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スタグラ・特集記事
メーカーに聞く デジタルカメラのココが知りたい!!
第8回 タムロンに聞く
高倍率ズームレンズのしくみと新技術 / 手ブレ補正のしくみ
2012/02/06
 


質問高倍率ズームレンズとは?
質問世界最小・最軽量の高倍率ズームレンズ
    小型化と軽量化を実現した新技術は?
レンズや口径を小型化しても画質は落ちない?
手振れ補正機構のしくみを教えて

高倍率ズームというジャンルのレンズがあります。タムロンが60周年記念モデルとして発売したモデルは 18-270mm ( 35mm判換算で約28-419mm相当)、実に15倍のズーム倍率です。クローズアップ撮影、部屋での撮影、ペット撮影、鉄道写真、運動会やサッカーの試合など、通常の撮影ではほとんどのシーンを1本でカバーできる倍率幅です。
この興味深い高倍率ズームレンズについて、特徴や新技術、しくみなど、開発者に聞きました。

タムロン開発者にインタビュー
 

今回のインタビューは、株式会社タムロン 映像事業本部の戸谷氏(写真)ほか、3名の開発者の方々に高倍率ズームレンズについて聞きます。

聞き手 神崎洋治 (本文中はQと表記)  

  高倍率ズームレンズとは このページのトップへ  

「18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD」(モデルNo.B008) の写真
画像A 「18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD」(Model B008) 倍率15倍、世界最小・最軽量を実現したタムロン60周年記念モデルの高倍率ズームレンズ。
> ホームページで詳細をみる
15倍率ズームの撮影例
画像B 15倍率ズームの撮影例
上が広角(ワイド)で撮った写真。下が最大望遠で撮った写真。15倍ズームレンズではこれだけの倍率を1本でカバーする。(写真提供:タムロン)

デジタル一眼レフやミラーレス一眼の魅力は、用途や被写体によってレンズが交換できることです。

ズームや望遠という言葉がよく使われますが、被写体が見えている大きさ、すなわち倍率が変えられるものを「ズームレンズ」と呼びます。

一方でズーム機能のないレンズを「単焦点レンズ」と呼びます。一見、単焦点よりズームできるレンズの方が便利だろうと感じますが、単焦点レンズはズーム機構のないぶん、F値が明るく高性能なレンズが開発しやすく、サイズも小さくしやすいです。そのため、ズームレンズと単焦点レンズにはそれぞれのメリットがあるといえるでしょう。

レンズを通して見える範囲と被写体の大きさは焦点距離や画角によって変わってきますが、レンズの表記では主に焦点距離(mm)が使われます。

人間の目で見えている範囲に近い「50mm」近辺を「標準レンズ」としています。それよりも数字が小さい焦点距離のレンズを「広角レンズ」や「ワイドレンズ」と呼び、焦点距離の数値が大きいレンズは被写体をより大きく写せるので「望遠レンズ」に区分されます。
ただし、これらの呼び方は必ずしも明確に区分けされたものではありません。時代とともに各焦点距離での区切りが変わっています。

このようにレンズは焦点距離によって、広角、標準、望遠と区分されますが、これら広角〜望遠まで幅広いズーム域をカバーするレンズ製品として「高倍率ズーム」レンズがあります。

例えば、「18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD」(モデルB008、以下、B008 と表記)は、広角の18mmから望遠の270mmまでを 1本のズームレンズでカバーできるレンズです。35mm判換算にすると約 28-419mm 相当。倍率に換算すると実に15倍です。右の写真のように、広角では手前から背景までピントの合った視野の広い風景写真の撮影が可能で、ズームをして望遠にすると、被写体を大きく写すことができます。望遠側では、望遠効果によって、被写体の女性の表情ははっきりと写りつつも、背景をきれいにボカした写真を撮ることができます。

更にこのB008 は、同クラスのレンズとしては世界最小・最軽量も実現し、普段、手軽に持ち歩くのにも適したレンズになっています。

今回は、このレンズを製品化し、高倍率ズームのパイオニアとも呼ばれているタムロンにインタビューの機会を頂きました。高倍率ズームレンズや、今話題のミラーレスについて質問してきましたので、このコーナーで全2回に分けてお届けします。冒頭は初級向け、後半と第2回は中級向けの話題にも触れています。(本文中は敬称略)

