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新・女性の撮りかた講座
第3部 間接光の上手な使い方 その3
第31回 室内編 間接光で肌の滑らかさを表現 2005/11/30
 
■肌のグラデーション
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 今回は、本来の予定だった「第3部 間接光の上手な使い方」の第2回目をお届けします。さて、新・女性の撮りかた講座は、この一年、光の上手な使い方をテーマにお届けしてきました。振り返ってみると基本的なことに終始していたように思います。本来やりたかったことはというと、女性の肌の質感や曲線美などを表現するための光と影のテクニックについてだったのですが、それを実現するためのサンプル写真が(このサイトの性質上)お見せできないものが多くて、断念したというのが理由(言い訳?)なのですが、まぁ、私の力量から考えればこんなところかなと、反省と同時に開き直ってもいる次第です。(笑) いずれ、また機会があれば、なにか別の形でご紹介していきたいと思います。では本題に入りましょう。

 

●間接光が好き!

 

 私が大好きな光、それは室内に射し込む自然光です。こうした光には、強いコントラストを生む直接光もあれば、木々や建物の壁などに反射して射し込む間接光もあります。いろんな絵を創るために両方の光を使い分けてはいますが、個人的には間接光の方が好みです。なぜかと言いますと、間接光の方が肌に「滑らかな陰影」が生まれやすいからです。

 

●肌の滑らかさを表現するには

 

 当たり前のことですが、人間の体には平らな部分がまったくありません。どこもかしこも曲面だらけ。特に女性の体の曲面は、世の殿方にとって大変に魅力的。当然、女性の写真を撮るなら曲面をできるだけキレイに表現したいと思うわけです。体の曲面を表現するのはもちろん光と影ですね。明るい部分から暗い部分への明るさの移り変わりをどう表現するかによって、同じ被写体の写真でもかなりイメージが変わってきます。強い光と影によるコントラストのはっきりした写真も魅力的ですが、被写体の生々しさや妖艶さは、滑らかな陰影、つまり、明るい部分から暗い部分へと滑らかに移行するグラデーションによって表現できるのではないかと思います。

 

●陰影で何を際立たせるのか

 

 まず写真1を見てください。これは窓から射し込む光とは別に、ストロボを補助光として使った写真です。この写真、普通のポートレートとしては問題ありませんが、陰影によって何を際立たせたいのかがわからない写真です。光のグラデーションが肌の滑らかさを表現するのに役立つとはいえ、何も考えずに撮影していはダメです。光のグラデーションを使って、何をどう表現したいのかという目的がなければいけません。

 ちょっと古い写真で恐縮ですが、写真2を見てください。これはもう確信犯的に「胸」を強調している写真だということがわかりますね。胸の豊かな丸みを表現するために光のグラデーションを使っています。それと、女性の体のパーツでもっともエロチックだと個人的に思っている「唇」にハイライトを入れることで、その魅力を際立たせるようにしてみました。顔の上半分をフレームアウトさせたのも意図的にです。

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写真0 快晴の晩秋、正午近くの店内で、間接光の入る大きな窓のそばで撮影しました。店内には白熱灯がいくつか灯っていて、昔ながらの喫茶店といった風情です。肌のグラデーションを際立たせたかったので、何枚かテスト撮影して、一番きれいにグラデーションが出たのがこの設定でした。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:澤口 留美

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写真1 内蔵ストロボを壁に向かってバウンス発光させたものですが、外からの光とストロボの光で、肌のグラデーションが表現できません。ただこの顔の向きでストロボを発光させないと、顔のほとんどは暗くなってしまいます。肌のグラデーションを表現したいなら、外からの光に対して肌をどのように置くかが重要になります。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:澤口 留美

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写真2 モデルの顔と胸の両方で露出を意識し、どちらも白飛びしないようにマニュアルで設定しました。これ以上明るくすると頬のハイライトが飛んでしまいます。胸にできたグラデーションによって、豊かな丸みが表現できたと思います。
撮影データ (写真をClickで拡大)
■側光(サイド光)を使う
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●補助光なしでトライ

 

 こうした間接光による光のグラデーションを使った写真を撮るときは、まずはストロボやレフ板による補助光を使わないで撮ってみましょう。というのも、間接光はデリケートな光なので、ストロボの光が当たるとせっかくのグラデーションが弱くなるか、まったく失ってしまうからです。なるべく間接光だけで全体の絵を創りましょう。それでもどうしても顔などが暗くなってしまうというときは、ストロボをマニュアルで設定して極めて弱い光にして顔だけに当てるとか、小さな白レフで顔だけを明るくすると良いでしょう。

●光が当たる角度に注意

 

 写真3は窓から射し込む光のみで撮ったものです。レフ板もストロボも、そして室内照明もありません。この写真では、腕と顔に注目してください。腕にできたグラデーションが、若い女性の肌特有の滑らかさと張りの良さを際立たせています。見ておわかりの通り、この光は完全な側光(サイド光)です。直接光を側光で使った場合は、もっと強いコントラストが出ますが、弱い間接光ですので滑らかなコントラストになっているわけです。

 弱い光とはいっても、完全な側光の場合、本来ですと顔の半分はそれなりに暗くなってしまうはずですが、写真3では顔の右側に置いた手の甲がレフ板代わりとなって、顔半分が暗く落ち込むのを防いでくれています。写真4ではテーブルがレフ板代わりというわけです。

●自分の手を使って陰影を確認

 

 前回も書きましたが、いざ撮影が始まってモデルがスタンバイしてから光の確認をするのはご法度です。でも、モデルがいないと光のグラデーションなんて確認できません。アシスタントもいないならどうやって陰影のつき具合を確かめればいいのでしょうか。

 私がよくやる方法は、自分の手や腕を使って陰影のつき具合を確認します。モデルが立つ場所に腕を置き、ゆっくりと動かしながら陰影を確かめます。女性の体とは異なりますが、それでも撮影のイメージ作りには役立つはずです。

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写真3 窓から射し込む間接光以外の光はまったくありません。光はモデルに対して真横から当たっています。本来影になるはずの顔の右半面には、左手の甲に反射した光が当たっています。手の甲がレフ板代わりになったわけです。肌のグラデーションがきれいに出ています。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:寺崎 佑紀

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写真4 スポット測光で被写体の顔に露出を合わせて撮影。キャッチライトを入れるために外部ストロボをマニュアルにして弱めに発光させています。肌のグラデーションがきれいに表現できたと思います。外の光が少し強すぎて、若干ハレーションぎみですが、雰囲気勝ちということで…。
撮影データ (写真をClickで拡大)
  モデル:寺崎 佑紀

 

 

 次回は最終回。室内光の続編とおまけ写真でお別れです。

 
初出:2005/11/30 このページのトップへ
 

     
 
 

     
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