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薮田織也のフォトショップ早わかり
Photoshop Tips & Manual |
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■周辺光量の落ち込み(ケラレ)を修正するには
[ ビネット ] |
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●写真の四隅がなんだか暗い…
撮った写真の四隅がなんだか暗く、露出不足になっているなんて経験はありませんか? つまり周辺の光量が落ち込んだ状態、「周辺光量の低下」現象です。いわゆる「ケラレ」現象ですね。
●ケラレは影じゃないの?
「おいおい、周辺光量の低下はケラレじゃないだろう」……。
たまにこんな風に突っ込まれることがあるんですが、周辺光量の低下も「ケラレ」と呼びます。この「ケラレ」という写真用語というか光学用語は、かなり幅広く使われる用途で、一般的には、レンズに取り付けたフードの先端や、重ねて使っているフィルタの枠が写り込むことによって、画面の隅の像が写らなかったり、画像が淡くなってしまう現象のことを「ケラレ」、または「ケラレる」と言います。また、ストロボ撮影している場合に、レンズの長さや大きさによって、ストロボの光が遮られたためにできる影のことも「ケラレ」と呼びます。要するに、「影」や余計なものが映り込むことを「ケラレ」と呼ぶわけですが、レンズの特性による周辺光量の低下も、「ケラレ」と呼ぶことがあるんです。それは……。
●なんで周辺光量は落ち込むの?
カメラのレンズは、長い鏡筒に複数のレンズを、前枠と後枠という二つの枠で収めるという構造のために、レンズの端の方から入射する光の一部は、前後の枠で邪魔されて、つまりケラレることが、光量不足の原因のひとつになります。これを専門用語で、「口径食」(こうけいしょく)、または「ビグネッティング」(vignetting)と呼んでいます。この「口径食(蝕)」という原因のほかに、「コサイン4乗則」という原因で光量が落ち込むことがあります。なんだか小難しい用語ですし、難しいことは私にもわからないので極めて大雑把に説明しますけど、周辺部の明るさはレンズを通して入射する光の角度のコサインの4乗に比例して低下するのだそうです。
レンズの中心を通る光の束、これを中心光束と呼びますが、これに対して、レンズの端から入射する周辺の光の束、周辺光束は傾斜しているわけです。この傾斜角度は、広角レンズになるほど大きくなります。通常、広角レンズは口径食がほとんどないと言われていますが、この「コサイン4乗則」が原因で、周辺の光量が低下します。
それでも、周辺光量があまり落ちない口角レンズが存在するのは、光束面積を大きくすることで、周辺光量の低下を防いでいるのだそうです。
●蛇足ですけど
画面1は、ズームレンズの望遠側で、絞り値
f2.8 と、開放にして撮ったのが原因で周辺光量が低下してしまった写真です。前述した原因から考察すると、この写真は、「コサイン4乗則」というより、「口径食」(ビグネッティング)によって、周辺光量が低下した写真だと言えるでしょう。
こうした撮影のときは、絞り値を1〜2段絞り込むと、周辺光量の低下をある程度なら防ぐことができます。
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[ 収差補正 ] で周辺光量の低下を補正 |
★クリックで拡大
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▼画面1 |
[ 収差補正 ] タブの [ ビネット ] を使う |
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周辺光量の低下を補正するには、[
収差補正 ] の [ ビネット ] にある、[ 適用量 ] スライダを使って補正します。 |
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プレビュー画面を見ながら、周辺光量の低下がなくなるまでスライダを動かして補正します。写真によっては、[
中心点 ] スライダを使って、ビネット補正する場所を移動させます。 |
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●Camera Raw で周辺光量の低下を補正するには
余計な解説がダラダラと続いてしまいましたが、「コサイン4乗則」だろうが、「口径食」(ビグネッティング)だろうが、画面1のように周辺光量が不足した写真でも
Camera Raw で補正することができます。
[ 収差補正 ] にある [ ビネット ] という機能を使います。やり方は画面1を参照してもらうとして、この
[ ビネット ] という用語、前述の「ビグネッティング」になにやら言葉が似ていますね。実は語源は同じです。語源の「vignette」は、写真や絵画の飾り模様のことで、転じて「輪郭をぼかした絵や写真のことをさします。実際の発音では、「グ」はほとんど発音しないので、「ビネット」または「ビネッティング」の方がより近いとは思いますが…。まぁ、こんなことはどうでもいいことなんですけど、アドビシステムズも
Camera Raw を日本語化するときに、この機能を「ビグネッティング」にしていれば、まだ日本のカメラ好き達に馴染まれたんじゃないかと思いますね。
これまた蛇足ですが、日本では「ビグネッティング」を口径食として扱っていることが多いようですが、米国の資料を読んでいると、コサイン4乗則による周辺光量の低下を指していることが多いようですね。そう考えると、周辺光量の低下に関する解釈は、その原因によって結構バラつきがあるようです。私の解釈も光学系の専門家が読んだら「間違いだ!」とおっしゃるかもしれませんので、そういうときは遠慮なくメールをください。検討の上、修正いたします。
次のページでは、Camera Raw の「まとめ」を掲載します。 → 次回更新予定
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