 

  高倍率ズームの特徴としくみ このページのトップへ  

マーケティング・コミュニケーション室 市川浩氏
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「複数本、持ち歩いていたレンズが高倍率ズーム1本で済む」
マーケティング・コミュニケーション室
市川浩氏

映像事業本部 設計技術一部 部長 戸谷 聰氏
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「小さく軽くしながら、性能も良くしたいという大命題で開発」
映像事業本部 設計技術一部 部長
戸谷 聰氏

光学開発本部 渡辺祐子氏
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「テレ端からワイドまでいくつかの倍率で評価ポイントを設けて高画質を追求」
光学開発本部 渡辺祐子氏

B008のレンズ構成
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B008のレンズ構成
レンズ構成は前モデルより2枚少ない「13群16枚」。ガラスモールド非球面レンズ(GMレンズ)と異常低分散レンズ(LDレンズ)の採用で小型化と光学性能の向上を両立させている。

光学開発本部 光学開発一部 光学設計課 課長 荒川明男氏
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光学開発本部 光学開発一部 光学設計課 課長 荒川明男氏

Q.
基本的な質問からさせていただきます。
高倍率ズームレンズの利点とはなんでしょうか?

市川
一眼レフの場合、標準レンズと広角レンズ、望遠レンズのなかから、用途に合わせて何本か持ち歩く方が多いと思いますが、高倍率ズームは1本で広角から望遠まで幅広く利用できるので、持ち歩きを1本にしたり、レンズを交換することなく撮影に使用できることが利点です。

Q.
高倍率ズームレンズという分野は昔からあったものなのでしょうか?

戸谷
高倍率という名称は古くから使われていましたが、大きくて重く、高価だったため、一般ユーザーにとっては実用的とは言い難いものが多かったと思います。
タムロンが1992年に発売した28-200mmのレンズ「モデル71D」は、コンパクトなサイズと軽さにおいてとても実用性が高かったため、一般ユーザーにも高倍率ズームというジャンルが浸透するきっかけになりました。
以来、タムロンは高倍率ズームのパイオニアとして知られるようになりましたし、この分野では特に先進技術を取り入れようと開発に取り組んでいます。

Q.
なるほど。高倍率ズームとは倍率で何倍以上のレンズをさすのでしょうか?

戸谷
当社としては、最初に製品化した高倍率ズームレンズが、28-200mmですので約7倍以上を高倍率ズームレンズと定義しています。

Q.
タムロンの最新の高倍率ズームレンズであるモデル「B008」は 18-270mm で15倍。たしかにこれ1本あればたいていのシーンの撮影がカバーできるズーム域のレンジを持っていますね。
通常ズームレンジの、例えば3〜5倍程度のズームレンズとでは機構的に大きな違いがあるのでしょうか。

戸谷
3〜5倍程度のズームレンズと比べると、ワイドから望遠までのズーム幅が広い分、レンズの繰り出し量は増加します。
基本的なズーム機構の考え方は同じなのですが、なにぶん小さく軽くしながらも、高性能を維持するという大命題から、コンパクトなワイド側でのズーム収納時から、望遠時の大きく繰り出した状態までを達成するために、より複雑で、ノウハウが求められる機構構成が必要となります。

渡辺
光学設計では、テレ端(最大望遠域)からワイドまでいくつかの焦点距離で評価ポイントを設けて、ズーム全域で高画質が実現できるように設計しています。高倍率だから画質性能では妥協している、ということのない開発をおこなっています。

Q.
なるほど。ズームの幅が広い分、すべてのズーム域できれいな画質を実現するということは難しいと思っていましたが、画質についてはワイド側を重視したり、望遠側に注力したりといった偏りなく、全域で高画質を目指す開発がおこなわれているんですね。
ところで、小さくて軽くなるのは大歓迎なんですが、ひとつ前の機種「B003」と比べて、レンズ口径(フィルター径)も 72mm から 62mm に小さくなりました。レンズ口径が小さくなったにも関わらず、描写性能面を維持しているのには、どのようなしくみがあるのでしょうか。

