コンテンツのトップページへ 髭達磨・薮田織也のプチ日記
 2007年 4月 4日 水曜日 スープ
 
近、27 年ぶりに料理を始めました。外食生活が長かったたことを懸念していて、食生活を改善しなければと思っていたことも理由のひとつですが、新しい事務所に越して、それまで IH だったコンロがガスに戻ったこともきっかけです。電気で料理ってのも気分的に嫌だったし、IH 専用の鍋釜を用意しなけりゃならないのも面倒でしたしね。んで、手始めにオリジナルスープを作ることにしました。ベースは昆布で出汁をとって、椎茸、エリンギ、エノキ、シメジといったきのこを主なネタにします。野菜は玉葱、白菜、人参と大根。すべてを5mm角程度に小切って、4リットルの出汁を入れた寸胴鍋に放り込みます。そしてニンニクを2切れほど微塵切りにして加え、ホタテと海老もちょっとだけ入れます。それらをとろ火で約6時間、ゆっくりとかき回しながら煮て、途中でひき肉と大好きな日本酒を入れてアルコールを飛ばして、黒胡椒で締めてできあがり。今日までにこのスープを 10 回以上は作ってみましたが、現時点での自分の採点は、100 点満点で 47 点。最初のスープは 20 点程度でしたから、徐々に美味しくなってきています。スープのほかにも、オリジナルイタリアン(オリーブオイルとニンニクを使った肉と野菜の炒め物ですが)を4、5回程度作りました。昨日は明太子パスタと得意のスープを使ったスープパスタを作ってみました。いやはや、料理も始めてみると嵌るもので、ほぼ1日おきに何か作っています。おかげで近所のスーパーと酒屋では常連になってしまいました。

理を始めてみて、あらためて確信したことがあります。モノ作りは楽しいし、突き詰めて行くととっても奥が深いということ。で、最初のうちは楽しいだけなんですけど、繰り返し作っていくと自分の力の足りなさとの格闘になっていきます。何が一番自分に足りないのかを自問自答すれば、それはやはり、その道においての基本が足りないことがわかってきます。火加減ひとつとってみても、なんで弱火や中火があるのか、なんで素材によって料理する順番があるのか。また、なんで素材の組み合わせで、美味しくもなれば不味くもなるのか。自分で作って失敗してみると、こうした基本的なことがひとつひとつ骨身に染みてきます。味覚的に失敗したのなら、それはそれで次のステップに繋がると思えるんですけど、煮込みすぎて焦げができてしまったときなんかは、自分に腹が立ってしまってどうしようもなくなります。味なんてあったもんじゃなくなりますし、食べられなくなってしまった素材に対して、申し訳けない気持ちがいっぱいです。それでももったいないので、ほとんどは無理やり食べちゃうんですけど、一度だけ捨てさせてもらいました。どうにかして味をまともにしようと、醤油やら酒やらいろんなものを混ぜてみたら、吐き気をもよおすほど滅茶苦茶な味になってしまったからです。そのときは終日落ち込みました。

 
▼写真1  
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本文はスープですが、写真は何故か寿司。寿司の場合は、器ごと撮るよりも、こうして大胆に接写した方が楽しい写真になりますね。










んな風に料理と、そして自分の腕と格闘していると、フィルムで写真を撮っていた時分を思い出します。撮ってすぐに確認できないアナログカメラでの撮影と、そのフィルムを自分で現像するときの一発勝負の感覚は、失敗すると食べられなくなるかもしれない料理と似ています。煮込み過ぎて素材の味がなくなってしまったときなんかは、定着液に漬ける時間をミスして、早々に退色してしまう紙焼きを思い出しますし、鍋に焦げ付かせてしまったときなんかは、現像液の温度を高くしすぎてフィルムの粒子を飛ばしてしまったことを思い出します。こじ付けなんかじゃなく、本当に実感します。紙焼きの失敗だけならもう一度、焼付けすればいいことですけど、フィルムそのものの現像を失敗したときは、二度と取り戻せないだけに悔やんでも悔やみきれません。そんな風なフィルム写真だからこそ、次は失敗しないぞと、レリーズを押すときも、フィルムを現像するときも、集中力を欠かさないようにしたのですけど、デジタルカメラになってからは、集中力がなくなってきているような気がします。髭は別にデジタルとアナログを比べて、どっちが優れているだなんてことを言いたいわけではありません。アナログはアナログの、デジタルはデジタルの良さがあるし、今の髭はデジタルにぞっこんなんですから、集中力が欠けたことをデジタルカメラのせいにするつもりは毛頭ありませんが、失敗を結構簡単に取り戻せるデジタルの甘い罠に陥らないように、時々はアナログ時代の失敗を思い出すべきなんだなぁとつくづく思うわけです。あれれ、料理をきっかけに別のことを書こうと思ってたのに、写真と料理の自戒の話になっちゃいました。本来書きたかったことはまた今度。
 
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