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スタグラ・特集記事
メーカーに聞く デジタルカメラのココが知りたい!!
第2回 オリンパスに聞く 「フォーサーズとマイクロフォーサーズ」 その2. 2008/10/01
 


質問センサーが大きいと高画質?
質問一眼レフと一眼システムの違いはなに?
ボディ内とレンズ内、
    どっちの手ぶれ補正が良いの?
オリンパスの手ぶれ補正の特長は?

フォーサーズとマイクロフォーサーズは共通のセンサーを使う。センサーのサイズ競争の様相を呈する中、4/3型はどう闘うのか。手ぶれ補正でオリンパスの技術的なアドバンテージはなに? 私たちが日頃知りたいと思っていることをメーカーに聞いてみました。

聞き手 神崎洋治、西井美鷹
 

前回に引き続き、インタビューに応えてくれたのは、オリンパスイメージング株式会社の畠山敦史氏。

  フォーサーズはセンサーのサイズ競争に生き残れるか このページのトップへ  

画像A オリンパスに聞く
今回、インタビューに応えてくれた、オリンパスイメージング株式会社 マーケティングサポート部 マーケティングコミュニケーショングループの畠山敦史氏。

画像B センサーには真っ直ぐな光が必要
フィルムに光が斜めに照射しても大きな影響を与えないが、センサーでは受光部が窪んだ位置にあるため、光が真っ直ぐ入らないと十分な画質が得られない。
  (図はわかりやすく表現したイメージ『体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ』) 

前回のインタビューのまとめ
マイクロフォーサーズはフォーサーズの拡張規格であり、技術的な部分で大きな違いはなく、マイクロフォーサーズでは更に小さいボディやレンズの開発、動画対応などをやっていきたい、ということでした。

今回は、イメージセンサー(撮像素子)と手ぶれ補正を中心に聞きたいと思います。また、最近になって「一眼レフと一眼システムの違いはなんですか」という質問を読者からも頂きましたので、そのあたりも聞いてみましょう。

Q:
35mmフルサイズのイメージセンサー(以下、センサーと表記)を採用した一眼レフ製品がいくつか登場しています。その結果、より大きい撮像素子を採用した方が高級機であり、高画質である、というイメージを読者の多くは抱いています。サイズ競争の一面も出てきています。しかし、フォーサーズの場合、撮像素子のサイズは規格上、17.3×13.0mmと決まっています。
この大きさではやや小さく感じるようになってきましたし、センサーサイズは"大きいもの勝ち"のような風潮になると、不利ではないでしょうか?

ご指摘の通り、フォーサーズ規格ではセンサーのサイズは決まっていますので、大きいサイズのセンサーを出して対抗するということは考えていません。

画質はセンサーのサイズだけで決まるものではありません。これはフォーサーズの良さを説明させていただく時にもよくお話ししていることですが、フイルムからセンサーに変わったことで、フィルムカメラ用レンズを使って撮影した場合に、画質低下が起こりやすくなったり、周辺減光(周辺光量の落ち込み)も起こります。これらを回避するためにレンズやセンサーのベストマッチングを模索した結果が現在のフォーサーズです。

Q:
そこで更に質問があります。現在のカメラ愛好家には、銀塩フイルムの頃に開発された高性能なレンズを使っている方が多くいますね。それらは35mmフルサイズのフイルム用に作られたもので、35mmフイルムに光を届けるために最適化された設計だったんだろうと思います。
そのレンズを35mmフルサイズではないデジタル一眼レフのボディに付けたとき、性能が必ずしも発揮されないという理屈は解ります。いわば、中途半端な、チクハグな組み合わせで使っているわけですから。

しかし、センサーがフルサイズになったならば、35mmフルサイズのフイルムと同様にレンズの光を届けることができるのではないでしょうか。それこそがベストマッチングなのではないでしょうか。

デジタルカメラのセンサーはその特性から、レンズを通して入ってくる光をフイルムに比べて真っ直ぐにあてる必要があります(テレセントリック)。

フイルムなら多少真っ直ぐでなくても良かったものが、センサーでは真っ直ぐ光を入れる必要がある…逆に、フルサイズのセンサーに対して、私たちが要求するレベルで十分に真っ直ぐな光を当てるレンズはどんなものかと想定した場合、例えば今までのフィルムカメラ用レンズよりもっと太くて口径の大きなレンズが必要になります。

