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スタグラ・特集記事
Adobe Creative Suite 3 発表記念イベント
期待の Photoshop CS3 はどう変わったか? 2007/06/13
 

「アドビ史上最大の製品を皆さんに紹介できることをうれしく思います」

アドビ システムズ社の日本法人の代表取締役社長ギャレット・イルグ氏は基調講演の挨拶で淡々と語った。

2007年6月8日、品川プリンスホテル アクアスタジアム内 ステラボール。
定員750名の基調講演でのこと。

Adobe Photoshop CS3をはじめとした、Adobe Creative Suite 3 発表記念イベントが開催された。

Reported by 神崎洋治
ステラボールに設置された巨大なスクリーンで、新しいCS3が一般ユーザらに、お披露目された。

ついに発売記念イベントで Photoshop CS3 を一般公開!!


   ・アドビとマクロメディア製品の連携は進んだのか?
   ・Photoshop CS3はどう変わったのか?
   ・Adobe BridgeとLightroomの違いは?
   ・Photoshop CS3 Extended とはなにか?

   さまざまな疑問をイベント参加レポートで解明する!!


  新しいPhotoshopを含む CS3ファミリー アドビ史上最大のローンチ このページのトップへ  

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写真1 アドビ システムズ日本法人のギャレット・イルグ社長。多くの人がアドビとマクロメディア製品はうまく統合できるのかを懸念していたが、答えはもちろん「イエス」。
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写真2 バイスプレジデントのマイケル・ゴフ氏。アドビはコンテンツの作成、配信、再生を統合するソフトウェア製品群を供給する。ブログに対するツールも必要だ。
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写真3 ディレクターのウィル・アイスリー氏。パプリッシングソフトウェアの将来像は「印刷物」「Web」「ビデオ」「モバイル」「リッチインターネットアプリケーション」を操ること。13のアプリケーション、6つのパッケージ、9つの新技術で応える。
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写真4 製品のデモを担当したマーケティング本部 西山正一氏。CS3の新しい機能に驚いて欲しい。
「アドビ史上最大の製品を皆さんに
 紹介できることをうれしく思います」

アドビ システムズ社の日本法人の代表取締役社長ギャレット・イルグ氏は基調講演の挨拶で淡々と語った。

いったいなにが"アドビ史上最大"なのか、新しいアドビのチャリンジとは何か、会場のステラボールを埋め尽くしたオーディエンス達、誰もがスピーカーの言葉に耳を傾けた。

アドビ 史上最大とは?

アドビ システムズ社はお馴染み「Photoshop」や「Illustrator」シリーズなどをリリースする会社。デザイナーや写真家、画家やイラストレイターなどが愛するソフトウェア群は先駆的であり頂点に立つ雄。

そのアドビ システムズ社がもう一方の雄であるマクロメディア社を買収してから、今回は初めてのメジャーバージョンアップだ。マクロメディア社を代表するソフトウェア「Dreamweaver」や「Flash」はウェブデザイナーやアニメーターら、デザイナー達にとってはこれも定番であり、頂点に立つと言って良い。この2つの潮流が果たしてどのように融合し、デザイナー達に効率的な開発環境をもたらしてくれるのか、はとても興味深い。

まず、このような意味で、今回の発表会はたしかにアドビ史上最多となる13の製品群が生まれ変わる場であり、アドビ史上最大・最強の製品発表の場となったのである。

アドビ システムズと
  マクロメディア製品の連携は?

CS3ファミリーのデビューは、単体のアプリケーションにとどまらず、Photoshop やIllustrator、Indesign、Flash、Dreamweaverなど、13のアプリケーションが刷新されることを意味し、そこには旧マクロメディア製品も一部含まれる。
Photoshop CS3の画像ファイルをDreamweaver CS3で直接読み込んだり、PhotoshopやIllustratorのファイルをFlashで利用したりと、連携は進んでいることを示した。

 

CS3発表会の概要

発表会は基調講演に何人かのスピーカーが次々と登壇し、CS3ファミリーの魅力を解説した後、品川プリンスホテル・メインタワーなどの4つの会場に分かれて、各専門セッションが実施された。