渡辺
B008の場合、口径やボディを小型化しても今まで以上の描画性能を出すために、ガラスモールド非球面レンズを2枚入れた構成を採用しています(画像F)。
球面レンズだけで収差を抑えようとすると内部に使用するレンズの枚数が増えてしまい、結果、重量も増えますが、ガラスモールド非球面レンズを使うことで少ない枚数でも効果的に収差を抑えたコンパクトなレンズ製品を開発することができます。また、色収差を抑えるためにLDレンズも採用しています。
現時点ではこれ以上のものはできませんと言えるくらいのものを開発しました。

Q.
レンズの前玉の口径が大きい = 高画質なレンズ、というわけでもないんですね。口径を小さくしても画質性能は維持できる、と。そこには非球面レンズの使用と配置がキーポイントですね。

渡辺
はい。レンズ設計は何枚ものレンズで構成されるため、そこにはかなりの自由度があります。凸レンズと凹レンズをどう組み合わせて配置するか、どのようなコーティングのレンズを使うかなど、設計者の数だけ十人十色の設計をすると思えるくらいです。その中で、どのような組み合わせで構成するかは長年、高倍率ズームの分野で小型化と高性能を研究してきたノウハウの蓄積があると思います。

Q.
高倍率ズームの高性能と小型化の両立には、伝統や経験が役立っているんですね


  世界最小・最軽量を実現した新技術 このページのトップへ  

Clickで拡大
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タムロン デジタル専用 高倍率ズームの変遷
2005年にデジタル一眼レフ専用高倍率ズームレンズとして「Model A14」が登場(右)。2007年の「A18」では250mmに、2008年の「B003」では270mmに高倍率化がはかられた。B003から手ブレ補正機構「VC」を導入。最新のB008では更に高速・静音が特長のオートフォーカス機構「PZD」が採用されている。(※クリックして拡大写真を表示)


最新機種(左)と前機種との比較
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最新機種(左)と前機種との比較(1)
「B008」は前モデル「B003」(右)からの小型化をはかり、同クラスで世界最小・最軽量を達成。

最新機種(左)と前機種との比較
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最新機種と前機種との比較(2)
「B008」は「B003」と比較して体積でマイナス24%、フィルター径で10mmの小型化を実現。重さは100グラム軽量化。
(※クリックして拡大写真を表示)

手ぶれ補正機構 VCユニット比較
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手ブレ補正機構 VCユニット比較
最新のB008 の手ブレ補正ユニット(右)と前機種B003 の手ブレ補正ユニット(左)。最新のものは口径が小さく、厚さは約1/2 にコンパクト化されている。
(※クリックして拡大写真を表示)

基礎開発本部 基礎開発四部 部長 舘野登史邦氏
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「レンズボディの小型化には手ブレ補正ユニットの小型化が必要だった」
基礎開発本部 基礎開発四部 部長
舘野登史邦氏

手ぶれ補正VCユニットの展開図
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手ブレ補正VCユニットの展開図
駆動コイルとマグネットの位置を入れ替えることで、全体的なVCユニットの小型化が測られている。実際はイラストの各層が重なるようにユニットが組まれて実装されている。

手ぶれ補正効果の比較写真
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手ブレ補正効果の比較写真
「吸い付くように止まる」と定評のあるタムロンの手ブレ補正「VC」。最大でシャッタースピード4段分の手ブレ補正効果を発揮する。(写真提供:タムロン)

手ぶれ補正ユニットのデモ
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手ブレ補正ユニットのデモ
白い土台がブルブルと震えても、コイルとマグネットで電磁制御された上部のレンズ部分は振動を抑制する動きをして手ブレ補正を防ぐ…というデモンストレーション。

手ぶれ補正VCユニット
画像P

手ブレ補正VCユニット
最新機種B008の手ブレ補正VCユニット。上部に絞り羽根ユニットが組み込まれる。下は絞りを開けた状態だ。

Q.
B008は「15倍のズームで世界最小、最軽量」を達成しました。持ち歩くことを考えると「小さい、軽い」はとても大きな利点ですね。

渡辺
当社の高倍率ズーム製品のラインアップを歴史的にみると、実はひとつ前の「B003」ではレンズのボディが大きくなっています。
2008年に発売したB003 は、デジタル一眼レフカメラの主流となっているAPS-Cセンサー向けに開発した製品ですが、手ブレ補正機能を搭載したためレンズもボディも大きくなってしまいました。
「B003」発売当時は、手ブレ補正を入れればレンズは大きくなってしまう、ということが、いわば常識のようなものでした。

