてもいいことはない。なぜなら海外からの旅行客は、現地の人にとっては、地元にお金を落としてくれる人。つまり、お金持ちということになる。空港には、そうした旅行者を狙って近寄って来る悪い人がいないわけではない。白タクの運転手や違法な両替をしようとする人など、関わらない方がいい人も多くいるので気をつけよう。特に、日本語で親しげに話しかけて来る人は要注意。海外では、怪しい日本語で話しかけてくる人ほど信用できないと思っていた方がいい。

Clickで拡大
さまざまな都市の交通カード。プリペイド式のものや1日券などタイプもさまざま。

 交通機関は、ガイドブックなどに詳しく紹介されているので、それを参考にするといいだろう。ホテルの予約時に、空港からホテルまでの送迎を申し込んでおけば、空港のゲートでホテルの看板を持っている人を探せばいいだけなので、荷物が多い時には便利だ。また最近は、Suica のような交通機関で使えるプリペイドカードを発行している国も多いので、空港で手に入れておくと後が楽だ。観光案内所や交通機関のカウンターなどに立ち寄って、地図と一緒に入手しておくといいだろう。

 海外では、日本のように時間通りにきっちりと交通機関が運行されていることは珍しい。また、見慣れないこともあって、案内板が見つけらないことも多いので、あまり神経質になり過ぎないこと。海外で日本と同じ感覚でいるのは疲れるだけ。現地の時間の流れに慣れることが、快適に過ごすコツでもある。

 

■ 価格よりもアクセスのよさが重要なホテル選び
ひとつ前のページに戻るこのページのトップへ
 
Clickで拡大
ホテルで過ごす時間は短いが、それだけに快適に過ごしたい。

 最近はインターネットでホテルの価格を見比べたり、直接ホテルのホームページから予約ができるなど、何かと便利。しかし、検索すればするだけ様々な情報が出てくるだけに、何をポイントにホテルを選んでいいのか分からないという困った事態も起きている。

 私がホテルを選ぶ基準は、予算はもちろんだが、交通機関のアクセスのよさを重視する。地下鉄の駅やバス停が近いと、移動が楽だしホテルを探すのも簡単だ。何よりタクシーを使う必要があまりなく、短距離の移動で済ませられるため、余計な交通費がかからない。ホテルの料金の安さだけで決めてしまうと、郊外の不便な場所だったりすることもあって、交通費をあわせると結局高くつくということもある。撮影旅行なら、部屋の広さや景観は二の次。ホテルは帰って寝るだけと割り切って、アクセスの良さを最優先しよう。

Clickで拡大
テレビに映し出されるウェルカムメッセージは、ちょっと嬉しいサービス。

 ホテル選びのポイントは他にもある。私は旅行代理店を使わずに、直接ホテルのホームページから申し込むことが多い。直接申し込むメリットは、オーシャンビューやシティビューと言った部屋が指定できることやキャンセルチャージが宿泊の前日までかからないなどだ( 料金設定によっては予約時点からキャンセルチャージがかかる場合がある )。お得な連泊割引などのプロモーション料金が設定されていることもあるし、高層階やレイトチェックアウトなどのリクエストもできるといった利点もある。ホテルライフを少しでも快適にしたいと思ったら、多少面倒でも自分で手配した方がいいのだ。

Clickで拡大
ホテルのメンバーになっておくとさまざまな特典が得られる。

 ちなみに、私は幾つかのホテルグループのメール会員になっている。メリットは定期的にメールでプロモーション情報が送られてくるだけではない。同じホテルグループなら、基本的にサービスの質は世界中どこでもほぼ同じ。だから、知らない国のホテルでも、予約時にある程度部屋の中の様子が想像できる。また、宿泊数に応じてポイントを貯められたり、ステータスがアップしたりといった、会員サービスが用意されていることもあって何かとお得。WiFi 料金が無料になったり、ウェルカムサービスがあったりするのもちょっと嬉しい。同じホテルグループの中には、幾つかのグレードのホテルブランドが設けられている場合が多いので、予算や目的にあわせてホテルを選ぶことができるというのもありがたい。

