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旅と写真のいい関係
#04 行くぜっ! 海外撮影旅行 <帰国編> 2013/08/01
 
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短期集中連載、フォトジャーナリスト柴田誠の「 旅と写真のいい関係 」。今回は現地の思い出をバッグとカメラにいっぱい詰めての帰国編。「 家に着くまでが遠足 」の言葉どおり、海外旅行も帰国するときこそ気を抜いてはいけません。渡航先から持ち出せるモノひとつとっても、以前とは規制が変わっていることもありますよ。<はじめに>
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▼目次  

問題なく出国するのは
実は簡単じゃない

海外で買ってきた
カメラやレンズは課税される?
壊れやすい物を
持って帰りたいという場合は?
データはすぐに整理して
気に入った作品はプリントする
 
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香港国際空港に向かうバス。これに乗ると旅も終わりという気分になる。
 楽しい撮影旅行もあっという間に終わり。いよいよ帰国となるわけだが、さて、帰国の際に気をつけることってどんなことがあるんだろう。日本に帰るだけなら何の問題もないように思えるが、出国審査や飛行機に乗るための手荷物検査があるのを忘れていないだろうか。忘れ物をしないこと以外に気をつけることをチェックしていこう。
   
■ 問題なく出国するのは実は簡単じゃない
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輸入が禁止、規制されているものについては、税関のホームページに記載されている。

 海外旅行の基本的なルールとして、その国から持ち出せないもの、その国に持ち込めないものが決められている。国によっては入国する際に厳しかったり、出国の際に厳しかったりといった違いがあるが、いずれにしても必要に応じて検疫を受けたり、税関のチェックを受けなくてはいけない。場合によってはそのモノを出国時に放棄しなければいけないことだってあるし、日本に入国する際に没収されることだってあり得る。撮影旅行では、そんな心配は無用と思うかもしれないが、持ち込むことができたもの( 日本から持ち出せた )が、すべて帰国時に持ち帰れるわけではないということは気に留めておこう。

 そこでまず、自分のバックに入っているものがその国から持ち出しできるのか、日本に持ち込めるものなのかは、最低限知っておく必要がある。たとえ、それが故意ではなく過失であったとしても、犯罪となってしまう場合もあるからだ。しかも、国によって罰則規定が大きく違うし、その国に再入国できなくなってしまうことだってある。そうなってしまっては大変だ。時間のある時に、ガイドブックの後ろの方にある現地情報や帰国の際の案内などによく目を通しておくようにしよう。

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帰国する際に課税されるかどうか、免税の範囲も知っておきたい。

 特に持ち出し品で気をつけなくてはいけないのが、ワシントン条約に関連するもの。生きている動植物だけでなく、象牙や毛皮、またサンゴやウミガメを素材にしたアクセサリーなども対象に入っているからだ。撮影用のちょっとした小物になりそうだということで買うのはもちろん構わないが、国によっては、それらを国外に持ち出すことができない場合がある。しかも、ワシントン条約の対象となる規制品ということになれば、日本に持ち帰ることは出来なくなる。

 違法なコピーソフトやブランド品、本物そっくりの偽札なども、もちろん日本への持ち込みは NG。面白い現地のお土産という軽い気持ちで買ったとしても、それが没収されてしまっては意味がない。そんなモノを苦労して買っても、いいことがひとつもないということを、お土産を買う際にちょっと頭に入れておきたい。

 ところで、最終日に現地通貨をどの程度残しておくのか、というのが帰国時の悩ましいところ。ホテルの支払いはクレジットカードで済ませるとしても、空港までの交通費は必要だし、出発時間によっては食事もしなくてはいけない。また、空港利用税を空港で支払わなければいけない場合もある( たいていの場合、航空券の料金に含まれている )。私自身、いい解決策が見出せないでいるのだが、少なくとも日本で再両替をすることだけは絶対に避けたい。空港の免税店では各国の通貨を組み合わせて使うことができるので、空港までの交通費が足りなくならないようにだけ注意して、食事はクレジットカードの使える店やホテルのレストランを利用するとか、自分へのお土産は空港で買うようにすれば、残すお金はかなり少なくできる。残った小銭はユニセフに寄付してしまえばいい。

   
■ 海外で買ってきたカメラやレンズは課税される?
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海外でカメラを買ったら、ほぼ間違いなく課税されると思っておこう。