タイムテーブルなどは下記の通り。

13:30-15:00 Adobe Creative Suite 3 基調講演
         -デザイン、 Web、ビデオ。全てのメディアは新たな次元へ-
15:30-16:30 専門セッション1 (4会場)
         ・Web セッション Adobe Creative Suite 3 Web Premium
         ・Video セッション Adobe Creative Suite 3 Production Premium
         ・Design セッション Adobe Creative Suite 3 Design Premium
         ・ProPhoto セッション Photoshop CS3 と Photoshop CS3 Extended
17:00-18:00 専門セッション2 (4会場) 内容は1と同じ
>> 「Adobe Creative Suite 3 発表記念イベント」公式ページ

 

  「Photoshop CS3」のここが変わった このページのトップへ  

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写真5 Photoshop CS3の強化された、主な機能。全体的には地味だが、使い勝手の向上を重視した改良的な側面が目立つ。
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写真6 新しい Photoshop CS3 Extended とはなにか 。映画やムービーフィルム制作現場、建築や設計デザイナー、医療用画像を扱う人は注目したい。
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写真7 Photoshop ファミリーの位置付け。最上位にPhotoshop CS3 Extended、初級向けにPhotoshop Elementsがある。
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写真8 Photoshop CS3とExtendedのすみわけ。アドビにとっては新しい市場へのチャレンジともなるExtended。
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写真9 Photoshop CS2と比較して、CS3は起動時間や実行時間などの高速化がはかられた。
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写真10 複数の画像を横に並べてパノラマ画像を作成したところ。自動整列なら画像を分析して、手間いらずで作れる。ただし、中央画像と右画像の境界が目立ち、違和感があるが・・
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写真11 CS3では、明るさと色合いまで自動調整し、画像の境界が解らないほど違和感なく合成される。

多くのユーザに多様な使い方で愛され、既に熟成の域にあるPhotoshopシリーズ。個人的には今回の変更点はPhotoshop CS3の使い勝手の向上を重視されたように思う。

Photoshop CS3の起動時間が
  高速に

不評だったPhotoshop CS2の起動時間の長さを改良するため、CS3では大幅な見直しが測られた。起動時間はCS2と比較して約20%高速化。インテルMacでは、約2倍も速く起動。デモではわずか3〜4秒で起動することをアピールして会場を驚かせた。

スマートフィルタの導入

「ぼかし」や「シャープ」「モザイク」など、レタッチや加工によく使うフィルタ効果。「スマートフィルタ」は元の画像はそのままで、フィルタの効果をレイヤーのように重ねていく機能。実行したフィルタ効果は後からやり直しや削除が可能。

クイック選択ツール

Photoshop Elementsで評価が高い「クイック選択ツール」をPhotoshop CS3でも採用。ただし、Photoshop Elementsのそれより細部の調整機能が充実していて、「境界線を調整」はプロユースも考慮した設計。

クイック選択ツール
マウスでなぞるだけで同系色の範囲を選択できるツール

境界線を調整ツール
クイック選択ツールなどで選択した境界線を細かく調整できるツール。ぼけあし調整や拡大縮小などが可能。

レイヤーの自動整列と自動合成

複数の画像を横に貼り合わせるときなどに有効なツール。欧米の人達が妙に好きなパノラマ写真。複数の画像を分析し、自動的に合成、パノラマ写真を手軽に作成できる。しかも、明るさや色合いなども違和感がないように自動調整してくれる。

レイヤーの自動整列・合成

トーンカーブの強化

明るさや色合いの調整にとても重要なツールでありながら、初中級者にはとっつきにくい印象がある「トーンカーブ」。「明るく」「コントラストを上げる」など、日本語で選べる色補正プリセットがいくつか、あらかじめ用意された。手軽に選べるだけでなく、各プリセットがどのようなトーンカーブで実現されているか勉強にもなる。また、トーンカーブにヒストグラムも重ね表示されるようになった(リアルタイムに反映はされない)。

改良されたトーンカーブ

Adobe Bride CS3の強化

アドビのファイルブラウザ「アドビブリッジ」が強化された。高速性の向上が図られ、レイアウトも見やすく改良。見たい部分を拡大表示できるルーペツールが装備され、ピントや手ブレの確認もブリッジで手軽にできるようになった。

