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薮田織也のフォトショップ早わかり
Photoshop Tips & Manual |
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●アンシャープマスクで本当にいいの?
「いい写真なんだけど、ちょっとだけピントが外れてしまった…残念っ!」 という写真があったとして…いや、筆者の場合もよくあることなんですけど…そんな写真を、あなたならどうしますか? 諦めますか? それとも、なんとか救済処置を施してみますか?
救済処置としては、ご存知だと思いますが、Photoshop のフィルタである[アンシャープマスク]をかけるという方法がありますね。この[アンシャープマスク]とは、画像内の個々のピクセル(画素)の周囲にある、異なる色情報を持ったピクセルを検索し、指定した量だけピクセルのコントラストを高めるフィルタです。つまり、明るいピクセルは指定した量に基づいてさらに明るくなり、暗いピクセルはさらに暗くなり、結果的に画像全体にシャープ効果が得られるというわけです。
でも、RGB 画像に対して普通に[アンシャープマスク]をかけると、実は微妙な弊害もあるのです。それは、[アンシャープマスク]はすべてのピクセルに対して処理を行なうために、コントラストを高めて欲しくないピクセルも目立ってしまうのです。[アンシャープマスク]をかけた画像を拡大して表示してみてください。[アンシャープマスク]をかける以前は滑らかだった肌のグラデーションが、微妙に汚れてしまっているのに気づくはずです。(画面10参照)
そこで、このページでは、こうした微妙な汚れをできる限り抑えて、キレイに(レタッチ例参照)[アンシャープマスク]をかけて、ピンボケ写真を救済するテクニックをご紹介します。
●レタッチ操作の流れ
ここでは、以下の機能を使って補正します。
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Lab カラーモード |
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16bit/チャンネルモード |
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チャンネルパレット |
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ぼかし(ガウス)フィルタ |
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アンシャープマスクフィルタ |
レタッチの流れは、以下の通りです。
あらかじめ、 サンプル画像をダウンロードしておいてください。このサンプル画像は、Adobe
RGB のカラープロファイルが埋め込まれています。サンプル画像を
Photoshop で開くときは、なるべく「作業用スペース」を Adobe RGB にして開いてください。
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サンプル画像を開きます。 |
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[イメージ]メニューで、カラーモードを[Lab カラー]、[16bit/チャンネル]に変更します。 |
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チャンネルパレットで、[a]、[b]チャンネルに[ぼかし(ガウス)]フィルタをかけます。 |
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続いて[L]チャンネルに[アンシャープマスク]をかけます。 |
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全チャンネルを表示して、カラーモードを[RGB カラー]、[8bit/チャンネル]に戻して完成です。 |
●レタッチのポイント1 − [Lab カラー]
画面2で開いた画像ファイルを
[Lab カラー]モードと[16bit/チャンネル]モードに変更していますが、これがこのレタッチの一番重要なポイントです。RGB
各色 8bit では、RGB それぞれの色が 256 階調で表現されますが、16bit にすると 65,536 階調というかなり大きな色深度で表現できるからです。また、[RGB
カラー]モードを [Lab カラー]モードに変更するのは、RGB が表現できる色空間よりも Lab の色空間の方が圧倒的に広いからです。
画像を Photoshop などのグラフィックソフトでレタッチすると、レタッチするたびに画質が劣化するのは避けられないことなのですが、[RGB
カラー]モードと[8bit/チャンネル]で画像をレタッチするよりも、より広い色空間と深い色情報で作業ができる[Lab カラー]モードと[16bit/チャンネル]モードに変更することで、色調を補正するときに生じる色情報の欠落を、できる限り抑えられるというわけなのです。
●[a]、[b]チャンネルに[ぼかし(ガウス)]