解説
小型のレンズにとっては手ブレ補正機構を組み込むことは容易ではない。手ブレ補正機構を途中に追加すると、レンズを通してイメージセンサーに達する光の通り道の距離が長くなるため、光学設計を基本からやり直す必要がある。その結果、レンズを大きくしたり、光学上のクリアランスを設ける等が必要となり、手ブレ補正ユニットの追加分以上にレンズボディは大型化する傾向にある。

舘野
2008年当時の技術では、できるだけ小さく設計しても手ブレ補正ユニットのサイズの小型化はこれがせいいっぱいでした(写真画像 K 左のユニット)。
このユニットの大きさが制約になり、光学設計とメカ設計の両方に影響して小型化には足かせになっていたのです。

Q.
レンズを小型化する核心には、手ブレ補正ユニットを小型にする技術があったわけですね
?

渡辺
技術というよりは、「B003 で大きくなったレンズボディを、なにがなんでも「A18」(18-250mm DiII )のサイズにしなさい」という号令ひとつで小さくしたようなものです(笑)。
「A18」で小型化を実現していましたから、光学設計だけに限って言いますと、小さくできるという確信はありました。しかし、レンズ以外の手ブレ補正ユニットやオートフォーカ用のアクチュエーターを搭載するとなると、収まりきらないため、小型化には抜本的な見直しが必要でした。

解説
タムロンには最初の高倍率ズーム製品を開発した際の逸話が残っている。高倍率ズームが大きくて重かった頃、28〜200mmの高倍率ズームを開発・製品化するにあたり「市場で受け入れられるとしたらどのような製品か」を話し合った。その結果、ポイントはサイズだということになった。そのとき、当時の常務取締役が「携帯に便利なサイズはこの大きさだ」とポケットからタバコの箱を取り出して主張した。それを、当時の開発本部長が、具体的に想像しやすいように、方眼紙を切って丸め、「では、これくらいの大きさの製品を作ろう!」という号令ひとつから開発がはじまったと言う。
最初は誰もが"そんなに小さくはできないだろう"と思っていたが、大口径複合非球面レンズが量産可能になったこと、エンジニアリングプラスチックによる小型軽量化など、最新技術の導入と工夫によって小型化を実現したのである。(詳しくは同社のホームページ「高倍率ズームへの挑戦」を参照」)

Q.
そこで手ブレ補正ユニットを小さく改良する開発に入ったのですね?

舘野
レンズボディの厚みや口径が決められているわけですから、それに合わせたサイズの手ブレ補正ユニットを組み込む必要がありました。当社では「できない」という言葉は禁句なので、どうにか小型化をしなくてはいけないと。

Q.
小さくするためにどのような技術の導入があったのですか?

舘野
手ブレ補正ユニット内部構造の話になりますが、初の手ブレ補正ユニットからの一番大きい変更点はコイルとマグネットの位置を入れ替えたことです。手ブレ補正レンズは一般的にコイルとマグネットを使って動かしています。最初の手ブレ補正ユニットは構成をシンプルにするために動作する手ブレ補正レンズ側にマグネットを配置していました。しかし、マグネットは比較的重く、重いものをレンズと一緒に動かすためにはコイルを含めてユニット全体のサイズが大きくなります。
そこで、全体の小型化を考えてコイルとマグネットの位置を入れ替えました。固定側をマグネット、動作する側に軽いコイルを配置して設計し直しました。同じ電流であれば軽いものを動かす方がユニットは小さくなるのでコンパクトになりました。

解説
タムロンの手ブレ補正機構は独自開発の「VC」(Vibration Conpensation)を採用している。3つのスチール製のボールにVCレンズ(補正レンズ)が乗っていて、マグネットとコイルで電磁的に制御している。