 

■ ホテルのコンセントは意外に少ない
ひとつ前のページに戻るこのページのトップへ
 
Clickで拡大
電源を必要とする機器は多いのに、ホテルのコンセントは意外に少ない。

Clickで拡大
充電に便利なマルチタップ。使いやすさやコンパクトさなどで選ぼう。

Clickで拡大
USB から充電できる機器も多いので、USB ポートも忘れずに持って行きたい。

Clickで拡大
ちょっとした充電には、こんなマルチケーブルもあると重宝する。

 ホテルに到着したら、撮影に備えてまず充電。ところがホテルの部屋のコンセントは意外と少ない。部屋を見回してみても、ライトスタンドや冷蔵庫などに使われていて空いていないということも多い。LAN や WiFi 設備があっても、コンセントは1つだけということも珍しくない。たいてい、洗面台にシェーバー用のコンセントがひとつあることはあるのだが、水濡れは避けたいので充電用にはなるべく使いたくはない。そこで、渡航前にマルチタップを用意して行こう。2〜3口あれば、カメラだけでなくスマートフォンやノートパソコンの充電もできる。また USB ハブも持って行けば、とりあえず充電に困ることはないだろう。コンセントの変換アダプターは、デスクの引き出しの中に収納されていたり、フロントに言えば貸してもらうこともできる。

 外出中に予備の電池を充電しておこうと考えたくなるところだが、カードロック式のホテルの場合、カードキーを抜くと部屋の全ての電源が落ちてしまう。だから外出中の充電はできないと思った方がいい。また、不在中にはルームクリーニングが入るので、電池はともかくパソコンを出しっぱなしにして出掛けるのはお勧めしない。

 海外のホテルでは、クローゼットの中などにセーフティボックスが用意されていることが多い。外出時には、貴重品や現金などはセーフティボックスに入れておくようにしよう。ホテルの部屋は、プライベートな空間ではあるけれど、鍵さえ持っていれば誰でも入ることができる場所でもある。自宅の部屋のような意識でいては、思わぬ結果を招くことになる。そこでまず、物がなくなったらすぐに分かるように、外出する際にはできるだけ部屋の中を整頓して出掛けるように心掛けよう。故意に持って行かれなくても、記録メディアなどがゴミと一緒に捨てられてしまっては大変だ。デスクの上は片付けて、スーツケースのファスナーは閉めるということは最低限やって出掛けるようにしたい。

 撮影旅行で最も役立つホテルサービスは、現地の様々な情報を教えてくれるコンシェルジェ。もちろん英語が基本になるが、近隣の美味しいお店からイベントの開催情報など、新鮮な現地情報を提供してくれる。滞在中は毎日顔を出して、顔馴染みになっておくといいことがあるかもしれない。

Clickで拡大
コンセントの変換アダプターはフロントで貸してもらうことができる。
Clickで拡大
ケーブルと充電器の間に入れて使うタイプのマルチタップ。
Clickで拡大
現金やパスポートなどの貴重品はセーフティボックスに。
Clickで拡大
外出時には、部屋を片付けて出掛けるようにしよう。
   
■ 現地を歩き回るのに必要な注意とは
ひとつ前のページに戻るこのページのトップへ
 
Clickで拡大
グレードの高いホテルでは、ミネラルウォーターがサービスされる。


 遊牧民がバイクやスマートフォンを持って生活している時代。選り好みしなければ、たいていのものは現地でも手に入れることができる。しかし、日本と同じというわけにはいかない。売っているところも限られるし、商品の選択肢も少ないことを、あらかじめ覚悟しておかなくてはいけない。記録メディアのように、カメラとの相性が問題になるものや必要な容量のものが手に入るかどうかは保証できない。また、バッテリーも一部の国で模造品が出回っていて、トラブルも報告されている。カメラ店や電気店は覗いてみるくらいに止め、カメラに関連するものは、できるだけ日本で買って動作確認をしてから持って行くのが望ましい。