画面3、画面4、画面5で、[チャンネル]パレットを使って、[a]と[b]チャンネルに[ぼかし(ガウス)]フィルタをかけていますが、ピンボケを救済するテクニックなのにどうして[ぼかし(ガウス)]なのかと思うかもしれません。でも、ここが、このレタッチの第2のポイントなのです。そのポイントを理解するためには、まず[Lab
カラー]モードをよく知っておく必要があります。
[Lab カラー]モードは、[L]チャンネルが、輝度の要素、[a」]チャンネルはグリーンからレッドへ、[b]チャンネルはブルーからイエローへの色相の要素を表しています。
つまり、[Lab カラー]モードは、赤や青などの色そのものに関与するチャンネルの他に、色そのものに関与しないうチャンネルが存在するのです。ここが[RGB
カラー]や[CMYK カラー]モードと異なるところで、今回のレタッチのポイントとなるのです。つまり……
冒頭で説明した、「[アンシャープマスク]はすべてのピクセルに対して処理を行なうために、コントラストを高めて欲しくないピクセルも目立ってしまう」という「弊害」を避けるには、輝度の情報を持つチャンネルだけに[アンシャープマスク]をかけて、色の情報を持つチャンネルは、逆にピクセルをぼかすのがよいわけです。輝度情報のチャンネル、[L]チャンネルに[アンシャープマスク]をかけると、暗い部分はより暗く、明るい部分はより明るくなり、コントラストが高くなることで、結果、より先鋭的な輝度情報を持つ画像になるわけです。次に、色の情報チャンネル、[a]、[b]チャンネルに[ぼかし(ガウス)]をかけると、隣接するピクセルの情報が似通って−つまり色が似通って−[L]チャンネルにかけた[アンシャープマスク]によっておきる色ムラの発生を抑えることができるのです。
●[ぼかし(ガウス)]は1MBにつき1ピクセル
画面4を見てください。[ぼかし(ガウス]フィルタのダイアログボックスで、[半径]の値に「1」ピクセルを指定していますが、これは、画像ファイルの大きさによって変更して使います。基本は画像サイズが
1 MB につき 1 ピクセルだと考えてください。画像のファイルサイズは、JPEG
形式でディスクに保存されたときのものではなく、Photoshop 上に展開されたとき、または Photoshop ファイル形式でレイヤーを統合して保存したときのサイズです。そのサイズを確認するには、Photoshop
のステータスバー(Photoshop 画面の一番下)でファイルサイズを表示します。 ステータスバーが表示されていないときは、[ウインドウ]メニューを開き、[ステータスバー]にチェックを付けます。ステータスバーが表示されたら、下の画面のように、右向きの「▲」をクリックして、[ファイルサイズ]を選びます。すると、現在開かれている画像のサイズが表示されます。下の画面のように「2.25M/2.25M」と2つ表示されているので、もし左右のサイズが異なっているときは、左側の数値を参考にします。右側の数値は、Photoshop
でレイヤーやその他の情報を組み込んだ場合のファイルサイズで、左側がレイヤーなどを統合して保存したときのファイルサイズです。ここで紹介するテクニックでは、統合されたファイルサイズを参考にします。
ここで使っているサンプル画像は
2.25MB ですので、本来は[ぼかし(ガウス)]ダイアログボックスで[半径]を「2.0」程度にする必要があります。すると、より滑らかに[アンシャープマスク]がかかります。
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▼例 |
少しだけピントのボケた写真を救済してみましょう |
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▼画面2 |
Lab カラー、16bit/チャンネルモードにする |
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▼画面7 |
[L]チャンネルにアンシャープマスク 2 |
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●[アンシャープマスク]はプレビューを見ながらスライダを動かす
画面7で、[L]チャンネルに[アンシャープマスク]をかけていますが、ここのでのポイントは、プレビュー画面をよく見ながら、適切だと思われるところにスライダを動かすことです。だいたい、「150%」〜「180%」程度が最適だと思われるのですが、やはり、レタッチする人の感性で処理するのが一番です。この[アンシャープマスク]ダイアログボックスにも[半径]が登場しますが、ここは「1.0」ピクセルで固定しておいても
OK です。
●RGB 8bit にかけたアンシャープマスクと比べてみよう
画面10は、ここで紹介しているテクニックで[アンシャープマスク]をかけた結果と、[RGB
カラー]モードの[8bit/チャンネル]モードの画像に直接[アンシャープマスク]をかけた結果を比較したものです。どうでしょうか? あきらかに画質の差が出ていますよね。これを見てしまうと、もう二度と直接[アンシャープマスク]をかけたくなくなってしまいませんか?
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