初期型はVCレンズ側にマグネットを配置した『ムービングマグネット方式』を採用した。しかし、これだと前述の通り、動く側のマグネットは質量が重いため、より大きな駆動力が必要となり、コイルを含めてユニット全体が大きくなってしまう。そこで、逆転の発想で、コイルとマグネットの位置を入れ替え、固定側をマグネット、動作する側に軽いコイルを配置して設計し直した『ムービングコイル方式』を採用した。軽いものを動かす方がユニットは必然的に小さくできるからだ。ただし、VCレンズ側にコイルを配置するには電気を送るためのフレキ(ケーブルの一種)配線が必要となるため、制御動作に制限が出やすくなるが、新開発のVCユニットでは、制御の自由度を落とさないように配線の設計を工夫し、手ブレ補正機能の精度を維持したままコンパクト化を実現した。

タムロンの手ブレ補正「VC」の効果には定評がある。「VC」のオン/オフを切り替えて意図的に効果を見比べるとブレがピタリと抑えられるので著者もその効果に驚いた記憶がある。「吸い付くようにとまる」と表現するユーザーもいる。まず手ブレ補正のスイッチをオフにし、ズームを望遠側にして片手でカメラを持って、ファインダーで遠くの被写体を見ると当然ぶれて見える。次に手ブレ補正のスイッチをオンにするとそのブレが抑えられる様子が実感できるので、カメラ店の店頭で試せる機会があればやってみると良い。また、カメラと映像関連の展示会「CP+ 2012」のタムロンブースでは実際にB008を体験できるコーナーがあるのでそこで試してみるのも良いだろう。

Q.
ユーザーが店頭でズームレンズの製品選びをする場合、ズームしてみて重さや引っかかり(ズームリングのトルク)をチェックすることがあります。高倍率ズームレンズの場合は一般的に、引っかかりや重さが少し気になる製品もありますが、鏡筒が長い分、ズームしている最中に途中でひっかかる感じは発生しやすいのでしょうか。

戸谷
そうですね、高倍率ズームでは、ズーム操作の途中で重さに変化のない(トルク変動がない)スムーズな動きをさせることが大変難しいですね。先ほども申しましたが、通常のズームレンズと比べると、ズーム幅が広い分、レンズの繰り出し量が多いので、幾つものズームカムが複雑に動いてズームしていく機構となっています。
一定のトルクでズームできるよう設計時にはチェック事項として必ず確認しています。最新の B008 はこの点にも改良が施してあり、ひっかかりがなく、スムーズにズーム駆動ができるように設計をおこなっています。

Q.
ありがとうございました。次回はオートフォーカスの新技術ピエゾモーターのしくみ、一眼レフとミラーレス一眼用レンズの違いなどをお伺いします。

CP+ 2012 イベントロゴマーク
展示会「CP+」情報
タムロンブースで高倍率ズームレンズを展示。

恒例の「タムロンレンズのクリーニングサービス」も。

「CP+ 2012」は、カメラ映像機器工業会(CIPA)主催の、カメラと写真映像の情報発信イベント。
2月9日(木)〜12日(日)の4日間、パシフィコ横浜で開催されます。
タムロンのブースでは、今回の記事で紹介した高倍率ズームレンズ「B008」やミラーレス一眼Eマウント用高倍率ズーム「B011」がタッチアンドトライカウンターで試写できるとのこと。小型軽量、手ブレ補正の効果、PZDの高速性/静音性などを実際に触って確かめるチャンスです。
> タムロンブースの詳細はタムロンのWebサイトにてご確認ください
> CP+ 2012 のウェブサイトはこちら


>> 次回の「メーカーに聞く デジタルカメラのココが知りたい!!」

  タムロンに聞く 高倍率ズームの新技術(2) 一眼レフとミラーレス一眼用レンズの違い 他 

  • 新技術オートフォーカス「PZD」のしくみと特徴
  • 一眼レフ用レンズとミラーレス一眼用レンズの違いとは?
  • 位相差AFとコントラストAF、どっちが高性能?
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  第07回 富士フイルムに聞く 「眼のメカニズムに迫る スーパーCCDハニカムEXR」

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■ご注意
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記事内容は記事初出当時のもので、記事で紹介した機能や仕様、しくみなどは変更になる場合があります。製品や機能など、最新情報はご自身でご確認ください。
本文および、メーカーご担当者のコメント内容などは、規格や製品の仕様や特長を保証するものではありません。

 
初出:2012/02/06
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