●[ ダスト&スクラッチ ] フィルタは使わない?
暗い場所では、長時間露光や ISO 感度を上げての撮影になりますが、その際に気になるのが、画像にできる 「カラーノイズ」
です。
画面1を見てください。赤や青のドットがたくさん見えますね。これが「カラーノイズ」です。最近のデジタル一眼レフカメラには、こうしたカラーノイズを除去する(ノイズリダクション)機能がありますが、多少なりとも処理時間がかかるので、撮影のレスポンスを悪くしたくないときは、ついつい通常の撮影をしてしまいます。
こうした写真の救済処置として知られているのが、Photoshop の [ ダスト&スクラッチ
] フィルタです。ところが、こうしたカラーノイズを、
[ ダスト&スクラッチ ] フィルタを使って除去すると、画像のディテールが潰れてしまい、美しい仕上がりには、なかなかなりません。試しに、サンプル画像を
Photoshop で開いたら、すぐに [ ダスト&スクラッチ ] フィルタ ( [ フィルタ ] - [ ノイズ ] -
[ ダスト&スクラッチ ] ) で、[ 半径 ] を 「 2 」 、[ しきい値 ] を 「 5〜10 」 程度にしてかけてみてください。[
半径 ] と [ しきい値 ] の組み合わせによって変わりますが、ディテールを潰さないようにするとカラーノイズは消えず、カラーノイズを消すとディテールが潰れてしまうのがわかると思います。また、部分的にはカラーノイズが消えても、必ず他の場所に残っているはずです。
●[ チャンネル ] と [ 輪郭以外をぼかす ]
相反する関係にあるディテールを残しながらカラーノイズを低減するという課題を、バランスよく処理するには、[
Lab ] カラーモードにしてから、[ チャンネル ] に対して [ ノイズ ] フィルタの [ 輪郭以外をぼかす ]
を使うことをお奨めします。もちろん、この方法で、完璧にカラーノイズが除去できるというわけではありませんが、あくまでもディテールを残しながらカラーノイズを低減する際のバランスが、[
ダスト&スクラッチ ] に比べていいのです。
●Photoshop 7 は [ ダスト&スクラッチ ]
ここで紹介している方法は、Photoshop CS 以降でないと使えません。理由は、[ Lab ] モードにおいて [
輪郭以外をぼかす ] フィルタが使えるのは、 CS 以降であることが条件だからです。Photoshop 7 の場合は、画面4、5、6、7のフィルタ処理を、すべて
[ ダスト&スクラッチ ] にしてください。[ ダスト&スクラッチ ] のパラメータは、、[ 半径 ] を 「 2 」 、[
しきい値 ] を 「 5 」 にしてみてください。
●レタッチ操作の流れ
ここでは、以下の機能を使って補正します。
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Lab カラーモード |
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16bit/チャンネルモード |
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チャンネルパレット |
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ぼかし(ガウス)フィルタ |
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輪郭以外をぼかすフィルタ |
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アンシャープマスクフィルタ |
レタッチの流れは、以下の通りです。
あらかじめ、 サンプル画像をダウンロードしておいてください。このサンプル画像は、Adobe
RGB のカラープロファイルが埋め込まれています。サンプル画像を
Photoshop で開くときは、なるべく「作業用スペース」を Adobe RGB にして開いてください。
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サンプル画像を開きます。 |
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[ イメージ ] メニューで、カラーモードを [ Lab
] カラー、[ 16bit/チャンネル ] に変更します。 |
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チャンネルパレットで、[ a ]、[ b ] チャンネルに
[ ぼかし(ガウス) ] フィルタをかけます。 |
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続いて [ L ] チャンネルに [ 輪郭以外をぼかす
] フィルタを2回かけます。 |
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さらに [ L ] チャンネルに [ アンシャープマスク
] をかけます。 |
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全チャンネルを表示して、カラーモードを[RGB カラー]、[8bit/チャンネル]に戻して完成です。 |
●レタッチのポイント1 − [ Lab ] カラー
「ピンボケ写真を救済するには」をご覧ください。[
Lab ]カラーモードを解説しています。
●[ a ]、[ b ] チャンネルに [ ぼかし(ガウス) ]
画面4、5で、[チャンネル]パレットを使って、[
a ] と [ b ]チャンネルに [ ぼかし(ガウス) ] フィルタをかけています。この処理によって、赤と青のカラーノイズがある程度除去されます。ここで、[
フィルタ ] - [ ノイズ ] - [ ダスト&スクラッチ ] をかけても、似たような結果が得られます。
[ a ] と [ b ]チャンネルだけに [ ぼかし(ガウス) ] フィルタをかける理由は、[
Lab ]カラーモードの性質にあります。これも、詳しくは「ピンボケ写真を救済するには」をご覧ください。
●[ 輪郭以外をぼかす ] フィルタ
画面6、7で使っている
[ 輪郭以外をぼかす ] フィルタは、画像の中で色が極端に変換する場所、つまり、エッジを見つけ出し、そのエッジ以外の画素をすべてぼかすことのできるフィルタです。ダイアログボックスなどはなく、コマンドを実行するとすぐに効果が適用されてしまいますので、微調整はできません。ただ、一度の処理ではあまり大きな効果は適用されないので、適当な結果になるまで、何度もかけると良いでしょう。ここで紹介している操作では、2回かけています。
●ぼやけた輪郭は [ アンシャープマスク ]
いくら [ 輪郭以外をぼかす ] とは言っても、やはりある程度はディテールが潰れてしまいます。そこで、画面8のように、[
L ] チャンネルに [ アンシャープマスク ] フィルタをかけて、潰れた輪郭を修復します。こうすると、せっかく画面6、7で施した
[ 輪郭以外をぼかす ] フィルタによって除去したノイズが、多少ですが戻ってきてしまいます。それでも、 [ 輪郭以外をぼかす
] フィルタを使う前に比べれば、ディテールははっきりとしていて、ノイズが少なくなっているのがわかるはずです。
●[アンシャープマスク]はプレビューを見ながら
画面8で、[
L ] チャンネルに [ アンシャープマスク ] をかけていますが、ここのでのポイントは、プレビュー画面をよく見ながら、適切だと思われるところにスライダを動かすことです。ここでは、ノイズの復活をできるだけ避けるために、「100%」
にしています。[ 半径 ] は、「 1.0 」 ピクセルで固定しておいても OK です。
さて、どうでしょうか。画面10で、Before
と After を見比べてみてください。この画像は 300 %に拡大表示したものなので輪郭がはっきりとはしていませんが、通常表示であれば問題ないはずです。
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