 現地のカメラ店でカメラやレンズ、三脚などを購入した場合、その金額によって課税される場合がある。そうなると、日本に入国する際に税関で申告をしなくてはいけない。参考までに、日本の税関で課税されるのは、たばこや香水、アルコール以外の場合( これらの製品は課税方法が別に決められている )、1個で 20 万円( 海外市場価格 )を超えるものについては全額に対して、合計金額が 20 万円を超える場合は超えた部分に対して課税される。カメラのレンズキットのように、セット価格が設定されているものは、1つの商品として考える。税率はいずれも 15 %だ。1個が1万円以下のものは免除となるが、中古のカメラやアクセサリーでない限り、そういうことはまずないだろう。そのため、購入した全額が課税対象となる。関税は、その商品が個人で使用するものであっても、贈り物であっても課税の対象となることに変わりはない。また、郵便等で送った別送品にも課税されることも覚えておこう。

 課税対象となるものを日本に持ち帰る場合、帰国の際に税関で購入した時の領収書やクレジットカードの控えなど、金額の分かるものの提示を求められるので、すぐに取り出せるように用意しておこう。また日本から持って行った製品が、海外で購入してきたものと区別できずに課税されるのを避けるために、海外製品のカメラや三脚を持って行く場合には「 外国製品の持ち出し届 」を出国時に書いて、出発の際に税関で確認してもらっておく必要がある。ライカやハッセル、ジッツォなどを愛用してるユーザーは、出国の際に忘れずにやっておくのが安心だ。

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フランスの免税手続きの方法が紹介されている。

 また、ドイツやフランスなどいくつかの国では、旅行者が購入したものに支払った付加価値税などの一部を免税する制度がある( カナダは 2007 年4月に廃止 )。フランスの場合、1店舗で 175 ユーロ以上( 店により 305 ユーロ以上 )の商品を購入する際にパスポートを提示し、Deetaxe s'il vous pla^it( デタックス・スィル・ヴ・プレ )という免税の手続きをしてもらうと、帰国後に免税分の小切手が送られて来る( クレジットカードで購入した場合は銀行口座に振り込まれる )。これには、販売店で明細書とその写し、小切手を送るための封筒などを受け取り、出国時にこれらの書類と免税対象の商品、パスポート、航空券を提示して承認を受ける必要がある。免税対象の商品をスーツケースに入れて預けてしまうと、承認を受けることが出来なくなってしまう。そのため、機内持ち込みの手荷物にしておくか、チェックインの前に手続きを済ませる必要がある。

 しばらくして送られてくる免税分の小切手は、外国為替を取り扱っている日本の銀行で換金できるが、日本の銀行の手数料は高額なので、せっかく手続きをしたのにほとんど手元に残らないという場合もある。実際に手続きをするかどうかは、手間と金額を考えてやるのがいいだろう。

 ちなみに新品のカメラやレンズは、私の個人的な経験から言えば、日本で買うのがどこの国で買うよりも一番安い。物価の安い国なら、カメラのような高額商品も日本より安く買えるのではないかと思いがちだが、実は意外と安くはない。なぜなら、海外ではカメラの価格が日本のように大きく変動しない。また新製品の情報が出たからといって、それがすぐに市場価格に反映されるようなことも少ない。こうした理由もあって、海外のカメラの価格は日本と比べると高い傾向にあるようだ。円安の今は、「 自国で買うよりも日本で買った方が、カメラが安く買える 」ということで、日本を訪れる多くの外国人旅行客が、カメラ量販店に足を運んでいる。

 とは言え、海外仕様のものや日本では買えなかった限定品など、日本では手に入れにくい製品を見つけてしまうこともある。どうしても手に入れたいという場合には、買ってしまうに限る。そうした商品には、二度と出会うことがないかもしれないからだ。こうした出会いもまた、海外旅行のひとつの楽しみ方だし、いい想い出にもなるのだ。

   
■ 壊れやすい物を持って帰りたいという場合は?
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チェックアウトの際には、忘れ物がないか部屋の中を見回してから部屋をあとにしよう。

 スーツケースのパッキングは、基本的に出発する準備と同じ。しかし、持ってきた荷物を持って帰るだけなのに、なぜかパッキングに苦労する場合も多い。大したお土産を買っていなくてもだ。ひとまず、機内に持ち込む必要があるものをベッドの上にでも分けておき、残りをスーツケースに詰め込んでいく。このとき、スーツケースの中に隙間があって、中身が動いてしまうと中のものが壊れやすくなるから、余裕がないくらい詰め込むのがパッキングのコツ。私も帰りは、最低限の撮影器材だけを機内持ち込みにして、交換レンズや充電器などもスーツケースに入れて、中身をギチギチにしてしまうことがよくある。こうしておけば、現地で買った壊れやすいガラス製のものなども大丈夫。箱が潰れるのがイヤなら、機内持ち込みにするしかないが、お酒などの液体は機内に持ち込むことができないので、衣類などに包んで壊れないようにしておく。万が一割れてしまっても被害が少なく済むように、ビニール袋に入れておけばいい。
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機内に持ち込めないものは、スーツケースに入れて預ける。

