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レンズ内手ぶれ補正のしくみとメリット |
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画像C |
レンズ内手ぶれ補正
レンズシフト方式は、レンズ内に搭載した手ぶれ補正用レンズを移動させることにより光の屈折方向を修正して、像がブレないように補正するしくみです。※イラストはわかりやすく表現したイメージ例です。『体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ』より)
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画像D |
500mm望遠レンズを付けたカメラを使い、手持ちで被写体を狙ったときのファインダーのイメージ
手ぶれの影響が大きくてフレーミングすら大変(画像は状況を表現するために作成したイメージです)。 |
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画像E |
ファインダーで見た画像と撮った画像のフレーミングが異なる
ボディ内手ぶれ補正の場合、手ぶれを検知してセンサーがシフトした場合、ファインダーで見た画像と撮った画像のフレーミングが異なる可能性がある。被写体の周囲に余裕を持たせたフレーミングがベター。(画像は解りやすく表現したイメージです) |
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画像F |
どちらの手ぶれ補正にもメリットがある
「レンズ内」はファインダーで見る時の手ぶれも止められるし、ファインダーで見たままに撮れる。「ボディ内」はどのレンズでも機能が使えてレンズが小型化できる。 |
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解説
ボヤけた写真を撮影してしまう大きな理由に手ぶれがあります。特に、被写界深度が浅い望遠レンズでは、手の微妙な震えでさえ写真のボヤケに影響します。これを抑えるのが手ぶれ補正です。
光学式の手ぶれ補正には大きく分けて2種類があり、レンズ内部にこの機構を装備して光(像)のぶれを補正する「レンズシフト方式」(右図 画像C)と、受光するセンサーを動かしてぶれを補正する「センサーシフト方式」です。前者を「レンズ内」手ぶれ補正、後者を「ボディ内」手ぶれ補正と呼ぶこともあり、前回のオリンパスのインタビューでは同社が採用している「ボディ内」手ぶれ補正に触れました。今回は、シグマに「レンズ内」手ぶれ補正について聞いてみましょう。
Q:
御社ではレンズ内手ぶれ補正を選択しているということですが、ボディ内手ぶれ補正と比べてそれぞれのメリット、デメリットはなんでしょうか?
ボディ内手ぶれ補正の場合、すべてのレンズで手ぶれ補正が使える点がメリットですね。また、手ぶれ補正機構がない分、レンズは小型です。また、価格も手ぶれ補正機構搭載レンズと比べて安いと思います。
ただ、500mmや800mmなどの超望遠レンズを付けたときなどに顕著ですが、撮影した画像の手ぶれは止まっても、光学ファインダーに見える像は止まりません。これは手ぶれ補正機構付きの500mm望遠レンズを付けたカメラですが、このファインダーを覗いて遠くの被写体を見てください。
解説
桑山さんは手ぶれ補正の効果の実感をデモするために500mm望遠レンズを装着したデジタルカメラを用意してくれました。500mm望遠ともなると、手持ちで構えたのでは手ぶれというか「揺れ」るために、遠くの被写体がファインダーでは画像Dのように見えてしまい、定まりません。
Q:
超望遠で光学ファインダーを覗くと手ぶれで被写体が定まらないですね。
実はこれはレンズ内補正がオフの状態です。一眼レフの光学ファインダーはセンサーで受けた画像ではなくレンズを通した像を見ますので、ボディ内手ぶれ補正のファインダーではこのように手ぶれした像になります。
Q:
三脚なしで超望遠で狙うと被写体を定めるだけでも難しいですね。こうなると被写体を真ん中に置くことすら難しい、まぐれ当たり的な願望でシャッターを押すというか…(笑)。
ボディ内手ぶれ補正ならファインダーがぶれていても撮った画像は止まります。それは良いところですが、超望遠になるとフレーミングすらなかなか決めにくく、シャッターを押すチャンスが減ってしまうかもしれません。
また、ボディ内の場合、手ぶれした分だけセンサーを動かして補正しますので、光学ファインダーで見たフレームと、撮ったフレームが異なる可能性があります。そのため周囲に少し余裕を持たせたフレーミングが必要です。被写体をフレームのギリギリに配置すると、センサーがシフトした分で切れてしまうかもしれません。
Q:
あ、なるほど。画像Eの白枠のようにフレーミングしてシャッターを押しても、手ぶれ補正がセンサーをシフトすることによって画像Eの赤枠のように写る可能性があるんですね。画像Eはちょっとオーバーな表現かもしれませんが。
では次に、レンズ内手ぶれ補正機能をオンしますね。ファインダーで見ている像が変わると思います。
Q:
お、手ぶれがかなり収まりました。この程度なら被写体が狙えます。
レンズ内手ぶれ補正のメリットは、撮るままの像を光学ファインダーで見ることができることです。手ぶれ補正をオンすれば補正後の像を見ることができますし、フレーミングや構図もより正確になります。
とはいえ、ボディ内手ぶれ補正にもメリットがあるので否定は決してしません。実際に手ぶれ補正のないレンズ製品の方が細くコンパクトですし。
Q:
なるほど、違いがよく解りました。
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