Q:
なるほど、そう言われると意味が理解できました。つまりフルサイズになったところで、フイルムではなくセンサーの特質を考えれば、従来のレンズでは満足できる光が…画質が得られるとは限らない、ということですね。

私たちの考えでは、そういう感じです。
あえてセンサーサイズが小さいことで影響を受ける点があるとすれば、高感度・ISO感度の高い撮影時にノイズが出やすいことです。これは物理的に小さいことに起因するので課題としてとらえ、LiveMosセンサーのさらなる高性能化、画像処理エンジンによる信号処理などで対策してい ます。


  一眼レフと一眼システムの違いはなに? このページのトップへ  

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画像C

一眼レフの「フォーサーズ(中央)」と一眼システムの「マイクロフォーサーズ(下)」の構造の違い
一眼レフでは、レンズを通った像がミラーに反射(レフレックス)して光学ファインダーに達するが、一眼システムでは直接イメージセンサーに達し、ライブビュー液晶で表示する。「一眼」ではあるものの「レフレックス」はしない。
一方で、一眼レフは、Mirror Boxがボディの小型化には大きな制約になっていることが解る。(イラスト出展:オリンパスイメージング)

解説
最近、読者から「一眼レフと一眼システムの違いはなに?」という質問を頂きました。デジタル一眼が普及するにつれ、"一眼レフ"という本来の言葉の意味が正しく使われていないケースも見られるようになりました。

従来から一眼レフで大切なことは「撮影する像そのものをファインダーで確認することができる」ことです。一眼レフカメラの場合、すなわち光はレンズを通った光(像)は、フイルムやセンサーに当たる前にミラーで反射させ、ペンタプリズムで正立した像に見えるように屈折させてファインダーに送ります。この光の屈折が「レフレックス(Reflex)」の由縁です。
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コンパクトデジタルカメラには光学ファインダーがなく、ミラーもありません。

Q:
マイクロフォーサーズは一眼レフには該当しませんね。

マイクロフォーサーズで規定しているフランジバックは短いので、事実上ミラーは存在しません。一眼レフカメラに見られる光学ファインダーもありません。そのため、プレスリリースや資料の中では一眼レフとは表記せずに「一眼システム」と表記しています。

Q:
撮影する像そのものは液晶(ライブビュー)で見ることができますから一眼と言えますが、そうなるとコンパクトカメラとの違いはレンズ交換式か否か、という点になってきますね。厳密なカテゴリー分けも難しくなります。

ところで、マイクロフォーサーズのセンサーを積んだコンパクトデジタルカメラも考えられますか?

大きなセンサーを搭載したコンパクトカメラと言えば、シグマさんの『DP1』のような製品ですか。製品としては考えられますが、マイクロフォーサーズはレンズ交換式しか考えていません。

 

  「ボディ内」手ぶれ補正を選択した理由 このページのトップへ  

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画像D 「センサーシフト式」手ぶれ補正のしくみ
ボディ内で行う場合、手ぶれによる光(像)のズレに対してセンサーを移動させて正常な場所で受光するよう調整する。
  (図はわかりやすく表現したイメージ『体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ』)
画像E ボディ内補正を選択
ボディ内部に装備すれば、すべてのフォーサーズ・レンズで手ぶれ補正機能が使える、それははお客様にとって大きなメリット。
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画像F オリンパスの手ぶれ補正ユニット
ボディ内の手ぶれ補正ユニットには、高速に高い精度で移動する「超音波モーター」を採用。(イラスト出展:オリンパスイメージング)
画像G 手ぶれ補正の精度が高い理由は
「超音波モーター」は顕微鏡のステージをミクロン単位で動かす技術を応用したもの。

解説
手ぶれ補正には、センサーに届くまでの光(像)のぶれを物理的な機構を用いて補正する「光学式」と、センサーが生成したデジタル画像をデータ的に補正する「電子式」があります。
現在、市販されているデジタル一眼レフ製品のカタログでうたわれている「手ぶれ補正」機能のほとんどは光学式です。

光学式には大きく分けて2種類があり、レンズ内部にこの機構を装備して光(像)のぶれを補正する「レンズシフト方式」と、受光するセンサーを動かしてぶれを補正する「センサーシフト方式」です。前者を「レンズ内」手ぶれ補正、後者を「ボディ内」手ぶれ補正と呼ぶこともあります。

Q:
御社の手ぶれ補正に対する考え方や特長を教えてください。

当社のデジタル一眼では『E-3』『E-510』『E-520』のボディ内に手ぶれ補正機構を装備しています。

Q:
「ボディ内」手ぶれ補正を選択した理由はなんですか?