強化されたAdobe Bridge

Camera RAWとLightroomの互換性
  強化

Camera RawはPhotoshop CSシリーズに搭載されているRAW画像現像ツール。パフォーマンスが向上し、サポートするカメラ機種も増え、更に画像調整機能も増えた(英語版の最新版 Camera RAW 4.1 を使うと更に機能が向上:アドビ談)
また、写真家のワークフローを考慮し、大量の写真を管理、現像できる「Adobe Photoshop Lightroom」(CS3ファミリーとは別売)との連携を強化。Lightroomの写真一覧で指定した画像からCS3を起動、CS3でレタッチした結果がLightroomの写真一覧の管理情報にリアルタイムで反映させられる。また、Camera RAWとLightroomの現像エンジンが共通化された。

Photoshop Lightroomとの連携

Photoshop Lightroom

ちなみにPhotoshop LightroomとAdobe Brideの違い(コンセプト相違点)はなんだろう?
Photoshop Lightroomは、JPEG、RAW、TIFFなど写真画像を対象とし、管理、編集ができるデータベースだ。
一方のAdobe Brideはプレビューを目的としたファイルブラウザ。管理面では若干劣るが、写真画像だけでなくPDFやillustratorファイル、Indesignファイルなど、Adobe製品群の専用ファイルなども幅広くプレビューできることが特長だ。

Dreamweaverとの連携

多くのウェブデザイナーがこのひと言を待っていたに違いない。Photoshop形式の画像ファイルをDreamweaverで直接読み込めるようになっただけでなく、Dreamweaverのレイアウト中の画像をCS3で開いて修整加工、結果はリアルタイムにDreamweaverに反映されるようになった。FireWorksを経由してDreamweaverとやりとりする必要性も減った。

  Photoshop CS3 Extented をラインアップ追加 このページのトップへ  

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写真11 もとは1枚の静止写真画像を、Vanishing PointとAfterEffects CS3との連携によって(AfterEffects画像:上)、3D立体画像のように扱える(画像:中)。3D画像のように角度をグリグリ変えて表示しているところ(画像:下)
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写真12 Vanishing Pointが強化され、Extendedなら画面のようにCDケースに沿ってジャケット画像を貼り付けることもより簡単になった。

アドビ システムズ曰わく「かゆいところに手が届く」と、使い勝手の向上を中心に改良されたPhotoshop CS3だが、実はデモなどで見栄えがする大幅な機能追加は「Photoshop CS3 Extented」で行われている。

「Photoshop CS3 Extented」はPhotoshop CS3の上位版で今回よりラインアップに追加された。「Photoshop CS3 Extented」のターゲット層は、映画やムービーフィルム制作現場、建築や設計デザイナーとそのプレゼンテーションに携わる人、CGデザイナー、医療現場で画像を扱う人たち等。工業デザイン関連に従事する人も要チェックだろう。


自由度が増したバニシングポイント

Photoshop CS2で登場した遠近感を考慮して画像の合成貼り付けが可能な「Vanishing Point」機能を強化。平面から立体(3D平面)へと進化し、従来のVanishing Pointの90度制限がなくなり、自由な角度で設定できるようになった。更に遠近感を保持したまま、接合部分の貼り付け編集も手軽で容易になった。

自由度が増したVanishing Point

3Dデータをそのまま読み込んで
  テクスチャ編集

3DS、OBJ、Collada、KMZ(Google Earth)およびU3Dフォーマットの3Dデータを直接読み込むことができる。もちろんCS3画面でグリグリと回転して動かすことや、テクスチャの編集も可能。2D画像として保存することも簡単にできる。

3Dレイヤーとテクスチャの編集

ムービー制作現場や
 建築デザイナー、医療現場で

その他、ムーピーファイルを大量の静止画レイヤーとして読み込んだり、ムービーファイルとしてビデオレイヤーを読み込み、アニメーションパレットを使って、ビデオ画像を1フレームずつ編集する機能、医療用画像の分析や管理に役立つ機能など、専門分野を視野に入れた機能が大幅に追加されている。


写真ファンが多いスタグラでは、これらの機能については簡単に解説するにとどめたい。詳しい情報はPhotoshop CS3 Extentredの公式ページを参照してほしい。

 

 

 
初出:2007/06/13
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