 ちなみに、グレードの高いホテルにはバスルームに体重計が備え付けられている。預け入れ荷物の重さが心配な場合は、パッキングが終わったら重さを測ってみるといいだろう。空港でスーツケースを開けて、壊れ物のリスクを増やすことはない。開けなくて済むようにパッキングしてしまおう。

 壊れやすい物を入れたスーツケースを預ける場合には、カウンターで壊れ物が入っていることを伝えると、それが分かるようにタグを付けてもらえる。ただし、貴重品や壊れ物はスーツケースに入れないのが原則。破損した場合も航空会社が全面的に悪いということにはならないことを覚えておこう。しかもスーツケースの破損などの場合、航空会社ではなく空港に責任が発生するある場合もある。いずれにしろ旅行保険の期間内なので、そうなった場合、まずは保険会社に保険が適用になるかどうかを問い合わせる必要がある。

 ホテルを出る際には、セーフティボックスの中身を取り出すのを忘れないようにしよう! また、レンズキャップや記録メディアなどの小物をデスクの上、ベッドサイドのテーブル、洗面所などに置いたままでチェックアウトしてしまわないように、部屋の中を見渡すのを忘れずに。海外で忘れ物をすると、取りに戻ることが難しいし、送ってもらうにしても送料も時間も結構かかる。空港までの移動には、充分な時間の余裕を持ってチェックアウトするようにしよう。

   
■ データはすぐに整理して気に入った作品はプリントする
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天気がいい日ばかりじゃない。それもまた撮影旅行の想い出のひとつになる。

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再び機上の人に。日本到着まで、もう間もなくだ。

 撮影旅行が終ったからといって、脱力しているヒマはない。家に帰ってまずやることは、画像データの整理とカメラのメンテナンスだ。ウチの HDD に画像データを保存して、やっと記録メディアや携帯用の HDD の画像を消去することができる。

 画像データの保存は、記録メディアを順番にコピーしていけばいいだけだが、通常はカメラが同じならフォルダ名が同じになってしまう。そこで上書きされてしまうのを防ぐために、コピーが終わったらフォルダ名を日付けなどに書き換えておく。そうすれば、後でデータを探す時にも便利だ。私は、2013 年のフォルダの中に、7月香港というように何月+地名というフォルダを作り、その中に日付けごとのフォルダを置いて管理している。フォルダに入っている画像が多すぎると、表示にも検索にも時間がかかるため、あまりたくさんの画像をひとつのフォルダにまとめてしまわないのが整理のコツ。

 データの保存は時間がかかるので、その間にカメラのメンテナンスに取りかかろう。基本的にメンテナンスは、撮影が終わったら毎日やるものだが、帰ってきたら少し丁寧に。フィルターの汚れ具合やぶつけて潰れたり削れたりしたところがないかなどを調べ、ボタンやレバーに不具合がないかをじっくりチェックする。レンズのピントリングやズームリングなどの可動部分がスムーズに動くかどうかも忘れずに確認しよう。また、埃や湿気の多い場所で撮影した場合には、カメラやレンズ内部も汚れていることがある。頻繁にレンズ交換した場合には、念のためサービスセンターできちんとメンテナンスしてもらうといいだろう。

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旅の余韻を楽しみながら作品のセレクト、プリントをする作業は、記憶を引き戻すタイプスリップのようなもの。次の撮影旅行に向けた準備にもなる。

 さて、データの保存が終わったところで、いよいよ画像のセレクト。旅の気分が抜けないうちに、気に入った画像を選び出してプリント用にセレクトしておこう。旅行のフォルダにセレクト用のフォルダを作っても構わないし、デスクトップにプリント用のフォルダを作ってもいい。ルールさえ決めておけば、やりやすい方法で構わない。必要なのは撮影を振り返って、作品を選ぶ作業をすること。作品を選ぶことは、撮影上達の早道であると同時に、自分自身を見詰め直す作業でもある。

 そして、気に入った画像は必ず大きくプリントしてみる。モニターの画面で見るのとプリントは全然別モノ。そして画像は、プリントして初めて作品になる。そのための撮影旅行だったということを忘れずに!

   
■ 次回予告
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 旅行は家に帰り着くまで終わりじゃない。また、無事に帰って来たからといって、撮影旅行ままだ終わらない。ゆっくり休むのは、画像データの整理と機材のメンテナンスが終わった後だ。旅の余韻とともに、最後のプリント作業までを楽しもう。

 次回、最終回は番外編。これまでの流れでお伝えできなかった、撮影旅行に便利なちょっとしたアイデアや情報を紹介していきます。

   
 
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