ボディ内部に装備すれば、すべてのレンズでこの機能が使えることです。フォーサーズに参入してから私たちは既に19種類のレンズを発売しています。松下電器さんやシグマさんの製品を合わせると37種類あります。ボディ内手ぶれ補正機能の製品を使えば、これらのレンズすべてで手ぶれ補正が使えます。

Q:
ユーザーの利便性を考えてボディ内を選択したのですね。機能や性能面で「ボディ内」を選択した理由はありますか?

レンズ内に手ぶれ補正機能を装備すると、レンズ製品自体が大きくなってしまったり、補正用レンズを組み込むことで光学性能が犠牲になる可能性がある。と私たちは考えます。

Q:
「ボディ内」にした方が、コンパクトなレンズ製品が開発でき、レンズの性能も犠牲にしなくて済む、ということですね。

フォーサーズの特長のひとつに「小型・軽量」があり、すべてのレンズで機能を使えることはお客様のメリットが大きい、と思い「ボディ内」を選択しました。

Q:
手ぶれ補正の機構にオリンパスならではの特長はありますか?

高速で正確にセンサーをシフトさせる超音波モーターを採用し、横方向と縦方向の補正を制御しています。私たちは「SWD(スーパーソニック・ウェーブ・ドライブ)」と呼んでいますが、この超音波モーターはストップ・アンド・ゴーが極めて正確です。レンズの種類や撮影条件によって異なりますが、『E-3』ではシャッタースピード最大5段分、『E-520』では最大4段分の手ぶれ補正効果があります。

Q:
他社の手ぶれ補正には負けないと言える理由がありますか?

私たちはもともと顕微鏡の開発でスタートしていて、顕微鏡のステージをミクロン単位で動かすのに超音波モーターを開発してきました。それを応用した技術です。

Q:
精度の高い制御ができるんですね。ところで『E-520』にはボディ内に手ぶれ補正機能が搭載されていますが、『E-410』にはありません。これは製品ラインアップ上の差別化ですか、それともE-410のボディサイズでは手ぶれ補正が入らなかったのでしょうか。

手ぶれ補正機能を加えると、実際にメカニカルな機構が必要になって厚みが増えますので、開発時の技術ではE-410の本体に入れるのは難しかったと言えるでしょうね。

Q:
最新機種のコンパクトデジタルカメラでは、手ぶれ補正はどう対応していますか?
電子式も採用していますか?

電子式と言うか、ISO感度を上げて手ぶれを発生しにくくする機能があります。更にボディ内に光学式の手ぶれ補正機構も装備(DUAL IS)している機種もあります。

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>> 次回の「メーカーに聞く デジタルカメラのココが知りたい!!」

  第03回 シグマに聞く 「レンズ内とボディ内 手ぶれ補正のしくみと特長

  • ボディ内とレンズ内 手ぶれ補正はどっちがベター?
  • レンズ内手ぶれ補正は画質が劣るって本当?
  • 手ぶれ補正はいつもONがいいの?
  • 三脚を使うとき、手ぶれ補正はON? OFF?

<< 前回の「メーカーに聞く デジタルカメラのココが知りたい!!」

  第01回 オリンパスに聞く 「フォーサーズとマイクロフォーサーズ その1.」

  • フォーサーズってなに?
  • マイクロフォーサーズってどんなもの?
  • どうしてデジタル一眼ってでっかいの?
  • なぜデジタル一眼はムーピーが撮れないの?

 

■ご注意
本文および、メーカーご担当者のコメント、写真/画像等、許可なく転載することはご遠慮ください。
記事内容は記事初出当時のもので、記事で紹介した機能や仕様、しくみなどは変更になる場合があります。製品や機能など、最新情報はご自身でご確認ください。
本文および、メーカーご担当者のコメント内容などは、規格や製品の仕様や特長を保証するものではありません。

 
初出:2008/10/01
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