 現地で絶対に買う必要があるのはミネラルウォーター。熱中症対策に欠かせないだけでなく、現地の水道水は飲まないのが基本。せっかくの撮影旅行が、腹痛や体調不良で台無しになるのは避けたい。スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどで買うことができるから、ホテルのそばのお店で買ってから出かけるようにしよう。

 ちなみに、腹痛の原因になりやすいのは水だけではない。氷を使ったものや油にも注意が必要だ。生野菜や果物などは、ホテルで食べるのならまず問題ないが、露天で買うのは避けたいところ。美味しそうな香りで誘う揚げ物なども、油の汚れ具合はわからない。疲れていると、ちょっとしたことでも体調を崩しやすいので、慎重になっておいた方がいい。

Clickで拡大
宿泊客だけが利用できるプライベートスペースもある。

 海外では、商店や銀行の営業時間なども日本とは違っていることが多い。また、昼飯時にはお店を閉めて食事に出てしまうところも少なくない。特に夜は、日本の感覚からすればかなり早く店じまいしてしまうところも多い。日本のように深夜まで営業しているような店がどこにでもあるというのが当たり前とは思わない方がいい。撮影に夢中になって、気がついたら食事ができない、なんていうことにならないように気をつけよう。

 そして、海外で注意しなくていけないのは、日本とは違う祝日があること。建国記念日やお祭りに関連した祝日があったりする。あらかじめ、そうしたイベントを撮影するのが目的なら構わないが、休日になると人の流れも交通事情も平日とは大きく変わってくる。予定していたような移動ができないということもあるから、注意が必要だ。

   
■ 盗難や破損に遭った時にすぐにやること
ひとつ前のページに戻るこのページのトップへ
 

 街の中の市場など、人の多い場所で撮影する場合には、カメラやバッグの盗難には充分に注意しよう。私は以前、電車のホーム上でスナップ撮影をして、使ったコンパクトカメラをザックのポケットに入れて階段を下り、すぐにもう一度撮影しようと思ったらカメラが無くなっていた。ポケットからちょっとだけ出ていたストラップを引っ張られて抜き取られたようだった。海外で盗まれたモノは、まず手元に戻って来ることはないと思った方がいい。必要なのは盗難被害に遭ったことを証明してもらうこと。保険請求に必要な被害届を書いてもらうために、私は地図で近くの警察署を調べ、すぐにそこに向かった。被害届は現地語で書かれるため、読めないことが多いのだが、読めなくても構わない。発行してもらうことが重要なのだ。

Clickで拡大
ホテル選びも撮影旅行を楽しくしてくれる要因のひとつだ。

 また、レンズやカメラを壊してしまったら、その状況が分かる写真を忘れずに撮っておこう。カメラが壊れた場合には、スマートフォンや携帯電話で撮影しても構わない。どういう状況で壊したのか、壊れたのかが確認できればいい。

 盗難の場合も破損の場合も、保険の手続きは日本に帰国してからやることになるのだが、できるだけ詳しい状況を説明できるような準備を現地でやっておかないといけない。こうしたトラブルに遭わないで帰国できるのがベストだが、撮影に夢中になったり、疲れてついうっかりというのはありがちなこと。そんなときのための保険だ。ただし、保険の請求をするための書類を揃えたりといった手間が必要になる。場合によっては、旅行の後半は保険会社とのやり取りに費やすことになってしまうこともある。ホテルに戻るまでは気を抜かずに、慎重に行動しよう。

   
■ 次回予告
ひとつ前のページに戻るこのページのトップへ
 
 さて、ホテルに戻ってきたら充電と画像データのバックアップは忘れずに。次回は、帰国の際の注意点を解説します。
   
 
  このページのトップへ
 
space space space
space
space
space space space

     
 
 

     
リンクについて
著作権について
プライバシーポリシー